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長良川鉄道沿いの地形・地質編 その30 相生駅~郡上八幡駅間の長良川対岸の砂岩層など :相生駅~郡上八幡駅間、相生駅を出発して約40秒後長良川対岸、右車窓より

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 長良川鉄道下りにおいて、相生駅を出てしばらくすると(約40秒後)、長良川沿いを30秒ほど通ります。その間は、右車窓から長良川の左岸(対岸)に露出している岩石を見ることができます。ここに分布している岩石は、混在岩と砂岩(砂岩泥岩互層も含む)です。相生駅を出発して約40秒後に、上の写真のような風景が見えます。赤丸で囲んである露頭は砂岩層(一部は砂岩泥岩互層)からなっています。 美濃地方に広く分布する美濃帯堆積岩類は、玄武岩質火山岩類、石灰岩、チャート、珪質泥岩、砂岩、泥岩などからなっています。これらの岩石は、海洋のプレートが陸地のプレートにもぐり込む際、海洋のプレートに載っていた堆積物が剥ぎ取られて陸地のプレートに付加したものです。付加した時に、海洋で噴出したものや浅海で堆積したもの、深海で堆積したもの、陸地から供給されたものが、混ざり合ったり、断層を伴って隣り合ったりするのです。砂岩や泥岩などは、陸地から海洋へ供給された砂や泥などがもとになっています。ここで見られる砂岩層は灰色をしていて、5mm以下の泥岩の岩片が少量入っていたり、部分的に砂岩泥岩互層が見られたりします。 地質図において、列車の車窓から見える露頭(×地点)は黄色( Mss )の中にあり、黄色は主に砂岩からなる地層です。写真が五種類ありますが、上の写真は前述しましたが相生駅を出発して約40秒後に右車窓から撮ったものです。中上の写真は、上の写真の赤丸で囲った露頭を近づいて南からパノラマで撮ったものです。真中の写真は、中上の写真の中央部を撮ったものです。中下の写真は、中上の写真に写っているハンマーの右少し離れたところをより近づいて同じく南から撮ったものです。黄色の定規の右側に右上から左下にかけて黒っぽい薄い層が見られますが、泥岩層です。下の写真は、砂岩のきれいな面を接写したもので、写真の縦は4cmです。スケールとして置いてあるハンマー、定規の長さはそれぞれ約28cm、約21cmです。真中と中下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

長良川鉄道沿いの地形・地質編 その29 相生駅手前の短い鉄橋(亀尾島川に架かる)下の層状チャート :深戸駅~相生駅間、深戸駅から出発して約4分50秒後(相生駅到着約40秒手前)、右車窓より下方を望む

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3年前の8月18日 「長良川沿いのチャートその3」、10月29日「長良川鉄道の車窓からみた岩石その13」、昨年の5月8日「長良川本流沿い露頭編その124」で紹介した亀尾島川に架かる短い鉄橋下の赤色層状チャートの露頭を再度紹介します。深戸駅を出発し4分50秒ほどたったところで、短い鉄橋を通過します。長良川の支流である亀尾島川に架かっている鉄橋です。その鉄橋を渡っている間、右車窓より下方を望むと、赤っぽい岩が見えます。赤色層状チャートの露頭です。 チャートは、深海底で放散虫などの微生物の遺骸が堆積したものがもとになっているため、堆積した当時の海水の状態を記録しています。チャートにはいろいろな色のものがありますが、その色は 含まれている微量成分によってつくのです。赤色(えんじ色)は 酸化鉄( Fe 2 O 3 )によるものです。そのため、赤色層状チャートを形成していることは、堆積当時の海水には酸素が豊富に含まれ、酸化的環境であったことを示すのです。ここの赤色層状チャートは、おもに2cm~4cmの厚さの赤色チャート層の間に、2mmほどの薄い泥岩層をはさんでいます。チャートの厚いところは10cmほどのところもあります。また、赤色チャート以外にも、淡青灰色のチャートの部分もあります。この露頭には、チャートだけではなく、そのチャートに入り込んでいる貫入岩も見られます。貫入岩は暗青灰色をしていて、斑晶は1mm以下で、斜長石が確認できるくらいです。確認できる貫入岩は、幅が2 . 5mほどのものと、18cm~23cmのものがあります。  地質図において、長良川鉄道の列車から見える露頭(×地点)はオレンジ色( Mch )の中にあり、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。写真が五種類ありますが、上の写真は長良川鉄道下りにおいて、深戸駅出発後約4分50秒のところで、橋梁の上から右車窓より下方を望んで撮ったものです。相生駅到着の手前40秒ほどのところです。中上の写真は赤色層状チャートと貫入岩の露頭を南からパノラマで撮ったもので、左上部に鉄橋が写っています。真中の写真は、中上の写真の中央右を撮ったものです。赤黒っぽく見えるのが赤色チャートで、暗灰色に見えるのが貫入岩です。写真に写っている貫入岩は幅が2 . 5mほどです。中下の写真は真中の写真の露頭に上がって東から撮ったもので、ハン

長良川鉄道沿いの地形・地質編 その28 深戸駅~相生駅間の鉄橋下(上流)のメランジュ(混在岩) :深戸駅~相生駅間、深戸駅から出発して4分弱後(第5長良川橋梁下)、右車窓より下方を望む

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前回「 長良川鉄道沿いの地形・地質編その27」は、第5長良川橋梁の上において左車窓(下り列車)から見た露頭を紹介しましたが、今回は右車窓から見た露頭を紹介します。深戸駅から相生駅に向かって出発してから約4分後に鉄橋を通ります。それが第5長良川橋梁です。右車窓から下方を見ると、河床に黒っぽい露頭が見えます。混在岩です。左車窓からは凸凹が目立っていてチャート(大きな岩塊)が見えますが、右車窓からは河床から顔を出した感じの露頭で左車窓と比べると平らに近いです。上の写真の赤丸で囲った露頭は橋脚から上流へ20m強にありますが、そこからさらに40mほど上流へ進むと、チャートや珪質粘土岩の大きな岩塊が見られます。(昨年の4月25日「長良川本流沿い露頭編その122」で紹介) 混在岩は、基質である泥岩の中に大小の礫(岩塊)が含まれる岩石です。ここの混在岩は、基質である黒色泥岩には割れ目が弱いながらもあり、入っている礫は灰色の砂岩が多いですが、チャートもあります。礫の大きさは数cm~10cm径のものが多いですが、数10cm~50cm径のものもあります。 地質図において、右車窓から見える露頭(×地点)は灰色( Mmx )の中にあり、灰色はメランジュからなる地層です。写真が五種類ありますが、上の写真は右車窓から下方を望んで撮ったものです。中上の写真は上の写真の赤丸で囲った露頭を近づいて南西からパノラマで撮ったもので、真中の写真は中上の写真の中央部を撮ったものです。中下の写真は、中上の写真(または真中の写真)に写っているハンマー付近をより近づいて撮ったものです。ハンマーの左と、その左上に礫が計3個写っていますが、いずれも砂岩です。下の写真は、露頭から見上げて列車を撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。真中と中下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真にある白丸または黒丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

長良川鉄道沿いの地形・地質編 その27 深戸駅~相生駅間の鉄橋下(下流)のメランジュ(チャート岩塊) :深戸駅~相生駅間、深戸駅から出発して4分弱後(第5長良川橋梁下)、左車窓より

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3年前の10月27日「長良川鉄道の車窓からみた岩石その11」、昨年の4月20日「長良川本流沿い露頭編その119」で紹介した第5長良川橋梁の下流側左岸河床露頭を再度紹介します。長良川鉄道の下りにおいて、深戸駅を出て約4分弱後に長良川に架かった鉄橋(第5長良川橋梁)を渡ります。鉄橋を渡りはじめた時に左車窓から下方を見ると、河床に岩石が露出しているのがわかります。チャートです。実際に長良川の左岸で露頭を見ると、いくつかの色のチャートが見られます。赤色(エンジ色)、淡緑灰色、暗青灰色、黒色などです。チャートの色については研究がされていて、チャートが堆積した海洋環境の状態を表していると考えられています。特に、黒色チャート(正しくは黒色に近いチャート)は、海洋が還元状態(酸素が乏しい状態)で堆積したと考えられていて、硫化鉄(主に黄鉄鉱)や炭素化合物など酸素の乏しい場所でできた物質を含んでいるようです。 地質図において、長良川鉄道の左車窓から見える河床露頭(×地点)は灰色( Mmx )の中にあり、灰色はメランジュからなる地層です。見えるのはチャートだと前述しましたが、メランジュ中の巨大なチャートの岩塊だと思われます。写真が四種類ありますが、上の写真は列車の左車窓から下方を望んで撮ったものです。中上の写真は上の写真の赤丸で囲んだ部分に近づいて南からパノラマで撮ったもので、中下の写真は中上の写真の中央部を撮ったものです。縦に入っている白い筋はチャートに貫入している石英脈で、他はチャートです。石英脈は、幅が5mm~5cmで、長さが10cm~40cmのものが多く、5cm幅で150cmほどの長さのものもあります。おもに、チャート層の層間に沿って入っています。ここで見られるチャートは暗青灰色をしたものと黒色をしたものがあります。暗青灰色のチャートは、数cm~10cm厚のチャート層に、灰色をした数mm~5mm厚の泥岩層をはさむ層状チャートです。黒色のチャートは、層状がはっきりしていません。 下の写真は同じ露頭を東からパノラマで撮ったものです。上の写真以外は「長良川本流沿い露頭編その119」でも使用しています。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるよう

長良川鉄道沿いの地形・地質編 その26 深戸駅~相生駅間で見られる西乙原地区の還流丘陵 :深戸駅~相生駅間、深戸駅から出発して3分40秒~4分後、左車窓より

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 3年前の10月28日「長良川鉄道の車窓からみた岩石その12」で紹介した八幡町西乙原地区の還流丘陵を再度紹介します。長良川鉄道下りにおいて、深戸駅を出発してから3分40秒~4分後くらいに左車窓に還流丘陵(一つの小山)が見えます。以前と比べると、還流丘陵の山林が成長しているので、丸っこい小山のような感じではなくなってしまいました。 還流丘陵は、 現在流れている河川の流路と、かつて流れていた河川の流路に囲まれている丘陵です。「 長良川鉄道沿いの地形・地質編その6、16」でも還流丘陵を紹介しました。 チャートなどの浸食に強い部分があると、浸食しやすい部分(泥岩や砂岩など)をおもに削りながら曲がりくねって川が流れます。しかし、曲がり方が大きくなると、流路はショートカットしてもとの流路につながってしまうことがあります。そうすると、蛇行部分が流路から切り離されることになります。その結果、曲がった流路の跡が低地となり、削り残った部分が丘陵となります。 地質図において、この還流丘陵(赤丸)は灰色( Mmx )で表されていて、灰色はメランジュからなる地層です。メランジュは、基質である泥岩の中に大小さまざまな礫や岩塊を含む地質体です。還流丘陵に近づいてみると、層状チャートが数箇所で確認できます。チャートの巨大な岩塊からなっているのかもしれません。写真が三種類ありますが、上の写真は深戸駅出発後3分40秒ほどたった時に列車の左車窓から撮ったものです。中と下の写真は、国道156号沿いで撮った写真です。中の写真は南から、下の写真は東から撮りました。中と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

長良川鉄道沿いの地形・地質編 その25 深戸駅~相生駅間の高速道橋脚近くの玄武岩とチャートの混在 :深戸駅~相生駅間、深戸駅から出発して約2分30秒後高速道の橋脚下付近、左車窓より

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 3年前の8月19日「長良川沿いのチャート層その4」、10月26日 「長良川鉄道の車窓からみた岩石その10」、昨年の3月21日「長良川本流沿い露頭編その111」で紹介した玄武岩とチャートが混在している露頭を再度紹介します。長良川鉄道下り列車において、深戸駅出発後2分30秒ほどたつと、深戸駅から2本目のトンネルを出ます。すぐ左車窓から外を眺めると、長良川対岸に , 高速道路の橋脚が見えます。高速道路の2基の橋脚(西と東)周辺に露頭はあります。2基の橋脚の間には、長良川鉄道の車窓からも赤色と緑色の色の違いを確認できる露頭があります。この露頭に近づいて見ると、チャートと玄武岩がマーブル状に混ざった状態が確認できます。両方ともやわらかい時に接触して混ざったと考えられます。 地質図において、この列車の車窓から見える露頭(×地点)は緑色( Mbs )とオレンジ色( Mch )の間にあります。緑色はおもに玄武岩質火山岩類からなる地層で、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。写真が五種類ありますが、上の写真は左車窓から撮ったものです。高速道路の2基の橋脚の間に緑色と赤色(エンジ色)の露頭がありますが、緑色は玄武岩で、エンジ色はチャートです。中上の写真は玄武岩とチャートが混在している露頭を近づいて南からパノラマで撮ったもので、真中の写真は中上の写真の中央少し左を撮ったものです。中下の写真は、中上の写真(または真中の写真)に写っているハンマー付近をより近づいて撮ったものです。緑灰色のものが玄武岩で、エンジ色、および白っぽい色のものがチャートです。下の写真は、真中の写真の露頭を南西から撮りました。上以外の写真は、「長良川本流沿い露頭編その111」でも使用している写真です。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。真中と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の●を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

長良川鉄道沿いの地形・地質編 その24 深戸駅~相生駅間の対岸(八幡町浅柄地区)に見られる玄武岩質溶岩(枕状溶岩) :深戸駅~相生駅間、深戸駅から出発して約1分45秒後、1本目のトンネル通過後、左車窓より

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  3年前の8月4日 「玄武岩質溶岩その2」、10月25日「鉄道車窓から見える岩石その9」、昨年の2月23日「長良川本流沿い露頭編その96」で紹介した郡上市八幡町浅柄の玄武岩質溶岩の枕状溶岩は、長良川鉄道の車窓からも見ることができます。再度紹介します。長良川鉄道下りにおいて、深戸駅を出発してしばらくするとトンネルに入ります。そのトンネルを通過後、左車窓から外を眺めると、建物が見えはじめ、南から4軒目(赤っぽい屋根)の下辺りに黒っぽい岩石が見えます。それが、玄武岩質溶岩(枕状溶岩)の露頭です。深戸駅を出発して約1分45秒後の地点です。 玄武岩質マグマの火山噴火が海底または海洋近くで起こり、噴出した溶岩が海水に触れると、西洋枕状をした溶岩の塊(枕状溶岩)が積み重なりながら固まります。玄武岩質溶岩は粘性が低く、さらさらで移動しやすいです。その熱い玄武岩質溶岩が海水などで急冷すると、表面だけが冷え固まって一度殻をつくります。しかし、内部は熱く、さらさらで移動しやすいため、できた殻を破って中の溶岩が流れ出します。そして、流れ出した溶岩が海水で急冷して殻をつくります。すると、中の熱い溶岩が殻を破って出てきます。このように、表面が急冷し殻をつくる→中から殻を破って溶岩が外へ出てくる→表面が急冷し殻をつくる→……を繰り返して、見かけ上西洋枕の形をした溶岩がいくつも積み重なっていくのです。 地質図において、車窓から見える枕状溶岩の露頭(×地点)は緑色の中にあり、緑色はおもに玄武岩質火山岩類(緑色岩)からなる地層です。緑色の中にレンズ状に分布するオレンジ色( Mch )は、おもにチャートからなる地層です。写真が五種類ありますが、上の写真は長良川鉄道の車窓から見える露頭を撮ったもので、赤丸で囲ってある露頭が枕状溶岩です。中上の写真は枕状溶岩の露頭に近づいて南東からパノラマで撮ったもので、真中の写真は中上の写真に写っているハンマーの右上周辺を南から撮ったものです。中下の写真は真中の写真の上部を同じく南から撮ったもので、下の写真は中下の写真に写っているスケール(コンベクス)の右をより近づいて撮ったものです。長細い楕円形のものが枕状溶岩で、間に白っぽい石灰岩が入っている部分もあります。中上と真中、中下、下の写真は、「長良川本流沿い露頭編その96」でも使用しています。スケールとして置いて