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長良川本流沿い露頭編 その66 美並町勝原(勝原橋北)の混在岩とチャートの岩塊 :郡上市美並町勝原左岸露頭(勝原橋の上流30m~60mほどの左岸露頭)

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    美並町勝原に長良川に架かる勝原橋(赤い橋)があります。勝原橋から上流側を望むと、長良川沿いに露頭がいくつも見られます。東側(左岸)には、橋から30mほどのところと60mほどのところに露頭が見え、手前の露頭はやや白っぽく、奥の露頭は黒っぽく見えます(上の写真参照)。勝原橋の周辺はメランジュからなっていますので、手前の露頭はメランジュ中のチャートの岩塊で、奥の露頭は混在岩です。 ここの混在岩は、黒色の泥岩の中におもに数cm~数10cm径の砂岩が入っています。径が50cmほどの礫(岩塊)も見られます。基質の部分である黒色の泥岩には、一定方向の割れ目が見られます。チャートは露頭から判断する限り、南北25mほど、東西30m以上の巨大な岩塊です。層状になっている部分とそうでない部分があり、層状になっている部分は数cm~6cmの厚さの暗灰色~青灰色をしたチャート層に、うすい泥岩層がはさまっているという状態です。 . ただし、層理面の方向はばらばらで褶曲しているようです。 地質図において、この露頭がある×地点は灰色( Mmx )の中にあり、灰色はメランジュからなる地層です。写真が五種類ありますが、上の写真は勝原橋から上流側を見た長良川左岸です。中上の写真は混在岩の露頭を北西からパノラマで撮ったもので、真中の写真は中上の写真の中央部を撮ったものです。真中の写真の白っぽく写っている礫は砂岩で、それを埋めているのが黒色の泥岩です。中下の写真は、チャートの巨大な岩塊を北から撮ったものです。下の写真はチャートの岩塊と混在岩の接触部と思われる露頭で、ハンマーがある右側はチャートで、左側が砂岩の礫が入っている混在岩です。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。真中と中下、下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)

長良川本流沿い露頭編 その65 美並町勝原左岸の混在岩と花崗斑岩 :郡上市美並町大原勝原左岸露頭(長良川鉄道鉄橋と勝原橋との間)

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    昨年の9月8日 「長良川沿いのメランジュその3」、 9月29日 「長良川沿いの花崗斑岩その3」で、美並町勝原の勝原橋下流左岸に分布する混在岩とそれを貫く花崗斑岩を紹介しました。今回再度紹介しますが、混在岩については露頭が異なります。国道156号を美濃市から北上し、「道の駅美並」を越えて1 . 7kmほど進んだところに子宝の湯の表示板があります。そこを右折すると、赤い勝原橋が見えます。勝原橋から南東を望んだのが上の写真です。長良川鉄道の鉄橋との間に、黒っぽい混在岩と白っぽい花崗斑岩が見えます。 混在岩はメランジュからなる地層中に特徴的な岩石で、基質である黒っぽい泥岩の中に砂岩やチャートなどのさまざまな大きさの礫(岩塊)が入っています。この露頭では、暗灰色~黒色の泥岩の中にさまざまの大きさの砂岩の礫(岩塊)が入っています。大きいものとしては、4m×1 . 5m×1 . 5mほどの砂岩も入っています(中上の写真のハンマーのうしろに写っている岩石)。花崗斑岩は1mmほどの長石が点在し、石英も少し見えます。 地質図において、この露頭がある×地点周辺には灰色( Mmx )が分布します。灰色は、メランジュからなる地層です。露頭としては花崗斑岩が存在しますが、規模的には大きくないため、地質図には表現されていません。写真が五種類ありますが、上の写真は勝原橋(赤い橋)から南東を眺めて撮ったもので、鉄橋の橋脚近くは混在岩で、その手前に花崗斑岩があります。写真には写っていませんが、勝原橋の近くにも黒っぽい混在岩が露出しています。中上の写真は上の写真に写っている混在岩を南から撮ったもので、真中の写真は混在岩を同じく南から近づいて撮ったものです。黒っぽいのが基質部分の泥岩で、灰色の礫が砂岩です。中下の写真は、上の写真の中央左に写っている花崗斑岩の露頭を南から撮ったものです。下の写真は、花崗斑岩を接写したもので、写真の縦は約6cmです。スケールとして置いてあるハンマー、黄色の定規の長さはそれぞれ約28cm、約20cmです。中上と中下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)

長良川本流沿い露頭編 その64 美並町八坂の珪質粘土岩と貫入岩 :郡上市美並町上田八坂右岸河床露頭(長良川鉄道鉄橋の橋脚南西40m弱の右岸)

