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長良川本流沿い露頭編 その122 八幡町西乙原右岸の混在岩とチャート、珪質粘土岩 :郡上市八幡町西乙原右岸露頭(長良川鉄道鉄橋東(上流)に60mほどの右岸河床)

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  前回「 長良川本流沿い露頭編 その121」で書いたように、 八幡町西乙原には長良川鉄道の鉄橋が通っていますが、右岸においては鉄橋のほぼ下から上流へ60mほどには混在岩がところどころに露出しています。今回は、 長良川鉄道鉄橋から東(上流)に60mほどの露頭を紹介します。ここの露頭では、チャート、珪質粘土岩、混在岩が見られます。混在岩と珪質粘土岩、珪質粘土岩とチャートが接しています。混在岩の中に、チャートと珪質粘土岩が接している岩塊が入っているという状態だと考えられます。 珪質粘土岩は、 粘土鉱物からなる岩石で、美濃帯堆積岩類においては チャート層に伴って存在し、中に黒色の珪質泥岩をはさむことを特徴とします。ここの露頭では、淡緑灰色の粘土岩に黒色珪質泥岩が帯状、またはレンズ状に入っています。黒色珪質泥岩の中に粘土岩がレンズ状に入っている部分もあります。また、ここの露頭のチャートは、淡青灰色~青灰色をしていて、層状の部分もありますが、塊状の部分もあります。層状の部分は、数cm~5cm厚のチャート層に、灰色をした数mm~1cm厚の泥岩層をはさんでいます。混在岩は基質である暗灰色~黒色の泥岩の中に、おもに数cm~10cm径の砂岩を含み、大きいものでは30cm径ほどの礫も含みます。しかし、礫(岩塊)をほとんど含まない部分も見られます。 地質図において、この露頭(×地点)は灰色( Mmx )の中にあり、灰色はメランジュからなる地層です。写真が五種類ありますが、上の写真はこの露頭を東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。真中の写真は混在岩を北から撮ったもので、写真の右端から1/3に写っているのは珪質粘土岩です。中下の写真は、上の写真に写っている露頭の南西8mほどのところに露出する珪質粘土岩を撮ったものです。北からパノラマで撮りました。下の写真は、中下の写真の中央部を撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と真中、下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真にある白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)             地質美濃・美濃地学minotigaku (google

長良川本流沿い露頭編 その121 八幡町西乙原右岸の混在岩 :郡上市八幡町西乙原右岸河床露頭(長良川鉄道鉄橋の橋脚ほぼ下と上流(東)50mほどの露頭)

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地質図によると、郡上市八幡町の貝付の北から西乙原にかけて、長良川沿いにはメランジュからなる地層( Mmx )が分布しています。メランジュは美濃帯堆積岩類などの付加体堆積物に特徴的な地質体で、基質となる黒色の泥岩中に大小さまざまな岩塊が入っています。岩塊の中で大きいものは、5万分の1の地質図幅にも表現できる大きさで、100m~1kmにも及ぶものもあります。露頭レベルで、黒色の泥岩の中に砂岩やチャートの数cm~10数cm径の礫が入っている場合、混在岩という表現をします。「 長良川本流沿い露頭編その118~120」で紹介したチャートは、一箇所の露頭をチャートがすべて占めているというメランジュの中の巨大な岩塊です。 八幡町西乙原には長良川鉄道の鉄橋が架かっていますが、右岸においては、鉄橋のほぼ下から上流へ60mほどにかけて、混在岩の露頭がところどころに露出しています。ここでは、長良川鉄道の鉄橋のほぼ下(黒色×)と鉄橋の東50mほどの露頭(赤色×)を紹介します。鉄橋のほぼ下の混在岩は、基質となる黒色泥岩の中におもに数cm~20cm径の礫(岩塊)が入っていて、礫は砂岩が多いです。大きいものでは、1mを超えるようなチャートや1mに近い砂岩なども入っています。鉄橋の東50mほどで見られる混在岩は、基質となる泥岩が暗灰色~黒色をしていて、暗灰色と黒色の泥岩が混ざって一定方向に筋が入っています。また、礫(岩塊)は全体的に少なく、ほとんど入っていない部分も見られます。入っている礫(岩塊)はおもに数cm~8cm径の砂岩で、大きいものでも径が17cm×9cmです。 写真が五種類ありますが、上の写真は鉄橋のほぼ下の混在岩露頭を西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央少し左を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマー周辺を近づいて撮ったものです。灰色に写っている礫は砂岩です。中下の写真は 鉄橋の東50mほどの混在岩露頭を北から撮ったもので、 下の写真は中下の写真に写っているハンマーの右側を近づいて撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と真中、中下、下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部にある白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(

長良川本流沿い露頭編 その120 八幡町西乙原右岸の層状チャートの褶曲 :郡上市八幡町西乙原右岸露頭(長良川鉄道鉄橋の橋脚下流(西)70mほどの右岸露頭)

