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河原の石編 その15 木曽川沿い6 平成川島橋付近その3 :各務原市川島笠田町平成川島橋下右岸の河原

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    岩石を成因で分類すると、大きく3つ( 堆積岩、火成岩、変成岩 )に分けられますが、今回は火成岩のでき方や特徴を述べます。 〇火成岩 マグマが冷え固まってできた岩石を 火成岩 と呼びますが、大きくはマグマが地上で固まる 火山岩 と、地下で固まる 深成岩 に分けることができます。ただし、火成岩はマグマがそのまま固まったものではありません。マグマが冷え固まる間に水分などの揮発しやすい成分は抜け出してしまいます。火成岩では、マグマの組成が鉱物の種類や量比(岩石の組成)に、マグマが固まった環境が鉱物の粒の大きさや並び方(岩石の組織)として記録されています。そこで、これらの特徴を目安にして、火成岩を分類しています。それが、図に示した火成岩の代表的な分類表です。表の横方向は“岩石の組成”を表す軸、縦方向は“岩石の組織”を表す軸になります。横軸を3つに分けて、それぞれの枠に入る岩石に含まれる鉱物の種類が上に表現されています。岩石中に含まれている鉱物の種類を目で判断することで横軸の枠が決まります。 ガスになりやすい成分(水など)を多く含むマグマが地上に出てくると、マグマにかかっていた圧力が急激に低くなるため、ガスになりやすい成分が一気にガスになって容積が増え、爆発的な噴火となることがあります。その噴出様式(溶岩であるか、火砕流であるか)によっては、同じ成分をもつマグマであっても(同じ種類の鉱物をふくむ岩石であっても)、見かけの異なる岩石となります。流紋岩質溶岩(一般に流紋岩と呼ばれる)と流紋岩質溶結凝灰岩(濃飛流紋岩の主体をなす岩石)がその例です。 今回は、木曽川にかかる平成川島橋右岸の河原で見られた火成岩である花崗岩、花崗斑岩、溶結凝灰岩(流紋岩質溶結凝灰岩)を載せました。それぞれの石の説明は、河原の石編その1~9を見てください。上の写真は花崗岩、真中の写真は花崗斑岩、下の写真は溶結凝灰岩です。

河原の石編 その14 木曽川沿い5 平成川島橋付近その2 :各務原市川島笠田町平成川島橋下右岸の河原

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   河原の石ころ(岩石)を成因で分類する場合、まず 大きく3つ(堆積岩、火成岩、変成岩)に分けます。まず、堆積岩のでき方や特徴を述べます。 〇堆積岩 地表にあるものが川の流水や 風などによって運ばれて、川底や湖底、海底にたまって、固結した岩石を 堆積岩 と呼びます。堆積するものは、地表に分布していた岩石がくだかれてできた砕屑物、生物の遺骸、蒸発の結果として残る化学沈殿物、火山噴出物などがあります。地表に露出している岩石は、風化し、水などによって削られます。また、割れ目に入った植物の根や氷の堆積膨張によっても砕かれます。削られたり、砕かれたりしてできたものを砕屑物 ( さいせつぶつ ) と呼びます。砕屑物は、流水や風で運ばれるうちに大きさや重さの違いで分けられます。粒の大きさを2mmと1/16mmで区切って、礫、砂、泥に分けています。2mm以上が礫、2mm~1/16mmが砂、1/16mm未満が泥です。それらを主とする岩石がそれぞれ礫岩、砂岩、泥岩となります。 生物の遺骸からつくられる岩石には、石灰岩、チャート、石炭などがあります。石灰岩は、炭酸カルシウム( CaCO 3 )の骨格や殻をもつサンゴ、石灰藻、貝類、有孔虫などの生物の遺骸がたまってつくられるもので、ほとんどが浅い海でできたものです。チャートは、二酸化ケイ素( SiO 2 )の殻をもつ原生動物の放散虫や珪質海綿が、深海底で堆積したものです。石炭は多くの植物が埋もれてできたものです。ほかに、珪藻がたまってできた珪藻土や鉄バクテリアの作用でつくられた鉄鉱層などもあります。 火山灰や火砕流なども地表にたまって地層をつくります。このような岩石を火山砕屑岩と呼びます。マグマの性質や噴火の性格などを調べるときは火山岩(火成岩)として扱いますが、地表での堆積作用を考えるときには堆積岩として扱います。このように、岩石には二重の性質をもつものもあります。 今回は、木曽川にかかる平成川島橋右岸の河原で見られた堆積岩であるチャート、砂岩、泥岩を載せました。それぞれの石の説明は、河原の石編その1~9を見てください。上の写真はチャート、真中の写真は砂岩、下の写真は泥岩です。

河原の石編 その13 木曽川沿い4 平成川島橋付近その1 :各務原市川島笠田町平成川島橋下右岸の河原

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    河原にあるどの石ころにもそれぞれに長い道のりがあり、そのたどり着いた結果を目にしていることを頭に入れて観察すると、石ころのいろいろな表情が見えてくるはずです。石ころの分類で大切なのは、その石は何でできていて、どのようにできたものかを知ろうとすることです。ただし、肉眼での観察には限界があり、本来は石を光が通るくらいうすく削り、光の性質を使って偏光顕微鏡などで観察して判断するのです。そのため、肉眼での観察は人によって異なる場合がありますし、正しくない場合もありえます。そのように肉眼での観察の限界を理解した上で、観察することが大切です。 岩石にはそれぞれのでき方があり、そのでき方が岩石のつくり、組織に記録されています。そのため、でき方(成因)にもとづいて岩石を分類する方法が一般的です。もちろん、岩石を色、形、見かけの模様などで区別する場合(たとえば、赤石、鉄平石、壷石、菊花石など)もありますが、普遍的に通用する分け方は成因によるものであり、大きく 3 つ( 堆積岩、火成岩、変成岩 )に分けています。ですから、まず堆積岩か、火成岩か、変成岩かを見分けることが重要です。 今回から3回は、木曽川にかかる平成川島橋(東海北陸道の木曽川にかかる橋の東の橋)右岸の河原の石を紹介します。それぞれの石の説明は、河原の石編その1~9を見てください。上の写真は平成川島橋を右岸から撮ったものです。中上の写真はホルンフェルス(変成岩)、中下の写真は安山岩(火成岩)、下の写真は湯ヶ峰流紋岩と呼ばれる流紋岩質溶岩(火成岩)です。

河原の石編 その12 長良川沿い6 岐阜市千鳥橋付近その3 :岐阜市古津千鳥橋上流右岸の河原

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    河原の石の名称(成因による名称)を知ろうとして石を見る場合、その石がどのようなものからできていて、どのようにしてできたものかを把握しようと観察することが大切です。 「花崗岩」という石は、墓石や石碑としてよく使われる石ですが、長良川、木曽川、揖斐川沿いのいずれの河原でも見られる岩石です。この石も前回紹介した安山岩のように、それぞれの川における供給源は異なります。長良川では奥美濃酸性岩の一つである高賀花崗岩が主な供給源でしょう。木曽川では東濃地域に広がる苗木花崗岩などの花崗岩が、揖斐川では貝月山花崗岩などの花崗岩が主な供給源でしょう。しかし、いずれの花崗岩も花崗岩質マグマ( 52 %未満の SiO 2 からなるマグマ)が地下深くでゆっくり冷え固まったものが、地表に現れ、そして削られ、川で流されて、河原で見られるのです。ゆっくり冷え固まったため、見かけは等粒状組織と言って、同じくらいの大きさの結晶が集まっています。また、その結晶には白っぽい粒と黒っぽい粒がありますが、白っぽい粒が石英、斜長石、カリ長石で、黒っぽい粒が黒雲母です(違う場合もあります)。一概には言えないですが、方向によって割合均質であることや、節理もありますが 方状節理という立方体や直方体の割れ目ですので、 全体的に平面形では円形や楕円形など丸いものが多いです。 今回は、岐阜市古津の千鳥橋上流右岸の河原にある花崗岩、花崗斑岩、溶結凝灰岩を載せました。上の写真は花崗岩、真中の写真は花崗斑岩、下の写真は溶結凝灰岩です。なお、それぞれの石の見かけなどの説明は省略しますので、河原の石編その1~9をご覧ください。

河原の石編 その11 長良川沿い5 岐阜市千鳥橋付近その2 :岐阜市古津千鳥橋上流右岸の河原

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   河原の石を見る場合、上流の地質(どんな岩石が分布しているか)を産総研地質調査センターの地質図(全国は)や HP ジオランドぎふ(岐阜県は)で確認をし、その上でその石がどのようなものからできていて、どのようにしてできたのかを把握するように観察することが大切です。 「安山岩」という石は、長良川、木曽川、揖斐川沿いいずれの河原でも見られる岩石です。しかし、それぞれの川沿いにある安山岩は、同じ安山岩という名称がついていますが、できた場所や時代は異なります。いずれも安山岩質マグマ( 52 ~ 66 %の SiO 2 からなるマグマ)が地表へ噴出して冷え固まったり、地表近くで冷え固まったりしたものが、地表で削られ、川で流されて、河原で見られるのです。そのため、見かけは斑状組織と言って、目に見えないくらい細かい結晶またはガラス質のもの(石基とよびます)の中に、割合大きめの結晶(斑晶とよびます)が入っています。おかゆに例えると、どろどろのかゆ状(石基)の中にご飯粒(斑晶)が入っている感じです。また、その結晶には白っぽい粒と黒っぽい粒がありますが、白っぽい粒が斜長石で、黒っぽい粒が角閃石や輝石です(違う場合もあります)。一概には言えないですが、方向によって割合均質であるため、全体的に丸いものが多いです。節理によって割れやすい面もありますので、そのような場合は平べったく丸い石になると思います。 今回は、岐阜市千鳥橋右岸の美濃帯堆積岩類の礫岩、玄武岩質溶岩など(緑色岩とも呼ばれる)と、安山岩を載せました。石灰岩は見つけられませんでした。上の写真は礫岩、真中の写真は緑色岩、下の写真は安山岩です。なお、それぞれの石の見かけなどの説明は省略しますので、河原の石編その1~9をご覧ください。

河原の石編 その10 長良川沿い4 岐阜市千鳥橋付近その1 :岐阜市古津千鳥橋上流右岸の河原

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   河原に現在見られる石は、人類が誕生するはるか…はるか以前に誕生し、地表にあらわれ、そして削られ、川に流され、今ここに見られるのです。 「チャート」という石は岐阜県の石に認定されています(日本地質学会が2016年に県の石を認定)が、岐阜市周辺など美濃地方ではごく身近に落ちていて、特に気にとめることはない石でしょう。誕生は約2億数千万年前のことですので、人類が誕生したと考えられる時(約 700 万年前)よりはるか昔のことです。陸地からかなり離れた大洋の深海底にたまった微小生物(おもに放散虫という原生動物)の遺骸がチャートのもとです。それが、海洋底の移動により、1億数千万年ほど前に海溝にもたらされ、当時の大陸の一部に付加したのです。その後、固結したチャートが地表に顔を出し、崩れたり、削られたりして、破片となったものが川などの水に流され、やっとこの河原にたどり着いたのです。河原にある石ころには、形成された時期や場所は異なりますが、それぞれに長い道のりがあります。そのできるまでの道のりが岩石の組織や形などに表れています。「チャート」を例にとれば、放散虫は特別な顕微鏡でしか観察することはできません(チャートによっては、0 . 1 mm くらいの点として見えるものがあります)が、二酸化ケイ素( SiO 2 )の殻が集まってできた石ですから、ひじょうに硬く、風化しにくい岩石です。また、割れ目が多く入っていて、その方向に割れやすくなっています。割れて直方体のような形になるのですが、硬く風化はしにくいために、角は丸くなるものの、他の石ころに比べて全体的に丸くなることがないのです。これが河原で見られるチャートの石ころです。 河原の石編その1~9で、岐阜県を流れる木曽三川(長良川、木曽川、揖斐川)の河原の石ころを3回ずつ紹介しました。河原の石は、その上流の地質を反映していますので、同じ川沿いの河原の石の種類はほとんど変わりません。もちろん、支流が流れ込んで本流の上流にはない種類の岩石が入ることがあったり、河原によって岩石の種類の割合は異なったりします。木曽三川の河原の石を違う河原でもう一箇所ずつ紹介します。今回から、長良川沿いの河原の一つである岐阜市古津の千鳥橋上流右岸の河原の石を3回で紹介します。まず、美濃帯堆積岩類のチャート、砂岩、泥岩を載せました。上の写真は右岸から千鳥

河原の石編 その9 揖斐川沿い3 揖斐川町三町大橋付近その3 :揖斐郡揖斐川町三町大橋上流左岸の河原

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  今回は、揖斐川町島の三町大橋の左岸の河原で見られた美濃帯堆積岩類の一つである緑色岩(玄武岩類)と花崗岩、花崗斑岩、安山岩を載せました。それぞれの石の説明は長良川沿いのものとほとんど同じです。上の写真は緑色岩、中上の写真は花崗岩、中下の写真は花崗斑岩、下の写真は安山岩です。 〇緑色岩(玄武岩類)‥‥‥緑色、暗い緑色、黄緑色で、あずき色がかることがあります。よく見ても結晶の粒は見えないことが多いですが、結晶の粒が大きい場合、光に反射させると細かくキラキラ光るものもあります。表面に幅のせまい割れ目やへこみのあることがあります。 いびつな形がふつうです。かどがとれて丸みがあります。 海底などで噴出した玄武岩類で、圧力や熱、熱水などにより変質作用を受けていて、変質作用でできた鉱物の多くは緑色です。そのため、全体に緑っぽい色の石となります。 〇花崗岩‥‥‥表面はなめらかに見えますが、触ってみると少しざらざらします。黒い粒と白い粒が、同じような大きさで入っています(等粒状組織といいます)。入っている鉱物は石英、長石、黒雲母などです。黒い粒(黒雲母)のところが浅くくぼんでいるものがあります。丸っこい形のものが多いです。 〇花崗斑岩‥‥‥無色透明~灰白色の石英、白色の長石、緑黒色の黒雲母などが岩石の中に斑点状に入り(斑状組織といいます)、くっきり見えます。花こう岩に似ていますが、大型の長石類が斑点状に入る点で異なります。かどのとれた箱型から楕円形のものが多いです。ここでは数は少ないです。 〇安山岩‥‥‥暗い灰色のものが多いですが、白っぽいものもあります。白色と緑黒色をしたやや大きい斑点状の結晶(斑晶)がわかるものが多いです。白色の鉱物が長石であり、緑黒色の鉱物が角閃石や輝石です。斑晶があまりはっきりとしないものもみられ、砂岩と見まちがえる場合があります。丸っこい形のものが多いです。 ※三町大橋左岸の河原の石の写真は先月撮ったものです。

河原の石編 その8 揖斐川沿い2 揖斐川町三町大橋付近その2 :揖斐郡揖斐川町三町大橋上流左岸の河原

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  今回は、揖斐川町島の三町大橋の左岸の河原にある美濃帯堆積岩類のチャート、砂岩、泥岩、石灰岩を載せました。それぞれの石の説明は長良川沿いのものとほとんど同じです。上の写真はチャート、中上の写真は砂岩、中下の写真は泥岩、下の写真は石灰岩です。 〇チャート‥‥‥白色・灰色・黒色とそれらが混ざり合ったもの、あずき色、うすい緑色など、さまざまな色があります。硬くてハンマーや釘で傷がつきません。よくみると表面に小さな傷・へこみがあります。割れたところは、ガラスの割れ口のように鋭いです。他の石と比べて、かどのある多角形をしているものが多いです。 〇砂岩‥‥‥灰色から暗い灰色のものが多く、風化してオレンジ色がかるものもあります。よくみると砂の粒がわかり、ざらざらしています。黒色の小破片(泥岩)が入ることがあります。砂の粒が並んで、縞模様になっていることもあります。ただし、熱変成作用などを受けると、砂の粒がわかりにくくなり、ざらざら感もなくなります。かどのとれた箱型から丸い形が多いです。 〇泥岩‥‥‥灰色から黒色、つやのない黒色がほとんどで、粒が小さく、よく見ても石をつくる粒は見えません。灰色の細かな縞模様が見られることがあります。細長い楕円形や扁平なものが多いです。表面に割れ口がいくつもみられる場合が多いです。 〇石灰岩‥‥‥白色から灰色で、表面がなめらかなものが多いです。表面の傷が白く粉っぽく見えます。他の岩石と比べてやわらかく、ハンマーやくぎで簡単に傷がつきます。風化した表面をよく見ると、フズリナなどの化石が浮き上がって見えることがあります。一般的には、削られやすいため扁平で丸いです。ただし、ここでは分布地が割合近いということもあり、やや大きいものや角張っているものもあります。また、下の写真の右下は石灰岩が角礫となり、それがくっついてできた石灰質角礫岩です。