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    美並町八坂にある長良川鉄道の鉄橋の橋脚から南西(下流)へ40mほどのところに、縞模様が見られる露頭があります。淡灰色の珪質粘土岩に黒色の珪質泥岩がはさまっているため、縞模様のように見えます。また、その縞模様を切って貫入岩が複数入り込んでいます。 珪質粘土岩は、美濃帯堆積岩類に特徴的な岩石(美濃帯の西の延長部に分布する丹波帯にも同様の岩石は分布する)で、礫、砂、泥などをほとんど含まず、粘土鉱物だけからなる岩石です。チャート層に伴って存在し、中に黒色の珪質泥岩をはさむことを特徴としています。詳しい調査によって、中生代三畳紀の層状チャートの基底部に存在することがわかっていて、三畳紀初期における酸素が少ない状態の海洋で堆積したものだと考えられています。貫入岩は、肉眼で1mm以下の長石が点在するのを確認できます。珪長岩(フェルサイト)だと思いますが、顕微鏡などで鉱物を確認しているわけではないため、ここでは貫入岩としておきます。 地質図において、珪質粘土岩が見られる露頭(×地点)は灰色( Mmx )の中にあります。灰色はメランジュからなる地層です。この露頭の南西側には前回の「長良川本流沿い露頭編その63」で紹介した珪質泥岩が露出していますが、北東側には珪質泥岩やチャートが露出して(貫入岩もあり)います。この珪質粘土岩および北東側の珪質泥岩やチャートは、メランジュの中の岩塊と考えたほうがよいようです。写真が五種類ありますが、上の写真はこの露頭を南西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。真中の写真は、上の写真のハンマーのグリップの右側を近づいて撮ったものです。左側が珪質粘土岩で、右側が貫入岩です。中下の写真は珪質粘土岩を近づいて撮ったものです。下の写真は貫入岩を接写したもので、写真の縦は4cmです。スケールとして置いてあるハンマー、黄色の定規の長さはそれぞれ約28cm、約20cmです。中上と真中の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)

長良川本流沿い露頭編 その63 美並町八坂の珪質泥岩層と貫入岩 :郡上市美並町上田八坂右岸露頭(長良川鉄道鉄橋橋脚下流へ150m弱の右岸)

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    美濃帯堆積岩類は海洋で噴出したり堆積したりしたものがもとになっていますが、珪質泥岩は、陸地から遠く離れた深海底で堆積したチャートとは違い、海洋プレートの移動によってやや陸地に近づいたところで堆積しました。 沖合の海溝に近い部分で、チャート形成のもととなっている放散虫と泥の粒がまざって堆積したものです。 ここの露頭では、珪質泥岩層に貫入岩が入り込んでいます。 貫入岩は、表面上淡褐灰色をしていますが、割ってみると淡灰色です。1mm~数mmの長石が点在していますが、石英は肉眼では確認できません。岩石名は花崗斑岩だと思いますが、顕微鏡などで鉱物を確認しているわけではないため、ここでは貫入岩としておきます。 地質図において、この珪質泥岩層が見られる露頭(×地点)はそら色(珪質泥岩からなる地層)の中にあります。貫入岩は規模が小さいため地質図には表現されていません。×地点の南西にはおもにチャートからなる地層(オレンジ色( Mch ))、北東にはメランジュからなる地層(灰色( Mmx ))が分布しています。写真が五種類ありますが、上の写真は珪質泥岩層と貫入岩の露頭を南からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。黒っぽく見えるのが珪質泥岩で、白っぽく見えるのが貫入岩です。真中の写真は、珪質泥岩を近くから撮ったものです。中下の写真は貫入岩を接写したもので、写真の縦は4cmです。下の写真は、珪質泥岩層と貫入岩の境界部を南東から撮ったものです。黒っぽい岩石が珪質泥岩で、淡褐灰色をしている岩石が貫入岩です。スケールとして置いてあるハンマー、シャープペンシルの長さはそれぞれ約28cm、約14cmです。中上と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸または黒丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)

長良川本流沿い露頭編 その62 美並町黒地の花崗斑岩でみられる急冷周縁相 :郡上市美並町大原黒地左岸露頭

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    昨年の9月28日 「長良川沿いの花崗斑岩その2」で紹介した美並町黒地の花崗斑岩でみられる急冷周縁相について、再度紹介します。 郡上市美並町黒地の長良川左岸には、チャートを貫いて花崗斑岩が露出しています。花崗斑岩は多くの場合、石基と呼ばれる細かい鉱物の結晶やガラス質の中に、斑晶と呼ばれる大きな鉱物の結晶が入っています。この露頭をよく観察すると、チャートとの接触部付近では花崗斑岩を構成する鉱物の粒が全体的に細かく、接触部から離れた花崗斑岩には大きな鉱物の結晶(斑晶)が入っているのがわかります。花崗斑岩のように貫入した岩体において、貫入された岩石との接触部付近では鉱物の結晶が細かいことが多く、その岩相を急冷周縁相と呼びます。マグマが貫入して板状に固まったものを岩脈といいますが、花崗斑岩などの岩脈では、より大きな結晶が岩脈の中央部に集まる傾向が知られています。冷え固まる前の岩脈の中をマグマなどの液体が流れて移動する際、他の岩石との接触部では低温と摩擦のため低速(流れがゆっくり)になりますが、中央部は高速のまま(流れが速い)です。すると、高速である中央部に大きな結晶が移動するのです。そのため他の岩石との接触部では、大きな結晶は移動してしまい、かつ急冷のため鉱物が成長することもできないので、結晶は細かいかガラス質なのです。 ここで見られる花崗斑岩(貫入岩)は地質図でも表現がしてあり、この露頭が見られる×地点はピンク色( Okg )の中にあります。 Okg は奥美濃酸性岩類関連の岩脈(貫入岩)です。写真が五種類ありますが、上の写真は花崗斑岩の露頭を西からパノラマで撮ったもので、左側の白っぽい露頭が花崗斑岩で、右に露出しているのがチャートです。中上の写真は上の写真の中央部を西から、真中の写真は上の写真の左上の部分を南から撮ったものです。中下の写真は、上の写真の中央下縁部分を近づいて西から撮ったものです。急冷周縁相がわかる部分で、右側は鉱物全体が細かいですが、左側は粗い鉱物が入っています。下の写真はその鉱物の大きさがよりわかるようにした写真で、右側は接触しているチャート層の近くの花崗斑岩(急冷周縁相の部分)で、左側は接触部から離れた場所の花崗斑岩です。写真の縦は10cmです。スケールとして置いてあるハンマー、黄色の定規の長さはそれぞれ約28cm、約20cmです。中上と真中

長良川本流沿い露頭編 その61  美並町木尾右岸の層状チャート :郡上市美並町上田木尾右岸露頭(国道156号沿いの鮎料理店東の長良川沿い)

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  「道の駅美並」付近の長良川沿いには珪質泥岩が分布しますが、その北にはチャートが分布します。美並町上田木尾の国道156号沿いに鮎料理店がありますが、その東の長良川沿いに層状チャートの露頭があります。層状チャートは、淡青灰色~暗青灰色をした数cm~10数cmの厚さのチャート層と、灰色をした数mm~5mmの厚さの薄い泥岩層が繰り返して堆積しています。また、ここの層状チャートは褶曲をしていますが、激しく曲がっているわけではなく、層理面(地層をつくる物質が堆積したときの面)が水平に近い部分では、層理面に沿ってチャート層がはがれているところもあります。そのようなところでは、中下や下の写真のように、1cm~2cm径の円形の出っ張り(高さは数mm)が集中して見られる部分があります。何かの生痕ではないかと思います。 地質図において、この層状チャートの露頭(×地点)はオレンジ色( Mch )のおもにチャートからなる地層の中にあります。写真が五種類ありますが、上の写真は層状チャートの露頭を北西(上流側)からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央上部を近づいて撮ったものです。上と中上の写真において、露頭に立てかけてあるスケールは1mです。真中の写真は、層理面が水平に近い部分を北東から撮ったものです。中下と下の写真は、層理面に見られる 円形の出っ張りが集中しているところを上から 撮ったもので、写真の上が東です。黄色のスケールの長さは約20cmです。中上と真中、中下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の黒丸や白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)

長良川本流沿い露頭編 その60 「道の駅美並」の東の河原で見られる珪質泥岩層 :郡上市美並町上田木尾の「道の駅美並」東の右岸露頭

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   「道の駅美並」の東側には長良川が流れていて、階段を使って河原(右岸)に下りることができます。河原へ下りると左手(上流側)に黒っぽい露頭があります。それが珪質泥岩層です。珪質泥岩は、「長良川本流沿い露頭編その51」で述べたように、 海洋でプレート上に堆積したものが陸地へ向かって移動する際に、チャートのように陸地から砂や泥が届かないような深海底ではなく、やや陸地に近づいたところで堆積したものです。美濃帯堆積岩類のように、海洋で噴出したり堆積したりしたものが陸地に付加したという堆積物(付加体堆積物と言います)は、基本的には 玄武岩、石灰岩、チャート、珪質泥岩、泥岩・砂岩の順に堆積しています。そのため、玄武岩、石灰岩、チャート、珪質泥岩、泥岩・砂岩の順に形成した年代が若くなります。しかし、付加した時の変形によりその堆積の順番が失われています。 地質図において、この珪質泥岩層の露頭(×地点)はそら色( Msi )の中にあります。そら色は珪質泥岩からなる地層です。珪質泥岩の南や北は、オレンジ色( Mch )のおもにチャートからなる地層が分布しています。写真が四種類ありますが、上の写真は珪質泥岩層を南東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央少し左を撮ったものです。露頭全体が珪質泥岩です。中下の写真は、中上の写真のハンマー周辺を近づいて撮ったものです。下の写真は、上の写真の露頭から長良川上流に向かって150mほど進んだところにある珪質泥岩層の露頭を北から撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)

長良川本流沿い露頭編 その59 美並町木尾の層状チャートと珪質粘土岩 :郡上市美並町上田木尾の右岸露頭(「道の駅美並」から下流へ100mほど)

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  「道の駅美並」から長良川右岸へ階段で下り、下流(南西)へ100mほど進んだところに層状チャートと珪質粘土岩が一つの露頭で見られる場所があります。珪質粘土岩は、美濃帯堆積岩類に特徴的な岩石(美濃帯の西の延長部に分布する丹波帯の堆積岩類にも同様の岩石は分布する)で、礫、砂、泥などの砕屑物をほとんど含まず、粘土鉱物だけからなる岩石です。中に黒色の珪質泥岩をはさむことを特徴とします。珪質粘土岩は、中生代三畳紀の層状チャートの基底部に存在することがわかっていて、三畳紀初期における酸素が少ない状態の海洋で堆積したものだと考えられています。ここの露頭では、見かけ上、層状チャート(灰色の泥岩層も含む)の上に珪質粘土岩が載る状態が見られます。実際には浸食の違いで、珪質粘土岩がより侵食されていて、一つの露頭で北西の面は層状チャートが露出していて、南東の面は珪質粘土岩が露出しています。層状チャートは、淡青灰色~灰色~暗灰色をした5mm~3cmの厚さをもったチャート層の間に、1cm~7cmという厚い灰色の泥岩層をはさんでいます。珪質粘土岩は淡青灰色をしていて、5mm~3cmほど(厚いところでは20cmほどの部分もあり)の黒色泥岩をはさんでいます。 地質図において、この露頭(×地点)及び、南側にはオレンジ色( Mch )であるおもにチャートからなる地層が分布しています。また、北側にはそら色( Msi )である珪質泥岩からなる地層が分布します。写真が五種類ありますが、上の写真はこの露頭を北西からパノラマで撮ったもので、層としては下位の層状チャートが見られます。中上の写真は、上の写真の中央部を撮ったものです。真中の写真は、同じ露頭を南東(川側)からパノラマで撮ったもので、層としては上位の珪質粘土岩が見られます。中下の写真は真中の写真の中央少し右を撮ったもので、下の写真は中下の写真に写っているハンマーの柄の左下を近づいて同じく南東から撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマー、黄色の定規の長さはそれぞれ約28cm、約20cmです。中上と中下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見

長良川本流沿い露頭編 その58 美並町木尾の黒色の層状チャート :郡上市美並町上田木尾右岸露頭

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    前回の 「長良川本流沿い露頭編その57」で紹介した層状チャート中の漣痕の露頭から上流(北東)へ15mほどのところに、黒色の層状チャートが見られます。数cm~5cmの厚さの黒色チャート層(珪質の泥岩層かも?)の間に、灰色をした1mm~数mmの厚さの泥岩層をはさんでいます。黒色チャートはややブロック化しています。 チャートには、白色、灰色、黒色、赤褐色、うすい緑色などがありますが、 この色の変化は、チャートが堆積した海洋環境の変化を表していると考えられています。特に、暗灰色や黒色のチャートは還元状態で堆積し、硫化鉄(主に黄鉄鉱)や炭素化合物などの酸素の乏しい場所でできた物質を含んでいるようです。そのため、黒っぽいチャートが堆積したときは海洋中に酸素が少なかったと考えられています。 地質図において、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。×地点が、黒色の層状チャートが見られる露頭です。写真が四種類ありますが、上の写真は黒色の層状チャートの露頭を南東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。中下の写真は、中上の写真のハンマーの左側を近づいて撮ったものです。下の写真は、同じ露頭を北東から撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より)