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長良川本流沿い露頭編 その190 高鷲町郡上谷橋上流270mほどの溶結凝灰岩(白鳥流紋岩) :郡上市高鷲町郡上谷橋上流270mほどの右岸露頭(高鷲町鮎立と正ヶ洞の境界付近、長良川に架かる堰堤の西)

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  郡上市高鷲町鮎立の郡上谷橋の近くに車を止め、右岸沿いを上流に向かって270mほど進むと、溶結凝灰岩の露頭があります。高鷲町鮎立と正ヶ洞の境界辺りで、東には堰堤があります。ここの露頭は表面にコケ類が多く見られるため、割ってみないとどんな岩石かわからない状況です。暗青灰色の溶結凝灰岩で、1mm~5mmの石英とカリ長石、1mm前後の斜長石が含まれています。本質レンズはわからなかったです。水平に近い平行な割れ目が何本か入っています。割れ目は北西-南東を軸として、南西に10°ほど傾いています。 地質図において、この溶結凝灰岩の露頭(×地点)は、黄土色で横線あり( SR )の中にあって、黄土色で横線ありは白鳥流紋岩火山岩類です。周囲にある黄色( AT )、茶色で斜線ありは、それぞれ阿多岐層と呼ばれる湖沼性の堆積物、大日ヶ岳火山の噴出物です。写真が四種類ありますが、上の写真は溶結凝灰岩の露頭を南からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を南西から(少し右側から)撮ったものです。右少し上から左少し下にかけて、平行に割れ目があるのがわかります。中下の写真は、上の写真の露頭にのぼり西からパノラマで撮ったものです。下の写真は溶結凝灰岩の割った面を接写したもので、写真の縦は2cmです。スケールとして置いてある折れ尺、ハンマーの長さは、それぞれ1m、約28cmです。中上の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

長良川本流沿い露頭編 その189 高鷲町郡上谷橋上流の溶結凝灰岩(白鳥流紋岩)中の貫入岩(安山岩) :郡上市高鷲町鮎立郡上谷橋上流200m強の左岸露頭

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  前回の「長良川本流沿い露頭編その188」で紹介した露頭から、上流へ向かって100m弱進むと溶結凝灰岩と安山岩が接している露頭が見られます。長良川の曲流部の外側(攻撃斜面側)の少し下流です。 溶結凝灰岩(白鳥流紋岩)の中に、安山岩が貫入している露頭です。境界はやや不明瞭ですが、ここの貫入岩は、細粒の鉱物粒子やガラス質からなる石基(地の部分)の中に、肉眼的に目立つ大きさの鉱物の結晶(斑晶)が点在するという斑状組織をしています。また、入っている鉱物から判断すると安山岩だと思われます。1mm~数mmの斜長石と1mm前後の有色鉱物が斑晶として入っています。この安山岩の貫入岩は、横方向に柱状節理が発達しています。柱状節理の幅は25cm~40cmほどです。一方、溶結凝灰岩は淡紫灰色をしていて、1mm~5mmのカリ長石、1mm~数mmの石英、1mm前後の斜長石が含まれています。また、暗緑灰色の本質レンズもわかりにくいですが入っています。溶結凝灰岩と安山岩の境界面は、北西-南東を軸として南西に80°ほど傾いています。 地質図において、この露頭(×地点)は、黄土色で横線あり( SR )の中にあって、黄土色で横線ありは白鳥流紋岩火山岩類です。貫入岩である安山岩は表現されていません。写真が五種類ありますが、上の写真は溶結凝灰岩と安山岩の露頭を南からパノラマで撮ったものです。ハンマーのグリップ部の下方は安山岩で、ハンマーの位置を含んで上方は溶結凝灰岩です。中上の写真は北西(川側)からパノラマで撮ったもので、ハンマーの周辺が安山岩の柱状節理がよくわかるところです。柱状節理は横向きになっています。真中の写真は、中上の写真の中央部を撮ったものです。中下の写真は、真中の写真の右側から(南西から)撮ったものです。下の写真は岩石を割った面を接写したもので、左は溶結凝灰岩で、右は安山岩です。写真の縦は両方とも2 . 3cmです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。真中と中下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

長良川本流沿い露頭編 その188 高鷲町郡上谷橋上流の溶結凝灰岩(白鳥流紋岩)中の貫入岩 :郡上市高鷲町鮎立郡上谷橋上流130mほど左岸露頭

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  郡上谷橋を北西から南東へ渡り、左岸沿いに細い道がありますので上流に向かって歩きます。130mほど進むと、溶結凝灰岩の露頭もありますが、それに接して溶結凝灰岩とは見かけが異なり、暗緑灰色をして、三角形や四角形の割れ目(節理)が見られる露頭が広がっています。 この露頭は、溶結凝灰岩とそれに接して分布する貫入岩(安山岩)です。溶結凝灰岩は淡緑灰色をしていて、1mm~数mmの石英が点在しているのは確認できますが、表面は汚れていて本質レンズはわかりません。貫入岩は暗緑灰色をしていて、1mm以下の斜長石が点在しているのが確認でき、安山岩だと思います。表面には、一辺が30cm~1mの三角形や四角形の割れ目が見られます。節理の断面を見ているのだと思います。溶結凝灰岩と貫入岩(安山岩)の境界面はわかりにくい部分もありますが、北北西-南南東を軸として、西南西に70°ほど傾いています。 地質図において、この露頭(×地点)は、黄土色で横線あり( SR )の中にあって、黄土色で横線ありは白鳥流紋岩火山岩類です。貫入岩(安山岩)は表現されていません。周囲にある黄色( AT )、茶色で斜線ありは、それぞれ阿多岐層と呼ばれる湖沼性の堆積物、大日ヶ岳火山の噴出物です。貫入岩は大日ヶ岳火山の噴出物に関連したものだと考えられます。写真が五種類ありますが、上の写真は貫入岩と溶結凝灰岩の露頭を北からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央付近を撮ったものです。ハンマーのある位置は貫入岩ですが、数10cm右に境界部があります。真中の写真は貫入岩(安山岩)を西からパノラマで撮ったもので、中下の写真は真中の写真の中央部を撮ったものです。割れ目が縦や横に入っているのがわかると思います。下の写真は貫入岩(安山岩)の割った面を接写したものですが、写真の縦は2 . 5cmです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と中下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

長良川本流沿い露頭編 その187 高鷲町郡上谷橋上流の溶結凝灰岩、本質レンズ(白鳥流紋岩) :郡上市高鷲町鮎立の郡上谷橋上流50m右岸露頭

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前回「長良川本流沿い露頭編その186」で紹介した露頭の近くに架かっている郡上谷橋の上流には、両岸にいくつか露頭が見られます。今回を合わせて4回で紹介します。郡上谷橋の右岸側(北西側)から上流に向かって小道があります。途中で川へ下りる階段がありますので下りて、橋から50mほど上流のところに露頭があります。周辺は人工的に大きな石が積み上げられています。その間に溶結凝灰岩の露頭があります。対岸(左岸)にも溶結凝灰岩の露頭が見られます。ここ(右岸側)の溶結凝灰岩は淡青緑灰色で、1mm~数mmの石英とカリ長石、1mm前後の斜長石が含まれています。風化面で本質レンズがいくつも見える場所があります。 本質レンズは、溶結凝灰岩の中に入っているレンズ状のものを指しますが、火砕流堆積物の中に含まれている軽石などがもとになっています。火砕流によって運ばれた軽石は、火砕流堆積物の熱と重さで堆積面に垂直に圧縮され(この現象を溶結と呼ぶ)、火山ガスが入っていた穴の部分がつぶれてペチャンコになってしまいます。この露頭では、堆積面に垂直方向から見たものがいくつかあります。溶結凝灰岩は、大規模な火砕流がもとになってできた岩石であるため、岩石に含まれている鉱物は激しい火山噴出によって破砕され、破片状になっています。しかし、本質レンズ中の鉱物は軽石によって守られるため、破片状になっていなく、やや大きいです。  地質図において、この溶結凝灰岩の露頭(×地点)は、黄土色で横線あり( SR )の中にあって、黄土色で横線ありは白鳥流紋岩火山岩類です。周囲にある黄色( AT )、茶色で斜線ありは、それぞれ阿多岐層と呼ばれる湖沼性の堆積物、大日ヶ岳火山の噴出物です。写真が五種類ありますが、上の写真は溶結凝灰岩の露頭を南東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマーの下方を南から撮ったもので、つぶれた状態の本質レンズがわかります。つぶれた軽石を上から(堆積面の垂直に近い方向から)見たものです。ここで見られる本質レンズは、小さいものは数cm径で、一番大きいものは11cm×9cmです。中下の写真は、その一番大きな本質レンズを近づいて南から撮ったものです。定規の右5cm~15cmにある周囲と色が違う丸っこい部分が本質レンズで

長良川本流沿い露頭編 その186 高鷲町郡上谷橋下流の溶結凝灰岩(白鳥流紋岩)中の貫入岩 :郡上市高鷲町鮎立の郡上谷橋下流右岸河床露頭(郡上谷橋の30mほど南西右岸)

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  郡上市高鷲町鮎走の大向橋を南から北へ渡ってすぐを斜め左へ進むと、突き当りに切立への表示板があります。そこを右折し、400mほど進むと、右に曲がったところに橋(郡上谷橋)があります。近くに車を止め、川へ下りると、橋の下流右岸に溶結凝灰岩が露出しています。郡上谷橋の下流側(南西)30mほどのところには、溶結凝灰岩と安山岩質と思われる貫入岩の露頭が見られます。この溶結凝灰岩は淡青緑灰色で、1mm~数mmの石英とカリ長石、1mm前後の斜長石が入っているのがわかります。また、貫入岩は暗青灰色で、鉱物の結晶は小さくてわかりにくく、1mm以下の斜長石がわかる程度です。安山岩質だと思われますが、顕微鏡で確認していませんので、貫入岩としておきます。貫入岩の見かけ上の幅は1 . 5m~1 . 7mです。溶結凝灰岩と貫入岩の境界面は、北西-南東を軸として、北東に70°ほど傾いています。 地質図において、この溶結凝灰岩と貫入岩の露頭(×地点)は、黄土色で横線あり( SR )の中にあって、黄土色で横線ありは白鳥流紋岩火山岩類です。周囲にある黄色( AT )、茶色で斜線ありは、それぞれ阿多岐層と呼ばれる湖沼性の堆積物、大日ヶ岳火山の噴出物です。写真が五種類ありますが、上の写真は溶結凝灰岩と貫入岩の露頭を南東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。ハンマーが置いてある場所から左は溶結凝灰岩、ハンマーの右は貫入岩です。真中の写真は、溶結凝灰岩(左)と貫入岩(右)の境界付近を縦長に撮ったものです。貫入岩が溶結凝灰岩に入り込んでいるのですが、貫入岩に接している近くの溶結凝灰岩には、貫入岩との境界面に平行の割れ目が何本も入っています。中下の写真は、同じ露頭を北東から(中上の写真の右側から)撮ったものです。下の写真は、溶結凝灰岩と貫入岩の割った面を接写したもので、写真の縦は2 . 3cmです。左が溶結凝灰岩で、右が貫入岩です。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と中下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com

長良川本流沿い露頭編 その185 高鷲町鮎走大向橋上流の溶結凝灰岩(白鳥流紋岩) :郡上市高鷲町鮎立鮎走の大向橋上流左岸露頭(大向橋の東(上流側)へ150mほど)

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  「長良川本流沿い露頭編その183」で紹介した露頭の近くにある観音橋から国道156号を北東へ300mほど進むと、大向橋があります。大向橋から上流を眺めると、左岸側に露頭があるのがわかります。橋の手前(左岸側)で車を止め、橋の下流側の脇から川へ下り、橋をくぐり、上流(東)へ向かって150mほど進むと、紹介する露頭があります。大向橋から上流に向かって100mほどの位置、および150m~200mにかけても溶結凝灰岩の露頭があります。この露頭の溶結凝灰岩は淡緑灰色をしていて、本質レンズが場所によっては多く含まれています。割った面を見ると、1mm~数mmの石英とカリ長石、1mm前後の斜長石が入っているのがわかります。 本質レンズは、軽石が噴出後の堆積物自身の熱と重さによって堆積面に垂直に圧縮されてペチャンコになったものです。そのため、堆積面を側方から見るとレンズ状に見えますが、堆積面に垂直な方向から見るとレンズ状ではなく不定形をしています。この露頭では、緑灰色をした数cm~10数cm径の不定形をした本質レンズも見られます。 地質図において、この溶結凝灰岩の露頭(×地点)は、黄土色で横線あり( SR )の中にあって、黄土色で横線ありは白鳥流紋岩火山岩類です。周囲にある黄色( AT )、茶色で斜線ありは、それぞれ阿多岐層と呼ばれる湖沼性の堆積物、大日ヶ岳火山の噴出物です。写真が五種類ありますが、上の写真は溶結凝灰岩の露頭を北東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央少し右を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマーのグリップ部の下を斜め上から近づいて撮ったものです。斜め上から(堆積面にほぼ垂直方向から)見ているため、本質レンズが不定形を示しています。本質レンズ中に見える白い鉱物(長石)は、噴出時激しい爆発によって破壊されることなく軽石の中で守られているため、鉱物が大きく鉱物本来の形(結晶の形)をしています。中下の写真は、本質レンズが横から(堆積面を側方から)見られる露頭を北から撮ったものです。本質レンズは、ハンマーの頭部右、ハンマー頭部の右少し上などに写っています。下の写真は、中上の写真の露頭から北

長良川本流沿い露頭編 その184 高鷲町鮎走観音橋上流左岸の溶結凝灰岩(白鳥流紋岩) :郡上市高鷲町鮎立鮎走の観音橋上流左岸露頭(観音橋100mほど上流)

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  前回「長良川本流沿い露頭編その183」で紹介した露頭の北東約50m(対岸)に見られる溶結凝灰岩の露頭を紹介します。観音橋を東へ渡り、脇を下り、左岸沿いを上流へ向かって歩き、露頭へ向かいます。ここの溶結凝灰岩は、淡緑灰色をしていて、緑灰色の本質レンズも見られます。本質レンズは、幅5mm~1cmで、長さ数cmのものが多いです。確認できた最大のものは、幅1cmで長さ6cmです。本質レンズのつぶれた方向から溶結凝灰岩の堆積面を測ると、北東-南西~東北東-西南西を軸として、南東~南南東に20°~25°傾いています。 溶結凝灰岩は、火山灰や軽石などの火山からの噴出物が堆積した後、自らの重さと熱によって、含まれているガラス分が軟化し圧縮されることによって、硬くなった岩石です。自らの重さと熱によって、含まれているガラス分が軟化し圧縮され硬くなる現象を溶結と呼びます。火砕流堆積物でも、自らの重さや熱によっては溶結していない岩石もあります。溶結は岩石をうすく削って、顕微鏡で観察することによって確認できるのですが、肉眼でも確認できる場合があります。それが、本質レンズの有無です。本質レンズは、中に入っている軽石(本質物)が溶結によって、やわらかくなりつぶされてレンズ状になっているものです。溶結していない場合は、軽石はつぶされることなくそのまま岩石の中に入っています。そのため、 本質レンズの有無が溶結凝灰岩であることの一つの証拠となるのです。 地質図において、この溶結凝灰岩の露頭(×地点)は、黄土色で横線あり( SR )の中にあって、黄土色で横線ありは白鳥流紋岩火山岩類です。周囲にある黄色( AT )、茶色で斜線ありは、それぞれ阿多岐層と呼ばれる湖沼性の堆積物、大日ヶ岳火山の噴出物です。写真が五種類ありますが、上の写真は溶結凝灰岩の露頭を南からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマーの下の白っぽくなっている部分を近づいて撮ったものです。緑灰色で長細く写っているものは本質レンズです。中下の写真は、真中の写真の中央少し左をより近づいて撮ったものです。写真の縦は10cmです。下の写真は、中上の写真の露頭から南へ10m弱のところにある露頭を北からパノラマで撮ったものです。中央右上に写っている露頭(

