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長良川鉄道の車窓からみた岩石 その13

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  8月18日の「長良川沿いのチャート層その3」と同じ場所を長良川鉄道の車窓から眺めることができます。長良川鉄道下りの場合、 相生駅に到着する 40秒ほど前 に通過する長良川の支流(亀尾島川)を横切る小さな鉄橋下に、赤色チャート層が露出しています。そのチャート層には、幅20 cm 前後、及び2m弱の安山岩質と思われる岩脈がほぼ南北方向へ延びています。これらは、層状チャートが堆積し、美濃帯堆積岩類が日本列島に付加した後、割れ目などの弱いところにマグマの一部が入り込んで冷え固まった岩石(貫入岩と呼ぶ)です。 下り列車の場合、深戸駅を出てから約4分30秒のところで、鉄橋の上から車窓右側下方に赤色チャート層を眺めることができます。美濃駅からは約39分後です。 写真が三種類ありますが、上の写真は列車の車窓から撮ったもの、真中の写真は露出しているチャート層を東から撮ったもの、下の写真は北から撮ったものです。真中の写真で中央部の左右に延びる黒っぽい帯状のもの、下の写真で中央やや右側に上下に延びる黒っぽい帯状のものが貫入岩です。真中と下の写真は、同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下にある●を左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重なり合わせるように見ると立体的に見えます。

長良川鉄道の車窓からみた岩石 その12

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  10月19日の「長良川鉄道の車窓からみた岩石その5」で、郡上市美並町根村の還流丘陵について紹介しました。長良川鉄道では、深戸駅と相生駅の間(郡上市八幡町西乙原)でも還流丘陵が車窓から眺められます。 下り列車の場合、深戸駅を出て4分ほどのところで、小山(還流丘陵)が車窓の左側に見えます。美濃市駅を出てからは、約38分のところです。 写真は二種類ありますが、上の写真は列車の車窓から北西側を撮ったものです。下の写真は国道156号から還流丘陵を撮ったものです。下の写真に写っている橋は長良川鉄道の鉄橋です。下の写真において、右と左それぞれの写真の下の●を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。  

長良川鉄道の車窓からみた岩石 その11

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  長良川鉄道の下りにおいて、深戸駅を出て約4分後に長良川に架かった鉄橋を渡ります。鉄橋を渡りはじめた時に車窓の左側を見ると、岩石が露出しているのがわかりますが、チャート層です。実際に長良川の左岸で見ると、いくつかの色のチャート層が見られます。赤色(エンジ色)、淡緑灰色、暗青灰色、黒色などです。 写真が三種類ありますが、上の写真は列車の車窓から撮ったもの、真中の写真は長良川左岸より北をパノラマ的に撮ったものです。真中の写真にはチャート層と鉄橋(右上)、中央上部に還流丘陵(長良川鉄道の車窓からみた岩石その12で紹介予定)が写っています。下の写真は真中の写真の中央近くのチャート層に近づいて撮ったものです。チャート層に白っぽい細いものがいくつか入っていますが、石英の脈です。下の写真だけは、同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下にある●を左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重なり合わせるように見ると立体的に見えます。

長良川鉄道の車窓からみた岩石 その10

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  8月19日の「長良川沿いのチャート層その4」と同じ場所を長良川鉄道の車窓から眺めることができます。郡上市八幡町名津佐の長良川右岸にある高速道路の橋脚付近で、玄武岩質溶岩とチャート層が混在しているのが見られます。 下り列車において、深戸駅を出て2分40秒ほどたったところで2つめのトンネルを出ます(美濃駅から約37分のところ)。すぐ車窓左側を見ると , 高速道路の橋梁が見え、長良川右岸に橋脚が2本あるのがわかります。その2本の間に岩石が露出しています。玄武岩質溶岩と赤色のチャートが交じり合ったように存在しています。以前高速道路の橋梁が一本のときは、玄武岩質溶岩の中に赤色チャートのブロックが見られる場所もありました。 写真が四種類ありますが、一番上の写真は列車の車窓から高速道路の橋脚付近を撮ったものです。上から二番目の写真は2基の橋脚の間を東から撮ったもので、玄武岩質溶岩と赤色チャート層が混在しています。下から二番目の写真は玄武岩質溶岩と赤色チャート層が混在したところを南から撮ったものです。一番下の写真は15年ほど前に撮った玄武岩質溶岩中にチャート層のブロックが入ったところです。現在は見ることができません。下から二番目の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下にある●を左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重なり合わせるように見ると立体的に見えます。

長良川鉄道の車窓からみた岩石 その9

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  8月4日の「長良川沿いの玄武岩質溶岩その2」と同じ場所を長良川鉄道の車窓から眺めることができます。玄武岩質の枕状溶岩が長良川右岸に見えるのですが、西洋の枕状(または俵状)をした溶岩がいくつも積み重なっている状態を確認できるところはなかなかなく、美濃地方ではきれいにはっきりと見える場所の一つです。下り列車の場合、深戸駅を出てから約1分45秒後(美濃駅からは約36分後)に車窓左側から長良川右岸を眺めていると見ることができます。深戸駅を出て、しばらくするとトンネルに入ります。そのトンネルを出た後、車窓左側に建物が見えはじめ、南から4軒目の下あたりに黒っぽい岩石が露出しています。それが枕状溶岩です。すぐ北(下り列車の進行方向)には、支流が合流しているのが見られます。 写真が二種類ありますが、上の写真は列車の車窓から撮ったもの、下の写真は川原から北を向いて撮ったものです。下の写真において、右と左それぞれの写真の下の●を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。

長良川鉄道の車窓からみた岩石 その8

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  長良川鉄道の赤池駅の西にも東にも長良川を渡る鉄橋があります。その鉄橋から長良川沿いに露出する岩石を眺めることができます。下り列車の場合、西の鉄橋から20秒ほどで赤池駅に到着します。その露出する岩石の様子は「長良川鉄道の車窓からみた岩石その7」で紹介しました。 赤池駅を出てから30秒ほどで東の鉄橋を渡りますが、車窓の右側から岩石が眺められます。鉄橋を渡った側(長良川左岸側)に混在岩とチャート層が露出しています。 写真が三種類ありますが、上の写真は列車の右側車窓から撮ったもの、真中の写真は長良川左岸で北より撮ったものです。ハンマーが写っている手前は混在岩で、奥に写っているのがチャートです。ハンマーの右上に写っているのはコンクリートの大きなブロックです。下の写真は真中の写真でハンマーが写っている付近を近づいて撮ったもので、混在岩です。ここの混在岩は泥岩の基質に砂岩とチャートの岩塊が入っています。  

長良川鉄道の車窓からみた岩石 その7

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  8月20日の「長良川沿いのチャート層その5」、9月10日の「長良川沿いのメランジュその5」、9月22日の「長良川沿いの珪質粘土岩その5」と同じ場所を長良川鉄道の車窓から眺めることができます。下り列車の場合、美濃市駅を出てから約31分で赤池駅に着きますが、その20秒ほど手前で鉄橋を通ります。手前の苅安駅を出てから1分40秒ほどです。鉄橋を渡っている間、車窓右側に広く岩石が露出しているのが見えます(上の写真)。手前(写真では下部)に見えるのは混在岩で、奥(写真では中央部から上部)に見えるのはチャート層です。 写真が二種類ありますが、上の写真は列車の車窓から撮ったもの、下の写真は列車から降りて川に近づいて南東から撮ったものです。

長良川鉄道の車窓からみた岩石 その6

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  9月9日の「長良川沿いのメランジュその4」と同じ場所を長良川鉄道の車窓から眺めることができます。下り列車の場合、大矢駅を出て1分弱のところで、左側車窓から長良川左岸に岩石が露出しているところが見えてきます。少したつとトンネルに入りますので、トンネルに入るまでの間しか見られません。美濃市駅を出てからは、約23分のところです。「メランジュその4」で紹介したように、チャート層の岩体と 黒っぽい泥岩中に 砂岩の岩塊が入っている岩体(混在岩)が接したり、チャートと砂岩が接したりするものが川原では見られます。 写真が三種類ありますが、上の写真は列車の車窓から撮ったもの、真中の写真はチャート層と混在岩が接しているところを東から撮ったものです。下の写真は真中の写真のチャート層を近づいて撮ったものです。下の写真だけ同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下にある白丸を左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重なり合わせるように見ると立体的に見えます。

