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板取川沿いの地質、露頭 その14 関市洞戸小坂の層状チャートと砂岩層 :関市洞戸小坂の薬師前橋上流中州の層状チャート、数100m上流右岸の砂岩層

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  地質図を見ると、右下の美濃市御手洗付近から真中左の洞戸市場にかけて、板取川沿いには主に砂岩層(黄色( Mss ))が分布しています。その砂岩層(黄色)の中に、オレンジ色( Mch )が所々に小規模な岩体として見られます。チャート層です。関市洞戸小坂の薬師前橋の上流には、砂岩層の中に褶曲した層状チャートが見られますので、紹介します。 美濃市から関市洞戸に向かう県道81号美濃洞戸線を西進し、美濃市と洞戸の境界を過ぎた先に観光ヤナがあります。観光ヤナの先を左折して南へ向かうと、板取川に架かる橋(薬師前橋)があります。橋の上から上流側(西)を望むと、岩が露出しているのがわかります。褶曲した層状チャートです。中州に露出していますので、川を横切らなくてはなりません。露頭としては、東西に35mほど、南北に15mほどの規模です。ここのチャートは暗灰色の部分が多いですが、淡灰色の部分もあります。層状チャートとしては、2cm~8cm厚のチャート層の間に、数mmの厚の暗灰色をした泥岩層を挟んでいます。全体的にはかなり褶曲をしています。 層状チャートの露頭から上流には砂岩層が広がっています。薬師前橋を渡り右折し、板取川の右岸側を300mほど進み、川へ降りると中下と下の写真に写っている露頭があります。砂岩層です。中粒~粗粒の砂岩で、淡灰色~暗灰色をしています。割れ目が多く入った砂岩層です。 地質図において、×が2箇所にありますが、黒色の×地点が層状チャートの露頭の位置で、赤色の×地点が砂岩層の露頭の位置です。黒色の×地点の位置には、小さくオレンジ色( Mch )が表現されており、チャート層です。赤色の×地点は黄色( Mss )の中にあり、砂岩層です。写真は五種類ありますが、上と中上、真中の写真は層状チャートを、中下と下の写真は砂岩層を撮ったものです。上の写真は東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央付近を撮ったものです。真中の写真は、層状チャートであることがわかりやすい部分を北から撮ったものです。中下の写真は砂岩層を北からパノラマで撮ったもので、中央付近を撮ったのが下の写真です。中下の写真の左上に赤丸で囲ってある露頭が上の写真に写っている層状チャートの露頭です。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と真中、下の写真は、同じような写真が2枚

板取川沿いの地質、露頭 その13 美濃市と関市洞戸の境界付近左岸の溶結凝灰岩 :美濃市と関市洞戸の境界付近の板取川左岸露頭 観光ヤナの東

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 美濃市から関市洞戸に向かう県道81号美濃洞戸線を西進し、上牧橋を越えて約1 . 5km進むと、美濃市と関市洞戸の境界表示板があります。近くに車を止め、小道があるので川へ下り、しばらく上流方向へ進むと溶結凝灰岩の連続露頭があります。 溶結凝灰岩は、石英や長石の粒が入った硬い岩石です。流紋岩質のマグマが固まったものが多いです。流紋岩質のマグマが冷え固まったものといいながら、ドロドロと流れる溶岩が固まったものではありません。激しい噴火で、大量の火砕流が発生し、それが堆積した時に、大量であるため、自分の重さと蓄えている熱で中に入っているガラス片や軽石をつぶしながら冷え固まり、非常に硬い岩石になるのです。それが溶結凝灰岩です。溶岩の状態ではなく、鉱物や軽石、火山灰など(冷え固まると凝灰岩になるもの)が一度バラバラになり、その中の軽石やガラス片が熱で再度やわらかくなった後くっついて冷え固まった(溶結した)岩石なのです。ここの溶結凝灰岩は、岐阜県の1/4をしめる濃飛流紋岩の西に分布する奥美濃酸性岩類の岩石です。地質図によると、奥美濃酸性岩類のうち、洞戸岩体を構成する高賀山層の下部層と同じものにあたり、かつて現在の洞戸一帯に存在した陥没盆地(カルデラ)内に堆積した火山岩と考えられています。  地質図において、×地点が露頭の位置ですが、白色( a )の中にあり、白色は第四紀の堆積物です。周囲は黄色( Mss )、オレンジ色( Mch )、薄茶色に横線あり( OK3 )が分布していて、×地点には第四紀の堆積物の下に分布する薄茶色に横線あり( OK3 )が露出しているのです。薄茶色に横線ありは奥美濃酸性岩類の高賀山層、黄色はおもに砂岩層からなる地層、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。写真は五種類ありますが、上の写真は露頭を南西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央付近を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマーの左上1 . 3mほどのところにある本質レンズ(軽石がレンズ状につぶれたもの)付近を接写したもので、写真の縦は4cmです。中下の写真は、中上の写真の露頭の上流(西)へ30mほど離れたところにある露頭を南東からパノラマで撮ったもので、ひし形の節理が写っています。左隅に写っている建物は観光ヤナです。下の写真はひし形

板取川沿いの地質、露頭 その12 美濃市乙狩面平対岸の玄武岩質溶岩 :美濃市乙狩面平の対岸(右岸)河床露頭 バーベキュー店の近く

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美濃市から関市洞戸に向かう県道81号美濃洞戸線で、美濃和紙会館をさらに2kmほど西へ進むと、上牧橋があります。上牧橋を渡り右折し、堤防に入ることなく、そのまま県道59号を1km弱進むと、バーベキュー店があります。その近くで車を止め、川へ下りると露頭があります。東西に30mほど、南北に7mほどの露頭です。最初見た時は珪質泥岩が弱い熱変成を受けているように思いましたが、この露頭の下流に存在する玄武岩質溶岩(前回の「板取川沿いの地質、露頭その11」で紹介)と似ているところから、玄武岩質溶岩と判断しました。青緑灰色で、斑晶が肉眼ではわからない(無斑晶質な)岩石です。前回も書きましたが、美濃帯堆積岩類中の玄武岩質溶岩は、海洋プレートの形成場所である海嶺で噴出したものか、海洋プレートが移動している際に噴出して火山島となったものです。 地質図において、×地点が露頭の位置ですが、周囲は黄色( Mss )が広く分布していて、おもに砂岩からなる地層です。玄武岩質溶岩は表現されていません。砂岩層中にブロック状に入っていると考えられます。写真は五種類ありますが、上の写真は露頭を南からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真のほぼ中央を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)のハンマーの左を近づいて撮ったものです。中下の写真は、玄武岩質溶岩と判断した岩石を割って接写したものです。写真の縦は3cmです。下の写真は、露頭を北西から撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と真中、下の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

板取川沿いの地質、露頭 その11 美濃市乙狩新河の中州で見られる玄武岩質溶岩 :美濃市乙狩新河の中州河床露頭

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前回、「板取川沿いの地質、露頭その10」で紹介した玄武岩質溶岩(石灰岩礫が多く入る)の露頭の対岸(中州)には何ヶ所かで玄武岩質溶岩が露出しています。玄武岩質溶岩は、海洋プレートの形成場所である海嶺で噴出したものか、海洋プレートが移動している際に噴出して火山島となったものです。ここで見られる玄武岩質溶岩は無斑晶質で、暗灰色~暗緑灰色をしています。また、玄武岩質溶岩の中に、幅15cm~17cmの白っぽい層をはさむ部分があります。その白っぽい層には、肉眼で確認する限り、白い鉱物粒(長石?)や1cm以下の径をもつ岩片が多く入っています。石灰岩の1 . 5cm×0 . 7cmの礫も入っています。その層の走向・傾斜を測ると、N55°E、65°Sでした。 地質図において、×地点が露頭の位置ですが、白色( a )の中にあり、白色は第四紀の堆積物です。周囲は黄色( Mss )が広く分布していて、おもに砂岩からなる地層です。玄武岩質溶岩は地質図には表現されていません。写真は五種類ありますが、上の写真は玄武岩質溶岩の露頭を北東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。真中の写真は玄武岩質溶岩の割った面を接写したもので、写真の縦は2.5cmです。中下の写真は、白っぽい層を挟む部分を南東から撮ったものです。ハンマーの頭部の右に幅15cm~17cmの白っぽい層が写っています。上の写真(または中上の写真)の露頭の南東6mほどのところにある露頭です。その白っぽい層により近づいて撮った写真が下の写真です。 スケールとして置いてあるハンマーと定規の長さは、それぞれ約28cm、約17cmです。中上と中下の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の黒丸または白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

板取川沿いの地質、露頭 その10 美濃市乙狩新河の石灰岩礫を多く含む玄武岩質溶岩 :美濃市乙狩新河の右岸河床露頭(「板取川沿いの地質、露頭その8」の数10m上流)

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  前々回、「板取川沿いの地質、露頭その8」で紹介した砂岩層の数10m上流に、石灰岩礫を多く含む玄武岩質溶岩の露頭があります。県道81号沿いの車両整備工場の対岸にあたる地点です。南北に40m強、東西に10mほどの河床露頭です。石灰岩礫は、数cm~数10cm径のものが多く、亜角礫が目立ちます。観察する限り、最大の礫は60cm×15cmです。入り方はランダムで、かたまって入っているところも見られます。また、玄武岩質溶岩の数cm~10数cm径の礫も入っています。 美濃帯堆積岩類は、海洋プレートの上に堆積したものや噴出したものが移動して、大陸の縁(現在の日本列島)に付加した付加体堆積物です。その中で、石灰岩は暖かく浅い海洋でできたサンゴ礁がもとになっていますので、よく見ると化石が含まれていることが多いです。また、玄武岩質溶岩は、マグマが噴出して形成された火山島などのかけらを見ていることになります。玄武岩質溶岩の中に 石灰岩礫や玄武岩質溶岩の礫を多く含むということは、サンゴ礁が形成された火山島が噴出した結果を見ていると考えられます。 地質図において、×地点が露頭の位置ですが、白色( a )の中にあり、白色は第四紀の堆積物です。周囲は黄色( Mss )が広く分布していて、おもに砂岩からなる地層です。玄武岩質溶岩は表現されていません。規模は大きなものではないと考えられます。写真は五種類ありますが、上の写真は露頭を北西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央少し右を撮ったものです。灰色の楕円形に近いものがいくつも点在していますが、それが石灰岩礫です。真中の写真は縦18cm、横17cmの石灰岩礫の周辺を同じく北西から撮ったもので、位置は上の写真(または中上の写真)に写っているハンマーのグリップの左下少し離れているところです。中下の写真は、確認したところ一番大きな礫(60cm×15cm)を北西から撮ったものです。下の写真は石灰岩の礫を接写したもので、写真の縦は3cmです。化石が多く入っているのがわかります。 スケールとして置いてあるハンマーと定規の長さは、それぞれ約28cm、約17cmです。中上と中下の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオ