投稿

9月, 2021の投稿を表示しています

長良川本流沿い露頭編 その13 美濃市立花の長良川鉄道鉄橋下の砂岩泥岩互層 :美濃市立花右岸河床露頭(立花の長良川鉄道鉄橋、東海北陸高速道橋梁のほぼ下)

イメージ
    長良川鉄道下りの湯の洞温泉口駅から洲原駅間において、途中で長良川を渡ります。東海北陸道も長良川鉄道のほぼ上を通っています。鉄橋を渡るとすぐにトンネルに入りますが、渡った長良川の右岸側(北側)に露出しているのが砂岩泥岩互層です。砂や泥の混じったものが海底の斜面で移動し流れ込む時、粒子が粗い砂は下に、その上に粒子の細かい泥が堆積します。何回も繰り返して流れ込むと、砂と泥が縞状になって堆積し、それが固結し岩石になったものが砂岩泥岩互層です。ここで見られる砂岩泥岩互層は、数cm~20cmの厚さの暗青灰色の砂岩層に、1cm~数cmの厚さの黒色の泥岩層がはさまっている状況ですが、全体的には砂岩層が目立っています。また、この露頭の西へ400mほど進んだ長良川右岸には、チャート層が露出しています。 地質図において、×地点(立花の長良川鉄道鉄橋下右岸)には黄色( Mss )であるおもに砂岩からなる地層が分布していますが、オレンジ色( Mch )であるおもにチャートからなる地層も近くに分布しています。写真が四種類ありますが、上の写真は長良川鉄道の橋脚近くの砂岩泥岩互層を北からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。中下の写真は、上の写真のハンマーの置いてある位置に近づいて撮ったものです。下の写真は、ほぼ同じ露頭を西から撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマー、シャープペンシルの長さはそれぞれ約28cm、約14cmです。中上と中下、下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)

長良川本流沿い露頭編 その12 美濃市保木脇の玄武岩の岩塊・珪質粘土岩・砂岩と間に入り込む泥岩、及び石灰岩の岩塊 :美濃市保木脇左岸露頭(立花のメランジュ露頭の対岸)

イメージ
  「長良川本流沿い露頭編その11」で紹介した美濃市立花のメランジュ露頭の対岸(美濃市保木脇)にも、メランジュの露頭が見られます。美濃帯堆積岩類におけるメランジュは、泥岩の基質中にさまざまな種類(玄武岩・石灰岩・チャート・珪質泥岩・砂岩など)や大きさの礫、岩塊を含みます。ここでは基質である泥岩が数m径の玄武岩の岩塊を含むとともに、珪質粘土岩と砂岩の間に入り込んでいるという状況が確認できます。また、北へ40mほど離れた露頭では、石灰岩の岩塊と石灰岩質の角礫岩が見られます。 対岸のメランジュと同様に、砂岩層とチャート層の間に断層で挟まれて分布し、地質図には表現できる厚さのものではないため表現されていません。×地点の北東に分布する黄色( Mss )はおもに砂岩からなる地層で、南西に分布するオレンジ色( Mch )はおもにチャートからなる地層です。写真が五種類ありますが、上の写真は玄武岩の岩塊周辺を北からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央を撮ったものです。真中の写真は、玄武岩と基質の泥岩が接触している部分を近づいて撮ったものです。位置は、上の写真の「泥岩」と表記してあるところです。中下の写真は、北(上流)へ40mほど進んだ東露頭を西からパノラマで撮ったものです。左側には石灰岩が角礫となって固結している石灰岩質角礫岩、右側には石灰岩の岩塊があります。下の写真は、中下の写真の中央部を同じく西から撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマー、黄色の定規の長さはそれぞれ約28cm、約20cmです。中上と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)

長良川本流沿い露頭編 その11 美濃市立花のメランジュの露頭 :美濃市立花右岸(立花橋上流)露頭

イメージ
    メランジュは、もともとは混合を意味するフランス語で、いろいろな種類の岩石が複雑に混じりあった地質体を指します。 美濃帯堆積岩類においては、泥岩の基質中に、緑色岩(玄武岩質溶岩など)・石灰岩・チャート・珪質泥岩・砂岩などからなるさまざまな大きさの礫あるいは岩塊を数多く含む地質体です。海洋プレート上にのった堆積物(緑色岩・石灰岩・チャート・珪質泥岩・砂岩など)が、海溝部で大陸に付加される過程で、高い間隙水圧をもった泥が地層の間に注入しながら形成されると考えられているようです。 ここのメランジュは、研究者によって詳しく調査されています。砂岩とチャートの間に断層で挟まれて分布し、全体の厚さが50m~60mのようです。長良川沿い右岸側の露頭は北東-南西方向に分布していて、南西部では海洋プレートにのったチャート層と泥岩、砂岩層がもとになってそれらが混合しています。北東部では、海洋プレートにのった玄武岩、石灰岩、珪質粘土岩、チャート層などが泥岩の基質と混じりあっています。 地質図において、メランジュは表現されていませんが、5万分の1の地質図では1mm程度の厚さのものです。×地点の北東に分布する黄色( Mss )はおもに砂岩からなる地層で、南西に分布するオレンジ色( Mch )はおもにチャートからなる地層です。写真が四種類ありますが、上~中下の三種類の写真は、メランジュの露頭の北東部に分布している海洋プレートにのった玄武岩質溶岩(上の写真、南から撮影)、チャート角礫岩(中上の写真、南から撮影、上部に写っているのは玄武岩質溶岩)、珪質粘土岩(中下の写真、南西から撮影)です。なお、この露頭の一部は昨年の8月6日の「長良川沿いの玄武岩質溶岩その4」と同じで、上の写真はその時にも使用しています。下の写真は、メランジュの露頭の南西部に分布している砂岩層(南西から撮影)です。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。いずれの写真も同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の下部にある黒丸または白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)

長良川本流沿い露頭編 その10 美濃市立花橋上流のチャート中のドロストーン、チャート-ドロストーンの互層 :美濃市保木脇立花橋上流200mほど左岸露頭

イメージ
    美濃市保木脇・立花の立花橋周辺は、美濃帯堆積岩類のいろいろな岩石が露出しています。立花橋の200mほど上流の左岸河床露頭には、チャート中にドロストーンが入った露頭やチャートとドロストーンが互層になった露頭が見られます。ドロストーンは、ドロマイト( CaMg(CO 3 ) 2 )からなる岩石です。ドロマイトは、石灰岩を構成している CaCO 3 中のカルシウム分が、海水中でマグネシウムに置き換わったものと考えられています。9月23日の「長良川本流沿い露頭編その8」でも紹介したように、チャートと石灰岩は、形成条件が全く違う(石灰岩は浅い海で形成し、チャートは深い海で形成)ため、チャートと石灰岩が積み重なるように見える産状やチャートの中に石灰岩が入っているように見える産状の形成過程は正確にはわかっていないようです。 地質図の×地点が立花橋上流200mほどの左岸です。地質図においては、オレンジ色( Mch )となっていて、おもにチャートからなる地層として表記されています。写真が五種類ありますが、上の写真はチャート中にドロストーンが入った露頭を南東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を南から撮ったものです。真中の写真は、上の写真の右側下部を近づいて南西から撮ったものです。中下の写真は、上の写真のハンマーの左上の部分を中心に東からパノラマで撮ったもので、右側に写っているハンマーの周辺でチャートとドロストーンが交互に積み重なっていること(チャート - ドロストーンの互層)が確認できます。下の写真は中下の写真の右側を北東から撮りました。スケールとして置いてあるハンマーとシャープペンシルの長さはそれぞれ約28cm、約14cmです。中上と真中、下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)

長良川本流沿い露頭編 その9 美濃市立花橋下流のチャートの角礫岩、黒色泥岩層と黄鉄鉱 :美濃市保木脇立花橋数10m下流左岸露頭

イメージ
  地質図によると、×地点(立花橋数10m下流左岸露頭)には珪質粘土岩および優黒色泥岩からなる地層( Mto )が分布しています。この地層は、中生代三畳紀の層状チャートの基底部にあり、炭素の含有量が極めて高く、三畳紀初期における嫌気的な環境(酸素が欠乏している状態)を表す岩石とのことです。美濃市保木脇にある立花橋の30m弱下流の左岸河床露頭には、チャートの角礫岩と黒色の泥岩層が分布しています。また、周辺の黒色の泥岩層の中には、数cm径ほどの黄鉄鉱とみられるものが10数ヶ所で確認できました。確認した最大径の黄鉄鉱とみられるものは、8cm×5cmの平面形が長方形に近い形をしたもの(下の写真)です。チャートの角礫岩は、青灰色~黒色の数cm~10cm径のチャート角礫が多数含まれています。 地質図において、青紫色( Mto )は珪質粘土岩および優黒色泥岩からなる地層で、オレンジ色( Mch )はおもにチャートからなる地層、灰色( Msx )はメランジュ(※)からなる地層、黄色( Mss )はおもに砂岩からなる地層です。写真が四種類ありますが、上の写真はチャートの角礫岩の露頭を西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を北西から撮ったものです。中下の写真はチャートの角礫岩を近づいて撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマー、黄色の定規の長さは、それぞれ約28cm、約20 cm です。下の写真は黒色泥岩層に入っている黄鉄鉱を近づいて撮ったもので、写真に写っている黄色の定規は17 . 5cmです。中上と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より  岐阜県博物館提供) ※メランジュ……いろいろな種類の岩石が複雑に混じりあった地質体を指します。美濃帯堆積岩類においては、泥岩の基質中に石灰岩・緑色岩・チャート・珪質泥岩・砂岩などさまざまな大きさの礫あるいは岩塊を数多く含む地質体です。

長良川本流沿い露頭編 その8 美濃市立花橋下流のチャート中の石灰岩 :美濃市保木脇立花橋下流左岸露頭

イメージ
    昨年の8月12日 「長良川沿いの石灰岩その3」、11月15日「長良川沿いの石灰岩その4」で紹介したように、長良川沿いにはチャートと石灰岩が繰り返して積み重なっている岩石やチャート中に石灰岩が入っている岩石が見られます。石灰岩は浅い海で形成し、チャートは深い海で形成します。そして、石灰岩は深い海だと溶けてしまい形成されません。このようにチャートと石灰岩は、形成条件が全く違うため、チャートと石灰岩が積み重なるように見える産状やチャートの中に石灰岩が入っているように見える産状の形成過程は正確にはわかっていないようです。ここでは、チャートの中に不定形の石灰岩が入っているのが確認できます。ここの近辺にはチャートが分布していますが、石灰岩が入っているのは狭い範囲内に限られているようです。 地質図において、オレンジ色( Mch )はおもにチャートからなる地層です。近くには砂岩層など違う岩層が分布しています。×地点が、立花橋下流右岸のチャート中に石灰岩が見られる場所です。写真が四種類ありますが、上の写真はチャート中に石灰岩が見られる露頭を北東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央下部を撮ったものです。白く見えるのが石灰岩で、他はチャートです。中下の写真は中上の写真の中央部を近づいて撮ったものです。下の写真は、上の写真とほぼ同じ場所を南から撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマー、黄色の定規、シャープペンシルの長さはそれぞれ約28cm、約20cm、約14cmです。中上と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より  岐阜県博物館提供)

長良川本流沿い露頭編 その7 美濃市美濃橋上流のチャート中の甌穴と層状チャート :美濃市前野美濃橋上流左岸露頭

イメージ
    美濃市にある美濃橋(赤色の橋)の左岸(東)側に岩石が露出しています。チャートでできていて、上から見ると2 . 8m×2 . 3mほどの楕円形をしている甌穴があり、「お姫の井戸」と呼ばれています。美濃橋の脇から川へ下りる階段がついており、そこに「お姫の井戸」にまつわる伝説の表示板があります。9月13日の「長良川本流沿い露頭編その3」でも書きましたが、甌穴はチャートのように河床の岩盤が硬く、激しい流れを生じるところであれば見られます。甌穴の周辺ではチャートが層になっていることがわかりにくいですが、甌穴の東へ10m弱進んだところには層状チャートが見られます。また、褶曲しているのが確認できます。1cm~10cmほどの厚さをもった淡灰色~黄灰色のチャート層が積み重なっています。ただし、間にはさまる泥岩層はわかりにくいです。 地質図では、オレンジ色( Mch )がおもにチャートからなる地層です。また、×の南に分布する点と多角形の模様が入った空色( a2 )が美濃帯堆積岩類を覆って平地や緩傾斜地をつくっている第四紀の堆積物です。写真が四種類ありますが、上の写真はチャート中の甌穴(お姫の井戸)を東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央左を撮ったものです。白いスケールの長さは1mです。中下の写真は、甌穴から東へ10m弱進んだところにある層状チャートを西からパノラマで撮ったもので、下の写真は中下の写真の中央部を南西から撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より  岐阜県博物館提供)

長良川本流沿い露頭編 その6 美濃市下渡橋下流の層状チャート中の石英斑岩 :美濃市横越下渡橋下流右岸露頭

イメージ
    美濃市横越の下渡橋の下流側右岸に岩石が露出しています。近寄って見ると、暗青灰色~灰色の層状チャートと淡黄灰色の石英斑岩が接触しているのがわかります。 長良川沿いには美濃帯堆積岩類が広く分布しますが、それを貫くように、花崗斑岩や石英斑岩などの貫入岩を所々で見ることができます。花崗斑岩や石英斑岩などの貫入岩は、マグマが高温の液体の状態で他の岩石に貫入し、冷え固まった岩石です。美濃帯堆積岩類が大陸に付加した後に、現在長良川の東側に広く分布する濃飛流紋岩や西側に分布する奥美濃酸性岩類に関連したと思われるマグマの一部が貫入し冷え固まり、現在分布しているのです。花崗斑岩は一般には ガラス質または細粒の結晶からなる石基の中に、石英や長石、黒雲母などの大きな結晶(斑晶という)が入っている岩石です。 花崗斑岩の中で、石英の自形結晶(斑晶)が目立つものを石英斑岩と呼びます。石英斑岩は花崗斑岩と比べると斑晶が少なく、長石の斑晶が目立たないことが多いです。 地質図には石英斑岩が表現されていませんが、この地質図は5万分の1の縮尺です。公表されている最大の縮尺の地質図も5万分の1です。露頭で見る限りこの石英斑岩の幅は15mほどであり、5万分の1の縮尺で表すと0 . 3mmとなってしまいます。そのために、現実的に描き表すことができません。ですから、このような貫入岩が地質図に表現されていなくてもおかしいことではありません。 地質図において、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。×地点が下渡橋下流右岸です。写真が四種類ありますが、上の写真は下渡橋下流右岸を北からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。中下の写真は中上の写真の左側を近づいて撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。下の写真は石英斑岩を接写したもので、写真の縦は3cmです。中上と中下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の●を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より  岐阜県博物館提供)

長良川本流沿い露頭編 その5 美濃市笠神の砂岩層、泥岩層、砂岩泥岩互層 :美濃市笠神長良川右岸露頭(東海環状自動車道長良川橋脚から北西へ300mほど)

イメージ
    東海環状自動車道は美濃関ジャンクションを西へ進むと長良川を渡ります。その長良川を渡る東海環状自動車道から北西へ300mほどの長良川右岸に岩石が露出しています。基本的に砂岩及び泥岩の互層からなる地層ですが、露頭では砂岩層や泥岩層、砂岩泥岩互層が見られます。美濃帯堆積岩類の中で、玄武岩質溶岩、石灰岩、チャートなどは陸側の影響を受けないような海洋で噴出したり堆積したりしたものですが、ここで見られるような砂岩や泥岩は、陸から川の流れによって海洋へ運び込まれた砂や泥が堆積したものです。そして、海洋で堆積した砂や泥が斜面崩壊などによって斜面を移動し、再び堆積し砂岩泥岩互層のような地層も作り出します。 地質図では、うすい茶色( Mal )が砂岩及び泥岩の互層からなる地層で、黄色( Mss )がおもに砂岩からなる地層、オレンジ色( Mch )がおもにチャートからなる地層です。×の場所が美濃市笠神の露頭です。写真が四種類ありますが、上の写真は右岸露頭を北東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央左側を同じく北東から撮ったものです。露頭の下部の黒っぽいのが泥岩層で、上部の灰色のものが砂岩層です。中下の写真は同じ露頭の違う場所を南東からパノラマで撮ったもので、下の写真は中下の写真のハンマーの右上の部分を近づいて東から撮ったものです。下の写真には砂岩泥岩互層が写っています。スケールのハンマーの長さは約28cmです。中上と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より  岐阜県博物館提供)

長良川本流沿い露頭編 その4 関市池尻の砂岩泥岩互層と砂岩層内の甌穴 :関市池尻の長良川左岸河床露頭

イメージ
    関市池尻のホテルから東へ100mほど進むと川原へ降りることができるので、そこから長良川右岸を上流に向かって進むと河床に露頭があります。南から北に向かって、砂岩泥岩互層、砂岩層、砂岩泥岩互層、砂岩層が分布しています。砂岩泥岩互層は砂岩層と泥岩層が交互に堆積している地層です。砂と泥が混じったものが水の中で移動した(流れ下った)時に、砂層の上に泥層が堆積しますが、それが繰り返されると砂層と泥層が交互に堆積し、固結すると砂岩泥岩互層となります。北に分布する砂岩層には甌穴も見られます。 地質図は黄色( Mss )がおもに砂岩からなる地層を示し、オレンジ色( Mch )がおもにチャートからなる地層を示しています。×地点がこの場所です。写真が四種類ありますが、上の写真は長良川右岸河床の砂岩泥岩互層を南からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央下部を撮ったものです。中下の写真は北へ進んで砂岩層を南西からパノラマで撮ったもので、中央少し下に写っているのが甌穴です。下の写真は、甌穴を南から撮ったもので、右の甌穴は二段になっていて、下部の穴は直径が45cmほどの円形で、上部は90cm×65cmの楕円形になっています。スケールのハンマーの長さは約28cm、黄色の定規の長さは約20cmです。中上と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸または黒丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より  岐阜県博物館提供)

長良川本流沿い露頭編 その3 関市重竹の層状チャート、甌穴 :関市重竹長良川左岸露頭

イメージ
    6月20日付けの「県内美濃地方編その56 関市・郡上市周辺2」で紹介した関市重竹長良川左岸層状チャートと同じ場所です。 関市重竹の河川施設(重竹逆水樋門)の北西50mほどの露頭です。今回は、甌穴を中心に紹介します。チャート層などの硬い岩盤に円形や楕円形などの穴があいていることがありますが、この穴を甌穴、あるいはポットホールと呼びます。上流から運ばれてきた石が岩盤の表面にある割れ目などにひっかかり、強い流れの中でその石が回転し、ドリルのように岩盤に穴をあけるのです。岩盤が硬くない場合は、穴ができても周りがくずれるため、しっかりとした穴が残りません。そのため、甌穴は河床の岩盤が硬く、激しい流れを生じる場所であれば、どの河川でも見られます。 地質図の×地点がこの露頭箇所ですが、おもにチャートからなる地層(オレンジ色( Mch ))が分布しているのがわかります。写真は三種類ありますが、上の写真は層状チャートの中にある甌穴を西からパノラマで撮ったもので、真中の写真は甌穴を北から撮ったものです。甌穴の脇にあるスケールの長さは1mです。この甌穴は、上から見ると1 . 8×1 . 5mほどの楕円形です。下の写真は、違う場所の層状チャートを北から撮ったもので、褶曲しているのがわかります。写真の左側にあるハンマーの長さは約28cmです。真中と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の●を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より  岐阜県博物館提供)

長良川本流沿い露頭編 その2 関市鮎之瀬大橋下流の層状チャート :関市小瀬鮎之瀬大橋下流左岸河床露頭

イメージ
    関市の市街地から国道418号で旧武芸川町に向かう途中に鮎之瀬大橋がありますが、その橋の下流(西側)300mほどのところに河床から露出している岩石があります。それは美濃帯堆積岩類の層状チャートです。 日本地質学会が2018年に創立125周年を迎えるにあたって、全国47都道府県において、その県に特徴的に産出する、あるいは発見された岩石・鉱物・化石をそれぞれの「県の石」として選定しました。岐阜県の県の石(岩石)はチャートです。美濃地方にはチャート層が広く分布しています。美濃帯堆積岩類の中のチャート層は、古生代のペルム紀(2億9000万年~2億4500万年前)から中生代のジュラ紀(2億800万年~1億4600万年前)の時期に、砂や泥が流れ込まないような陸地から離れた深海底に堆積したものです。径が1mmより小さい放散虫などの生物の遺骸等が、1000年に数mmといわれるほどゆっくり堆積して形成された地層です。 ここの露頭では、厚さ1cm~5cmほどのチャート層と厚さ1mm前後の泥岩層が繰り返して堆積しています。このように、チャート層と薄い泥岩層が繰り返して堆積しているものを層状チャートとよびます。またここでは、厚さ1cm弱~2cmほどのチャート層と厚さ1mm以下の泥岩層が、50層ほど繰り返して堆積している部分も見られます。 地質図の×地点は鮎之瀬大橋下流の河床露頭ですが、ここは河床ですので全体的には礫(石)が堆積していて、地質図にはチャートの表示はされていません。しかし、その河床礫の下にはチャートがあり、それが露出しているのです。地質図において、オレンジ色( Mch )はおもにチャートからなる地層で、黄色( Mss )はおもに砂岩からなる地層です。写真は四種類ありますが、上の写真は層状チャートの露頭を南西からパノラマで撮ったものです。中上と中下の写真は、上の写真の中央下部をそれぞれ南と南西から撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。下の写真は、中下の写真の中央辺りを近づいて撮ったもので、写真の縦は10cmです。厚さ1cm弱~2cmほどのチャート層と厚さ1mm以下の泥岩層が、50層ほど繰り返して堆積している層状チャートの一部を撮りました。中上と中下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目