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   郡上市八幡町西乙原の長良川に架かる鉄橋の西(下流側)70mほどの右岸には、層状チャートが露出しています。 チャートは、砂や泥の供給がないような陸地(大陸)から離れた深海底で、放散虫などの微小な生物の遺骸が堆積したものがもとになっています。それが、海洋プレートによって運ばれ、大陸の縁(現在の日本列島)に付加したものを現在見ているのです。本来チャートは深海底で水平方向に堆積していますが、陸地に付加したため、現在はかなり変形した状態で露出していることが多いです。ここの層状チャートを見ると、地層に外から力が加わり褶曲している(曲がっている)のがよくわかります。層状チャートは、淡緑青灰色~暗青灰色をした数cm~7cm厚のチャート層の間に、灰色をした数mm~5mm厚の泥岩層をはさんでいます。 地質図において、褶曲した層状チャートの露頭(×地点)は、灰色( Mmx )の中にあり、灰色はメランジュからなる地層です。この層状チャートは、メランジュ中の巨大な岩塊だと考えられます。ちなみに、この露頭の東(上流側)には混在岩が分布しています(次回に紹介)。写真が五種類ありますが、上の写真は褶曲した層状チャートの露頭を西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)のハンマー付近を近づいて撮ったものです。中下と下の写真は褶曲が見やすいところを近づいて撮ったもので、中下の写真は上の写真に写っているハンマーの右側を西から、下の写真は上の写真に写っているハンマーの左下少しはなれたところを南西から撮りました。スケールとして置いてあるハンマー、黄色の定規の長さはそれぞれ約28cm、約20cmです。中上と中下、下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部にある白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)                  地質美濃・美濃地学minotigaku (google.com)                  美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com

長良川本流沿い露頭編 その119 八幡町東乙原左岸の黒色チャートと石英脈 :郡上市八幡町吉野東乙原左岸露頭(長良川鉄道鉄橋橋脚から下流75mほど)

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    前回 「長良川本流沿い露頭編その118」の露頭から南東へ25mほど進んだところに、黒色チャートと石英脈の露頭があります。チャートにはいろいろな色のものがありますが、チャートが堆積した海洋環境の状態を表していると考えられています。黒色チャート(正しくは黒色に近いチャート)は、海洋が還元状態(酸素が乏しい状態)で堆積したと考えられていて、硫化鉄(主に黄鉄鉱)や炭素化合物などの酸素の乏しい場所でできた物質を含んでいるようです。今まで、長良川本流沿いの露頭を100箇所以上紹介してきましたが、黒色チャートは「その17、58、80、108、114」で紹介しました。場所としては、美濃市横持の南、美並町木尾右岸、美並町福野農道橋の北、八幡町貝付右岸、八幡町名津佐左岸です。もちろん、長良川沿いの露頭に限っていますし、長良川沿いもすべて見ているわけではありませんので、網羅しているわけではありません。 ここの黒色チャートは、暗青灰色の層状チャート(数cm~10cm厚のチャート層に、灰色をした数mm~5mm厚の泥岩層をはさむ)に接した状態で露出していて、黒色チャートの部分は層状がはっきりしていません。見た限りでは、矢じりなどの石器の石材になりそうな塊状のチャートもあります。 貫入している石英脈は、幅が5mm~5cmで、長さが10cm~40cmのものが多く、5cm幅で150cmほどの長さのものもあります。おもに、チャート層の層間に沿って入っています。 地質図において、この露頭(×地点)は灰色( Mmx )の中にあり、灰色はメランジュからなる地層です。メランジュ中の巨大なチャートの岩塊だと思われます。写真が五種類ありますが、上の写真はこの露頭を南からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。縦に入っている白い筋が石英脈で、他はチャートです。真中の写真は上の写真(または中上の写真)に写っているハンマーの左を近づいて撮ったもので、塊状の黒色チャートです。中下の写真は同じ露頭を東からパノラマで撮ったもので、下の写真は中下の写真の中央少し右を同じく東から撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるよう

長良川本流沿い露頭編 その118 八幡町東乙原左岸のチャート中の石英の雁行脈 :郡上市八幡町吉野東乙原左岸露頭(長良川鉄道鉄橋橋脚(左岸)から下流へ100mほど)

