長良川本流沿い露頭編 その119 八幡町東乙原左岸の黒色チャートと石英脈 :郡上市八幡町吉野東乙原左岸露頭(長良川鉄道鉄橋橋脚から下流75mほど)

   前回「長良川本流沿い露頭編その118」の露頭から南東へ25mほど進んだところに、黒色チャートと石英脈の露頭があります。チャートにはいろいろな色のものがありますが、チャートが堆積した海洋環境の状態を表していると考えられています。黒色チャート(正しくは黒色に近いチャート)は、海洋が還元状態(酸素が乏しい状態)で堆積したと考えられていて、硫化鉄(主に黄鉄鉱)や炭素化合物などの酸素の乏しい場所でできた物質を含んでいるようです。今まで、長良川本流沿いの露頭を100箇所以上紹介してきましたが、黒色チャートは「その17、58、80、108、114」で紹介しました。場所としては、美濃市横持の南、美並町木尾右岸、美並町福野農道橋の北、八幡町貝付右岸、八幡町名津佐左岸です。もちろん、長良川沿いの露頭に限っていますし、長良川沿いもすべて見ているわけではありませんので、網羅しているわけではありません。

ここの黒色チャートは、暗青灰色の層状チャート(数cm~10cm厚のチャート層に、灰色をした数mm~5mm厚の泥岩層をはさむ)に接した状態で露出していて、黒色チャートの部分は層状がはっきりしていません。見た限りでは、矢じりなどの石器の石材になりそうな塊状のチャートもあります。

貫入している石英脈は、幅が5mm~5cmで、長さが10cm~40cmのものが多く、5cm幅で150cmほどの長さのものもあります。おもに、チャート層の層間に沿って入っています。

地質図において、この露頭(×地点)は灰色(Mmx)の中にあり、灰色はメランジュからなる地層です。メランジュ中の巨大なチャートの岩塊だと思われます。写真が五種類ありますが、上の写真はこの露頭を南からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。縦に入っている白い筋が石英脈で、他はチャートです。真中の写真は上の写真(または中上の写真)に写っているハンマーの左を近づいて撮ったもので、塊状の黒色チャートです。中下の写真は同じ露頭を東からパノラマで撮ったもので、下の写真は中下の写真の中央少し右を同じく東から撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)






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