投稿

5月, 2024の投稿を表示しています

板取川沿いの地質、露頭 その21 関市洞戸栗原のチャート層と珪質泥岩 :関市洞戸通元寺と栗原の境界から国道256号を百数十m北進した地点の川沿いの露頭(南側)

イメージ
  「板取川沿いの地質、露頭その20」で紹介した露頭から上流に向かって百数十m進むと露頭があります。国道256号沿いにある洞戸通元寺と栗原の境界表示の百数十m北進した地点の下方に見られる露頭です。また、その北に露頭がもう一箇所あります。その露頭は次回(その22)で紹介します。露頭は南北に30mほど、東西に10mほどで、高さは水面から5mほどです。露頭の南側にはチャート層が、北側には珪質泥岩が見られますが、関係や境目はわかりませんでした。南側のチャート層は暗青灰色をしていて、層状チャートのように見えますが、チャート層とチャート層の間に挟まる泥岩層がはっきりとはわかりませんでした。北側の珪質泥岩は、暗灰色~黒色をした岩石です。 美濃帯堆積岩類中のチャートと珪質泥岩は、いずれも海洋プレートに堆積したものから形成されています。チャートは、深海に堆積した珪質(ガラス質)の殻をもった放散虫などの生き物の遺骸がもとになっています。砂や泥が届かないような遠洋で堆積したものです。珪質泥岩は、チャートが形成する場所よりは海洋プレートが大陸に近づいたところで堆積したもので、そのため、チャート形成のもととなっている放散虫の粒と泥が混ざった状態で堆積しています。チャートと珪質泥岩は、海洋プレートが年に数cm動きながら、遠洋の深海底から大陸に向かって動いてきたという長い道のりと長い時間に渡って堆積し続けてきたものです。 地質図において、×地点が露頭の位置ですが、灰色( Mmx )の中にあり、灰色はメランジュからなる地層です。ただし、「脇田浩二 (1995)5 万分の 1 地質図幅「美濃」地質調査所」では、珪質泥岩が分布することになっています。写真は五種類ありますが、上の写真はチャート層の部分(露頭の北側)を南東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央付近を撮ったものです。真中の写真は珪質泥岩の部分(露頭の南側)を南からパノラマで撮ったもので、その中央付近を撮ったものが中下の写真です。下の写真は、真中の写真(または中下の写真)のハンマー付近を近づいて撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と中下、下の写真は、同じような写真が2枚並んで

都市で見られる化石 その26(おまけ:横浜) :横浜ランドマークタワー内ランドマークプラザの化石

イメージ
アーバンジオロジーという言葉を聞いたことがありますか。「アーバン」は「都市」、「ジオロジー」は「地質学」ですから、都市の地質学ということになります。 「大阪市自然史博物館( 1996 )ミニガイド No.13 「ビルの石材 - アーバンジオロジー入門 - 」」には、「 街中で岩石や化石を調べたり観察したりする楽しみはアーバンジオロジーと呼ばれています。」と書いてあります。また、「後藤仁敏ほか( 1999 )地学教育と科学運動 32 号「ランドマークは化石の宝庫―横浜みなとみらい地区のアーバン地質学序説―」」には、「化石や岩石は野外で自然の状態のまま観察することが基本である。しかし、都市の石材はきれいに磨かれており、その点では野外で見るよりも、化石や鉱物をよく観察することができる。そこに、アーバン地質学(都市の地質学)の醍醐味があるのだろう。」と書かれてあります。本来、地質学( ジオロジー )は大地を調べることによって、地球が歩んできた歴史や出来事を明らかにするとともに、今後の地球の姿についても考えていく学問です。そのため、地球の一員である我々誰もが関わることができる、また関わるべき学問だと思います。特に都市(アーバン)においては、化石や岩石は探せばいたるところにあります。それを観察したり調べたりすることで、自然に興味をもち、自然を守ろうという意識を強く持つことにつながると考えます。そのようなアーバンジオロジーの観点で、今まで札幌市、東京都、名古屋市、大阪市などにおいて、1980年代から何冊か書籍が発刊されています。 今回は名古屋ではなく、私用で横浜に行きましたので、横浜市のランドマークタワー(1993年7月完成)で見られる化石を紹介します。 写真は8枚ありますが、いずれも横浜ランドマークタワー内ランドマークプラザの写真です。上から5枚目までの写真はランドマークプラザの柱に見られるアンモナイトで、いずれの石材もイタリア産のペルリーノロザートです。1番上の写真は2階の柱で、その赤丸の位置を近づいて撮ったものが2枚目の写真です。3枚目の写真は3階の柱で、その赤丸の位置を近づいて撮ったものが4枚目の写真です。いずれもアンモナイトです。5枚目の写真は、4階の柱で見られるアンモナイトの化石です。ランドマークプラザの柱は同じ石材ですので、他の柱にもアンモナイトは入って