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  郡上市八幡町西乙原において、長良川に架かる長良川鉄道の鉄橋がありますが、その近辺の長良川沿いには岩石が何ヶ所も露出しています。地質図によると、灰色( Mmx )で、メランジュからなる地層です。実際に露頭を見ると、混在岩もありますが、チャートも分布しています。長良川左岸側の鉄橋の橋脚から下流へ100mほどのところには、赤色(エンジ色)のチャートが見られる露頭があります。近づいてみると、全体的に明確な層状にはなっていなく、赤色のチャートと淡緑灰色のチャートが縞状に混じっていたり、お互いに不定形をして混じっていたりします。 「長良川本流沿い露頭編その103」で雁行脈を紹介しましたが、ここの露頭でも見られます。ここの雁行脈は、チャート中の石英脈です。一つ一つの脈の長さが1cm~3cmで、幅が数mmといった細くて短いものが何本も平行で並んでいて、全体としては斜めに配列しています。雁行脈は、鳥の雁(がん)が斜めに並んで空を飛ぶ形を連想させることからつけられた呼び名です。外から力が加わり断層のようにずれ動く時に、雁行に亀裂ができ、そこに鉱物(ここでは石英)が充填したものです。雁行には、「杉」のつくりの部分の形(杉型)と「ミ」の字の形(ミ型)があります。ここでは両方が見られますが、「ミ型」は見にくいです。「杉型」は140cmほどの範囲で、「ミ型」は120cmほどの範囲で確認できます。「杉型」は右ずれの変位を示し、「ミ型」は左ずれの変位を示しますので、この石英脈が形成された時には、中下の写真でいくと左上から右下の方向に圧縮する力が加わっていたと考えられます。 地質図において、この露頭(×地点)はメランジュからなる地層の中にあり、大きなチャートの岩塊だと考えられます。写真が五種類ありますが、上の写真は 赤色のチャートと淡緑灰色のチャートが混じっている露頭を南から パノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。真中の写真は、中上の写真のハンマー左側の写真の隅辺りを南東から近づいて撮ったものです。赤色チャートと淡緑灰色チャートが混じっているのがわかります。中下の写真は、同じ露頭内で見られる石英の雁行脈を真上から南を向いて撮ったもので

長良川本流沿い露頭編 その117 八幡町貝付の北右岸のチャート中のドロストーン :郡上市八幡町西乙原貝付の北右岸露頭

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    前回「 長良川本流沿い露頭編その116」で紹介したチャート中に貫入した玄武岩が見られる露頭から北(上流)へ20mほど進んだところで、チャート中にドロストーンが入った露頭が見られます。長良川右岸では八幡町浅柄~貝付にかけて、及び左岸では八幡町と美並町の境界付近において、チャートにドロストーンが入った露頭は4箇所(長良川本流沿い露頭編その98、99、105、110)紹介しました。ここの露頭では、暗灰色~黒色のチャートに、表面が淡褐灰色で、内部は灰色をしたドロストーンが、おもに細長いレンズ状で入っています。露頭では、ドロストーンの部分は少し凹んでいて、チャートとの浸食の違いがわかります。 地質図において、ドロストーンがチャート中に入った露頭(×地点)はオレンジ色( Mch )の中にあり、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。写真が四種類ありますが、上の写真はドロストーンがチャート中に入った露頭を西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。ハンマーの左側に横方向に入っている(少し凹んでいる)のがドロストーンです。横方向に3層入っているのがわかります。中下の写真は上2層のドロストーンを近づいて撮ったものです。上の層は厚さが3cm~4cmで、長さが約90cmで細長いレンズ状です。下の層は厚さが3cm~4cmで、長さが約65cmで同じように細長いレンズ状です。上の写真(または中上の写真)でハンマーのグリップ部の左下にある層は、厚さが約5cmで、長さが約42cmです。下の写真は、同じ露頭を南(右側)から撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマー、黄色の定規の長さはそれぞれ約28cm、約20cmです。中上と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)                                       地質美濃・美濃地学minotigaku (google.com)                  美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

長良川本流沿い露頭編 その116 八幡町貝付の北右岸 チャート中の玄武岩の貫入 :郡上市八幡町西乙原貝付の北右岸露頭

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    長良川右岸を通る県道61号大和美並線を北上し、美並町と八幡町の境界を越え、しばらくすると八幡町貝付で 高速道路の橋梁の下を通ります。その東側の橋梁を通り過ぎてすぐのところ(10mほど)から、長良川の河原に下りる道があります。近くに車を止め、河原に下りる道の入口から県道沿いを上流(北)に向かって150mほど進むと、再び河原へ下りる道があります。そこを下り、河原を下流に進むと、チャートの巨大な転石の東側にチャートの露頭があります。チャート中に玄武岩が貫入しているのが見られます。チャートは、層状チャートの部分と明確には層状が見られない部分があります。層状チャートの部分は、淡青灰色をした厚さ数cm~10cmのチャート層に、淡緑灰色の厚さ数mm~1cmの泥岩層をはさんでいます。明確には層状が見られない部分は、1cm以下の幅をもった筋が入っています。玄武岩の貫入は、見かけ上数cm~5cmの幅でチャートに貫入しています。玄武岩には、1mm以下の斜長石や暗緑色をした有色鉱物が点在しています。 地質図において、チャート中に玄武岩の貫入が見られる露頭(×地点)はオレンジ色( Mch )の中にあって、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。西や南には緑色( Mbs )のおもに玄武岩質火山岩類が広く分布しています。写真が四種類ありますが、上の写真は玄武岩の貫入が見られるチャートの露頭を南からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を同じく南から撮ったものです。中下の写真は上の写真(または中上の写真)に写っているハンマーの左側を近づいて撮ったもので、玄武岩の貫入が縦方向に2本あります。下の写真は、中下の写真と同じ場所を撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマー、シャープペンシルの長さはそれぞれ約28cm、約14cmです。中上と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)                                    地質美濃・美濃地学minotigaku (google.com)                  美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotig