露頭と立体視その5(石灰岩内のカレンなどの溶食地形の立体写真)
岐阜県美濃地方に広く分布する美濃帯堆積岩類中の石灰岩は、海洋で形成した過去のサンゴ礁が岩石になったものです。石灰岩はおもに炭酸カルシウム(CaCO3)からなるため、酸性の溶液に溶けます。雨水は、大気中の二酸化炭素を溶かし込んでいて弱い酸性になっています。そのため、石灰岩が露出している場合、雨水などに溶かされ、他の岩石には見られない地形(カルスト地形)をつくりだすことがあります。
カルスト地形にはいろいろありますが、地面を覆っている石灰岩が溶かされ、一部が溶けずに残ると、その部分だけが地面から突出したように柱状に残ります。このような地形をピナクルと呼びます。また、溶食が進んだ石灰岩の表面には溝が形成されます。その溝のことをカレンと呼びます。
写真は3種類ありますが、いずれも大垣市赤坂金生山の岩巣公園内の石灰岩を撮ったものです。岩巣公園内のピナクルと石灰岩表面のカレンを撮りました。同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。
上の写真は、岩巣公園内のピナクルを撮ったものですが、立体視をすることによって、石灰岩の凸凹が臨場感たっぷりに目に飛び込んできます。
真中の写真は、石灰岩の表面にカレンが発達している場所を撮ったもので、まるで険しい山脈のミニチュア版を見ているようです。立体視で見ることができると、尖っている尾根や深い谷、U字状にくぼんだ部分がわかります。
下の写真は、石灰岩の表面にできた溝状の地形(カレン)が発達しているところを近づいて撮ったものです。溝状の地形を正面から撮ったものですから、立体視で見ることで、溝はU字状をしていて、溝と溝の間は尖った山状になっているのがわかります。いずれか一方の写真を見ていてはなかなか伝わらないでしょう。
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