長良川鉄道の車窓からみた岩石 その5

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  郡上市美並町根村には、長良川の右岸側(西側)に還流丘陵とよばれる小山があります。還流丘陵は、 現在流れている河川の流路と、かつて流れていた河川の流路に囲まれてできた丘陵です。現在の川は、人間がつくった堤防と呼ばれる人工物によってさえぎられている場合が多いため、真っ直ぐに流れるのが川の性質のように思われがちです。しかし、川は曲がりくねって流れる(蛇行と呼ぶ)のが本来の姿です。長良川本流の大部分は、美濃帯堆積岩類と呼ばれる岩石の中を流れています。美濃帯堆積岩類は付加体堆積物であるため、チャートのような侵食に強い岩石と、泥岩や砂岩のような侵食にそれほど強くない岩石が接して分布しているところがあります。チャートなどの硬い部分があると侵食しにくいため、侵食しやすい部分(泥岩や砂岩など)を削りながら曲がりくねって川は流れようとします。しかし、曲がり方が大きくなると、流路はショートカットしてもとの流路につながってしまいます。そうすると、蛇行部分が流路から切り離されることになります。その結果、曲がった流路の跡が低地となり、残った部分が丘陵となります。 長良川鉄道下りの場合、みなみ子宝温泉駅を出て約1分30秒のところで、車窓の左側に還流丘陵が見えます。美濃市駅を出てからは、約21分30秒のところです。 写真が二種類ありますが、上の写真は列車の車窓から西側を撮ったものです。下の写真は線路脇から南東より還流丘陵を撮ったものです。下の写真において、右と左それぞれの写真の下の●を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。

長良川鉄道の車窓からみた岩石 その4

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  「長良川鉄道の車窓からみた岩石その3」の場所から北(長良川上流)へ400mほどのところに混在岩、チャート層、貫入岩が長良川右岸に露出しています。長良川鉄道からは、下りの列車でみなみ子宝温泉駅を出て、約25秒後に左の車窓から見えます。長良川右岸の先には還流丘陵が見えますが、これについては「長良川鉄道の車窓からみた岩石その5」で紹介します。 写真は四種類ありますが、一番上の写真は列車の車窓から長良川右岸を撮ったものです。上から二番目の写真は混在岩を、下から二番目の写真はチャート層を、一番下の写真はチャート層中の貫入岩を撮ったものです。一番上の写真以外は、長良川右岸で東から撮りました。上から二番目の混在岩は、黒色の泥岩基質に数cm~数10cmの径をもつ砂岩の岩塊が入っています。一番下の貫入岩(写真では茶色っぽく見える部分)は1mm以下の石英が点在していますので石英斑岩と思われますが、幅2mほどでチャート層を貫入しています。 一番上の写真以外は三種類とも、同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下にある黒丸または白丸を左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重なり合わせるように見ると立体的に見えます。

長良川鉄道の車窓からみた岩石 その3

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 長良川鉄道には、みなみ子宝温泉駅があります。下りの列車でみなみ子宝温泉駅を出て、すぐ左の車窓から長良川沿いを見ると、対岸に黒っぽい岩石が露出しているのが見えます。 それらはチャート層や珪質泥岩層ですが、川原へ下りて近づくことができれば、下の写真(一番下)のようにチャート層と珪質泥岩層が接している部分も見られますし、珪質泥岩層にチャートが礫として含まれていのるがわかります。 写真は三種類ありますが、上の写真は列車の車窓から長良川右岸を撮ったものです。真中の写真は長良川右岸で南からチャート層を撮ったものです。下の写真は東からチャート層と珪質泥岩層が接しているところを撮ったものです。真中の写真において、同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下にある左の白丸と右の白丸を重なり合わせるように見ると立体的に見えます。

長良川鉄道の車窓からみた岩石 その2

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長良川の中で、郡上市美並町の国道156号に架かる「木尾橋」の下の水深が一番深く、20mほどの水深であると聞いています(岐阜県中濃消防組合の消防署員談)。「木尾橋」の下は河川の攻撃斜面であるため浸食が激しいことに加えて、周辺の構成岩石であるチャートが非常に硬いことに関連していると思われます。チャート層に見られる甌穴のように、チャート層内のある場所がいったん水流による礫(石ころ)の回転によって削られると、 どんどん深く穴をあけ、硬いため周りが削られることなくその深い穴が保存されることになります。 下り列車の場合、母野駅を出て、一つ目のトンネルを出たところで木尾橋の隣を通ります。美濃市駅を出てから約13分30秒のところ(母野駅を出て約1分のところ)で、車窓右側から木尾橋と長良川が見えます。また、「長良川沿いの花崗斑岩その1」で紹介した花崗斑岩が木尾橋の向こうに見えます。 写真が三種類ありますが、上の写真は列車の車窓から木尾 橋と川を撮ったものです。真中の写真は長良川鉄道トンネルの北口の東で見られるチャートです。下の写真は長良川右岸から撮った花崗斑岩(手前)と木尾橋(奥)です。下の写真において、右と左それぞれの写真の下の●を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。

長良川鉄道の車窓からみた岩石 その1

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  長良川鉄道は美濃市から郡上市大和町にかけて長良川に沿って通っているため、長良川沿いに露出している岩石を多くの場所で車窓から眺めることができます。車窓から見た岩石の状況について紹介します。 8月3日の「長良川沿いの玄武岩質溶岩」と同じ場所を長良川鉄道の車窓から眺めることができます。下り列車の場合、美濃市駅を出てから約11分で洲原駅に着きます。洲原駅で長良川を見ると赤い洲原橋があります。そこを越え長良川を見ていると、左岸(東側)に連続して露頭が見えますが、これは砂岩です。車窓右側前方を見ると、右岸に島状の岩が見えます。それが玄武岩溶岩です。やや黒っぽく見えます。 写真が二種類ありますが、上の写真は列車の車窓から撮ったもの、下の写真は列車から降りて北から撮ったものです。下の写真で、島状の玄武岩質溶岩の前方に写っているのは砂岩です。下の写真において、右と左それぞれの写真の下の●を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。

長良川沿いの安山岩(夫婦滝など)

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  長良川沿いの安山岩(夫婦滝など) 白鳥流紋岩の分布域(地表近くにおける)の北には、大日ヶ岳や鷲ヶ岳をつくっている安山岩が分布しています。その安山岩を手軽に観察できるのが国道156号線の近くで見られる滝です。国道156号線に沿って長良川上流に向かい、ひるがの高原に着く約1km手前に、駒ヶ滝と夫婦滝があります。両方とも安山岩質溶岩にかかる滝です。 夫婦滝の水が流れている近辺を見ると、滝の上部2/3と下部1/3のところでは岩石が違うのがわかります。上部2/3は溶岩からなっていて、浸食はしにくい岩石です。下部1/3は角礫が入った岩石(火山砕屑岩)からなっていて、浸食はしやすい岩石です。火山砕屑岩というのは、火山から噴出された溶岩以外の火山灰や火山礫、火山岩塊といった固形物が固まった岩石です。そのように、浸食しにくい溶岩層に浸食しやすい火山砕屑岩層がはさまっているため、浸食の違いによって急崖が形成され、そこが滝となっています。 写真が三種類ありますが、上の写真は夫婦滝、下の写真は駒ヶ滝を撮ったものです。真中の写真は夫婦滝の上部の溶岩と下部の火山砕屑岩の境界部付近を撮ったものです。上と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下にある左の●と右の●を重なり合わせるように見ると立体的に見えます。

長良川沿いの白鳥流紋岩 その4

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  長良川沿いの白鳥流紋岩 その4 白鳥流紋岩は郡上市白鳥町市街地付近から高鷲町にかけて広く分布していますが、濃飛流紋岩や奥美濃酸性岩類のように詳しくは研究されていないようです。火砕流堆積物からなっていて、長良川沿いには溶結凝灰岩が何箇所かで露出していますが、溶結していないと考えられる凝灰岩も分布しています。 郡上市白鳥町二日町に長良川鉄道の白鳥高原駅があります。その駅の北側に東西に道路が通っていますが、国道156号線を東に曲がってその道路を東へ進むと突き当りにつり橋がかかっています。車を周辺に停め、つり橋を渡って川へ下りると、橋のほぼ下に岩石が露出しています。川の水に洗われているきれいな表面を見たり、またはハンマーなどで岩石の表面を割って見たりすると、1 cm 以下の緑灰色または灰色の不定形の軽石がわかります。つぶれてはいないので、溶結はしていないと思われます。 写真が二種類ありますが、上の写真は白鳥流紋岩(凝灰岩)を少しはなれた南から撮ったものです。下の写真はこの凝灰岩を接写したもので、1 cm 以下の径をもつ軽石が2つ確認できると思います。写真の縦は10 cm です。上の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下にある左の白丸と右の白丸を重なり合わせるように見ると立体的に見えます。

長良川沿いの白鳥流紋岩 その3

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  長良川沿いの白鳥流紋岩 その3 溶結凝灰岩は、高温の火山ガスや火山灰、軽石などが山体を流れ下った火砕流が堆積し、高温( 800 ℃ほどと言われる)のため、大規模に噴出し堆積すると中に入っているガラス質の部分などが自分の熱と重さでつぶれて固結した岩石です。そのため、ボール状のものが入っていればあれば、上下につぶされ横から見るとレンズ状になります。火山灰の中には、冷え固まったら軽石になる空洞が多いものも入っていますので、それがつぶされレンズ状になっているのです。そのレンズ状のもの(本質レンズと呼びます)のつぶれた方向がその火砕流堆積物が堆積した方向を表しているのです。その本質レンズが多く入っている溶結凝灰岩が郡上市高鷲町にある湯の平温泉の東の川原で見られます。 郡上市高鷲町大鷲に日帰り温泉の湯の平温泉があります。駐車場へ入る手前を東へ行き、川原へ下りる道を進むと、長良川の右岸に出ます。岩石が露出していますが、白鳥流紋岩の中の溶結凝灰岩です。 写真が三種類ありますが、上の写真は溶結凝灰岩を少しはなれたところから撮ったものです。真中の写真は溶結凝灰岩に近づいて撮ったもので、スケールの長さは20 cm です。真中の写真で、右斜め上に向いているいくつもある黒っぽい(本来は緑っぽい)細いレンズ状のものが本質レンズです。下の写真は本質レンズが多く入っている部分を近づいて撮ったものです。シャープペンの長さは14.6 cm です。上の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下にある左の●と右の●を重なり合わせるように見ると立体的に見えます。

長良川沿いの白鳥流紋岩 その2

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  長良川沿いの白鳥流紋岩 その2  長良川の東側に広く分布する濃飛流紋岩や西側に分布する奥美濃酸性岩類と同様に、白鳥流紋岩は主に火砕流堆積物によってできています。大規模な火砕流堆積物においては、マグマの中の鉱物が爆発的な噴出によって砕かれ、破片状になることが多いです。また、噴出したものが高速で移動し堆積するため、高温を保ち、自重によりつぶれて、火山灰や鉱物、軽石などがくっついて固結することがあります。そのような岩石を溶結凝灰岩と呼びます。そのため、溶結凝灰岩は見かけ上、溶岩や花崗斑岩・石英斑岩が冷え固まった岩石のようで、古くは石英斑岩と分類されていたこともありました。 国道156号線を北上し、郡上市白鳥町を越え、高鷲町に入り 1.5 kmほど進むと、長良川を渡る観音橋があります。その手前を左折し、南へ50mほどのところに長良川へ下りる階段があります。その階段を下りると、溶結凝灰岩(白鳥流紋岩)が露出しています。 写真が二種類ありますが、上の写真は溶結凝灰岩を東から少しはなれて撮ったものです。下の写真は溶結凝灰岩をハンマーで割って接写したもので、写真の縦は6 cm です。上の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下にある左の●と右の●を重なり合わせるように見ると立体的に見えます。

長良川沿いの白鳥流紋岩 その1

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  長良川沿いの白鳥流紋岩 その1 長良川沿いにおいて、郡上市大和町から南(白鳥町も一部含む)は美濃帯堆積岩類が地表近くに広く分布していますが、郡上市白鳥町から高鷲町にかけては主に白鳥流紋岩と呼ばれる火山から噴出し冷え固まった岩石が地表近くに分布しています。白鳥流紋岩は詳しく研究されていないようですが、岐阜県美濃地方から飛騨地方に広く分布している濃飛流紋岩に似た岩石です。噴出した年代は、周辺に分布する同様の噴出物の年代からして白亜紀末から古第三紀だと考えられています。 火山から噴出したものというと、溶岩や火山灰と思われるかもしれませんが、白鳥流紋岩は主に火砕流堆積物が冷え固まった岩石からなっています。火砕流という言葉は、1992年の雲仙普賢岳の噴火の時に、火山災害をもたらす恐ろしい噴出物として話題になりました。雲仙普賢岳の噴火の際に大規模火砕流と新聞に掲載されましたが、過去の火砕流の規模からすると雲仙普賢岳で噴出されたものは小規模なものです。高温のガスや火山灰、軽石などが、噴出後非常に高速で山体を流れ下るわけですが、時速 100km 以上のスピードになるため、車でも逃げ切れないというものです。その火砕流は、高温( 800 ℃ほどと言われる)であるため、大量の火砕流が噴出し山体を下り堆積すると、すぐさめてしまわずに、自身の熱でガラスがやわらかくなり(軟化し)自分の重さでぺちゃんこにつぶれてしまうのです。岩石名としては、火山灰などの噴出物自身がもつ熱と重量によって溶融し圧縮され固結するということで溶結凝灰岩と呼びます。 長良川鉄道の終点である北濃駅(郡上市白鳥町歩岐島)の東の道路は国道 156 号線ですが、北進して200mほどのところに橋がかかっています。そこを渡り、左側(北へ)100mほど進んだところに岩石が露出していますが、その岩石が溶結凝灰岩です。川に下りて近付くことができます。川に洗われているため、表面の岩石の様子もわかります。 写真が二種類ありますが、上の写真は溶結凝灰岩を少しはなれた南西から撮ったものです。下の写真は近づいて北西から撮ったものです。上の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下にある左の●と右の●を重なり合わせるように見ると立体的に見えます。

長良川沿いの花崗斑岩 その6

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  長良川沿いの花崗斑岩 その6 花崗斑岩の中で、石英の自形結晶(斑晶)が大きく目立つものを石英斑岩と呼びます。石英斑岩は花崗斑岩と比べると斑晶が少なく、長石の斑晶が目立たないことが多いです。その石英斑岩が郡上市八幡町五町の長良川沿いで見られます。 国道156号線を北上し、郡上市八幡町に入ります。八幡I . C口交差点を越え、800mほどを左折し、しばらくすると報徳橋があります。報徳橋の近くに車を止め、報徳橋の手前(東)を南に進むと、川原(左岸側)へ下りることができます。川原へ下りると石英斑岩が露出しています。対岸(右岸)でも石英斑岩が露出していますが、その石英斑岩を他の岩石が貫入しているのが見られます。 安山岩質の貫入岩と思われますが、白っぽい石英斑岩が美濃帯堆積岩類である砂岩層(砂岩泥岩互層もあり)に貫入した境目付近に貫入しています。 写真が三種類ありますが、上と真中の写真は長良川左岸で撮ったもので、花崗斑岩を少しはなれたところから撮ったものと、接写したものです。真中の写真の縦は約6 cm です。下の写真は対岸(右岸)で南東より撮ったもので、石英斑岩を他の岩石が貫入しています(中央部の上下方向に延びているのが貫岩)。貫入岩の左側は石英斑岩で、右側は砂岩です。 上と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下にある左の●と右の●を重なり合わせるように見ると立体的に見えます。