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都市(名古屋)で見られる化石 その25 :松坂屋本館の階段の手すりや壁のアンモナイト

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化石が入った日本の石材(例えば、岐阜県大垣市赤坂の石灰岩)は、以前は建材として使われていました。歴史的な建造物には、今でも日本の石材が残っている場合があります。しかし、現在日本の石材は採掘場の閉鎖などにより、建材として使われることはなくなり、石材が使われるとしても外国産です。都市の大規模なビルや施設では、現在でも建材として大理石(石灰岩を含む)などが使われています。そのため、都市では化石の入った石材が見られます。しかし外国の石材でも、以前は使われていたものの、資源の枯渇による採掘場の閉鎖や石材価格の高騰など様々な理由によって、日本の市場から姿を消した石材もあります。姿を消した代表的な輸入石材は、イタリア産 のネンブロロザートです。 松坂屋の本館には残っていますが、 最も初期に輸入された大理石の一つで、アンモナイトが入っています。現在、ビルの解体や改築、改修などは頻繁に行われますが、以前と比べると化石が入った石材が減っています。化石は限りあるものですから、掘りつくしてしまうとこの世から消えてしまいます。だから、都市のビルなどにある化石も多くの人が興味をもち、残していくことを願わないと本当になくなってしまいます。以前(2000年)、大野寛次、下坂康哉著「名古屋+周辺ビル街の化石・鉱物わくわく探検隊」という本が出版され、名古屋市内多くのビル内の化石が紹介されましたが、その頃にあったビル内の化石は現在ではかなりなくなっています。 写真は7枚ありますが、いずれも松坂屋本館の階段の手すりや壁の写真です。1番上の写真は、化石が残っている階段の写真です。上から2番目、3番目、4番目の写真は黒い枠がしてあり、アンモナイトの化石がわかるようになっています。下3枚の写真には黒い枠はついていませんが、アンモナイトの化石です。特に1番下の写真のアンモナイトは部分的に切れていますが、直径が27cm以上あり大きいです。下3枚の写真にはスケールが入っていますが、指を一緒に撮った写真から長さを読み取ってつけたものですから、正確さはやや欠けます。 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

都市(名古屋)で見られる化石 その24 :松坂屋南館2(10階レストラン街エレベーター前の壁の巻貝(ネリネア)・エスカレーター近くの柱の厚歯二枚貝)

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  松坂屋南館の10階はレストラン街ですが、エレベーター周辺とエスカレーター周辺で化石が見られます。エスカレーターは8階マツザカホールに直通で、周辺は7、8階で見られる 淡いグレーの アウリジーナ・フィオリータ(イタリア産)という石材が連続的に使われています。そのため、厚歯二枚貝が所狭しと入っています。一方、エレベーター周辺はベージュ色をした石材で、イタリア産のフィレットロッソと思われます。中には、巻貝(ネリネア)が多く見られます。 義務教育の中では中学校1年の理科「大地の成り立ちと変化」で、化石について学びます。中学校の学習指導要領の中に「化石については、示相化石及び示準化石を取り上げること」となっています。示準化石は地層の堆積した時代の推定に役立つ化石のことで、示相化石は地層が堆積した環境を推定するのに有効な化石のことです。示準化石としては三葉虫、アンモナイト、貨幣石が、示相化石としては 造礁サンゴが有名です。建築石材中の化石には三葉虫は見つけられませんが、あとの化石はけっこう見られます。ここで紹介しているアウリジーナ・フィオリータという石材は、厚歯二枚貝を多く含んでいるので、中生代に堆積したことがわかります。貨幣石は新生代に現われ繁栄した有孔虫ですが、貨幣石が見られれば、新生代に堆積したものであることがわかるとともに、中生代末に絶滅したアンモナイトや厚歯二枚貝などとは一緒に出ることはないのです。 写真は6枚ありますが、いずれも松坂屋南館10階の写真です。上4枚はエレベーターの周辺で、下2枚はエスカレーターの周辺で撮りました。1番上の写真はエレベーター№2と3の間を撮ったもので、赤丸の位置を近づいて撮ったものが2枚目の写真です。№1のエレベーターに向かって右側手前の壁を撮ったものが3枚目、4枚目の写真です。2~4枚目の写真にはいずれも巻貝(ネリネア)が写っています。下から2枚目の写真は上りエスカレーター横の柱を撮ったもので、近づいて厚歯二枚貝を撮ったものが1番下の写真です。近づいて撮った写真にはスケールが入っていますが、指などを一緒に撮った写真から長さを読み取ってつけたものですから、正確さはやや欠けます。 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

都市(名古屋)で見られる化石 その23 :松坂屋南館1(1階入口エレベーター前の床のアンモナイト、7階美術館ロビーの壁・8階マツザカホールロビーの壁の厚歯二枚貝)

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  松坂屋南館の7階美術館ロビーの壁、8階マツザカホールロビーの壁には、厚歯二枚貝が所狭しと入っています。この石材は、「都会で見られる化石その7」で紹介したミッドランドスクエアー3階の壁と同じです。イタリア北東部の白亜紀の地層(約 8000 ~ 7000 万年前)から切り出されたアウリジーナフィオリータと呼ばれる石灰岩です。厚歯二枚貝については「都会で見られる化石その7」で紹介しましたので、そちらを見ていただけるとありがたいです。 南館の1階、入口のエレベーター近くの床には、イタリア産のペルリーノロザートという石材が使われていて、アンモナイトが確認できます。アンモナイトは、化石だけを見ると貝類のように思われがちですが、頭足類と呼ばれるタコやイカの仲間です。古生代に誕生し、中生代末まで大繁栄をしました。そして、中生代白亜紀末(約6600万年前)に恐竜(鳥類は除く)とともに地球上から姿を消しました。見た目似ているオウムガイは、現在まで生き残っています。アンモナイトとオウムガイは似ていますが、化石を見る時に見分け方があります。渦巻状のところに仕切り(隔壁と呼びます)がありますが、アンモナイトは成長方向(軟体部がある方向)に対してふくらんでいますが、オウムガイはへこんでいます。また、渦巻の中心部の巻きはじめの殻(初期室と呼ぶ)がアンモナイトは球状の小さな部屋としてありますが、オウムガイは特にありません。ただし、この違いはアンモナイトの横断面が見られても、隔壁が見にくかったり、断面が中心を通っていなかったりすると、建築石材の中に入っているアンモナイトではわかりにくいかもしれません。 写真は7枚ありますが、いずれも松坂屋南館の写真です。上4枚は8階と7階の壁でアウリジーナフィオリータという石材と厚歯二枚貝、下3枚は1階入口エレベーター前の床でペルリーノロザート(ピンク色の部分)という石材とアンモナイトです。1番上の写真は8階のマツザカホールのロビーの壁で、化石(厚歯二枚貝)が多く入っているのが少し離れていてもわかります。2番目の写真は、同じく8階の壁を近づいて撮ったものです。上から3、4番目の写真は、7階の美術館の出口近くの壁を近づいて撮ったもので、確認できる化石は厚歯二枚貝です。下から3枚目の写真は松坂屋南館の1階エレベーターホールの床を撮ったもので、濃いピンク色の石

都市(名古屋)で見られる化石 その22 :名古屋栄のガスビル1階

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名古屋栄のガスビル(松坂屋の南)の1階の壁には、オアシス21からNHK名古屋放送局に至る通路の両側の壁と同じ、ベージュ色に近い白色で、線柄の入った石材が使われています。イタリア産のペルリーノキャーロと呼ばれる石灰岩です。この石材には、アンモナイト、ベレムナイトなどの化石が入っています。入っているアンモナイトは小さく、石材の色と似ているので、見つけにくいかもしれません。 中生代ジュラ紀(約 2 億 130 万年前~約 1 億 4500 万年前)や白亜紀(約 1 億 4500 万年前~ 6600 万年前)というと陸上では恐竜が繁栄し、翼竜が空を滑空し、首長竜などの海生爬虫類やアンモナイトが海洋を泳いでいた時代です。我々の祖先である哺乳類は細々ながら多様化を進め、鳥類は一部の恐竜の子孫として登場していました。ジュラマーブルイエローやここで紹介しているペルリーノキャーロという石灰岩は、そのような生き物たちが生きている時代に海洋で堆積したものです。その堆積物が2億~1億年ほどの時を経て石材として切り出され、日本へ運ばれ、建築部材の壁として使われているのです。あくまでも建材の壁ですので、装飾の意味として化石が入っているものを使っているのでしょう。しかし、せっかく身近で見られる化石なので、模様としてとらえるだけでなく、自然や地球科学に興味をもって詳しく見たり調べたりするのはどうでしょうか。また、化石を見たり、探したりすることによって、自然を大切にするきっかけになったり、二度と作られない化石に対して保存しようとする動きが出てきたりすることを願っています。 写真は8枚ありますが、いずれもガスビル1階の壁の写真です。一番上の写真は1階の壁を斜めから撮ったもので、石材はペルリーノキャーロです。上から2枚目から5枚目まではアンモナイトの化石です。スケールバーは1cmなのでいずれも小さいのがわかると思います。下の2枚はベレムナイトの断面です。下から2枚目は斜めの断面です。スケールをつけてありますが、指を一緒に撮った写真から長さを読み取ったものですから、正確さはやや欠けます。 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

都市(名古屋)で見られる化石 その21 :栄スカイルエレベーター近くの壁(B2F,B1Fと2F~5F)

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栄スカイルの1階のエレベーター周辺は、イタリア産の アウリジーナ・フィオリータという石材で 厚葉二枚貝が多く入っています。しかし、他の階のエレベーター周辺の壁は、いずれもウミユリが多く入った石灰岩からできています(石材名はわかりません)。 ウミユリは、「ユリ」という名前がついているため植物のような印象をもちますが、ヒトデやウニの仲間(棘皮動物)です。植物の茎のような一本の長い体の先端に、花弁のような腕を何本も広げたような形をしています。海中のプランクトンなどを捕らえ、餌としています。現在も水質の変化が少ない深海にすみ、体長は35cm~50cmで、生きている化石として知られています。幼体の間は自由に海を泳ぎまわることができますが、成体になると岩などに接着し、固着して生活を営むようです。ウミユリは全体が短い節に分かれているため、化石はそれらがばらばらになり、全形をとどめないことが多いです。日本からも多くの化石が見つかっています。 写真は9枚あります。一番上の写真は5Fのエレベーター近くの壁です。残りの8枚はウミユリの化石に近づいて撮ったもので、左上に何階で撮ったものかを示しました。B2F(上から2枚目)の写真はウミユリの縦断面、3Fの上(上から6枚目)の写真はウミユリの横断面です。スケールを示してありますが、指を一緒に撮った写真から長さを読み取ったものですから、正確さはやや欠けます。 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

都市(名古屋)で見られる化石 その20 :栄スカイル1F(栄メルサ)

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栄スカイルの1階には、今まで紹介したアウリジーナ・フィオリータという石材とペルリーノキャーロという石材(いずれもイタリア産)があり、いずれも化石が入っています。アウリジーナ・フィオリータは、1階のエレベーター周辺の壁に使用されていて、淡いグレーの石材の中に厚葉二枚貝が非常に多く入っています。また、ベージュ色に近い白色で線柄が入ったペルリーノキャーロは、1階と地下を結ぶエスカレーターの近くの壁にあり、小さなアンモナイトが確認できます。 都市の化石探しは、石材に化石が多く入っている場合は別ですが、1回目ではなかなか探せないことが多いです。慣れてくると、以前は見つからなくても次は見つかる場合があります。探している石材の中に、どのくらいの大きさのどのような色や形をした化石が入っているか見当がつくようになれば、入っている化石が見えてくるものです。だから、同じ場所でも何回か見ることは大切だと思います。ただし、化石が入っている場所は人通りが多いことがあるので、あまりしつこく見ていると怪しまれますし、通行の邪魔になるといけないので、あっさりと見て、もう一度来て見るのがよいと思っています。はじめのうちは、栄スカイル1階のペルリーノキャーロの石材中には、アンモナイトなどを見つけることができませんでした。しかし、同じ石材からなるガスビル1階の壁やオアシス21からNHKに向かう通路の壁で化石を探したあとで、栄スカイルの1階の壁を見るとアンモナイトとベレムナイトを見つけることができました。アンモナイトは小さく、クリーム色をしていること、ベレムナイトの断面は小さなドーナツ型で、茶色っぽい色をしていることを頭に思い浮かべながら探した結果です。 写真は6枚ありますが、上の3枚は栄スカイル1階のエレベーター周辺にある アウリジーナ・フィオリータの壁とその中 の厚歯二枚貝です。下の3枚は、1階の ペルリーノキャーロの壁と、その中にある小さなアンモナイト の写真です。下から2枚目の写真はアンモナイトの横断面、一番下の写真はアンモナイトの縦断面です。アンモナイトが白っぽいため、わかりにくいです。スケールを示してありますが、指を一緒に撮った写真から長さを読み取ったものですから、正確さはやや欠けます。 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

都市(名古屋)で見られる化石 その19 :名鉄瀬戸線栄町駅改札口裏のコンビニ外壁

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名鉄瀬戸線栄町駅の改札口の裏手にコンビニエンスストアがありますが、その外壁にクリーム色の石材が使われています。ポルトガル産のモカクリームと呼ばれる石材です。化石を多く含む石灰岩ですが、細かく割れているため砂粒が集まっているように見え、まるでクリーム色の砂岩のようです。そのため、少し離れて全体を眺め、クリーム色の中に濃い褐色をしたところを探すと、化石が入っているのがわかります。小さな巻貝、サンゴ、ウミユリ、腕足動物、石灰藻などの破片が含まれているようです。ここでは、小さな二枚貝の断面のような化石が多く見つかりますが、二枚貝ではなく腕足動物です。 腕足動物(腕足類)は、殻をもっていて外観が二枚貝に似ています。しかし、殻の内部に触手冠(しょくしゅかん)というブラシのような形をした餌をとらえる器官をもっていて、二枚貝と異なります。分類学的にも、軟体動物に属する二枚貝とは大きく異なります。外見的にも、腕足動物の2枚の殻はそれぞれ左右対称で、その点も二枚貝とは異なります。二枚貝は、2枚の同じ形をした殻を左右両側に備えています。足がある方が前で、水管がある方が後ですが、殻は一般的に前側よりも後側が長く、非対称です。私たちの体に置き換えてみると、二枚貝は肩の右側と左側に殻をもっているような感じで、後側の殻の方が長くなっています。それに対して、腕足動物は、私たちの体でいくと、腹側と背中側にそれぞれ形と大きさが異なる殻をもっているような感じです。通常、腹側の殻は背中側の殻に比べて大きく、より大きく膨らんでいます。そして、腹側の殻も背中側の殻もそれぞれ左右対称の形をしています。 写真は6枚ありますが、いずれも栄町駅改札口裏の壁の写真です。少し離れて見ると色の異なるところがありますので、近づくと写真のように化石が入っているのがわかります。1番上の写真はコンビニエンスストアの外壁の一部を撮ったもので、上から2~5番目の写真は1番上の写真に写っている壁を近づいて撮ったものです。腕足動物が多いです。特に、2番目の写真の中央少し上に写っている腕足動物の断面が一番わかりやすいです。上と下の殻の形は異なっていますが、それぞれは左右対称であることがわかります。1番下の写真はサンゴらしきもの(右側のもの)を撮ったもので、1番上の写真に写っている壁の右側面の壁で見られる化石です。上の写真以外はスケー