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板取川沿いの地質、露頭 その28 関市洞戸尾倉右岸のチャート :関市洞戸尾倉右岸露頭2箇所(オートキャンプ場併設の鮎料理処西側、及び板取川曲流部の近く)

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  関市洞戸事務所の東を通っている国道256号を北進し、栗原橋を通り抜け、約800m進むと、オートキャンプ場併設の鮎料理処があります。その敷地内の西側板取川右岸に露頭があります。チャート層が露出しています。また、そこから西へ200mほど進んだ右岸にも、露頭があり、同じくチャート層です。 美濃帯堆積岩類中のチャート層は、海洋の深海底で堆積したものです。大陸から遠く離れているため、砂などが届くことなく、水に浮遊するような細かい粒子のものしか堆積しません。実際チャートは、海洋に生息する放散虫などの微生物の遺骸などによってできています。両方の露頭のチャート層は全体的には層状かどうかがわかりにくいですが、 オートキャンプ場併設の鮎料理処西側の露頭の一部では層状チャートが褶曲しているのが確認できます。灰色~暗灰色をした数cm~7cm厚のチャート層に、黄灰色~灰色をした数mm~1cm厚の泥岩層がはさまっています。 地質図において、オートキャンプ場併設の鮎料理処西側の露頭(黒色×地点)と板取川曲流の近くの露頭( 赤色×地点 )はいずれもオレンジ色( Mch )の中にあり、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。写真は五種類あります。上と中上、真中の写真は黒色×地点の露頭です。上の写真は東からパノラマで撮ったもので、上の写真の中央付近を撮ったものが中上の写真です。真中の写真は上の写真(または中上の写真)に写っているハンマーの下の位置を東から撮ったもので、層状チャートが褶曲しているのがわかります。中下と下の写真は 赤色×地点 の露頭です。中下の写真は北からパノラマで撮ったもので、中下の写真の中央付近を撮ったものが下の写真です。スケールとしておいてあるハンマー、定規、黄色の折れ尺の長さはそれぞれ約28cm、約17cm、1mです。中上と真中、下の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の黒丸または白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

板取川沿いの地質、露頭 その27 関市洞戸飛瀬のキャンプ場裏の層状チャート :関市洞戸飛瀬のキャンプ場裏の右岸露頭とその対岸露頭(縄文橋上流両岸露頭)

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  地質図を見ると、洞戸栗原から上流の洞戸高見(ここの地質図には高見までは載っていない)にかけては、主にチャート層と何らかの力を受けて形状が変化した砂岩泥岩互層(破断した砂岩泥岩互層と呼ぶ)が入り組んで板取川沿いに分布しています。そのため、チャート層と破断した砂岩泥岩互層が繰り返して板取川沿いに露出しています。 関市洞戸事務所の東を通っている国道256号を北進します。しばらくすると栗原橋で板取川を横切りますが、その先150mほどのところにもう一本橋があります。縄文橋と名付けられていますが、そこから北(上流)を眺めると両岸に岩場があります。チャート層です。右岸の露頭を見るには、縄文橋から200mほど進んだ右側にキャンプ場がありますが、その裏手を進み、川へ下りればよいです。層状チャートの露頭が広がります。 地質図において、露頭(×地点)は白色( a )の中にあり、白色は第四紀の堆積物です。周囲はオレンジ色( Mch )が広く分布していて、おもにチャートからなる地層です。第四紀の堆積物の下に分布しているチャート層が露出しています。写真は五種類ありますが、上の写真はキャンプ場裏の南西面の露頭を北東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央付近を東(左斜め)から撮ったものです。この露頭は、北北東-南南西を軸として西北西に30°の傾斜をもったチャート層が何層も積み重なっています。ハンマーのグリップ付近を境として上下に色が異なっていますが、両方とも層状チャートです。上の層状チャートは、灰色~暗灰色をした数cm~10cm厚のチャート層に、灰色をした数mm厚の泥岩層がはさまっています。下の層状チャートは、表面は褐灰色をしていますが、割ってみると淡灰色~暗灰色です。数cm~5cm厚のチャート層に、淡灰色をした数mm厚の泥岩層がはさまっています。全体的には、下の層状チャートの一層一層がやや薄いです。真中の写真は上の写真の露頭から40mほど下流の層状チャートの露頭を南東からパノラマで撮ったもので、中央右を南(斜め左)から撮ったのが中下の写真です。下の写真は対岸のチャート層を撮ったもので、真中に写っている露頭の左隅の下方に1mのスケール(薄黄色)が写っています。ほかにスケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と中下の写真は、同じような写真が2枚並んでいま

板取川沿いの地質、露頭 その26 関市洞戸栗原と飛瀬の境界付近の珪質粘土岩 :関市洞戸栗原と飛瀬の境界付近の左岸河床露頭

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 前回「板取川沿いの地質、露頭その25」の対岸少し上流に、黒っぽい岩石が河床に露出しています。露出しているのは珪質粘土岩で、珪質泥岩を伴っています。珪質泥岩が多い部分もあり、全体的に黒っぽく見えます。 美濃帯堆積岩類の中の珪質粘土岩は、粘土鉱物からなる岩石です。 チャート層に伴って存在し、中に黒色の珪質泥岩をはさむことを特徴としています。調査研究によって、中生代三畳紀の層状チャートの基底部に存在することがわかっていて、三畳紀初期において酸素が少ない状態の海洋で堆積したものだと考えられています。ここの露頭は、板取川に沿って左岸河床に幅8mほど、長さ30m弱にわたって露出しています。上流側(西側)には珪質泥岩が多くを占めている部分がありますが、1cm~5cm厚の珪質粘土岩と1cm~7cm厚の珪質泥岩が交互に積み重なっている部分が広範囲を占めています。下流側(東側)は珪質粘土岩が厚い部分が多く、数cm~10数cm厚の珪質粘土岩と1cm~5cm厚の珪質泥岩が交互に積み重なっています。  地質図において、露頭(×地点)は白色( a )の中にあり、白色は第四紀の堆積物です。周囲はオレンジ色( Mch )が広く分布していて、おもにチャートからなる地層です。第四紀の堆積物の下に分布しているチャート層に伴った珪質粘土岩が露出しているのです。写真は五種類ありますが、上の写真は東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真に写っているハンマー周辺を近づいて撮ったものです。淡灰色の珪質粘土岩と暗灰色の珪質泥岩が交互に堆積しているのがわかります。真中の写真は露頭の中央付近を西からパノラマで撮ったもので、中下の写真は真中の写真に写っているハンマー周辺を南西(右斜め)から撮ったものです。交互に堆積している珪質粘土岩と珪質泥岩は、波うったように変形しています。下の写真は、露頭の下流側(東側)を西からパノラマで撮ったものです。淡褐灰色に写っているのが珪質粘土岩ですが、層厚が厚いのがわかります。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と中下の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の黒丸または白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学の

板取川沿いの地質、露頭 その25 関市洞戸栗原と飛瀬の境界付近の変形したチャート層 :関市洞戸栗原と飛瀬の境界付近の右岸露頭(栗原橋上流150mほど)