長良川本流沿い露頭編 その183 高鷲町鮎走の観音橋上流右岸の溶結凝灰岩(白鳥流紋岩) :郡上市高鷲町鮎立鮎走の観音橋上流右岸露頭(観音橋60mほど上流)

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  一昨年の10月6日「長良川沿いの白鳥流紋岩その2」で紹介した高鷲町鮎立鮎走の右岸露頭で見られる溶結凝灰岩を再度紹介します。 国道156号を北上し、郡上市白鳥町を越え、高鷲町に入り 1.5 kmほど進むと、長良川に架かる観音橋があり、南(右手)には生コン工場があります。橋の手前を左折すると、南へ60mほどのところに長良川へ下りる階段があります。近くに車を止め、その階段を下りると、溶結凝灰岩(白鳥流紋岩)が露出しています。ここの溶結凝灰岩は、割ってみると淡黄灰色をしていて、1mm~5mmの石英とカリ長石、1mm~数mmの斜長石が入っているのがわかります。表面が汚れているため、本質レンズはわかりませんでした。 溶結凝灰岩は、大規模な火砕流によってもたらされたものです。爆発的な噴火によって空中に飛び散った噴出物が山腹を高速で流れ下り堆積したのです。そのため、マグマの中に入っていた鉱物は爆発的な噴火によって砕かれ、鉱物独自の形ではなく、破片状になることが多いのです。その証拠が岩石中に残っています。 地質図において、この溶結凝灰岩の露頭(×地点)は、黄土色で横線あり( SR )の中にあって、黄土色で横線ありは白鳥流紋岩火山岩類です。周囲にある黄色( AT )、茶色で斜線ありは、それぞれ阿多岐層と呼ばれる湖沼性の堆積物、大日ヶ岳火山の噴出物です。写真が五種類ありますが、上の写真は溶結凝灰岩の露頭を南からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。上の写真で中央右上(対岸)に露頭がありますが、この露頭は次回(長良川本流沿い露頭編その184)で紹介します。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマー付近を近づいて撮ったものです。中下の写真は溶結凝灰岩の割った面を接写したもので、写真の縦は3cmです。1mm~3mmほどの淡灰色(ガラスっぽく見えるもの)、白色の粒は、それぞれ石英、長石という鉱物です。石英の中で、三角形のものがありますが、本来の鉱物の形ではなく、爆発的な噴火の際に砕けて破片状になったものだと考えられます。下の写真は、同じ露頭を東から(上の写真の右側から)パノラマで撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上、真中の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部にある白丸を、左の写

長良川本流沿い露頭編 その182 高鷲町神道の溶結凝灰岩、柱状節理(白鳥流紋岩) :郡上市高鷲町鮎立神道左岸露頭(高鷲浄化センターから下流へ150mほど)

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  郡上市白鳥町前谷まで北へ向かっていた国道156号は、北から東へ向かいます。国道156号の橋を2本渡って少し進むと、白鳥町と高鷲町の境界の表示板があります。さらに150mほど進むと、右側に橋(油島橋)が架かっているので、右折し橋を渡ります。正面にある建物は高鷲浄化センターです。浄化センターの前を右折し、南西に進むと70mほどのところに空き地がありますので車を止めます。長良川左岸沿いを南西(下流側)へ進むと露頭があります。この露頭は溶結凝灰岩からなり、山際には柱状節理も見られます。ここの溶結凝灰岩は、淡緑灰色をしていて、1mm~5mm径の石英とカリ長石が点在しています。油島橋の上流の右岸にも露頭が広がっていますが、同じく溶結凝灰岩です。 柱状節理は、昨年の2月24日「県外編その10」で紹介した玄武洞公園内の玄武洞が有名です。溶結凝灰岩の柱状節理は、昨年の6月24日「県内美濃地方編その59」で紹介した 郡上市和良町鹿倉の濃飛流紋岩が知られています。柱状節理は、火山噴出物が冷却する際に体積が小さくなる(縮む)ため隙間ができ、それが柱状に割れ目となったものです。その割れ目によって、岩石は柱が束ねられたような状態で露出します。ここで見られる柱状節理ははっきりと柱状になっているものは少ないですが、真中や中下、下の写真のように柱状の溶結凝灰岩が見られる場所もあります。 地質図において、この溶結凝灰岩の露頭(×地点)は、黄土色で横線あり( SR )の中にあって、黄土色で横線ありは白鳥流紋岩火山岩類です。周囲にある黄色( AT )、茶色で斜線ありは、それぞれ阿多岐層と呼ばれる湖沼性の堆積物、大日ヶ岳火山の噴出物です。写真が五種類ありますが、上の写真は溶結凝灰岩の露頭を北西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央の左を撮ったものです。 真中や中下、下の写真は柱状節理を撮ったものですが、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマーのうしろ付近です。真中の写真は 柱状節理を北西からパノラマで撮ったもので、中下の写真は真中の写真の中央少し左を縦長で撮ったものです。下の写真は、真中の写真(または中下の写真)のハンマー付近を近づいて撮ったものです。スケールとして置

長良川本流沿い露頭編 その181 白鳥町前谷の溶結凝灰岩、本質レンズ(白鳥流紋岩) :郡上市白鳥町前谷の前谷川との合流部右岸露頭(前谷川に架かる前谷橋の15mほど東)

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  郡上市白鳥町歩岐島を北進すると、長良川を渡る歩岐島大橋がありますが、その手前を左斜めに進むと石徹白地区や阿弥陀ヶ滝方向へ行きます。左斜めの道へ入り、古い橋(前谷橋)を渡って少し進むと、石徹白(県道314号)の表示板があるので左折します。近くに車を止め、空き地の川沿い(長良川の支流の前谷川)から川へ下り、前谷川の左岸を通り東へ向かい、前谷橋の下を通り抜けると露頭へ行けます。この露頭は溶結凝灰岩からなり、本質レンズが場所によっては多く含まれているのがわかります。ここの溶結凝灰岩は、淡緑灰色~淡紫灰色をしていて、1mm~数mmの石英とカリ長石が点在しています。 本質レンズは、前回でも述べたように、溶結凝灰岩の中でレンズ状になったものを指しますが、火砕流の中に含まれている軽石などがもとになっています。火砕流の規模が大きいと、自身の熱と自身の重さで堆積面に垂直に圧縮されてしまいます(このことを溶結と呼びます)。特に軽石は、火山ガスが入っていた穴の部分がつぶれてペチャンコになってしまいます。横(堆積面に対して側方)から見るとレンズ状に見えるため、本質レンズと呼びます。この露頭では、横から見た本質レンズだけではなく、上(堆積面に垂直方向)から見たものもあります。 地質図において、この溶結凝灰岩の露頭(×地点)は、黄土色で横線あり( SR )の中にあって、黄土色で横線ありは白鳥流紋岩火山岩類です。写真が五種類ありますが、上の写真は溶結凝灰岩の露頭を北からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。上と中上の写真に写っている露頭には、横方向に何本か平行に割れ目(節理)が見られます。その割れ目の面は北北西-南南東~北西-南東を軸として、西南西~南西に5°~10°傾いていますが、水平に近いです。その割れ目の面と平行に本質レンズが伸びています。そのため、割れ目の面は堆積方向と同じであると思われます。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマーの右約1mで少し下のところを北西から近づいて撮ったものです。本質レンズが見えます。つぶれた軽石を横から見たもので、写真の縦は3cmです。中下の写真は、上の写真(または中上の写真)の露頭から東下へ7mほどのところを西上から撮ったものです。本質レンズを上から見たもので、緑灰色~暗緑灰色をしていて、長径