長良川本流沿い露頭編 その9 美濃市立花橋下流のチャートの角礫岩、黒色泥岩層と黄鉄鉱 :美濃市保木脇立花橋数10m下流左岸露頭

 地質図によると、×地点(立花橋数10m下流左岸露頭)には珪質粘土岩および優黒色泥岩からなる地層(Mto)が分布しています。この地層は、中生代三畳紀の層状チャートの基底部にあり、炭素の含有量が極めて高く、三畳紀初期における嫌気的な環境(酸素が欠乏している状態)を表す岩石とのことです。美濃市保木脇にある立花橋の30m弱下流の左岸河床露頭には、チャートの角礫岩と黒色の泥岩層が分布しています。また、周辺の黒色の泥岩層の中には、数cm径ほどの黄鉄鉱とみられるものが10数ヶ所で確認できました。確認した最大径の黄鉄鉱とみられるものは、8cm×5cmの平面形が長方形に近い形をしたもの(下の写真)です。チャートの角礫岩は、青灰色~黒色の数cm~10cm径のチャート角礫が多数含まれています。

地質図において、青紫色(Mto)は珪質粘土岩および優黒色泥岩からなる地層で、オレンジ色(Mch)はおもにチャートからなる地層、灰色(Msx)はメランジュ(※)からなる地層、黄色(Mss)はおもに砂岩からなる地層です。写真が四種類ありますが、上の写真はチャートの角礫岩の露頭を西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を北西から撮ったものです。中下の写真はチャートの角礫岩を近づいて撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマー、黄色の定規の長さは、それぞれ約28cm、約20cmです。下の写真は黒色泥岩層に入っている黄鉄鉱を近づいて撮ったもので、写真に写っている黄色の定規は17.5cmです。中上と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)

※メランジュ……いろいろな種類の岩石が複雑に混じりあった地質体を指します。美濃帯堆積岩類においては、泥岩の基質中に石灰岩・緑色岩・チャート・珪質泥岩・砂岩などさまざまな大きさの礫あるいは岩塊を数多く含む地質体です。






コメント

このブログの人気の投稿

長良川鉄道沿いの地形・地質編 その45 「ジオ鉄」って何?

都市(名古屋)で見られる化石 その14 :アンモナイトの化石の断面とドーナツの断面

都市(名古屋)で見られる化石 その7 :名古屋駅近辺ミッドランドスクエア3階の壁の厚歯二枚貝、柱のサンゴ