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長良川本流沿い露頭編 その115 八幡町名津佐左岸の混在岩(チャート、砂岩の巨大岩塊) :郡上市八幡町吉野名津佐左岸露頭(遮断機のない名津佐踏切を通って北西へ)

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    郡上市八幡町名津佐には、長良川鉄道を横切る遮断機のない名津佐踏切があります。そこを渡り、北西方向にある竹やぶの中を通って河原へ下ります。河原には混在岩が広く分布しています。ここで見られる混在岩は、黒色泥岩の中に、おもに数cm~1mほどの大きさが様々な砂岩やチャートの礫(岩塊)を含んでいます。基質である黒色泥岩には一定方向の割れ目があり、その方向が曲がりくねっている場所もあります。また、12m×2mの巨大なチャートの岩塊や、13 m ×10mで高さ4 . 5mほどの巨大な砂岩の岩塊も見られ、黒色泥岩が周りを埋めているようです。 地質図において、巨大岩塊を含む混在岩の露頭(×地点)は灰色( Mmx )の中にあって、灰色はメランジュからなる地層です。対岸にはチャートが分布します(次回、次々回に紹介します)。写真が四種類ありますが、上の写真は混在岩を南西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているコンベックスの左上を近づいて撮ったものです。黄色のスケールの左にある大小の礫は2個ともチャートで、大きい礫は80cm×27cm、上の小さい礫は27cm×13cmです。中下の写真は、上の写真に写っている露頭の東にある 12m×2mの巨大なチャートの岩塊を含む混在岩を南 東から撮ったものです。ハンマーの右上から左下にかけて見られる灰色のものがチャートの岩塊です。下の写真は、上の写真に写っている露頭から東へ15m強にある露頭を南西から撮ったものです。 13 m ×10mで高さ4 . 5mほどの砂岩の岩塊 です。ハンマーの下方には、黒色泥岩がブロック状の砂岩(レンズ状をしたものが多い)に入り込んでいるのが見られます。スケールとして置いてあるコンベックス、ハンマー、黄色の定規の長さはそれぞれ1m、約28cm、約20cmです。中上と真中、中下、下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸または黒丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)                                   地質美濃・美濃地学minotigaku (google.com)    

長良川本流沿い露頭編 その114 八幡町名津佐の混在岩と黒色チャート :郡上市八幡町吉野名津佐左岸河床露頭

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    国道156号を北進すると、美並町と八幡町の境界部はトンネル(名津佐トンネル)内で通り過ぎます。名津佐トンネルを抜けて、200m強進むと国道の左側に駐車スペースがあります。車を止め、徒歩で30mほど戻ると河原へ下りる道があります。河原へ下り、上流方向へしばらく進むと、河床に黒っぽい露頭があります。 ここでは、混在岩と黒色の層状チャートが接している露頭が見られます。混在岩は、黒色泥岩の中に、おもに数cm~10数cm径の暗灰色~黒色をしたチャートが入っています。基質となる黒色泥岩は、一定方向の割れ目が入っています。また、層状チャートは、黒色をした数cm~5cmの厚さのチャート層に、暗灰色~黒色をした数mmの厚さの泥岩層がはさまれています。混在岩と黒色チャートが接しているところでは、破砕されたチャートが見られる部分もあります。 この露頭の北北西方向に6mほど離れたところには、南北に20mほど、東西に7mほどある黒色の層状チャートが露出しています。暗灰色~黒色をした1cm~8cmの厚さのチャート層に、灰色をした数mm~1cmの厚さの泥岩層をはさんでいます。黒色の層状チャート内のチャート層と泥岩層は、層の横方向に厚さの変化があります。特に、チャート層はレンズ状になっている部分があります。 写真が五種類ありますが、上の写真は混在岩と黒色チャートが接している露頭を西から撮ったもので、ハンマーのグリップより上は混在岩で、下はチャートです。中上の写真は、上の写真の中央部を同じく西から撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマーの右側の混在岩を近づいて撮ったものです。灰色の礫はチャートで、基質の部分は黒色の泥岩です。中下の写真は、上の写真に写っている露頭の北北西にある黒色の層状チャートを東からパノラマで撮ったものです。下の写真は、中下の写真の中央部を近づいて撮ったもので、ハンマーの位置は同じです。チャート層は層として一定の厚さではなく、断面はややレンズ状になっています。スケールとして置いてあるハンマー、黄色の定規の長さはそれぞれ約28cm、約20cmです。中上と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオラン

長良川本流沿い露頭編 その113 八幡町貝付のチャートの角礫を含む玄武岩 :郡上市八幡町西乙原貝付右岸の河床露頭(高速道路橋脚(東側)北へ50mほど河床)

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    前々回の「 長良川本流沿い露頭編その111」では、八幡町貝付-名津佐に架かっている高速道路の東と西の橋脚の間に露出しているチャートと玄武岩が混在している露頭を紹介しました。東側の橋脚の北へ50mほどのところには、玄武岩質溶岩が露出しています。そして、その玄武岩質溶岩にはチャートの角礫が入っているのを確認することができます。チャートの角礫が入っているということは、玄武岩質溶岩が噴出する前にチャート層があり、そこを貫いて噴出したことを物語っています。ここの露頭では、緑灰色の玄武岩の中に、暗青灰色のチャートの角礫を含んでいます。 地質図において、チャートの角礫を含む玄武岩質溶岩の露頭(×地点)の付近には、緑色( Mbs )、オレンジ色( Mch )、灰色( Mmx )が分布しています。緑色はおもに玄武岩質火山岩類(緑色岩)からなる地層で、オレンジ色はおもにチャートからなる地層で、灰色はメランジュからなる地層です。写真が四種類ありますが、上の写真はチャートの角礫を含む玄武岩質溶岩の露頭を東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。中下の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマー付近を近づいて撮ったものです。ハンマー頭部の左上にある礫が14cm×14cmのチャートで、見にくいですがその礫の左下にあるのが横36cm×縦18cmのチャートの角礫(レンズ状)です。下の写真は、同じ露頭を南から撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマー、黄色の定規の長さはそれぞれ約28cm、約20cmです。中上と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の黒丸または白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)                               地質美濃・美濃地学minotigaku (google.com)                  美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

長良川本流沿い露頭編 その112 八幡町貝付の層状チャート :郡上市八幡町西乙原貝付右岸露頭(高速道路の東側橋脚の西6mほど)

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前回の 「長良川本流沿い露頭編その111」で紹介したチャートと玄武岩が混在している露頭の北東15mほどところに、赤色(えんじ色)や緑色に近い色をした層状チャートの露頭が見られます。チャート層は、深海底で珪酸質(ガラス質)の殻をもった放散虫などの生物の遺骸がゆっくりと堆積したものです。そのため、チャート層は堆積した当時の海水の状態を記録しているようです。チャートにはさまざまな色のものがあります。 赤色(えんじ色)、褐色、緑色、淡緑灰色、淡青灰色、暗青灰色、白色、灰色、黒色などです。チャートは基本的には SiO 2 でできていますが、含まれている微量成分によって色がつくのです。赤色(えんじ色)は 酸化鉄( Fe 2 O 3 )によるもので、堆積当時の海水は酸素が豊富で酸化的環境であったことを示すと考えられています。また、黒色や緑色をしていれば逆に酸欠状態の還元的環境だったことを示すようです。ここの層状チャートは、ほぼ南北(走向)を軸として垂直近く(傾斜)に立った状態で露出しています。赤色層状チャートは数cm~15cmの厚さで、間にえんじ色の5mm~2cmの厚さの泥岩層をはさんでいます。緑色に近い層状チャートは淡緑灰色~緑灰色をしていて、厚さが数cm~10cmのチャートの間に、淡緑灰色をした数mm~1cmの厚さの泥岩層をはさんでいます。また、赤色層状チャートと緑色に近い層状チャートの間には、数cm~17cm幅の淡緑灰色の泥岩と思われるものが入り込んでいます。赤色のチャートと緑色に近いチャートが繰り返して堆積している部分もあります。 地質図において、この層状チャートの露頭(×地点)は、緑色( Mbs )の中のオレンジ色( Mch )の中にあります。緑色はおもに玄武岩質火山岩からなる地層で、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。写真が四種類ありますが、上の写真は層状チャートを南東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。中下の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマー付近を近づいて撮ったものです。ハンマーの首部辺りに縦に延びて写っているのが、淡緑灰色の泥岩と思われるものです。下の写真は、中上の写真の露頭に上り、北から撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と中下、下の写真は同じような写

長良川本流沿い露頭編 その111 八幡町貝付右岸のチャートと玄武岩の混在 :郡上市八幡町西乙原貝付右岸河床露頭(高速道の東側橋脚と西側橋脚の間)

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   一昨年の8月19日「長良川沿いのチャート層その4」、10月26日 「長良川鉄道の車窓からみた岩石その10」で紹介した玄武岩とチャート層が混在している露頭を再度紹介します。露頭の場所は、八幡町貝付の長良川沿いには高速道路の橋脚が東側と西側にありますが、その2基の橋脚の間です。前々回に紹介した「長良川本流沿い露頭編その109」の露頭では、チャートと玄武岩質溶岩の接している部分において、レンズ状や不定形をしたチャートや玄武岩質溶岩がお互いのところに入り込んでいる状況が見られました。この露頭では、チャートと玄武岩(肉眼観察では玄武岩質溶岩と言いきれないため、ここでは玄武岩と記載しておく)がマーブル状に混ざった状態が見られます。両方ともやわらかい時に接触して混ざったと考えられます。 地質図において、この露頭(×地点)は緑色( Mbs )とオレンジ色( Mch )の間にあります。緑色はおもに玄武岩質火山岩類からなる地層で、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。写真が五種類ありますが、上の写真はチャートと玄武岩が混在している露頭を南からパノラマで撮ったものです。中上の写真は上の写真の中央少し左を撮ったもので、真中の写真は上の写真(または中上の写真)に写っているハンマー付近を近づいて撮ったものです。エンジ色、および白っぽい色のものがチャートで、緑灰色のものが玄武岩です。中下の写真は、上の写真(または中上の写真)のハンマーの左を近づいて南西から撮ったものです。黄色いスケールの右斜め上に写っている淡褐色のものは、詳しく調べてはいませんが、ドロマイト(ドロストーン)だと思います。下の写真は、中上の写真の露頭を南西から撮りました。スケールとして置いてあるハンマー、黄色の定規の長さはそれぞれ約28cm、約20cmです。中上と中下、下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の黒丸または白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)               地質美濃・美濃地学minotigaku (google.com)                  美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

長良川本流沿い露頭編 その110 八幡町貝付のチャート-ドロストーン互層 :郡上市八幡町西乙原貝付右岸河床露頭(高速道路の西側橋脚北西25mほどの河床)

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   「 長良川本流沿い露頭編その98、99、105」で、ドロストーン(苦灰岩)をはさむ層状チャートや、チャートとドロストーンが繰り返して積み重なる岩石(チャート - ドロストーン互層)を紹介しました。八幡町貝付の高速道橋脚(西側)の近くでも、チャートとドロストーンの互層が見られます。ドロストーンはドロマイト( CaMg(CO 3 ) 2 )からなる岩石で、ドロマイトは石灰岩を構成している CaCO 3 中のカルシウム分が海水中でマグネシウムに置き換わったものと考えられています。以前も書きましたが、チャートと石灰岩、ドロストーンは形成条件がまったく違う(チャートは深い海で形成、石灰岩・ドロストーンは浅い海で形成)ため、チャートとドロストーン、チャートと石灰岩が互層しているように見える産状の形成過程は正確にはわかっていないようです。 ここのチャート - ドロストーン互層の露頭は、淡褐灰色をした10cm~35cmの厚さのドロストーンと、淡青灰色~淡灰色をした数cm~15cmの厚さのチャートが交互に堆積しています。ドロストーンとチャートの境界は明瞭です。 「 長良川本流沿い露頭編その98、99、105」と比べると、ドロストーンは厚く、平行に層が続いています。また、チャート層の中に細長くドロマイトが入る部分も見られます。 地質図において、このチャート - ドロストーン互層の露頭(×地点)は緑色( Mbs )の玄武岩質岩石からなる地層の中にあります。周辺には、オレンジ色( Mch )のおもにチャートからなる地層が点在していますので、それと同様のものが露出していると思われます。写真が五種類ありますが、上の写真はチャート - ドロマイト互層の露頭を東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央少し右側を撮ったものです。白っぽいのがチャートで、淡褐灰色のものがドロストーンです。真中の写真は、中上の写真と同じ場所を撮ったものです。中下の写真は、中上の写真に写っているハンマーの左下に記入してある「チャート」の左付近を近づいて撮ったものです。中央のチャート層(淡青灰色)に、5mmほどの細長レンズ状の淡褐灰色のドロストーンが入っているのもわかります。下の写真は、同じ露頭の他の場所を北から撮ったもので、ここでもチャートとドロストーンが交互に積み重なっているのがわかります。ス

長良川本流沿い露頭編 その109 八幡町貝付のチャートと玄武岩質溶岩の境界 :郡上市八幡町西乙原貝付右岸河床露頭(高速道路の西側橋脚西100m弱の河床)

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地質図によると、 八幡町浅柄~貝付の長良川沿いの両岸には、玄武岩質溶岩などの玄武岩質火山岩類(緑色( Mbs ))が広く分布し、その中にチャート(オレンジ色( Mch ))の巨大な岩塊が分布しています。八幡町貝付にある高速道の橋脚(西側)西方100mほどのところには、チャートと玄武岩質溶岩が接している露頭が見られます。玄武岩質溶岩は火山島のように海洋における噴出物で、チャートは海洋底に堆積した微生物の遺骸が固まった岩石です。この露頭では、暗青灰色~淡灰色をしたチャート層と灰色をした玄武岩質溶岩が接しているのですが、接している近くではチャートがレンズ状で玄武岩質溶岩の中に入ったり、玄武岩質溶岩がチャートの中にレンズ状や不定形で入ったりしています。 写真が五種類ありますが、上の写真はチャートと玄武岩質溶岩が接触している露頭を北東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を同じく北東から撮ったものです。下方が玄武岩質溶岩で、上方がチャートです。境界部には、レンズ状や不定形をしたチャートと玄武岩質溶岩が見えます。真中の写真は、上の写真に写っているハンマーの左に記述してある「玄武岩質溶岩」の矢印の先端付近を近づいて撮ったもので、チャートと玄武岩質溶岩の境界部の一部です。中央上の淡褐灰色の楕円形(レンズ状)のものが玄武岩質溶岩です。中下の写真は、中上の写真の露頭を北から撮ったものです。下の写真は、玄武岩質溶岩を接写したもので、写真の縦は3 . 5cmです。スケールとして置いてあるハンマー、黄色の定規の長さはそれぞれ約28cm、約20cmです。中上と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の黒丸または白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)              地質美濃・美濃地学minotigaku (google.com)                  美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

長良川本流沿い露頭編 その108 八幡町貝付の層状チャート中の黒色チャート層 :郡上市八幡町西乙原貝付右岸河床露頭(高速道橋脚の西方150mほどの河床)

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    前回の 「長良川本流沿い露頭編その107」で紹介した枕状溶岩(玄武岩質溶岩)の露頭から東へ40mほどのところに、層状チャート中に黒色のチャート層(または黒色の珪質泥岩層)が縞状に入っている露頭が見られます。層状チャートは、淡緑灰色~青灰色をした数cm~10cm厚のチャート層の間に、数mm厚の薄い泥岩層がはさまっています。はさまっている泥岩層は灰色と思われますが、酸化のため褐灰色になっている部分が多いです。一方、黒色チャート層は5cm~20cmの厚さで、間に灰色をした数mmの厚さの泥岩層をはさんでいるものもあります 以前も書きましたが、チャートには、白色、灰色、黒色、赤褐色、うすい緑色などいろいろな色のものがありますが、 この色の変化は、チャートが堆積した海洋環境の変化を表していると考えられています。特に、暗灰色や黒色のチャートは還元状態で堆積し、硫化鉄(主に黄鉄鉱)や炭素化合物などの酸素の乏しい場所でできた物質を含んでいるようです。 地質図において、この露頭(×地点)の周辺は緑色( Mbs )の中にオレンジ色( Mch )のブロック状のものが不連続に分布している場所です。×地点は、その不連続に分布しているオレンジ色の中にあります。緑色はおもに玄武岩質火山岩類からなる地層で、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。写真が四種類ありますが、上の写真は層状チャート中の黒色チャートの露頭を南東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を同じく南東から撮ったものです。写真では灰色に見える層状チャートに、縞模様の黒色チャートが入っているのがわかります。黒色チャート層は、見かけ上一つの層のものもありますが、間に灰色の薄い泥岩層をはさんで2~3つの層が重なっているものもあります。中下の写真は同じ露頭の中で、黒色チャート層が層状チャート中に入っているのがわかりやすい部分を東から撮ったものです。下の写真は、中下の写真に写っているハンマーの上部付近を近づいて撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマー、黄色の定規の長さはそれぞれ約28cm、約20cmです。中上と中下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 

長良川本流沿い露頭編 その107 八幡町貝付右岸の枕状溶岩 :郡上市八幡町西乙原貝付右岸河床露頭(高速道西側橋脚の西北西200m弱の河床)

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    八幡町浅柄~貝付の長良川沿いの両岸には、玄武岩質溶岩が分布していて、何ヶ所かで枕状溶岩が見られます。「長良川本流沿い露頭編その96、100、102」で枕状溶岩を紹介しましたが、今回も枕状溶岩を紹介します。枕状溶岩は以下のようにして形成されます。玄武岩質溶岩などの粘性の低いマグマが海底で噴出したり、噴出した後海水にふれたりしたときに、海水にふれた部分は急冷して固い殻ができます。一方、内部はまだ熱く溶けたままなので、殻を破って外へ出ます。すると、また海水にふれ、外側に固い殻ができます。…ということを繰り返します。その結果、西洋枕の形をした溶岩がいくつも積み重なったものが形成されます。 長良川右岸の県道61号 大和美並線 を北上し、郡上市美並町から八幡町に入ったすぐの集落が浅柄地区ですが、そこを通り過ぎ次の集落(貝付地区)まで進みます。高速道路の橋梁の下を通りますが、その東側の橋梁を通り過ぎてすぐのところ(10mほど)から、長良川の河原に下りる道があります。車を止め、坂道を進み、河原へ下ります。下流側に進み、高速道西側の橋脚から西北西へ200m弱のところに、写真のような枕状溶岩が見られる露頭があります。枕状溶岩は平面的には多くが楕円形に近く、長径は20cm~50cmのものが多いです。また、ここの玄武岩質溶岩(枕状溶岩を含む)は、暗灰色を示す他に淡褐灰色の部分が多くありますが、酸化によって変色したものと考えられます。 地質図において、この枕状溶岩が見られる露頭(×地点)の周辺は、緑色( Mbs )の中にオレンジ色( Mch )が細長くところどころに分布しています。×地点は、緑色の中にあります。緑色はおもに玄武岩質火山岩類からなる地層で、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。写真が五種類ありますが、上の写真は枕状溶岩の露頭の一つを北西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央下部を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)のハンマーの下方にある枕状溶岩を近づいて撮ったものです。楕円形に近い3つのものが枕状溶岩です。中下の写真は、中上の写真の露頭の北にある露頭を南西から撮ったものです。上の写真の左側に写っている露頭と同じです。下の写真は、中上の写真に写っている露頭から南東へ6mほどのところにある露頭を南東から撮ったものです。スケ

長良川本流沿い露頭編 その106 八幡町と美並町の境界付近左岸の玄武岩質溶岩の板状節理 :八幡町と美並町の境界付近左岸露頭

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    前回 「長良川本流沿い露頭編その105」で紹介したドロストーンを含んだ層状チャートの露頭から東へ70mほど進んだところに、玄武岩質溶岩の板状節理の露頭が見られます。板状節理は火成岩(火山岩)の表面にほぼ平行に生じた割れ目で、板を重ねたように見えるものです。でき方は明確にはわかっていないようで、いくつかの説があります。溶岩の流れの方向にはたらく力によって、面がすべるように作用するために平行に割れ目が生じるという説。柱状節理と同様に、溶岩の堆積収縮で形成されるという説。固まりかけの溶岩が横方向に流れている場合、端に地形的な障がいがあったり、端がいち早く冷え固まったりして、それ以上流れることができないと、行き止まりとなり、後からの溶岩に押され流れの方向に圧縮されることになります。その結果、上下方向に厚くなることで、平行に割れ目が生じるという説。最後の説は、例えばノートを机などに置き、横から力を加えると、ノートの真中が上方向に盛り上がり、ノートの一枚一枚が離れた状態になるというイメージです。ここの露頭では、板状節理は平行な割れ目と割れ目の間の幅が5mm ~ 3cmのところが多く、最大は5cmほどのところもあります。また、板状節理の見られる上位は、枕状溶岩のような状態(はっきりはしませんが)になっています。 地質図において、長良川沿いの八幡町浅柄 ~ 貝付周辺は緑色( Mbs )が広く分布し、その中にオレンジ色( Mch )が点在します。玄武岩質溶岩の板状節理の露頭(×地点)は、緑色の中にあります。緑色はおもに玄武岩質火山岩類(緑色岩)からなる地層で、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。写真が五種類ありますが、上の写真はこの露頭を西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央少し右側を撮ったものです。ハンマーの左右に板状節理が見られます。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)のハンマー付近を近づいて撮ったものです。横方向に多くの平行な割れ目(板状節理)があるのがわかると思います。中下の写真は、中上の写真の露頭を北から撮ったものです。下の写真は同じ露頭の違う部分を北西から撮ったもので、枕状溶岩のように見える玄武岩質溶岩があります。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と真中、中下、下の写真は同じような写真が二枚並んでいます

長良川本流沿い露頭編 その105 八幡町と美並町の境界付近左岸のドロストーンを含む層状チャート :八幡町と美並町の境界付近左岸河床露頭(長良川曲流部内側の河床)

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   「長良川本流沿い露頭編その101」で紹介した玄武岩質溶岩の水冷破砕の露頭から上流へ200mほど進むと、左岸河床にドロストーンをはさんだ層状チャートの露頭があります。チャート層中にドロストーンをはさむ露頭や、チャートとドロストーンが互層になった露頭は、美濃市保木脇と横持付近、および八幡町と美並町の境界付近に見られます。「長良川本流沿い露頭編 その10、21、22、98、99」で紹介しました。 ドロストーン(苦灰岩)は、ドロマイト(苦灰石:( CaMg(CO 3 ) 2 ))からなる岩石です。ドロマイトは、石灰岩を構成している CaCO 3 中のカルシウム分が、海水中でマグネシウムに置き換わったものと考えられています。ドロマイトに置き換わる前の石灰岩の形成は、浅い海でしか起こりません。深い海だと溶けてしまうため、形成されません。一方、チャートは深い海で形成します。このようにチャートと石灰岩は形成条件がまったく違うため、同時に存在しているように見える産状の形成過程は正確にはわかっていないようです。 ここの露頭では、層状チャートの中に黄灰色 ~ 淡褐灰色をしたドロストーンが不定形で混じったように入っていたり、チャート層の間に1cm前後の幅でレンズ状に入っていたり、チャート層の中に1cm~数cmの幅で同じようにレンズ状で入っていたりします。層状チャートは、淡青灰色をした数cm~15cm厚のチャート層の間に、灰色をした数mm~5mm厚の泥岩層がはさまっています。 地質図において、ドロストーンを含む層状チャートの露頭(×地点)は、広く分布する緑色( Mbs )の中に不連続で存在するオレンジ色( Mch )中にあります。緑色はおもに玄武岩質火山岩類(緑色岩)からなる地層で、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。写真が五種類ありますが、上の写真はこの露頭を北西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央少し左を撮ったものです。真中の写真は上の写真(または中上の写真)のハンマー付近を近づいて撮ったもので、中下の写真は同じく上の写真(または中上の写真)のハンマーの左上を近づいて撮ったものです。灰色の岩石はチャートで、淡褐灰色の岩石はドロストーンです。ドロストーンが不定形で混じり込んだように入っているのがわかると思います。下の写真は、中上の写真の中心から2