露頭と立体視その12(滝と立体写真)

滝は河川などの一部が段差になっているため、流水が落下している場所です。段差ができる原因はいろいろありますが、原因の一つとして、河川の流路が浸食の度合いの異なる岩石上を流れていると、段差ができる場合があります。水流は軟らかい岩石を浸食して河床を低下させますが、硬い岩石の部分は残るため段差を生じさせるのです。 岐阜県郡上市白鳥町にある 阿弥陀ヶ滝は、日本の滝100選にも選ばれている滝で、落差約60mです。この滝は、スキー場で知られる大日ヶ岳の溶岩層にかかる滝で、滝の周辺では溶岩層の下に火山砕屑岩層(かざんさいせつがんそう)が分布します。火山砕屑岩は火山から噴出された火山灰や火山岩塊などが堆積してできた岩石であるため、溶岩と比べると緻密ではなく軟らかく浸食しやすいです。硬く浸食しにくい溶岩層の下に、浸食しやすい火山砕屑岩層が堆積しているため、下部の方が先に浸食し、上部がくずれるなどして急崖(段差)が形成され、そこが滝となっています。 阿弥陀ヶ滝の写真は3種類ありますが、上と真中の写真は滝の全体を、下の写真は滝の右下の部分を撮ったものです。立体視で見ることによって、凹凸の状況がわかります。滝の上部4/5は溶岩層でできていて、下部1/5は 火山砕屑岩層からなっています。 特に、滝の中~上部は溶岩でできているため、ごつごつしていて凸凹しているのがわかります。 時間差で左目用と右眼用写真を撮った場合、一般的には被写体が動くと違和感があり、立体視がしずらくなります。滝の水は常に流れているので、時間差で左右の写真を撮ると若干異なる水の形が写ります。しかし、それが逆に流れている水として認識できるので、立体写真としては違和感がないと思います。 下の3種類の写真は、長良川上流の夫婦滝です。落差は約17mと表示があります。この滝も、滝の上部2/3と下部1/3のところでは岩石が異なり、上部2/3は安山岩質溶岩から、下部1/3は角礫が入った岩石(火山砕屑岩)からできています。阿弥陀ヶ滝と同様に、浸食しにくい溶岩層の下に、浸食しやすい火山砕屑岩層が堆積しているため、下部の方が先に浸食し、上部がくずれるなどして急崖が形成され、そこが滝となっています。 上の写真は夫婦滝をやや遠方から撮ったもので、手前に写っている礫が立体的に見えます。真中の写真は近づいて撮影したもので、上部の溶岩層が凸...