河原の石編 その7 揖斐川沿い1 揖斐川町三町大橋付近その1 :揖斐郡揖斐川町島三町大橋上流左岸の河原

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    長良川沿い、木曽川沿いの河原の石について紹介してきましたので、次は揖斐川沿いの河原の石について紹介します。 揖斐川流域にはおもに美濃帯堆積岩類、花崗岩類(貝月山花崗岩、能郷白山花崗閃緑岩)が分布しますので、これらに由来する岩石が下流に運ばれています。美濃帯堆積岩類の中には、花崗岩類による熱変成作用でできたホルンフェルスも含まれています。これらのほかに、福井県境に新第三紀の安山岩類が分布します。また、花崗斑岩や安山岩などの貫入岩も分布しています。 今回は、揖斐川沿いの河原の一つである揖斐川町島の三町大橋の上流左岸の河原にある石の中で、長良川沿いでは紹介していない花崗閃緑岩、礫岩、ホルンフェルスを載せました。上の写真は河原から三町大橋を望んで撮ったものです。中上の写真は花崗閃緑岩、中下の写真は礫岩、下の写真はホルンフェルスです。 〇花崗閃緑岩‥‥‥花崗岩と比べると、黒っぽい鉱物(有色鉱物)が多く、全体的にやや黒っぽく見えます。花崗岩と同様に地下でゆっくり冷え固まった岩石であるため、白っぽい粒や黒っぽい粒が同じような大きさで入っています(等粒状組織)。丸っこい形のものが多いです。ここで花崗閃緑岩と判断している岩石の中で、鉱物組成(鉱物の量比)を偏光顕微鏡などで調べると、閃緑岩や花崗岩と判断した方がよい岩石があるかもしれません。 〇礫岩‥‥‥礫(小石、径が2 mm 以上)が集まってできています。礫と礫の間を砂粒や泥などがうめます。色は礫や砂などの色によりますが,全体に暗い灰色が多いです。礫の入ったコンクリートと見まちがうので注意が必要です。ゴツゴツしたいびつな形のものもあります。礫の粒が小さいものでは,丸みのある石となります。 〇ホルンフェルス‥‥‥泥岩や砂岩などが高い熱によって変成してできた岩石です。表面はもとの岩石の色を基本にしてさまざまな色を示しますが、紫色っぽく(わずかに赤味を帯びて)見えることが多いです。たいへん硬く、割れ口はかどばっていることが多いです。岩石の表面に灰色をした数 mm 径の結晶が見えるものがありますが、熱変成作用で新たな鉱物が結晶化したものです。ハンマーでたたいたり、岩石同士をぶつけたりすると、金属音を出すことがあります。丸っこいですが、多角形のものが多いです。

河原の石編 その6 木曽川沿い3 愛岐大橋付近その3 :愛知県江南市草井町愛岐大橋下流左岸の河原

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    今回は、木曽川沿いの河原(愛岐大橋左岸)で見られる火成岩の花崗岩、花崗斑岩、安山岩、溶結凝灰岩を載せました。それぞれの石の説明は長良川沿いのものとほとんど同じです。上の写真は花崗岩、中上の写真は花崗斑岩、中下の写真は安山岩、下の写真は溶結凝灰岩(濃飛流紋岩)です。 〇花崗岩‥‥‥表面はなめらかに見えますが、触ってみると少しざらざらします。黒い粒と白い粒、うすピンク色の粒が、同じような大きさで入っています(等粒状組織といいます)。入っている鉱物は石英、長石(斜長石、カリ長石)、黒雲母などです。黒い粒(黒雲母)のところが浅くくぼんでいるものがあります。丸っこい形のものが多いです。 〇花崗斑岩‥‥‥無色透明~灰白色の石英、白~うすいピンク色の長石、緑黒色の黒雲母などが岩石の中に斑点状に入り(斑状組織といいます)、くっきり見えます。花こう岩に似ていますが、大型の長石類が斑点状に入る点で異なります。かどのとれた箱型から楕円形のものが多いです。 〇安山岩‥‥‥暗い灰色のものが多いですが、白っぽいものもあります。白色と緑黒色をしたやや大きい斑点状の結晶(斑晶)がわかるものが多いです。白色の鉱物が長石(斜長石)であり、緑黒色の鉱物が角閃石や輝石です。斑晶があまりはっきりとしないものもみられ、砂岩と見まちがえる場合があります。丸っこい形のものが多いです。 〇溶結凝灰岩‥‥‥緑がかった灰色のものがよく見られますが、白っぽいもの、茶色っぽいもの、黒っぽいものなどいろいろな色のものが見られます。2~5㎜の小さい斑晶(鉱物の結晶)がたくさん見られますが、三角形などの破片状になっていることが多いです。様々な顔つきをしたものがあり、わかりにくいですが、長さ数cm、幅1 cm 以下の緑っぽいレンズ状のものが見られる場合はこの岩石であることがはっきりわかります。レンズ状のものがもっと大きいものもあります。このレンズ状のものは、火砕流に含まれている軽石が圧縮されたものです。また、他の岩石の破片を多く含んでいるものもあります。 かどのとれた箱型から楕円形のものが多いです。 ※愛岐大橋左岸の河原の石の写真は先月撮ったものです。

河原の石編 その5 木曽川沿い2 愛岐大橋付近その2 :愛知県江南市草井町愛岐大橋下流左岸の河原

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    今回は、木曽川沿いの河原(愛岐大橋左岸)にある美濃帯堆積岩類のチャート、砂岩、泥岩、緑色岩(玄武岩質溶岩等)を載せました。それぞれの石の説明は長良川沿いのものとほとんど同じです。上の写真はチャート、中上の写真は砂岩、中下の写真は泥岩、下の写真は緑色岩です。 〇チャート‥‥‥白色・灰色・黒色とそれらが混ざり合ったもの、あずき色、うすい緑色など、さまざまな色があります。硬くてハンマーや釘で傷がつかないです。よくみると表面に小さな傷・へこみがあります。割れたところは、ガラスの割れ口のように鋭いです。他の石と比べて、かどのある多角形をしているものが多いです。 〇砂岩‥‥‥灰色から暗い灰色のものが多く、風化して全体に淡黄色がかるものもあります。よくみると砂の粒がわかり、ざらざらしています。黒色の小破片(泥岩)が入ることがあります。ただし、熱変成作用などを受けると、砂の粒がわかりにくくなり、ざらざら感もなくなります。砂の粒が並んで、縞模様になることもあります。かどのとれた箱型から丸い形が多いです。 〇泥岩‥‥‥泥が集まってできた岩石のため、灰色から黒色、つやのない黒色がほとんどで、粒が小さく、よく見ても石をつくる粒は見えません。細長い楕円形や扁平なものが多いです。表面に割れ口がいくつもみられる場合があります。 〇緑色岩(玄武岩質溶岩等)‥‥‥緑色、暗い緑色、黄緑色で、あずき色がかることがあります。よく見ても結晶の粒は見えないことが多いですが、結晶の粒が大きい場合、光に反射させると細かくキラキラ光るものもあります。表面に幅のせまい割れ目やへこみのあることがあります。 いびつな形がふつうです。かどがとれて丸みがあります。 海底などで噴出した玄武岩類で、圧力や熱、熱水などにより変質作用を受けていて、変質作用でできた鉱物の多くは緑色です。そのため、全体に緑っぽい色の石となります。

河原の石編 その4 木曽川沿い1 愛岐大橋付近その1 :愛知県江南市草井町愛岐大橋下流左岸の河原

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    前回までの3回で長良川沿いの河原の石について紹介しましたので、次は木曽川沿いの河原の石について紹介します。 木曽川は、美濃加茂市で飛騨川と合流しています。そのため、それより下流では木曽川流域と飛騨川流域の両方の地質を反映しています。木曽川流域にはおもに花崗岩類、濃飛流紋岩、美濃帯堆積岩類が、飛騨川流域には濃飛流紋岩と美濃帯堆積岩類がそれぞれ分布しますから、これらに由来する岩石がおもに下流に運ばれています。美濃帯堆積岩類の中には、花崗岩による熱変成作用でできたホルンフェルスも含まれています。これらのほかに、美濃加茂市周辺に分布する瑞浪層群、飛騨川流域の下呂付近のみに分布し特徴的な顔つきをしている湯ヶ峰流紋岩、そして両河川の最上流部に分布する御嶽・乗鞍火山の噴出物が見られます。 今回から3回は、正しくは岐阜県ではありませんが、木曽川にかかる愛岐大橋の左岸の河原の石を紹介します。今回は長良川沿いの河原の石では紹介しなかったホルンフェルスと流紋岩質溶岩(湯ヶ峰流紋岩)を載せました。上の写真は愛岐大橋を下流側から撮ったものです。真中の写真はホルンフェルス、下の写真は流紋岩質溶岩です。 岩石は成因で分類され名称がつくのですが、中には特徴的な岩石であるため、肉眼でどこの火山から噴出された岩石かまでわかる場合があります。そのような場合は、地域名などをつけて呼ばれます。縄文時代の遺跡で見つかる矢じりなどの石器の中で、下呂石と呼ばれる岩石でできたものが各地で見つかっています。この下呂石は、成因で分類すると流紋岩質溶岩で、下呂市の湯ヶ峰火山から噴出した溶岩です。同様に下呂石とは見かけはかなり異なりますが、湯ヶ峰火山から同じく噴出した小川石と呼ばれる岩石も流紋岩質溶岩で、庭石などに使われます。木曽川沿いの川原では下呂石はなかなか見られないものの、小川石は見られます。 〇ホルンフェルス‥‥‥泥岩や砂岩などが高い熱によって変成してできた岩石です。表面はもとの岩石の色を基本にしてさまざまな色を示しますが、紫色っぽく(わずかに赤味を帯びて)見えることが多いです。たいへん硬く、割れ口はかどばっていることが多いです。そこに光に反射させると、新しくできた細かい鉱物がキラキラ光ることが多いです。ハンマーでたたいたり、岩石同士をぶつけたりすると、金属音を出すことがあります。丸っこいが、多

河原の石編 その3 長良川沿い3 美濃市山崎大橋付近その3 :美濃市生櫛山崎大橋下流左岸の河原

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    岩石は動物や植物とは違って、色や形など見た目だけで分類するわけにはいきません。見た目で分類すると、非常に多くの種類に分かれてしまうでしょう。そのため、岩石はどのようなものからどのようにしてできたかという成因によって分類され、そして名前がついています。例えば、図鑑に安山岩が載っていても、それと実際に目にする安山岩とは一見違う岩石のように見えてしまいます。岩石を薄くけずって、光が通過するようにして顕微鏡(偏光顕微鏡)などで観察すると似ているのですが、肉眼ではそこまで詳しく観察できませんから、なかなかわからないのが実状のようです。そこで、本来は川ごとの図鑑が必要となるのです。 長良川はスキー場で知られる大日ヶ岳を源流とし、いくつかの支流と合流して南へ流れています。山崎大橋付近の河原にある石ころは、長良川の本流、支流沿いに分布する岩石が反映されます。長良川とその支流周辺に分布する岩石は、おもに美濃帯堆積岩類(チャート、砂岩、泥岩、石灰岩、玄武岩質溶岩など)とよばれるものです。そして、それを基盤岩として形成した奥美濃酸性岩類(溶結凝灰岩や花崗岩、花崗斑岩など)や、奥美濃地域の何ヶ所かに分布する第四紀火山岩類(安山岩)などです。 今回は、美濃市の山崎大橋下流左岸の河原にある花崗岩、花崗斑岩、溶結凝灰岩を載せました。上の写真は花崗岩、真中の写真は花崗斑岩、下の写真は溶結凝灰岩です。 以下にそれぞれの石の特徴を載せます。 〇花崗岩‥‥‥表面はなめらかに見えますが、触ってみると少しざらざらします。わかめご飯のおにぎりのように黒い粒と白い粒、うすピンク色の粒が、同じような大きさで入っています(等粒状組織)。入っている鉱物は、石英、長石(斜長石、カリ長石)、黒雲母などです。黒い粒(黒雲母)のところが浅くくぼんでいる場合があります。丸っこい形のものが多いです。 〇花崗斑岩‥‥‥無色透明~灰色っぽく見える石英、白~うすいピンク色の長石(斜長石、カリ長石)、黒っぽい緑色の黒雲母などが、岩石の中に斑点状に入り(斑状組織)、くっきり見えます。かどのとれた箱型から楕円形のものが多いです。石英の粒が斑点状に入り、他の鉱物は目立たない岩石もあり、石英斑岩とよびます。 〇溶結凝灰岩‥‥‥緑がかった灰色のものがよく見られますが、白っぽいもの、茶色っぽいもの、黒っぽいものなどがあります

河原の石編 その2 長良川沿い2 美濃市山崎大橋付近その2 :美濃市生櫛山崎大橋下流左岸の河原

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   河原にある石ころの名称を知るにはどうすればよいのでしょう。現在の河原にある石ころは上流にある岩石が削られ、流されてきたものですから、その川の上流に分布する岩石が河原の石ころになるのです。川の上流部にはそれほど多くの種類の岩石が分布しているわけではありませんから、限られた数の岩石を知っていれば、その河原の石ころについてだいたい見当がつきます。ただし、同じ岩体の岩石でもさまざまな見かけのものがあります。河原の石ころを全部知ろうと思わずに、代表的なものを知ろうと思われたほうがよいでしょう。そして、その代表的な岩石のどれと似ているのかを観察によってつかむことが大切です。 今回は、河原にある美濃帯堆積岩類の石灰岩、玄武岩質溶岩など(緑色岩とも呼ばれる)と、安山岩を載せました。上の写真は石灰岩、真中の写真は緑色岩、下の写真は安山岩です。以下にそれぞれの石の特徴を載せます。 〇石灰岩‥‥‥白色から灰色で表面がなめらかなものが多いです。表面の傷が白く粉っぽく見えます。他の岩石と比べるとやわらかく、ハンマーやくぎで簡単に傷がつきます。風化した表面をよく見ると、フズリナなどの化石が浮き上がって見えることがあります。一般的には、削られやすいため扁平で丸いです。 〇緑色岩‥‥‥緑色、暗い緑色、黄緑色で、あずき色がかることがあります。よく見ても結晶の粒は見えないことが多いですが、結晶の粒が大きい場合、光に反射させると細かくキラキラ光るものもあります。表面に幅のせまい割れ目やへこみのあることがあります。 いびつな形がふつうで、かどがとれて丸みがあります。 二酸化ケイ素(S i O 2 )の少ないマグマが海底に噴出した玄武岩類ですが、圧力や熱、熱水などにより変質作用を受けています。変質作用でできた鉱物の多くは緑色なので、全体に緑っぽい色の岩石となります。 〇安山岩‥‥‥暗い灰色のものが多いですが、白っぽいものもあります。白色と黒っぽい緑色をしたやや大きい斑点状の結晶(斑晶)がわかるものが多いです。白色の鉱物が長石(斜長石)で、黒っぽい緑色の鉱物が角閃石や輝石です。ただし、斑晶があまりはっきりしないものも見られ、砂岩と見まちがえる場合があります。丸っこい形のものが多いです。