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都市(名古屋)で見られる化石 その22 :名古屋栄のガスビル1階

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名古屋栄のガスビル(松坂屋の南)の1階の壁には、オアシス21からNHK名古屋放送局に至る通路の両側の壁と同じ、ベージュ色に近い白色で、線柄の入った石材が使われています。イタリア産のペルリーノキャーロと呼ばれる石灰岩です。この石材には、アンモナイト、ベレムナイトなどの化石が入っています。入っているアンモナイトは小さく、石材の色と似ているので、見つけにくいかもしれません。 中生代ジュラ紀(約 2 億 130 万年前~約 1 億 4500 万年前)や白亜紀(約 1 億 4500 万年前~ 6600 万年前)というと陸上では恐竜が繁栄し、翼竜が空を滑空し、首長竜などの海生爬虫類やアンモナイトが海洋を泳いでいた時代です。我々の祖先である哺乳類は細々ながら多様化を進め、鳥類は一部の恐竜の子孫として登場していました。ジュラマーブルイエローやここで紹介しているペルリーノキャーロという石灰岩は、そのような生き物たちが生きている時代に海洋で堆積したものです。その堆積物が2億~1億年ほどの時を経て石材として切り出され、日本へ運ばれ、建築部材の壁として使われているのです。あくまでも建材の壁ですので、装飾の意味として化石が入っているものを使っているのでしょう。しかし、せっかく身近で見られる化石なので、模様としてとらえるだけでなく、自然や地球科学に興味をもって詳しく見たり調べたりするのはどうでしょうか。また、化石を見たり、探したりすることによって、自然を大切にするきっかけになったり、二度と作られない化石に対して保存しようとする動きが出てきたりすることを願っています。 写真は8枚ありますが、いずれもガスビル1階の壁の写真です。一番上の写真は1階の壁を斜めから撮ったもので、石材はペルリーノキャーロです。上から2枚目から5枚目まではアンモナイトの化石です。スケールバーは1cmなのでいずれも小さいのがわかると思います。下の2枚はベレムナイトの断面です。下から2枚目は斜めの断面です。スケールをつけてありますが、指を一緒に撮った写真から長さを読み取ったものですから、正確さはやや欠けます。 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

都市(名古屋)で見られる化石 その21 :栄スカイルエレベーター近くの壁(B2F,B1Fと2F~5F)

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栄スカイルの1階のエレベーター周辺は、イタリア産の アウリジーナ・フィオリータという石材で 厚葉二枚貝が多く入っています。しかし、他の階のエレベーター周辺の壁は、いずれもウミユリが多く入った石灰岩からできています(石材名はわかりません)。 ウミユリは、「ユリ」という名前がついているため植物のような印象をもちますが、ヒトデやウニの仲間(棘皮動物)です。植物の茎のような一本の長い体の先端に、花弁のような腕を何本も広げたような形をしています。海中のプランクトンなどを捕らえ、餌としています。現在も水質の変化が少ない深海にすみ、体長は35cm~50cmで、生きている化石として知られています。幼体の間は自由に海を泳ぎまわることができますが、成体になると岩などに接着し、固着して生活を営むようです。ウミユリは全体が短い節に分かれているため、化石はそれらがばらばらになり、全形をとどめないことが多いです。日本からも多くの化石が見つかっています。 写真は9枚あります。一番上の写真は5Fのエレベーター近くの壁です。残りの8枚はウミユリの化石に近づいて撮ったもので、左上に何階で撮ったものかを示しました。B2F(上から2枚目)の写真はウミユリの縦断面、3Fの上(上から6枚目)の写真はウミユリの横断面です。スケールを示してありますが、指を一緒に撮った写真から長さを読み取ったものですから、正確さはやや欠けます。 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

都市(名古屋)で見られる化石 その20 :栄スカイル1F(栄メルサ)

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栄スカイルの1階には、今まで紹介したアウリジーナ・フィオリータという石材とペルリーノキャーロという石材(いずれもイタリア産)があり、いずれも化石が入っています。アウリジーナ・フィオリータは、1階のエレベーター周辺の壁に使用されていて、淡いグレーの石材の中に厚葉二枚貝が非常に多く入っています。また、ベージュ色に近い白色で線柄が入ったペルリーノキャーロは、1階と地下を結ぶエスカレーターの近くの壁にあり、小さなアンモナイトが確認できます。 都市の化石探しは、石材に化石が多く入っている場合は別ですが、1回目ではなかなか探せないことが多いです。慣れてくると、以前は見つからなくても次は見つかる場合があります。探している石材の中に、どのくらいの大きさのどのような色や形をした化石が入っているか見当がつくようになれば、入っている化石が見えてくるものです。だから、同じ場所でも何回か見ることは大切だと思います。ただし、化石が入っている場所は人通りが多いことがあるので、あまりしつこく見ていると怪しまれますし、通行の邪魔になるといけないので、あっさりと見て、もう一度来て見るのがよいと思っています。はじめのうちは、栄スカイル1階のペルリーノキャーロの石材中には、アンモナイトなどを見つけることができませんでした。しかし、同じ石材からなるガスビル1階の壁やオアシス21からNHKに向かう通路の壁で化石を探したあとで、栄スカイルの1階の壁を見るとアンモナイトとベレムナイトを見つけることができました。アンモナイトは小さく、クリーム色をしていること、ベレムナイトの断面は小さなドーナツ型で、茶色っぽい色をしていることを頭に思い浮かべながら探した結果です。 写真は6枚ありますが、上の3枚は栄スカイル1階のエレベーター周辺にある アウリジーナ・フィオリータの壁とその中 の厚歯二枚貝です。下の3枚は、1階の ペルリーノキャーロの壁と、その中にある小さなアンモナイト の写真です。下から2枚目の写真はアンモナイトの横断面、一番下の写真はアンモナイトの縦断面です。アンモナイトが白っぽいため、わかりにくいです。スケールを示してありますが、指を一緒に撮った写真から長さを読み取ったものですから、正確さはやや欠けます。 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

都市(名古屋)で見られる化石 その19 :名鉄瀬戸線栄町駅改札口裏のコンビニ外壁

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名鉄瀬戸線栄町駅の改札口の裏手にコンビニエンスストアがありますが、その外壁にクリーム色の石材が使われています。ポルトガル産のモカクリームと呼ばれる石材です。化石を多く含む石灰岩ですが、細かく割れているため砂粒が集まっているように見え、まるでクリーム色の砂岩のようです。そのため、少し離れて全体を眺め、クリーム色の中に濃い褐色をしたところを探すと、化石が入っているのがわかります。小さな巻貝、サンゴ、ウミユリ、腕足動物、石灰藻などの破片が含まれているようです。ここでは、小さな二枚貝の断面のような化石が多く見つかりますが、二枚貝ではなく腕足動物です。 腕足動物(腕足類)は、殻をもっていて外観が二枚貝に似ています。しかし、殻の内部に触手冠(しょくしゅかん)というブラシのような形をした餌をとらえる器官をもっていて、二枚貝と異なります。分類学的にも、軟体動物に属する二枚貝とは大きく異なります。外見的にも、腕足動物の2枚の殻はそれぞれ左右対称で、その点も二枚貝とは異なります。二枚貝は、2枚の同じ形をした殻を左右両側に備えています。足がある方が前で、水管がある方が後ですが、殻は一般的に前側よりも後側が長く、非対称です。私たちの体に置き換えてみると、二枚貝は肩の右側と左側に殻をもっているような感じで、後側の殻の方が長くなっています。それに対して、腕足動物は、私たちの体でいくと、腹側と背中側にそれぞれ形と大きさが異なる殻をもっているような感じです。通常、腹側の殻は背中側の殻に比べて大きく、より大きく膨らんでいます。そして、腹側の殻も背中側の殻もそれぞれ左右対称の形をしています。 写真は6枚ありますが、いずれも栄町駅改札口裏の壁の写真です。少し離れて見ると色の異なるところがありますので、近づくと写真のように化石が入っているのがわかります。1番上の写真はコンビニエンスストアの外壁の一部を撮ったもので、上から2~5番目の写真は1番上の写真に写っている壁を近づいて撮ったものです。腕足動物が多いです。特に、2番目の写真の中央少し上に写っている腕足動物の断面が一番わかりやすいです。上と下の殻の形は異なっていますが、それぞれは左右対称であることがわかります。1番下の写真はサンゴらしきもの(右側のもの)を撮ったもので、1番上の写真に写っている壁の右側面の壁で見られる化石です。上の写真以外はスケー

都市(名古屋)で見られる化石 その18 :オアシス21からNHK名古屋放送局への通路壁

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オアシス21からNHK名古屋放送局に至る通路の両側の壁は、ベージュ色に近い白色をしていて、線柄が入った石材です。イタリア産のペルリーノキャーロと呼ばれる大理石(正しくは石灰岩)です。ペルリーノキャーロの「ペルリーノ」はイタリア語で「真珠色の、真珠の輝きのある」を意味し、「キャーロ」は「明るい、輝くような」を指すようです。ペルリーノキャーロは、中生代の白亜紀(※)に形成された石灰岩で、アンモナイトやベレムナイト、ウニ、二枚貝などの化石を含むようです。( GSJ 地質ニュース Vol. 2 No. 8 「 ジオネットの 日 「エキスポセンター 館内化石 さがし」: 館内化石 の 解説 とイベント 報告」( 2013 年 8 月)より)※「中生代ジュラ紀の石材」と書かれてある書籍もあります。 同じ石材は、同じ場所で同じ時期に形成されたものです。そのため、同じ石材には同じ種類の化石が含まれています。興味をもってビルの中の化石を探すには、まず石材について理解することが大切になります。基本的なことですが、ビルの石材としてはマグマがゆっくり冷え固まった花崗岩と、石灰質の殻をもつ生き物の遺骸がもとになってできた大理石(石灰岩を含む)が多いです。もちろん、マグマが冷え固まった花崗岩には化石は含まれないですが、大理石(結晶質石灰岩)も基本的には石灰岩が熱や圧力によって結晶化したものなので、結晶化がしっかり行われている岩石であれば、化石は原形をとどめてはいません。そのため、化石が含まれている石材は限られているのです。特に、ドイツ産のジュラマーブルイエロー、トルコ産のクレマヌォーバ、スペイン産のロッソアリカンテ、イタリア産のペルリーノキャーロ、ペルリーノロザート、アウリジーナフィオリータ、ズベボロイヤル、ポルトガル産のモカクリームという石材(石灰岩)などは化石が多く入っています。石材については、西本昌司著「名古屋で見つける化石・石材ガイド」、全国建築石材工業会監修「原色石材大事典」、下坂康哉ほか著「世界の建築石材」などを参考にさせていただきました。ビル内の石材に興味をもちながら、多くを見ることで、どの見かけの石材にどのような化石が含まれているかがわかってくるでしょう。  写真は5枚ありますが、いずれもオアシス21とNHK名古屋放送局の間の通路壁写真です。化石が小さく、かつ石材の色

都市(名古屋)で見られる化石 その17 :セントラルパーク地下街2(西の通りの床と壁)

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  前回も書きましたが、セントラルパーク地下街の通路床の一部には、赤褐色をしたスペイン産のロッソアリカンテが使われています。アンモナイトが結構入っています。人通りが常にある場所なので、通行の妨げになるようではいけないので、1回につきあまり長い時間探し続けるわけにもいきませんでした。また、最初のうちはこの石材に入っているアンモナイトがどのような大きさのもので、どのように見えるかが頭の中に入っていなかったため、あっても見つけることができませんでした。何回か探すうちに、20個以上のアンモナイトが見られることがわかりました。 また、セントラルパーク地下街の西の通りの壁の一部、6番と8番出口付近の壁、およびセントラルアイの両側の壁には、次回「 都市で見られる化石その18」で紹介するイタリア産のペルリーノキャーロと呼ばれる大理石(正しくは石灰岩)が使われています。何度か探すと、アンモナイトとベレムナイトが数少ないですが確認できましたので、こちらも紹介します。 前回と同様、セントラルパーク地下街の図を入れました。赤丸の位置がアンモナイトなどの見られる床の場所で、青丸の位置が壁にアンモナイトなどが見られる場所です。写真は9枚ありますが、上の6枚(h~j)はセントラルパーク地下街の床、下の3枚(A、B)は壁の写真です。床で見られる化石は上から順に図のh~jです。それぞれの場所で2個ずつ確認しました。上から5枚まで(h~jの1枚目)はアンモナイトで、6枚目(jの2枚目)はベレムナイトです。 前述したように、セントラルパーク地下街の壁の一部には白っぽいペルリーノキャーロと呼ばれる石材が使われています。Aは6番出口付近の壁、Bは8番出口付近の壁を撮ったものです。Aの1枚目とB(下から3枚目と1番下)はアンモナイトの縦断面で、Aの2枚目(下から2枚目)はベレムナイトの断面です。写真にはすべてスケールが入っていますが、指などを一緒に撮った写真から長さを読み取ってつけたため、正確さはやや欠けます。 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)