板取川沿いの地質、露頭 その21 関市洞戸栗原のチャート層と珪質泥岩 :関市洞戸通元寺と栗原の境界から国道256号を百数十m北進した地点の川沿いの露頭(南側)

 「板取川沿いの地質、露頭その20」で紹介した露頭から上流に向かって百数十m進むと露頭があります。国道256号沿いにある洞戸通元寺と栗原の境界表示の百数十m北進した地点の下方に見られる露頭です。また、その北に露頭がもう一箇所あります。その露頭は次回(その22)で紹介します。露頭は南北に30mほど、東西に10mほどで、高さは水面から5mほどです。露頭の南側にはチャート層が、北側には珪質泥岩が見られますが、関係や境目はわかりませんでした。南側のチャート層は暗青灰色をしていて、層状チャートのように見えますが、チャート層とチャート層の間に挟まる泥岩層がはっきりとはわかりませんでした。北側の珪質泥岩は、暗灰色~黒色をした岩石です。

美濃帯堆積岩類中のチャートと珪質泥岩は、いずれも海洋プレートに堆積したものから形成されています。チャートは、深海に堆積した珪質(ガラス質)の殻をもった放散虫などの生き物の遺骸がもとになっています。砂や泥が届かないような遠洋で堆積したものです。珪質泥岩は、チャートが形成する場所よりは海洋プレートが大陸に近づいたところで堆積したもので、そのため、チャート形成のもととなっている放散虫の粒と泥が混ざった状態で堆積しています。チャートと珪質泥岩は、海洋プレートが年に数cm動きながら、遠洋の深海底から大陸に向かって動いてきたという長い道のりと長い時間に渡って堆積し続けてきたものです。

地質図において、×地点が露頭の位置ですが、灰色(Mmx)の中にあり、灰色はメランジュからなる地層です。ただし、「脇田浩二(1995)5万分の1地質図幅「美濃」地質調査所」では、珪質泥岩が分布することになっています。写真は五種類ありますが、上の写真はチャート層の部分(露頭の北側)を南東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央付近を撮ったものです。真中の写真は珪質泥岩の部分(露頭の南側)を南からパノラマで撮ったもので、その中央付近を撮ったものが中下の写真です。下の写真は、真中の写真(または中下の写真)のハンマー付近を近づいて撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と中下、下の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)







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