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都市(名古屋)で見られる化石 その16 :セントラルパーク地下街1(東と中央の通りの床)

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  セントラルパーク地下街の通路床の一部には、赤褐色の大理石(正しくは石灰岩)であるスペイン産のロッソアリカンテが使われています。ロッソアリカンテという石材は、中生代ジュラ紀の海で形成された石材であるため、アンモナイトなどの化石が入っています。渦巻き模様のわかるアンモナイトや、けっこう大きなアンモナイトの縦断面を見ることができますが、気にしなければ踏みつけていることでしょう。確認したところ20個以上のアンモナイトなどが見られますので、2回に分けて紹介します。 セントラルパーク地下街の図を入れました。赤丸の位置がアンモナイトの見られる場所です。網羅しているわけではありませんが、確認できたところを赤丸で示しました。図はエクセルで作成しましたので、店舗(黄色)の形などは正確ではありませんが、だいたいの場所はわかると思います。今回は、東の通りと中央通りの床で確認したアンモナイトを紹介します。 写真は18枚ありますが、いずれもセントラルパーク地下街床のアンモナイトです。上から順に図のa~gです。aはわかりにくいですが、中央にうっすら見えます。bの場所では4個確認できました。bの1番上のアンモナイトが確認しやすいと思います。cの場所では9個確認できました。cの上の2枚は縦断面です。eはアンモナイトの端の縦断面ですが、大きいです。eの写真には灰色をしたベレムナイトの断面も見られます。fの写真もアンモナイトの縦断面ですが、こちらは小さいです。bの1番上とgは、2000年に出版された「大野寛次・下坂康哉著:ビル街の化石・鉱物わくわく探検隊-名古屋+周辺(風媒社)」にも紹介されているアンモナイトで、現在も残っています。 写真にはすべてスケールが入っていますが、指などを一緒に撮った写真から長さを読み取ってつけたため、正確さはやや欠けます。 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

都市(名古屋)で見られる化石 その15 :名古屋市東区東桜2丁目の東桜会館の外壁

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  今まで名古屋駅周辺で見られる化石を紹介してきましたが、栄周辺でも化石が見られる場所が何箇所かあります。しばらく栄周辺で見られる化石を紹介します。 ドイツ産のジュラマーブルイエローという石材には、アンモナイト、ベレムナイト、海綿動物などの化石が多く入っています。建物の外壁全体にその石材が使われているビルがあります。東区東桜2丁目にある東桜会館です。東桜会館は中部電力創立50周年を記念して、2001年に開館した建物です。外壁がすべてジュラマーブルイエローですので、ゲートウォークの壁とは違い、20年以上風雨にさらされ風化しているのがわかります。しかし、外壁はどこを見てもアンモナイトなどの化石が入っているため、好きな方は見ていて飽きないでしょう。 写真は10枚ありますが、いずれも東桜会館外観、外壁の写真です。1番上の写真に写っているのが東桜会館です。上から2~8枚目の写真はアンモナイト、9枚目はベレムナイト、10枚目は海綿動物です。また、多くの写真に細かい白い粒が多く写っていますが有孔虫だと思います。アンモナイト1~4は横断面、アンモナイト5,6は縦断面、アンモナイト7は斜めに断面を見ています。また、アンモナイト4の中心に写っているのは横断面ですが、その左に写っているのはアンモナイトの殻の端を切り取ったものです。一番上の写真以外はスケールを示してありますが、指を一緒に撮った写真から長さを読み取ってつけたものですから、正確さはやや欠けます。 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

都市(名古屋)で見られる化石 その14 :アンモナイトの化石の断面とドーナツの断面

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 建築石材の中に入っているアンモナイトの化石は、博物館で見るアンモナイトとは異なり、平面形(断面)でしか見ることができません。博物館で見るアンモナイトは、アンモナイトの特徴を示すように展示されていて、あくまでも立体です。それに対して、 都市で見られるアンモナイトは、石材の中に入っているため、いろいろな断面でカットされています。見慣れていないと、せっかくアンモナイトを探しても、本当にアンモナイトかどうかがわからないでしょう。そのため、どのようにカットされると、どのように見えるのかを理解しておく必要があります。カットによってアンモナイトがどのように見えるかを示すために、アンモナイトの断面をドーナツの断面と比較してみました。アンモナイトの断面の写真は、名古屋駅周辺のジュラマーブルイエローの石材中に見られるものを使用しました。 写真は7種類あります。アンモナイトの断面に合わせて、ドーナツを切ってみました。1番上の写真以外は、アンモナイトの断面を上に、その断面に合わせて切断したドーナツを下に載せました。ドーナツは1番上の写真と同じものを切りました。2番目の写真は、平面に対して平行に切った横断面です。これはアンモナイトであることがわかるでしょう。3番目の写真は平面に対して垂直に切った縦断面で、4番目の写真はななめに切った断面です。アンモナイトの切り方によって、断面の見え方がこれだけ違うのです。特に、一番下の写真のように切られていたら最初はなかなかわからないでしょう。 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

都市(名古屋)で見られる化石 その13 :名鉄名古屋駅改札口(出口)前の柱

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名鉄名古屋駅の中央改札口は入口専用と出口専用に分かれていますが、出口専用の前の柱に厚歯二枚貝の化石が見られます。柱の石材は、イタリア産のズベボロイヤル(ペルラートズベボ)です。厚歯二枚貝は中生代の白亜紀に繁栄し、中生代末に絶滅した貝類です。どのような生き物だったかは1月26日の「 都市(名古屋)で見られる化石その7」に書いてありますので、見ていただけるとありがたいです。 ビル街の壁や床にはアンモナイトや厚歯二枚貝などの化石が見られることがありますが、アンモナイトや厚歯二枚貝は恐竜と同様に中生代に繁栄した生き物です。そして、恐竜と同様に、中生代末である6600万年前に絶滅してしまいました。人類(ホモサピエンス)は、今から40万~25万年前に誕生したわけですが、アンモナイトや厚歯二枚貝が今から100年前に絶滅したとすると、人類はどのくらい前に誕生したことになるでしょうか。40万年前に人類が誕生したとすると、0 . 6年前(7ヶ月少し前)となるのです。昨年は関東大震災が起きてからちょうど100年目でしたが、大震災のころにアンモナイトが絶滅したとすると、人類が誕生して7ヶ月少ししかたっていないのです。まだ赤ん坊です。それだけ昔に絶滅した生き物の遺骸(化石)を石材の中に見ているのです。アンモナイトや厚歯二枚貝からすると、人類は地球の住人としては本当に若輩者なのです。化石を見ながら、時間の長さを感じ取っていただけるとよいと思います。 写真は6枚ありますが、いずれも名鉄名古屋駅中央改札口(出口専用)前の柱を撮ったもので、厚歯二枚貝のばらばらになったものが写っています。上の3枚は改札口に向かって左の柱を、下の3枚は改札口に向かって右の柱を撮りました。1番上の写真(左の柱)の青〇の部分を近づいて撮ったものが2番目の写真で、赤〇の部分を近づいて撮ったものが3番目の写真です。下から3番目の写真(右の柱)のオレンジ〇の部分を近づいて撮ったものが下から2番目の写真で、緑〇の部分を近づいて撮ったものが1番下の写真です。化石が多く入っていることがわかると思います。近づいて撮ったものにはスケールが入っていますが、スケールは指などを一緒に撮った写真から長さを読み取ってつけたものですから、正確さはやや欠けます。 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

都市(名古屋)で見られる化石 その12 :名古屋駅新幹線南側待合室の床

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名古屋駅新幹線待合室の床には、横が10cm弱、縦が数cmのややつぶれた中華まんの断面のような化石がいくつも見られます。化石の主はウニです。石材は、西本昌司氏のSNSによるとイタリア産の「キャンポ・ポルフィリコ」あるいはそれに近い石材で、約5000万年前の石灰岩を切り出してきたものと推定しているとのことです。 ウニは古生代オルドビス紀(約4億8500万年~約4億4400万年前)に起源があり、姿を変えながら、現在も生きています。現在は、赤道直下の温暖な海から南極・北極圏の寒冷な海、また浅い海から深海まで生息し、多様な海底環境に適応しています。多くの種が全身にトゲをもちますが、ウニの化石はトゲがなくなった殻の部分だけが残ることが多いです。ウニはヒトデやナマコに近い生き物で、棘皮動物です。棘皮動物の体は、同じ形が中心から放射状に5つ並んだ形(五放射相称と呼びます)をしているのが特徴です。最もわかりやすいのはヒトデで、腕状のものを5方向に伸ばした星型をしています。ウニは、生きている時にはトゲがあって五放射相称であることがわかりにくいのですが、殻だけになると五放射相称の模様が観察できます。ウニはトゲのある側に肛門、その反対側に口をもっています。殻に大きめな穴があいているのが口の部分です。海底をゆっくりと移動しますが、普段は岩に張り付いている場合が多いようです。 写真は5枚ありますが、いずれも名古屋駅新幹線南側待合室の床の写真です。ウニの殻の断面が写っています。上の写真は待合室入口近くを撮ったものです。スケールが入っていますが、スケールは指などを一緒に撮った写真から長さを読み取ってつけたものですから、正確さはやや欠けます。 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

都市(名古屋)で見られる化石 その11 :名古屋駅中央コンコースの柱(新幹線自動切符売り場前の柱など)

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名古屋駅中央コンコースは常に人通りが激しいのでなかなか確認できませんが、柱にサンゴの化石が見られます。柱はフィリッピン産のテレサベージュという石材のようです。 石材や化石についてのSNSの情報は多くあって便利ですが、間違った情報もあります。SNSに「あるビルのエスカレーター前の柱に化石が見られる」と写真付きで書かれてありましたが、実際に行ってみると写真に写っている化石があったのは吹き抜けの隣の場所の柱でした。悪気はなくても、勘違いであったり、上手く表現ができなかったりして間違った情報はあるものです。だから、実際にその場に行って確認することが大切だと思います。また、石材や化石の名称は1つの情報だけでなく、他のものでも確認すべきだと思います。確認できない場合は、正直に確認できないと書くべきでしょう。かなり多くのビルの壁を見て写真をSNS にあげてみえる方でも、化石の名称が違っている場合があります。ジュライエロー(ジュラマーブルイエロー)に入っている海綿動物が厚歯二枚貝となっていました。どこかで、ジュライエローに入っている海綿動物を厚歯二枚貝と思い込んだのでしょう。石材についての専門家である愛知大学の西本昌司氏の書籍や X を見ると、海綿動物になっています。それでは石材名を知るにはどうすればよいでしょうか。まずは、ネットに情報は多くあるので、情報を集めて、その上で確認をとる努力が必要でしょう。その確認は、西本昌司氏等専門の方の文章や書籍、建築石材の書籍、都市で教材等のために石材を調べた論文などを使って複数でとれるとよいと思います。 写真は6枚ありますが、いずれも名古屋駅中央コンコースの柱の写真で、サンゴの化石が写っています。1番上の写真は、中央コンコースの鉄道警察斜め向かいにある新幹線自動切符売り場前の柱(切符売り場に向かって1番左の柱)を撮ったものです。赤丸に近づいて撮ったものが2番目の写真です。サンゴであることがわかると思います。ただし、写真を撮った次の週に行くと、この柱にポスターが貼ってあってサンゴの化石を見ることはできませんでした。3番目の写真は、1番上の写真の隣の柱に近づいて撮ったものです。4番目の写真はJR東海ツアーズ前の柱を撮ったもので、赤丸に近づいて撮ったものが5番目の写真です。1番下の写真は、モニュメントである金の時計から新幹線口方面へ歩いて6本