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板取川沿いの地質、露頭 その49 関市洞戸高見右岸の砂岩泥岩互層中のブロック状のチャート :関市洞戸高見の右岸河床露頭

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前回「板取川沿いの地質、露頭その48」で紹介した破断した砂岩泥岩互層の露頭から上流(北東)へ10数m進んだところにチャートが見られます。このチャートの露頭は、北東-南西に(川に沿って)11mほど、北西-南東に6mほどの大きさです。露頭の南西端や北東端、南東で、このチャートと泥岩が接しているのが確認できます。そのため、このチャートは破断した砂岩泥岩互層の中に入っているチャートの巨大ブロックだと判断できます。チャートに接している泥岩には、砂岩やチャートの角礫が多く含まれていて、数cm以下のものが多いです。大きいものでは10数cm径のチャートの角礫も見られます。  地質図において、×地点がチャートの露頭の位置ですが、白色( a )の中にあり、白色は第四紀の堆積物です。周囲はうす茶色( Mal )とオレンジ色( Mch )が分布していて、うす茶色は砂岩泥岩互層からなる地層で、オレンジ色はチャートからなる地層です。砂岩泥岩互層とチャート層の境界部に近い場所です。第四紀の堆積物の下に分布している岩石が露出していることになります。写真は五種類ありますが、上の写真はチャートの露頭を西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央付近を撮ったものです。真中の写真はチャートの露頭の南東部を南西から撮ったもので、チャートと泥岩の境界部です。ハンマーがある黒っぽい右側が泥岩で、白っぽい左側がチャートです。ハンマーの頭部の右上の部分を近づいて北西(左側)から撮ったものが、中下の写真です。数cm以下の白っぽい角礫が多く入っているのがわかります。下の写真はチャートの露頭の北東端で、白っぽいチャートと黒っぽい泥岩が接しています。スケールとして置いてあるハンマーと黄色の折れ尺の長さは、それぞれ約28cm、1mです。中上と真中、下の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

板取川沿いの地質、露頭 その48 関市洞戸高見右岸の破断した砂岩泥岩互層 :関市洞戸高見の右岸河床露頭(旧つり橋跡の上流50mほど)

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洞戸高見地区は地質図で見る限り、第四紀の堆積物の下に、うす茶色( Mal )で示される砂岩泥岩互層からなる地層と、オレンジ色( Mch )で示されるチャートからなる地層が分布します。しかし、川沿いの露頭を見ると、砂岩泥岩互層中に10mほどの巨大なチャートのブロックが入っていたり、数cm~10cm径の角礫を多く含む部分があったり、細礫が多く入っている部分があったりします。また、チャート中に泥岩が貫入している部分も見られます。そこで、特徴的な露頭を下流から順に紹介します。今回は、旧つり橋跡(土台だけ残っている)の上流約50mのところで見られる砂岩泥岩互層の露頭と角礫を多く含む部分を紹介します。 美濃帯堆積岩類中の砂岩泥岩互層は、海洋で形成しその後移動したチャートや珪質泥岩、石灰岩、玄武岩質溶岩などとは異なり、陸側から河川によって海洋へ運ばれた砂と泥がもとになっています。その砂と泥が海底の斜面を流れ下り、再度堆積することによって、砂岩泥岩互層が形成されます。ここの露頭では、その砂岩泥岩互層が本来の層状ではなく、砂岩がレンズ状やちぎれた形状になったり、泥岩の中に砂岩などが細かい角礫状になって入ったりしています(破断した砂岩泥岩互層)。また、少し離れた場所(6mほど西の露頭)では、泥岩の中に角礫が多く含まれる部分があり、砂岩、泥岩、チャートが入っています。 地質図において×地点は露頭の位置ですが、白色( a )の中にあります。白色は第四紀の堆積物です。周囲は、うす茶色( Mal )である砂岩泥岩互層からなる地層が広く分布しています。第四紀の堆積物の下に分布している砂岩泥岩互層が露出しているのです。写真は五種類ありますが、上の写真は露頭を西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真に写っているハンマーの左を近づいて撮ったものです。真中の写真は、中上の写真のハンマーのグリップ先端の右下部分をより近づいて撮ったものです。砂岩(淡灰色)がレンズ状になったり、ちぎれた形状になったり、細かい角礫状になったりしています。中下の写真は6mほど西の露頭を東から撮ったもので、ハンマーの周辺を近づいて撮ったのが下の写真です。1cm以下の径のものから10cmほどの径のものまで、多くの角礫が入っています。スケールとして置いてあるハンマーと定規の長さは、それぞれ約28cm、約17cmです。...

板取川沿いの地質、露頭 その47 関市洞戸高見入口右岸の砂岩泥岩互層の熱変成 :関市洞戸高見入口板取川曲流部の右岸連続露頭の北西かど(曲流部の上流)

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洞戸阿部地区の北は高見(こうみ)地区です。国道256号で阿部地区のグランピング施設を越えてしばらくすると、道路沿いに阿部地区と高見地区の境界表示板があります。高見地区に入って、左側(西)一軒目の道路向かい側に川へ下りる細い道がありますので、近くに車を止めて、歩いて進みます。川原へ下りて川の下流に向かって歩くと、右側に露頭があります。高さが8m~10mの連続露頭ですが、板取川の曲流部の外側(攻撃斜面)のため、歩いては進めません。連続露頭の北西の端の部分を観察することになります。なお、前回の「板取川沿いの地質、露頭その46」は連続露頭の南東端です。この露頭は熱変成した砂岩泥岩互層ですが、露頭の表面は風化しているためわかりにくいです。ハンマーで割ってみると、砂岩や泥岩でできていることがわかります。 美濃帯堆積岩類中の砂岩層や泥岩層は、河川によって陸地から海洋へ運ばれた砂や泥がもとになっています。陸地から離れた海洋底で堆積したチャートとはかなり離れた場所で堆積したものですが、チャートが海洋プレートにのって陸地側へ移動し、大陸の縁(現在の日本列島)に付加したため、現在ではチャートと砂岩や泥岩でできた岩石が隣り合って分布しているのです。また、この周辺の岩石は、高賀花崗岩の影響で熱変成を受けており、見た目や硬さが変化し、砂岩泥岩互層といってもわかりにくくなっています。 地質図において、×地点が露頭の位置です。×地点はうす茶色( Mal )の中にあり、うす茶色はおもに砂岩泥岩互層からなる地層です。周囲はうす茶色の中にレンズ状のオレンジ色( Mch )が入り込んだように分布していますが、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。写真は五種類ありますが、上の写真は北東から連続露頭をパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の右側を東から撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマーの周辺を近づいて撮ったものです。中下の写真は砂岩の部分を、下の写真は泥岩の部分を割って接写したものです。両方とも写真の縦は2cmです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と真中の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオラ...

板取川沿いの地質、露頭 その46 関市洞戸阿部右岸のチャート層と泥岩層 :関市洞戸阿部の北 国道256号沿いの工場裏の右岸連続露頭東の角

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前回「板取川沿いの地質、露頭その45」で、熱変成した層状チャートの褶曲を紹介しました。地質図を見ると、今回の露頭はレンズ状に東西に伸びているチャート層の一部で、前回紹介した露頭と同じ一連のチャート層です。そのため、今回紹介する露頭もチャート層のみ見られるように思いますが、一部に泥岩層も見られます。美濃帯堆積岩類は海洋プレートに載った堆積物が陸地に付加したという付加体堆積物であるため、チャート層の分布しているところはすべてチャート層というわけではなく、ほかの層も入り込んでいることがあるようです。 洞戸の阿部地区にある須原神社を少し北へ進むと、グランピングの施設があります。その裏を上流に向かってしばらく進むと、右岸側に連続露頭が広がります。位置的には、国道256号沿いの工場の裏にあたります。全体的にはチャート層ですが、黒色~暗灰色の泥岩層も見られます。チャート層は淡灰色~淡緑灰色をしていて、層理のわかる部分もありますが、全体的には層理がわからないです。チャート層と泥岩層との境界部は西北西-東南東を軸(走向)として、北北東に75°~85°傾いています。 地質図において、×地点が露頭の位置ですが、オレンジ色( Mch )の中にあり、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。周囲はうす茶色( Mal )が広く分布していて、砂岩及び泥岩の互層からなる地層です。写真は五種類ありますが、上の写真は連続露頭を北からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央左を撮ったものです。真中の写真は、チャート層と泥岩層との境界部を東から撮ったものです。真中の写真に写っているハンマーの左上を近づいて撮ったものが中下の写真です。中央左側はチャートで、右側は泥岩です。いずれの岩石も熱変成を受けていると思います。下の写真はこの連続露頭の下流にあるグランピング場裏の露頭を撮ったもので、チャートの熱変成です。スケールとして置いてあるハンマー、定規の長さは、それぞれ約28cm、約17cmです。中上と真中、中下、下の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図...

板取川沿いの地質、露頭 その45 関市洞戸阿部右岸の層状チャート層(褶曲) :関市洞戸阿部の北の右岸河床露頭

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  前回「板取川沿いの地質、露頭その44」で紹介した砂岩泥岩互層の露頭から北(上流)へ進んだところで見られるチャート露頭です。熱変成は受けていますが、層状チャートが褶曲していることがわかり、かつ褶曲の軸もわかる露頭です。 国道256号沿いにある関市洞戸阿部地区の須原神社の向かいの小道を歩いて東へ進み、川原へ下ります。上流へ向かって100mほど進むと、川原から突出している露頭があります。それが層状チャートです。露頭は東西11mほど、南北6mほどで、水面からの高さは3m強です。 ここで見られるチャートは熱変成を受けていますが、層状チャートであることがわかります。風化面では、白色~淡褐色をした数cm~10cm厚のチャート層の間に、淡灰色~緑灰色をした数mm~1 . 5cm厚の泥岩層をはさんでいるのが確認できます。ただし、ハンマーで割った新鮮な面では全体的に淡灰色~暗灰色をしていて、チャートと泥岩の違いはわかりにくいです。風化面では褶曲がわかりやすく、褶曲の軸も見当がつきます。褶曲の軸の走向傾斜を測ると、N65°W,85°Nでした。 地質図において×地点が露頭の位置です。うす茶色( Mal )中に分布する細長いレンズ状のオレンジ色( Mch )の中にあります。うす茶色は砂岩泥岩互層で、オレンジ色はおもにチャート層です。写真は五種類ありますが、上の写真は南からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央付近を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマー付近を近づいて撮ったものです。中下の写真はハンマーの上面を南東から撮ったもので、灰色をした細い帯(泥岩層)が何本も平行に山状に曲がっているのがわかります。下の写真は中下の写真をもう少し広範囲に撮ったもので、垂直面の褶曲の様子もわかります。スケールとして置いてあるハンマーと定規の長さは、それぞれ約28cmと約17cmです。中上と真中、下の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

板取川沿いの地質、露頭 その44 関市洞戸阿部の破断した砂岩泥岩互層(熱変成) :関市洞戸阿部の北の本流右岸、水量が多いときは中州の露頭

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  地質図を見るとわかりますが、関市洞戸栗原から高見にかけては、うす茶色( Mal )の砂岩泥岩互層の中に、オレンジ色( Mch )のチャート層が長細いレンズ状でいくつも入り込んでいます。そのため、板取川沿いを下流から上流に向かって進むと、砂岩泥岩互層とチャートが交互に露出しています。 関市洞戸阿部地区の国道256号沿いに須原神社(阿部のバス停から北へ150mほど)があります。その神社の向かいに川の方へ進む小道がありますので、近くに車を停めて、その道を進みます。一段低い場所に建っている住宅の横を抜けて川原へ下りる道です。川原へ下りると、下流側(左側)10数mのところに露頭があります。破断した砂岩泥岩互層が熱変成を受けた岩石です。本流の右岸露頭ですが、水量の多いときは中州露頭となります。東西に12mほど、南北に8mほどで、水面からの高さは約3 . 5mの露頭です。泥岩の中に細長くレンズ状の砂岩が入っています。そのレンズ状の砂岩は、幅が数mm~2cm、長さが数cm~15cmのものが多いです。また、レンズ状の砂岩が並んでいる面の走向傾斜を測ると、走向はほぼ東西で、ほぼ垂直の傾斜です。 地質図において、×地点が露頭の位置です。オレンジ色( Mch )のチャート層にはさまれたうす茶色( Mal )の砂岩泥岩互層の中にあります。写真は五種類ありますが、上の写真は北から露頭をパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央付近を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っている折れ尺付近を近づいて撮ったものです。中下の写真は、折れ尺の左上あたりをより近づいて撮ったものです。下の写真は砂岩泥岩互層の割った面を接写したもので、写真の縦は3cmです。スケールとして置いてある折れ尺の長さは1mです。中上と真中の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

板取川沿いの地質、露頭 その43 関市洞戸阿部右岸のチャート層と破断した砂岩泥岩互層(熱変成) :関市洞戸阿部板取川の曲流部右岸露頭

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  地質図を見ると、露頭の場所(洞戸阿部の板取川曲流部外側)周辺はオレンジ色( Mch )が分布しています。オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。しかし、露頭を見ると破断した砂岩泥岩互層も存在しています。美濃帯堆積岩類は、海洋プレートの上に堆積したり噴出したりしたものが、大陸の縁に移動し、砂や泥など大陸側からの堆積物と一緒になって大陸(現在の日本列島)に付加した付加体堆積物です。そのため、全く別のところで形成したチャートと砂岩泥岩互層が隣り合って分布していたり、チャートの中に砂岩泥岩互層が小規模で入っていたりするのです。この露頭ではチャートが広く分布していますが、砂岩泥岩互層も部分的に見られます。 前回「板取川沿いの地質、露頭その42」で紹介しましたが、国道256号を北進し、新高賀橋を渡ることなく、500m少し進むと右側に空き地があります。車を停め、そこから250m弱国道を西へ進むと、水難死亡現場の表示板があり、その脇に川へ下りる小道があります。川へ下りると露頭があります。東から続いている露頭の西のかどです。ほとんどはチャートですが、破断した砂岩泥岩互層も見られます。砂岩泥岩互層は表面では、楕円形や不定形をした褐色の砂岩が黒色の泥岩の中に入っている形状を示します。砂岩の褐色は、酸化による色だと思います。 地質図において、×地点が露頭の位置です。オレンジ色( Mch )の中にあり、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。右上(北東)には濃いピンク色( OKg )が広く分布しており、高賀花崗岩です。この花崗岩による熱で、変成作用を受けています。写真は五種類ありますが、上の写真は国道256号から東を望んで露頭を撮ったもので、中上の写真は川原へ下りて、北からパノラマで露頭を撮ったものです。中上の写真の露頭は、連続露頭の西の端にあたります。真中の写真は、中上の写真の中央付近を撮ったものです。中下の写真は破断した砂岩泥岩互層に近づいて撮ったもので、位置は中上の写真に書かれてある「砂岩泥岩互層」の「砂」の左上あたりです。下の写真はチャートを北西から撮ったもので、中上の写真に書かれてある右側の「チャート」付近を撮りました。スケールとして置いてあるハンマーと定規の長さは、それぞれ約28cmと約17cmです。真中と下の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の...