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  2020年11月29日「板取川沿いの岩石その9」で紹介したチャート層の露頭を再度紹介します。関市洞戸事務所の東を通っている国道256号を北進し、しばらくすると板取川を横切ります。その橋が栗原橋です。橋の手前には現在は使われていないようですがバスの車庫が、橋を越えたところには鮎料理処があります。栗原橋で左側(西側)を見ると、チャート層が露出しています。橋の手前付近で車を止め、東へ40mほどのところに川原へ下りる階段がありますので、そこを通って川原へ下り、川沿い(右岸)を上流へ向かって進みます。栗原橋の下をくぐって、さらに150mほど進むと露頭があります。 チャート層は、チャートの層と層の間にうすい泥岩の層がはさまっていることが多く、層状チャートと呼ばれます。ここのチャート層は間にはさまっている泥岩層が厚く、チャートの部分が途切れていたり、変形したりしています。チャート層は淡青灰色をしていて、数cm~10cmほどの厚さです。間にはさまる泥岩層は灰色(部分的に暗青灰色)をしていて、1cm~15cmほどの厚さです。 地質図において、×地点が露頭の位置ですが、オレンジ色( Mch )の中にあり、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。写真は五種類ありますが、上の写真は北東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央付近を撮ったものです。真中の写真は上の写真の露頭の右下を近づいて撮ったもので、チャート層が変形し、泥岩層が厚いのがわかります。中下の写真は露頭の上に登って南西から撮ったもので、ハンマーの頭部の左を近づいて撮ったのが下の写真です。 下の写真には、中央少し上に白く写っているチャートが見かけ上ソーセージ状に分かれているのが写っています。ブーディン構造だと思いますが、硬くてもろい地層(ここではチャート層)と流動性に豊む地層(ここでは泥岩層)との互層にしばしば見られる変形構造です。地層面に平行な引っ張りの力によってチャート層が引きちぎられ、その間を泥岩層が埋めたような形態をなす変形構造です。「ブーディン」はフランス語でソーセージを意味するため、断面を見ると連なったソーセージ状に見える構造をブーディン構造というようです。 スケールとして置いてあるハンマーと定規の長さは、それぞれ約28cm、約17cmです。中上と真中、中下の写真は、同じような写真

板取川沿いの地質、露頭 その24 関市洞戸栗原の鮎料理処の東に見られるチャート石灰岩互層 :関市洞戸栗原の鮎料理処の東の左岸河床露頭

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 前回「板取川沿いの地質、露頭その23」で紹介したチャート石灰岩互層の露頭が、ここでも見られます。2020年11月26日「板取川沿いの岩石その8」で紹介した露頭と同じ露頭です。チャート石灰岩互層は、チャート層と石灰岩層が交互に積み重なったように見える地層ですが、積み重なったように見えるとあやふやな書き方なのは、普通で考えると、ありえない地層だからです。チャート層は深海で堆積した地層で、石灰岩層は浅い海で堆積した地層です。また、石灰岩層は深い海では溶けてしまい堆積することがないのです。このように、同じ場所で形成することがないチャートと石灰岩が交互に積み重なっているのです。そのため、現在でもその形成過程は明確にはわかっていません。石灰岩は長い時間の中では、流動したり、他の地層に入り込んだりすることがあるので、チャートの堆積後、石灰岩がシート状に貫入したと考える研究者もみえるようです。 ここで見られるチャート石灰岩互層は、淡青灰色~青灰色をしたチャート層と、淡灰色をした石灰岩層が交互に積み重なっています。石灰岩層は10cm~20cmの厚さのものが多く、その部分は凹んでいます。走向、傾斜を測ったところ、北東-南西を走向として、北西に60°ほどの傾斜です。 地質図において、×地点が露頭の位置ですが、白色( a )の中にあり、白色は第四紀の堆積物です。周囲にはオレンジ色( Mch )や灰色( Mmx )が分布していて、おもにチャートからなる地層やメランジュからなる地層です。この地点周辺の河原で見られる露頭は、第四紀の堆積物の下に分布するチャート層などが露出しているのです。チャート石灰岩互層はチャート層中に分布します。  写真は五種類ありますが、上の写真はチャート石灰岩互層を南東から撮ったもので、中上の写真はハンマー付近を近づいて撮ったものです。真中の写真は、上の写真に写っているハンマーの左下のところを近づいて撮りました。中下の写真は上の写真の露頭から北西へ8mほど離れたところを南東から撮ったもので、下の写真は中下の写真に写っているハンマーの左下の石灰岩層(白色の層)に近づいて撮ったものです。なお、上と真中、中下の写真は「板取川沿いの岩石その8」でも使用しています。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。五種類とも同じような写真が2枚並んでいますが、そ

板取川沿いの地質、露頭 その23 関市洞戸栗原集落の対岸のチャート石灰岩互層 :関市洞戸通元寺の洞戸キャンピングセンター(バーベキュー場)の東端の左岸露頭

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  2020年8月12日 「 長良川沿いの石灰岩その3」、2021年10月10日 「長良川本流沿い露頭編その18」、 2021年10月12日「 長良川本流沿い露頭編その20」などで紹介したように、長良川沿いにおいてチャートと石灰岩が交互に堆積しているように見える岩石(チャート石灰岩互層)が露出しています。板取川沿いにも露出していますので、今回と次回でチャート石灰岩互層を紹介します。 チャートは深い海で形成し、一方石灰岩は浅い海で形成するというように、チャートと石灰岩は形成場所が異なります。特に、石灰岩はチャートが形成するような深い海だと溶けてしまい、形成されません。チャートと石灰岩は、形成場所や形成条件が全く違うため、チャートと石灰岩が交互に積み重なるように見える産状(チャート石灰岩互層)の形成過程は正確にはわかっていないようです。ここのチャート石灰岩互層は、白色~淡青灰色をしたチャート層と白色をした石灰岩層が交互に堆積しています。チャート層は、数cm~15cmの厚さのものが多く、30cm以上の厚さの層もあります。石灰岩層は、5cm~10数cmの厚さで、石灰岩層の部分が浸食などで凹んでいて、チャート層より20cm以上凹んでいるところもあります。 地質図において、露頭(×地点)はオレンジ色( Mch )の中にあり、オレンジ色は主にチャートからなる地層です。写真は五種類ありますが、上の写真は露頭を北からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央付近を撮ったものです。ハンマーの位置は同じです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)のハンマー付近をより近づいて撮ったものです。灰色がチャートで、白色が石灰岩です。中下の写真は中上の写真の左端の部分を北西から撮ったもので、ハンマー付近を近づいて撮ったものが下の写真です。立体で見ると、チャートの部分が凸で、石灰岩の部分が凹になっているのがわかります。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と真中、中下、下の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の白丸または黒丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図は

板取川沿いの地質、露頭 その22 関市洞戸栗原の珪質泥岩、貫入岩 :関市洞戸通元寺と栗原の境界から国道256号を百数十m北進した地点の川沿いの露頭(北側)

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  前回「板取川沿いの地質、露頭その21」で紹介した露頭の北側にある露頭です。全体的には珪質泥岩からなっていますが、貫入岩が入り込んでいます。この露頭については、2020年11月25日「板取川沿いの岩石その7」で紹介していますが、再度紹介します。国道256号沿いの歩道の下に露出していますので、国道脇の歩道から見えます。 珪質泥岩は、陸地側から河川によって海へ流れ込んだ泥とは異なり、海に漂う泥と珪質の殻をもった放散虫などの生物の遺骸が混ざったものが堆積してできた岩石です。簡単に言うと放散虫チャートと泥岩の中間の岩石であり、珪酸( SiO2 )分に富む細粒で緻密な岩石です。海洋プレートが大陸に近づきつつある時期の海洋の堆積物です。 貫入岩は、液体であるマグマが他の岩石(ここでは珪質泥岩)に入り込み、冷え固まった岩石です。場所からすると、奥美濃酸性岩類を形成した火山活動に関連したものだと考えられますが、肉眼で鉱物等を確認する限り、苦鉄質の岩石のように思われ、詳しいことはわかりません。 地質図において、×地点が露頭の位置で灰色(メランジュからなる地層)が分布しているように描かれていますが、前回「板取川沿いの地質、露頭その21」でも書いた通り、「脇田浩二 (1995)5 万分の 1 地質図幅「美濃」地質調査所」では、珪質泥岩となっています。写真は五種類ありますが、上の写真は対岸から西を望んでパノラマで撮ったものです。今回が右側の露頭で、前回が左側の露頭です。中上の写真は露頭を南西から撮ったもので、3枚の写真を合成しました。灰色に見えるのが珪質泥岩で、うすだいだい色に見えるのが貫入岩です。真中の写真は、中上の写真の中央付近を撮ったものです。中下の写真は珪質泥岩を中心にして、南から撮ったものです。下の写真は貫入岩に近づいて撮ったものです。なお、真中と下の写真は「板取川沿いの岩石その7」でも使用しています。スケールとして置いてあるハンマーと定規の長さは、それぞれ約28cmと約20cmです。真中と中下の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の黒丸または白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotiga