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長良川本流沿い露頭編 その174 白鳥町中切の溶結凝灰岩の柱状節理?の断面露頭(白鳥流紋岩) :郡上市白鳥町二日町中切のつり橋上流100m弱の右岸河床露頭

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  白鳥町二日町中切のつり橋から上流へ向かって100m弱進むと、右岸河床に岩石が露出しています。近づいてみると、暗紫褐灰色~紫灰色の中に、径が数10cm~1mの楕円形をした淡灰色~淡紫灰色のものがいくつも入っているという状況が見られます。よく観察すると、楕円形をした淡灰色~淡紫灰色のものは、白っぽい線(割れ目)に囲まれた三角形~五角形の部屋(径が1m~2 . 5mほど)の中に一基ずつ入っています。露頭全体は溶結 凝灰岩であることは間違いないと思うのですが、見かけは今まで見た溶結凝灰岩にはないものでした。これからは解釈なのですが、 径が1m~2 . 5mほどの三角形~五角形の閉じた割れ目がありますので、柱状節理の断面を見たものだと思います。その三角形~五角形の部屋のほぼ真中に楕円形の白っぽいものが入っていて、楕円形のものとその外側の境界は割と明確です。楕円形を構成しているものと外側を構成しているものとの違いは肉眼では、色の違いしかわかりません。柱状節理の核となる部分、冷え固まり方 の違いを表しているのではないかと考えます。 地質図において、この溶結凝灰岩の露頭(×地点)は、黄土色で横線あり( SR )の中にあって、黄土色で横線ありは白鳥流紋岩火山岩類です。写真が五種類ありますが、上の写真は河床露頭を東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央左を撮ったものです。真中の写真は同じ露頭を北西からパノラマで撮ったもので、中下の写真は真中の写真の中央部を撮ったものです。全体が 暗紫褐灰色~淡紫灰色をしていますが、そこに白い線(割れ目に水が通り白っぽくなっていると考えます)が三角形~五角形をなし、その中(中央近く)に白っぽい楕円形に近いものが入っているのがわかります。 下の写真は露頭の一部を南東から撮ったもので、真中にある楕円形(ここではほぼ円形)のものが放射状に割れている状態(放射状節理)が見られます。スケールとして置いてあるハンマー、折れ尺の長さは、それぞれ約28cm、1mです。中上と中下、下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸または黒丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (min

長良川本流沿い露頭編 その173 白鳥町中切の溶結凝灰岩の板状節理(白鳥流紋岩) :郡上市白鳥町二日町中切左岸露頭(中切のつり橋下流150mほどの左岸露頭)

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郡上市白鳥町二日町には、長良川につり橋が二ヶ所で架かっています。その南側のつり橋が架かっている地区が二日町中切です。その中切のつり橋の下流(南)150mほどの左岸に、対岸からも横方向に筋が入っているのが見える岩石が露出しています。白鳥流紋岩の溶結凝灰岩です。横方向の筋は、板状節理だと思われます。 板状節理は、火山から噴出して冷え固まった岩石(火山岩)の上下面にほぼ平行に生じた割れ目です。そのため、岩石は板を重ねたように見えます。でき方にはいくつかの説がありますが、明確にはわかっていないようです。溶岩などの流れの方向にはたらく力によって、面がすべるように作用するために平行に割れ目が生じるという説。柱状節理と同様に、溶岩の体積収縮で形成されるという説。固まりかけの溶岩などが横方向に流れている場合、端に地形的な障がいがあったり、端がいち早く冷え固まったりして、それ以上流れることができないと、行き止まりとなり、後からの溶岩などに押され流れの方向に圧縮されることになります。その結果、上下方向に厚くなることで、平行に割れ目が生じるという説。最後の説は、例えばノートを机などに置き、横から力を加えると、ノートの真中が上方向に盛り上がり、ノートの一枚一枚が離れた状態になるというイメージです。ただし、これらの考え方も噴出して地面をゆっくり流れ下る溶岩に対しての説ですので、火砕流堆積物についてはわかっていないと思います。 ここの露頭における板状節理と思われるものは、平行な割れ目と割れ目の間の幅が数cm ~ 6cmです。また、節理の周囲はやや白っぽくなっています。節理を形成している面は、北西-南東~北北西-南南東に軸をもち、北東~東北東に10°前後傾いています。  地質図において、この溶結凝灰岩の露頭(×地点)は、 黄土色で横線あり( SR )の中にあって、黄土色で横線ありは白鳥流紋岩火山岩類です。写真が五種類ありますが、上の写真は板状節理の溶結凝灰岩を南西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。横方向に等間隔に近い状態で、平行に筋が入っているのがわかります。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)のハンマー付近を近づいて撮ったものです。中下の写真は、板状節理が面を形成している部分を南から撮ったものです。下の写真は溶結凝灰岩を割った面を接写し

長良川本流沿い露頭編 その172 白鳥町中切の南の溶結凝灰岩に見られる本質レンズ(白鳥流紋岩) :郡上市白鳥町二日町中切の南の左岸河床露頭(二日町の建設会社の南にある「仏岩」石碑対岸)

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  前回「 長良川本流沿い露頭編その171 」の岩壁から、下流へ(南へ)50mほどにある左岸河床の溶結凝灰岩の露頭を紹介します。今まで上流に向かって露頭を紹介してきましたが、前回紹介した岩壁が目印になりますので、この露頭を岩壁の後に紹介します。位置としては、二日町中切のつり橋から下流に440mほどの左岸河床で、右岸堤防にある 「仏岩」の石碑の対岸です。 溶結凝灰岩は、火山灰や軽石などの火山からの噴出物が堆積した後、自らの重さと熱によって、含まれているガラス分が柔らかくなり(軟化し)圧縮されることによって、硬くなった岩石です。ただし、中に入っている石英などの鉱物は溶けることはありません。そのため、見かけは火山灰が固まった凝灰岩というよりは、マグマが直接冷え固まった火山岩のように見えます。実際に、今から50年以上前は石英斑岩と考えられていました。岩石をうすく研磨して、偏光顕微鏡などの顕微鏡で観察すると、ガラス成分である火山灰がつぶれた状態が見えます。また、肉眼では、軽石がつぶれてレンズ状になったものが入っているのが確認できる場合があります。他の岩石(異質物)が混ざったのではなく、自らの中に入っている軽石(本質物)がつぶれてレンズ状になっているため、本質レンズと呼びます。本質レンズが確認できる場合、堆積面に平行につぶれるため、現在地殻変動のため傾いていたとしても、本質レンズの傾きを調べれば、堆積したときの面(水平面と考えられる)がわかります。この露頭での本質レンズは緑灰色~灰色をしていて、幅数mm~1cmで、長さ1cm~5cmです。本質レンズが並んでいる面は、北北西-南南東を軸として、東北東に10°~15°傾いています。 地質図において、この溶結凝灰岩の露頭(×地点)は、 黄土色で横線あり( SR )の中にあって、黄土色で横線ありは白鳥流紋岩火山岩類です。写真が五種類ありますが、上の写真はこの溶結凝灰岩の露頭を南からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマーの右を近づいて撮ったものです。ハンマーの右にいくつか写っている黒っぽくて細く短い線のようなものが本質レンズです。中下の写真は、真中の写真のハンマーの右をより近づいて撮ったものです。下の写真は溶結凝灰岩の割った面を接写したも

長良川本流沿い露頭編 その171 白鳥町中切の南で見られる溶結凝灰岩の岩壁(白鳥流紋岩) :郡上市白鳥町二日町中切の南の左岸露頭(二日町の建設会社の対岸)

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郡上市白鳥町二日町下田の大芝原橋から 上流に向かって右岸を進むと、対岸に横方向に割れ目が多く入った岩壁が見えます。二日町中切のつり橋で対岸に渡り、下流(南)に向かって400mほど河原を進むと、岩壁に近づくことができます。その岩壁も白鳥流紋岩の溶結凝灰岩だと思われます。横方向の割れ目は板状節理と呼ばれますが、この岩壁は、下部に平坦な部分がありますが、そこから上方に向かって約3 . 5mまでは板状節理がはっきりとしていません。約3 . 5m~約10mの部分に肉眼で板状節理が確認できます。火山岩に見られる板状節理の形成理由は、はっきりとはわかっていません。そのことについては次々回「長良川本流沿い露頭編その173」に記述します。 白鳥流紋岩は、火山が噴火し、噴出物が火砕流となって移動し、堆積したものです。岐阜県の約1/4を占める濃飛 流紋岩に似てはいるけれど、現在では濃飛流紋岩の活動後に活動したと考えられている奥美濃酸性岩類(岐阜県北西部の奥美濃地方~福井県東部にかけて分布)、庄川火山-深成複合岩体(岐阜県北西部の庄川上流域に分布)、大雨見山層群(飛騨市古川町東部~高山市上宝町東部にかけて分布)と同様の時期に活動したと考えられています。しかし、他の火山噴出物のように詳細には調べられてはいないようです。  地質図において、この溶結凝灰岩の露頭(×地点)は、 黄土色で横線あり( SR )の中にあって、黄土色で横線ありは白鳥流紋岩です。前述したように詳細には調べられていないため、黄土色一色で表現されています。写真が五種類ありますが、上の写真は板状節理が見られる岩壁を少し離れて西から撮ったものです。スケールは置いてありません。中上の写真は、岩壁から北へ15mほどの河床露頭を南からパノラマで撮ったものです。真中の写真は、中上の写真の中央部を撮ったものです。中下の写真は、真中の写真の露頭の近くから(北から)パノラマで岩壁を撮ったものです。黄色の線が入っていますが、1mのスケールを強調して見やすくしました。下の写真は、岩壁を北西から撮ったものです。中央左下に1mのスケール(白色)が写っていますが、スケールの下部から約3 . 5m上方までは板状の節理がはっきりしていません。その上からは、板状節理が明確に見えます。スケールとして置いてあるハンマー、折れ尺の長さは、それぞれ約28cm、

長良川本流沿い露頭編 その170 白鳥町下田対岸の溶結凝灰岩 :郡上市白鳥町二日町下田の対岸(左岸)河床露頭(大芝原橋下流50mほどの左岸河床)

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  今まで長良川上流に向かって、関市→美濃市→郡上市美並町→八幡町→大和町→白鳥町の長良川沿いの露頭を紹介してきました。紹介した露頭は、美濃帯堆積岩類と呼ばれる付加体堆積物によってできている岩石と、それをあとから貫いて分布している花崗斑岩などの貫入岩からできている露頭です。しかし、白鳥町二日町から上流の長良川沿いには、美濃帯堆積岩類を覆って白鳥流紋岩が広く分布していますので、おもに白鳥流紋岩を構成する溶結凝灰岩などの露頭が見られます。 白鳥町越佐の北から二日町下田にかけての長良川沿いは平地が広がり、第四紀の堆積物が覆っていて、岩石が露出していませんが、それより北には岩石が点々と露出しています。白鳥町二日町下田の東を流れる長良川には大芝原橋が架かっています。その下流50mほどの左岸河床には岩石が露出しています。溶結凝灰岩と呼ばれる岩石です。 火山灰や軽石などの噴出物が火砕流となって大量に移動し堆積すると、自身がもつ熱と重量によって、中に含まれるガラス分(火山灰)が柔らかくなり(軟化し)圧縮されます。その後、冷え固まるわけですが、降り積もった火山灰が冷え固まった岩石(凝灰岩)とは異なり、ガラス分が圧縮されてくっつき、非常に硬い岩石となります。それを溶結凝灰岩と呼びます。そのため、溶結凝灰岩に軽石が入っていると、レンズ状につぶれた状態になっていることが多いです。そのレンズ状につぶれたものを本質レンズと呼んでいます。ここに露出する溶結凝灰岩は、風化のため全体的には淡褐灰色をしています。その中に、緑灰色をした幅が5mm~1cmで、長さが数cm~5cmのレンズ状をした本質レンズが入っています。 地質図において、この溶結凝灰岩の露頭(×地点)は、第四紀堆積物の白色( a )の中にありますが、周囲は 黄土色で横線あり( SR )が広く分布していて、白色の下には黄土色で横線ありが広がっています。黄土色で横線ありは白鳥流紋岩火山岩類です。写真が四種類ありますが、上の写真は溶結凝灰岩の露頭を南東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。中下の写真は同じ露頭を北から撮ったもので、下の写真は中下の写真に写っているハンマーの左少し離れたところを近づいて撮ったものです。「本質レンズ」(3ヶ所)と書かれた上に黒っぽく横に長いものが写っていますが、それが本

長良川本流沿い露頭編 その169 白鳥町上越佐の南の珪質泥岩層と甌穴 :郡上市白鳥町越佐上越佐の南の右岸露頭(越佐地区コミュニティ消防センターの北)

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  白鳥町上越佐の南の珪質泥岩層の露頭は、前回「長良川本流沿い露頭編その168」で紹介した砂岩層から北北西へ150mほどのところにある露頭です。越佐地区コミュニティ 消防センターの南50m強のところに駐車スペースがあり、その正面に河原への下り口があります。そこを下り、長良川の上流に向かって170mほど進むと露頭があります。 珪質泥岩層は、陸地から運ばれた砂や泥が堆積した砂岩層・泥岩層とは異なり、チャート層などと同様に海洋プレートによって運ばれてきた堆積物です。 チャートは砂や泥が届かないような陸地から離れた深海底で堆積したものですが、珪質泥岩は陸地に近づいたところで堆積したものです。そのため、珪質泥岩はチャート形成のもととなっている放散虫と、細かい泥の粒がまざって堆積しています。ここの珪質泥岩層は、暗青灰色をした数cm~10cm厚の珪質泥岩が繰り返し積み重なっています。珪質泥岩の間にはうすくてわかりにくい部分が多いですが、淡緑灰色~暗灰色をした数mm~数cm厚の泥岩がはさまっている部分もあります。珪質泥岩層は西北西-東南東を軸として、南南西に50°~65°傾いています。また、珪質泥岩層には甌穴が形成されています。南北に3 . 5mほど、東西に3mほどの甌穴です。 地質図において、この露頭(×地点)はそら色( Msl )の中にあり、そら色は珪質泥岩からなる地層です。近辺に黄色( Mss )、青色( Mmd )、うす茶色( Mal )が分布していますが、いずれも美濃帯堆積岩類で、それぞれ砂岩、泥岩、砂岩泥岩互層からなる地層です。写真が五種類ありますが、上の写真は珪質泥岩層の露頭を東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。珪質泥岩層が右上から左下に傾いているのがわかります。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマーの左を近づいて撮ったものです。中下の写真は珪質泥岩の割った面を接写したもので、写真の縦は2 . 5cmです。下の写真は甌穴を南から撮ったものです。甌穴は上の写真の左下に一部が写っています。スケールとして置いてある折れ尺(甌穴の右上に写っています)、ハンマー、定規の長さはそれぞれ1m、約28cm、約17cmです。中上と真中、下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の黒丸または白丸を、

長良川本流沿い露頭編 その168 白鳥町上越佐の南の砂岩層 :郡上市白鳥町越佐上越佐の南の右岸露頭(越佐地区コミュニティ消防センターの南東)

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  郡上市白鳥町越佐地区に、長良川に架かる越佐橋があります。越佐橋の上流200mほどの右岸に越佐地区コミュニティ消防センターがあり、その南東の長良川右岸に砂岩が露出しています。消防センターの南50m強のところに駐車スペースがあり、その正面に河原への下り口があります。そこを下りると露頭へ行くことができます。砂岩の露頭は、南北約8m、東西約6mで、高さは約2mです。 砂岩層などの砕屑岩類(岩石がくずれて細かくなったものが堆積し岩石になった礫岩、砂岩、泥岩など)は、 陸地から川などによって運ばれた砂や泥がもとになっています。しかし、美濃帯堆積岩類の中では、チャートや珪質泥岩などの海洋で堆積したものと接して分布することがあります。それは、海洋プレートに載って移動してきた玄武岩質火山岩類や石灰岩、チャート、珪質泥岩などと海溝付近で出合い、混ざり合って陸地の縁(現在の日本列島)に付加したためです。ここの砂岩層はおもに中粒砂からなり、割った面は青灰色~暗青灰色をしています。 地質図において、この砂岩の露頭(×地点)は、うす空色に小さな多角形模様( a2 )や白色( a )の中にありますが、うす空色や白色は第四紀堆積物です。その下には黄色( Mss :砂岩層)が分布し、それが露出しています。砂岩層のすぐ北には、次回紹介する空色( Msl )の珪質泥岩からなる地層が分布し、陸地から運ばれた砂がもとになっている砂岩層と海洋から運ばれた珪質泥岩層が隣り合っています。写真が五種類ありますが、上の写真は砂岩の露頭を北西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央少し右を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマー付近を近づいて撮ったものです。中下の写真は風化面を撮ったもので、写真の縦は3cmです。汚れはありますが、砂粒が集まってできた岩石であることがわかります。下の写真は露頭から少し離れて西から撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigak

長良川本流沿い露頭編 その167 白鳥町下越佐の砂岩泥岩互層と砂岩層など :郡上市白鳥町越佐下越佐の右岸河床露頭

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    前回「長良川本流沿い露頭編その166」で紹介した砂岩層の近くにある大島橋の東の道路(県道52号白鳥板取線)を北へ1 . 7kmほど進み、左折すると長良川に架かる越佐橋があります。越佐橋を西へ渡り、西へ数10mのところを左折し、そこから南へ450mほど進むとコンテナが置いてあり、駐車スペースがあります。コンテナ脇から細い道へ入り、石垣を下りてそのまま進むと河原へ出ます。河原へ下りて、下流へ(南へ)しばらく進むと長良川右岸河床に褐灰色、灰色~暗灰色の露頭が見られます。下流に向かって150mほど露頭が続きます。 砂岩層はおもに褐灰色、泥岩層はおもに暗灰色、砂岩泥岩互層はおもに灰色~暗灰色をしています。河床露頭の北角から下流(南)へ40mほどのところに砂岩泥岩互層の露頭があります。砂岩泥岩互層は、陸地から浅い海洋へ運ばれた砂と泥が何かをきっかけにしてより深い海底へ移動する際、混ざり合って混濁流となり、それが堆積することによって形成されたものです。 地質図において、この露頭(×地点)は、白色( a )の中にありますが、白色の下には黄色( Mss )が分布しています。白色は河川による堆積物などの第四紀堆積物なので、その下に堆積している黄色(おもに砂岩からなる地層)が露出しているのです。写真が五種類ありますが、上の写真は砂岩泥岩互層を北からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)のハンマー付近を近づいて撮ったものです。見にくいですが、灰色や淡灰色が砂岩層で、暗灰色が泥岩層です。中下の写真は同じ露頭を西から(右側から)撮ったものです。下の写真は、150mほど続く露頭の南の端近くの露頭を南西から撮ったもので、砂岩層です。風化して、褐灰色っぽくなっている部分があります。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と中下、下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

長良川本流沿い露頭編 その166 白鳥町大島橋上流の砂岩層の玉ねぎ状風化 :郡上市白鳥町大島寺内の南の右岸河床露頭(大島橋上流50mほどの右岸河床)

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 前回まで10回にわたって飛騨地方の露頭を紹介しましたが、今回からは元に戻って、長良川沿いの露頭を白鳥町から上流へ向かって紹介します。 国道156号を北進し、白鳥町に入ってしばらくすると、右手に大中小学校がありますが、その200mほど手前(南)に西へ進む道路があります。運送会社の北の道路です。左折し、しばらくすると右にお寺があり、そのまま進むと長良川に架かる橋(大島橋)があります。橋の上流側の右岸に岩石が露出しているのが見えます。大島橋を右折して北へ進み、100m弱のところに河原へ下りる石積み+石垣の階段があります。近くに車を止めて、そこを下ります。下りて、下流へ進むと露頭があります。南北に12mほどの露頭ですが、淡灰色~灰色をした砂岩層でできています。その10m先(南東)に褐色を帯びた露頭があり、玉ねぎ状風化が見られる砂岩層です。南北に7mほど、東西に4mほどの露頭です。この露頭を紹介します。 地層や岩石が地表で風化を受け、玉ねぎの皮を剥くように、同心球状の薄殻となって表面から剥離する状況を玉ねぎ状風化(オニオンクラック)と呼びます。このような風化は、節理(割れ目)に囲まれた面の表面から風化を受け、外側から順に剥離し、次第に球状に風化が進行して形成されると考えられています。 地質図において、この露頭(×地点)は、白色( a )の第四紀堆積層の中にありますが、周囲は黄色( Mss )からなっていて、黄色はおもに砂岩からなる地層です。河川や河原の下に広く分布している砂岩層が露出しているのです。写真が五種類ありますが、上の写真は玉ねぎ状風化の露頭を南西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。ハンマーの上方に何ヶ所も玉ねぎ状風化が見られます。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)のハンマー付近を近づいて撮ったものです。中下の写真は、上の写真(または中上の写真)のハンマーの右上にある玉ねぎ状風化を近づいて撮ったものです。下の写真は、北西(上流)へ10mほどの砂岩の露頭を南西から撮ったものです。玉ねぎ状風化が見られる露頭は、下の写真の右上に写っています。スケールとして置いてあるハンマー、定規の長さはそれぞれ約28cm、約17cmです。中上と真中の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で

飛騨地方の露頭編 その10 国府町宮地の三休の滝(大雨見山火山岩類) :高山市国府町宮地の三休の滝(県道473号から宮谷川沿いに3kmほど北へ)

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高山市国府町宮地の県道473号沿いに荒城神社があります。荒城神社の近辺に「三休の滝まで3km」の表示があり、それにしたがって北へ進みます。宮谷川沿いを上流へ向かう宮谷林道ですが、3kmの数100m手前に右折の表示がありますので、そこを右折して進むと三休の滝があります。滝の近くに駐車するスペースがあります。三休の滝は落差約30mです。滝の流れ落ちる水が途中の岩に当たり、3回休んでいるということで、名が付けられたようです。この滝周辺は大雨見山層群の宮谷川層からできています。 大雨見山層群は、飛騨市古川町東部から高山市上宝町東部にかけて、約22kmにわたってほぼ東西に分布しています。濃飛流紋岩に類似した流紋岩質溶結凝灰岩などの岩石類からなりますが、流紋岩質溶岩、玄武岩質安山岩質溶岩なども見られるようです。地質図からすると、三休の滝は大雨見山層群の下位を形成する宮谷川層からなっています。宮谷川層はいくつかに分けられ、ここは「三休の滝流紋岩層」と呼ばれる地層からできています。宮谷川流域では、三休の滝流紋岩層の厚さは100mに達するところもあるようです。三休の滝流紋岩層の主体は流紋岩質溶岩で、この流紋岩質溶岩は淡紫色~淡黄緑色をした細粒の岩石で、斑晶(岩石にまだらに入っている鉱物の粒)はごく少量の1mmほどの大きさの石英とカリ長石からなっています。石基(岩石の斑晶以外の地の部分)には球状や楕円体状の玉髄を生じている部分が多く、全体として硬いです。この溶岩層は上下の凝灰岩に比較して浸食に対する抵抗力が強く、そのため滝を形成しているようです。 地質図において、三休の滝(×地点)は黄土色で斜線あり( OA1 )の中にあり、黄土色で斜線ありは大雨見山層群の宮谷川層です。すぐ東(右側)に広く分布する明黄土色( OA2 )は同じく大雨見山層群の明ヶ谷溶結凝灰岩層です。西に分布する薄緑色で横線あり( TI )、薄紫色( HG8 、 HG10 )は、それぞれ手取層群、飛騨花崗岩類です。南に分布する淡緑灰色( KM )は飛騨外縁帯構成岩類の上広瀬層です。写真が五種類ありますが、上の写真は三休の滝を北西から撮ったもので、中上の写真は同じく北西から横長で撮ったものです。真中の写真は、上の写真とほぼ同じ場所を撮ったものです。上と中上、真中の写真には、滝の右下に黄色のスケール(1mの折れ尺)が写

飛騨地方の露頭編 その9 高山市丹生川町呂瀬金山の林道沿い珪長質凝灰岩層と泥岩層(飛騨外縁帯呂瀬層) :高山市丹生川町折敷地金山の林道沿い露頭(金山地区稲荷神社南へ300mほど、正しくは丹生川町森部地内)

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 高山市丹生川町折敷地金山に稲荷神社があります。その神社の東に道があり、そこを南へ進みます。300mほど進んだ西側の山沿いに露頭があります。この露頭は、飛騨外縁帯の呂瀬層で、珪長質の凝灰岩層と泥岩層が見られます。   飛騨外縁帯は、美濃帯や岐阜県の北部から富山県にかけて分布する飛騨帯と同様に、日本列島における基盤をなす岩体の一つです。幅数km~30kmで細長く分布し、おもに古生代中~後期の地層群からなります。岐阜県内では、飛騨山脈の槍ヶ岳付近から高山市奥飛騨温泉郷、丹生川町北部~国府町地域、清見町楢谷、郡上市白鳥町石徹白などに断片的に露出しています。呂瀬層は飛騨外縁帯構成岩類の一つで、丹生川町折敷地金山の南方の森部川沿いに大きく弧を描いて、東方に張り出した2条の断層にはさまれて、東西約200m、南北約1300mの範囲に分布しているようです。おもに淡緑色~淡灰色の非常に硬い珪長質の凝灰岩からなり、砂岩や泥岩などの薄い層をはさみ、石灰岩の薄い層やブロックもわずかにはさむようです。ここの露頭では、淡灰色~淡緑灰色の凝灰岩層に、暗灰色の緻密で硬い泥岩層が何枚かはさまっているのがわかります。   地質図において、この露頭(×地点)は深緑色( RO )の中にあり、深緑色は呂瀬層でおもに珪質凝灰岩からなる地層です。周辺の薄緑色で横線あり( MO )、緑色で斜線あり( AR )は飛騨外縁帯構成岩類で、それぞれ森部層(おもにおもに泥岩・砂岩からなる地層)、荒城川層(おもに火山岩類からなる地層)です。黄土色で斜線あり( OA1 )、明黄土色( OA2 )、ピンク色( OAg )は、いずれも大雨見山層群と呼ばれる火山岩類と貫入岩類です。また、うす茶色( YHn )、茶色( KMp )は、第四紀の火山性の堆積物で、それぞれ丹生川火砕流堆積物、上宝火砕流堆積物です。写真が五種類ありますが、上の写真は林道沿いの露頭を東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を同じく東から撮ったものです。真中の写真は、上の写真の中央部を南東から(左斜めから)撮ったものです。中下の写真は珪長質凝灰岩の露頭面で見やすいところを接写したもので、写真の縦は3 . 5cmです。下の写真は泥岩の割った面を接写したもので、写真の縦は1 . 8cmです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cm