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長良川鉄道沿いの地形・地質編 その23 赤池駅~深戸駅間の長良川対岸のメランジュ(混在岩) :赤池駅~深戸駅間、赤池駅から出発して約2分20秒後、長良川対岸の高圧線の下辺り、 左車窓より

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 3年前の9月13日「 長良川沿いのメランジュその6 」、 昨年の2月17日「長良川本流沿い露頭編その93」で紹介した美並町門福手(深戸の対岸)の混在岩の露頭を、長良川鉄道の車窓からも少し遠いですが見ることができます。赤池駅から深戸駅の間にトンネルがありますが、そのトンネルを出ると、長良川左岸沿いを通ります。赤池駅出発後約2分20秒たったところで、長良川鉄道は長良川に近づきます。左車窓から見ると、長良川の上に高圧線が通っているのがわかりますが、長良川右岸(対岸)の高圧線の下辺りとその下流側に黒っぽい河床露頭が見えます。この河床露頭は混在岩で、 黒っぽい泥岩の中に、おもに数cm~20cm径の砂岩とチャートの礫(岩塊)が含まれています。礫で大きなものは30cm~40cmの径をした砂岩やチャートもあります。 地質図によると、この露頭(×地点)は灰色( Mmx )の中にあり、灰色はメランジュからなる地層です。メランジュは、海洋で噴火したり堆積したりしたものが海洋プレートに載って移動し、大陸の縁(現在の日本列島)にくっついた堆積物(付加体堆積物)に特徴的な地質体です。基質となる泥岩に大小さまざまな岩塊が入っている状態で露出しているため、岩石としては混在岩と呼ばれます。 写真が五種類ありますが、上の写真は長良川鉄道の下りにおいて、赤池駅出発後約2分20秒後に左車窓から長良川対岸を撮ったものです。列車が長良川に近づいたとき、対岸の高圧線の下辺りとその下流側に黒っぽい岩石(混在岩)が露出しているのが見えます。中上の写真は、上の写真の赤丸で囲った露頭に近づいて南東からパノラマで撮ったもので、真中の写真は中上の写真の中央部を撮ったものです。この露頭は、昨年の2月17日「長良川本流沿い露頭編その93」で紹介した露頭の上流側数10mにある露頭です。中下の写真は、中上の写真(または真中の写真)に写っているハンマー付近を近づいて撮ったものです。ハンマーの右にある灰色の礫は砂岩で、15cm×7cmです。下の写真は、同じ露頭の他の場所を近づいて撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーと定規の長さは、それぞれ約28cm、約17cmです。真中と中下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見え

長良川鉄道沿いの地形・地質編 その22 赤池駅北東の鉄橋下(上流側)のメランジュ(混在岩、層状チャート岩塊など) :赤池駅~深戸駅間、赤池駅を出発して約40秒後の鉄橋(第4長良川鉄橋)下少し上流、左車窓より下方を望む

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  長良川鉄道下りにおいて、赤池駅を出発して40秒ほどで鉄橋(第4長良川橋梁)を渡ります。この鉄橋周辺も前回、前々回同様にメランジュが分布しています。3年前の10月22日「長良川鉄道の車窓からみた岩石その8」で、右車窓から見た岩石を紹介しましたが、今回は左車窓から見た岩石を紹介します。左車窓から見える河床露頭は、長良川の水量が多いときは水面下になっています。近づいてみると、岩石としてはチャート(層状チャート)、混在岩、珪質粘土岩が見られます。チャートと珪質粘土岩は大きな岩塊です。 チャートは、大陸から離れた深海底で珪質の殻をもった微生物(放散虫など)の遺骸が主に堆積してできた岩石です。ここのチャートは淡緑灰色~淡青灰色で、層が明確な部分もあります。層が明確な部分では、1cm~6cm厚のチャート層に、淡灰色の数mm厚の泥岩層がはさまっています。珪質粘土岩は粘土鉱物からなる岩石で、 チャート層に伴って存在し、中に黒色の珪質泥岩をはさむことを特徴としています。混在岩は基質である黒色泥岩の中に、径が数cm~20cmほどの砂岩などの礫が入っています。 地質図において、この露頭(×地点)は灰色( Mmx )の中にあり、灰色はメランジュからなる地層です。写真が五種類ありますが、上の写真は第4長良川橋梁の上から左車窓下方に見える露頭を撮ったものです。中上の写真は、上の写真の赤丸で囲った部分に近づいて、北西からパノラマで撮ったものです。列車の車窓からではわかりませんが、層状チャート、混在岩、珪質粘土岩が見られます。真中の写真は中上の写真の中央少し右を撮ったもので、層状チャートです。中下の写真は、中上の写真に写っている左側の露頭(珪質粘土岩)を中央にして南西からパノラマで撮ったものです。下の写真は、長良川鉄道の列車を露頭から撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。真中の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部の●を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

長良川鉄道沿いの地形・地質編 その21 赤池駅手前の鉄橋下(上流側)のメランジュ(混在岩、層状チャートの巨大岩塊) :美並苅安駅~赤池駅間、赤池駅に到着する20秒ほど手前の鉄橋(第3長良川橋梁)を渡っている間、右車窓より

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  長良川鉄道下りにおいて、赤池駅に到着する手前の鉄橋(第3長良川橋梁)から右車窓(上流側)を見ると、両岸に岩石が連続して露出しているのがわかります。何回もその露頭を紹介してきました。3年前の8月20日 「長良川沿いのチャート層その5」、 9月10日 「長良川沿いのメランジュその5」、 9月22日 「長良川沿いの珪質粘土岩その5」、10月21日「長良川鉄道の車窓から見た岩石その7」、昨年の2月7日、9日「長良川本流沿いの露頭編その87、88」です。ここで見られるのは、基本的にはメランジュからなる地層です。メランジュは、 海洋プレートの上に堆積したものが陸側のプレートの下にもぐりこむ際、はぎ取られ混ざり合いながら陸側のプレートに付加する際の特徴的な地質体です。 陸側のプレートに付加する過程で、高い間隙水圧をもった泥が地層の間に注入しながら形成されると考えられているようです。実際には、基質である泥岩の中に、海洋で噴出したり堆積したりした岩石からなるさまざまな大きさの礫あるいは岩塊を含んでいます。そのため、ここでは大きな甌穴が見られる層状チャートも分布しますが、メランジュ中の巨大な岩塊と考えられます。地質図では、赤色の×の南(長良川対岸)にオレンジ色( Mch )で描き表されているチャートがありますが、その一部かもしれません。 写真が五種類ありますが、上と中上の写真は長良川鉄道下り列車の右車窓から撮ったものです。上の写真の上部の赤枠が中上の写真の位置です。地質図において×が2ヶ所にありますが、黒色×地点は上の写真の下部の露頭、赤色×地点は中上の写真の露頭を示していて、いずれも灰色( Mmx )の中にあります。灰色はメランジュからなる地層です。上の写真に写っている手前(下部)の露頭は混在岩からなっていて、中上の写真の露頭(上の写真の上部の露頭)はチャートからなっています。真中の写真は赤色×地点で見られるチャート中の甌穴を北東からパノラマで撮ったもので、中下の写真は真中の写真の中央左を撮ったものです。下の写真は、黒色×地点で見られる混在岩を東から撮ったものです。真中と中下、下の写真は「長良川本流沿いの露頭編その87、88」でも使用した写真です。スケールとして置いてある黄色の折れ尺(甌穴の写真)、ハンマー(混在岩の写真)の長さはそれぞれ1m、約28cmです。中下と下の写真は

長良川鉄道沿いの地形・地質編 その20 赤池駅手前の鉄橋下(下流側)のメランジュ(混在岩) :美並苅安駅~赤池駅間、赤池駅に到着する20秒ほど手前の鉄橋(第3長良川橋梁)を渡っている間、左車窓より下方を望む

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  長良川鉄道下りにおいて、赤池駅に到着する手前20秒ほどのところで鉄橋(第3長良川橋梁)を渡ります。鉄橋の上では、両車窓から長良川沿いに岩石が露出しているのが見えます。第3長良川橋梁周辺はメランジュからなる地層が分布していて、左車窓(下流側)からは混在岩が、右車窓からは混在岩と層状チャートが見られます。ここでは、左車窓から見える混在岩を紹介します。車窓からは、黒っぽく、凹凸がある岩石が広がっているのがわかります。凸の部分は、チャートや砂岩の岩塊です。ここの混在岩は、黒色泥岩の基質の部分に大小の砂岩やチャートの岩塊が多く含まれています。チャートは淡青灰色~暗灰色で、数mオーダーの大きさで分布しています。層状チャートの部分もあって、数cm~6cm厚のチャート層に灰色をした数mm厚の泥岩層がはさまっています。砂岩は灰色で、数cm~20cm径のものが点在していますが、1mを超えるものも多く入っています。 混在岩は美濃帯堆積岩類などの付加体堆積物に特徴的な岩石で、黒色の泥岩の中に礫(岩塊)が入った岩石です。露頭で見て、 数mm~数cm径の礫(岩塊)であれば混在岩であることがわかりますが、礫(岩塊)が大きくて数10m以上あると、一ヶ所の露頭がすべてその岩塊で占められてしまいます。そのため、広い目で見ると泥岩の中に入った岩塊なのですが、露頭を見る限り混在岩の一部であることがわかりません。そのように、 黒色の泥岩の中に違う大小の岩塊が入っている地質体をメランジュとよびます。メランジュを構成する地質体の中で、露頭内で泥岩の中に岩塊が入っていると判断できる岩石が混在岩です。 地質図において、第3長良川橋梁から見える露頭(×地点)は灰色( Mmx )の中にあり、灰色はメランジュからなる地層です。写真が五種類ありますが、上の写真は美並苅安駅出発後約1分40秒後に左車窓の下方に見える露頭を撮ったものです。赤池駅に到着する約20秒手前で、第3長良川橋梁の上から撮りました。中上の写真は長良川右岸に下りてパノラマで北から(鉄橋の橋脚を望んで)撮ったもので、チャート岩塊と砂岩岩塊が入っているのがわかります。真中の写真は、中上の写真の中央部を撮ったものです。中下の写真は、真中の写真の露頭から北へ8mほどのところを東から撮ったもので、折れ尺の左に写っているのが砂岩の岩塊(190cm×155cm

長良川鉄道沿いの地形・地質編 その19 福野駅~美並苅安駅間の珪質粘土岩の露頭 :福野駅~美並苅安駅間、福野駅から出発して約1分5秒後から10秒間ほど、左車窓より

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  昨年の2月2日「長良川本流沿い露頭編その84」で紹介した珪質粘土岩の露頭を、長良川鉄道の車窓からも見ることができます。福野駅から美並苅安駅に向かって出発後、しばらくするとトンネルに入ります。トンネルを出て、すぐ左車窓の斜め前方を見ると、長良川右岸に上部が黒く、下部が白っぽい岩があります。整備された堤防斜面の下に露出しています。福野駅出発後1分5秒後くらいです。手前の木などで隠れることはありますが、10秒間弱見ることができます。この岩石は、珪質粘土岩だと思われます。この珪質粘土岩の露頭は、南北17mほど、東西10mほどで、長良川沿いに独立して露出しています。長良川鉄道の車窓からだけではなく、国道156号からも見ることができます。 珪質粘土岩は粘土鉱物からなる岩石で、 チャート層に伴って存在し、中に黒色の珪質泥岩をはさむことを特徴としています。ここの露頭において、足元より上の部分は黒色の珪質泥岩が主に露出しています。この黒色珪質泥岩は層状になっていて、灰色~淡青灰色の珪質粘土岩がレンズ状入っています。一方、足元の部分は珪質粘土岩が優勢で、黒色の珪質泥岩が帯状に入っています。 地質図において、この珪質粘土岩の露頭(×地点)はオレンジ色( Mch )の中にあり、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。北には灰色( Mmx )のメランジュからなる地層が広がっています。写真が五種類ありますが、上の写真は福野駅出発後約1分5秒後に左車窓やや前方に見える露頭(赤丸で囲った露頭)を撮ったものです。その数秒後に拡大して撮ったものが中上の写真です。真中の写真は珪質粘土岩の露頭に近づいて東からパノラマで撮ったもので、中下の写真は真中の写真の中央左側を撮ったものです。下の写真は同じ露頭の下部を南から撮ったもので、下方(右側)には、灰色の珪質粘土岩に黒色の珪質泥岩が帯状に入っている(白丸の上部)のがわかります。なお、真中と中下、下の写真は「長良川本流沿い露頭編その84」でも使用しています。スケールとして置いてあるハンマー、黄色の定規の長さはそれぞれ約28cm、約20cmです。真中と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物

長良川鉄道沿いの地形・地質編 その18 大矢駅~福野駅間の下田橋南のメランジュ(混在岩とチャート岩塊、貫入岩)(左岸) :大矢駅~福野駅間、大矢駅から出発して1分弱(トンネルに入る手前)、左車窓より

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3年前の9月9日 「長良川沿いのメランジュその4」、10月20日「長良川鉄道の車窓からみた岩石その6」、昨年の1月24日「長良川本流沿い露頭編その77」で紹介した下田橋下流左岸の混在岩と層状チャートの岩塊の露頭は、長良川鉄道の左車窓から見ることができますので再度紹介します。長良川鉄道において、大矢駅を出発してから1分弱に長良川左岸河床に露頭が見えます。トンネルに入る手前です。前回の「長良川鉄道沿いの地形・地質編その17」で紹介した対岸の露頭から目を移動させると見えます。 美濃帯堆積岩類は、海底で噴出したり堆積したりしたものが、海洋プレートに載って移動し、大陸側から運ばれた砂や泥などと合わさりながら、大陸の縁(現在の日本列島)に付加したもの(付加体堆積物とよびます)であることがわかっています。そのような付加体堆積物には、基質である黒色の泥岩中に、大小さまざまな礫(岩塊)を含んだ地質体が特徴的に含まれ、それをメランジュと呼びます。一つの露頭において、黒色の泥岩中に礫(岩塊)を含んでいる岩石が見られる場合は、その岩石を混在岩と呼びます。メランジュ内では、大きな礫(岩塊)が数10m以上の径をもつものもあるため、その場合は一ヶ所の露頭ではメランジュと判断できない場合もあります。 ここの露頭では、南西-北東に6mほど、南東-北西に11m以上の層状チャートが見られ、混在岩と層状チャートが接しているのも確認できます。全体的にはメランジュで、巨大な層状チャートの岩塊が入っていると判断できます。 地質図において、この露頭のある地点(×地点)の周辺は灰色( Mmx )が分布していて、メランジュからなる地層でできています。北側にはチャートからなる地層(オレンジ色( Mch ))が分布していて、長良川鉄道はそのチャートからなる地層をトンネルで通過しています。写真が四種類ありますが、上の写真は左車窓から(東から)長良川右岸を撮ったもので、赤丸で囲ってある露頭が、層状チャートと混在岩が接しているのを確認できる露頭です。その露頭に近づいて、南東からパノラマで撮ったものが中上の写真です。中央の白っぽい部分が層状チャートで、左側のやや黒っぽい部分が混在岩です。真中の写真は、中上の写真の中央部を撮ったものです。中下の写真は同じ露頭を南西からパノラマで撮ったもの(中上の写真を左側から撮ったもの

長良川鉄道沿いの地形・地質編 その17 大矢駅~福野駅間の下田橋南のメランジュ(混在岩とチャート岩塊)(長良川右岸) :大矢駅~福野駅間、大矢駅から出発して約45秒後の長良川対岸、左車窓より

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  昨年の1月23日 「長良川本流沿い露頭編その76」で紹介した混在岩とチャート岩塊の露頭は、対岸ですが車窓から見ることができますので紹介します。大矢駅から出発して約45秒後に左車窓から長良川対岸(右岸)を眺めると、黒っぽい岩が露出しています。メランジュからなる地層が分布していますので、全体的には混在岩ですが、巨大な岩塊としてチャートが含まれている場所があります。ここの混在岩は、基質となっている黒色泥岩の中に、おもに数cm~20cm径の灰色をした砂岩が入っています。大きなものは、50cm以上の径をした砂岩もあります。チャートは、南北5m、東西10m以上の巨大な岩塊です。1cm~6cmの厚さで淡青灰色~暗灰色をしたチャート層に、数mm~5mmの厚さで灰色をした泥岩層がはさまる層状チャートです。 地質図において、この混在岩や層状チャートの岩塊の露頭(×地点)は灰色( Mmx )の中にあり、灰色はメランジュからなる地層です。写真が四種類ありますが、上の写真は大矢駅出発後45秒ほどたったところで、左車窓から(東から)長良川対岸を撮ったものです。中上の写真は、層状チャートの岩塊を含んだ混在岩の露頭を西からパノラマで撮ったものです。上の写真の赤丸で囲った部分を近づいて撮りました。ほぼ中央に層状チャートの岩塊が写っています。中下の写真は、中上の写真の中央部付近を撮ったものです。下の写真は同じ露頭を北からパノラマで撮ったもので、混在岩と層状チャートが接しているのがわかります。ハンマーのグリップの下の黒っぽい岩石が混在岩で、ハンマーより上の白っぽい岩石が層状チャートです。なお、中上と中下、下の写真は、「 長良川本流沿い露頭編その76」でも使用しています。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

長良川鉄道沿いの地形・地質編 その16 みなみ子宝温泉駅~大矢駅間で見られる根村地区の還流丘陵 :みなみ子宝温泉駅~大矢駅間、みなみ子宝温泉駅から出発して1分10秒後あたり、左車窓より

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  郡上市美並町根村地区には、以前「長良川鉄道沿いの地形・地質編その6」で紹介した還流丘陵(立花地区の還流丘陵)とよばれる小山があります。立花地区の還流丘陵を長良川鉄道の車窓から見ることができる時間は短いですが、ここの還流丘陵は車窓からしばらく見ることができます。みなみ子宝温泉駅から出発して1分10~30秒後くらいです。この還流丘陵は、3年前の10月19日「長良川鉄道の車窓からみた岩石その5」でも紹介しています。 還流丘陵は、 現在流れている河川の流路と、かつて流れていた河川の流路に囲まれてできた丘陵です。長良川本流の多くの部分は、美濃帯堆積岩類と呼ばれる岩石の中を浸食したり堆積したりしながら流れています。美濃帯堆積岩類は付加体堆積物であるため、チャートのような浸食に強い岩石と、泥岩や砂岩のような浸食にそれほど強くない岩石が隣り合って分布しているところがあります。川は曲がりくねって流れるのが本来の姿です。一概には言えませんが、チャートなどの浸食に強い部分があると、川は浸食しやすい部分(泥岩や砂岩など)をおもに削りながら曲がりくねって流れます。しかし、曲がり方が大きくなると、流路(川)はショートカットしてもとの流路につながってしまうことがあります。そうすると、蛇行部分が流路から切り離されることになります。その結果、曲がった流路の跡が低地となり、残った部分が丘陵となります。そして、その残った丘陵部分は浸食に強いチャートなどでできている場合が多いようです。 地質図では、根村地区の還流丘陵は赤丸で囲ってある部分です。オレンジ色( Mch )と灰色( Mmx )からなっていて、オレンジ色はおもにチャートからなる地層で、灰色はメランジュからなる地層です。 写真が四種類ありますが、上の写真はみなみ子宝温泉駅から出発して約1分10秒後に列車の左車窓から撮ったものです。中上と中下、下の写真は列車から撮影したものではありませんが、中上は還流丘陵の北にある新吉田橋から撮ったもの(地質図内の下向きの矢印)で、中下と下の写真は還流丘陵の南にある勝原橋から撮ったもの(地質図内の上向きの矢印)です。中上と中下、下の写真は、同じような写真が隣り合っていますが、それぞれの写真の下の白丸または黒丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。なお、中下と