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長良川本流沿い露頭編 その200 高鷲町ひるがの叺谷の溶結凝灰岩(白鳥流紋岩) :郡上市高鷲町ひるがの叺谷(かますだに)の左岸河床露頭

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  国道156号で南からひるがの高原に入ると、分水嶺公園の10mほど手前に左へ入る道があります。そこを左折し、200m強進んだところをさらに左折し、2050mほど道なりに進むと叺谷に架かる橋があります。途中、左折したところから1800mほどの左側には叺浄水場があります。橋の近くに車を止め、「長良川源流」の石碑の左側から川へ下ります。両岸に露頭があり、上の写真は左岸河床露頭です。地質図では、大日ヶ岳火山の噴出物が分布することになっていますが、この露頭は大日ヶ岳火山の噴出物の下に分布する溶結凝灰岩(白鳥流紋岩)です。ここの溶結凝灰岩は全体的に風化していて、褐灰色の部分が多く見られます。割っても新鮮な面が出てきません。1mm~5mmの石英が点在しているのがわかります。本質レンズはわかりません。 地質図において、前述したように、この叺谷沿いの露頭(×地点)は、茶色で斜線あり(大日ヶ岳火山の噴出物)の中にありますが、その噴出物の下に分布する黄土色で横線あり( SR )の白鳥流紋岩が露出しています。岩石は溶結凝灰岩です。周囲にある白色( a )、うす空色の中に記号あり( a2 )は、いずれも第四紀の堆積物です。また、黄色( AT )、茶色( VK3 )は、阿多岐層と呼ばれる湖沼性の堆積物、烏帽子・鷲ヶ岳火山の噴出物です。写真が五種類ありますが、上の写真は溶結凝灰岩の露頭を東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマー付近を近づいて撮ったものです。中下の写真は溶結凝灰岩の割った面を接写したもので、写真の縦は2 . 3cmです。下の写真は橋の脇にある石碑を撮ったもので、「長良川源流」と記されています。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と真中の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部の●を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

長良川本流沿い露頭編 その199 高鷲町ひるがの分水嶺公園 :郡上市高鷲町ひるがの分水嶺公園(国道156号でひるがの高原に入ってすぐ左)

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  国道156号を北進し、ひるがの高原に向かいます。途中「長良川源流 夫婦滝」の表示板を越え、大きなカーブを曲がるとひるがの高原ですが、ひるがの高原に入ってすぐの左側(北西側)に分水嶺公園の駐車場があります。分水嶺公園の標高は約875mです。分水嶺公園があるひるがの高原は、太平洋側と日本海側に分ける分水嶺に位置しています。国道156号に面している分水嶺公園は、太平洋側へ流れる水と日本海側へ流れる水に分かれる様子がわかるように整備されています。 分水嶺は雨水が異なる方向に流れる境界のことです。本州では、降った雨水が一方は太平洋へ、もう一方は日本海へ流れるという境界が、北東(青森県)から南西(山口県)まで連続的に存在しています。もちろん、中国地方は太平洋へ直接流れ込むのではなく、瀬戸内海に流れます。雨水が太平洋側と日本海側へ分かれるのですから、ほとんどは山の稜線にあるのが分水嶺です。しかし、中には平地にある分水嶺もあります。その一つがひるがの高原内の分水嶺です。分水嶺公園は整備されていますので、水が太平洋側(長良川)と日本海側(庄川)に分かれる様子が一目でわかります。 地質図において、分水嶺公園(×地点)は、白色( a )の中にあり、白色は第四紀の堆積層です。周囲のうす空色の中に記号( a2 )、茶色で斜線あり、茶色( VK3 )、黄色( AT )、黄土色で横線あり( SR )は、それぞれ第四紀の堆積物、大日ヶ岳火山の噴出物、烏帽子・鷲ヶ岳火山の噴出物、阿多岐層と呼ばれる湖沼性の堆積物、白鳥流紋岩です。写真が四種類ありますが、上の写真は分水嶺公園内の水が太平洋側と日本海側に分かれる場所を南東から撮ったものです。中上の写真は、上の写真とほぼ同じ場所を撮ったものです。中下の写真は分水嶺公園の入口にある表示板を、下の写真は石碑を撮ったものです。中上と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部にある●を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

長良川本流沿い露頭編 その198 高鷲町国道156号沿い夫婦滝(安山岩質溶岩) :郡上市高鷲町西洞の夫婦滝(ひるがの高原手前の国道156号大きなカーブの奥(北))

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  一昨年の10月11日「長良川の安山岩」で紹介している夫婦滝について、再度紹介します。郡上市高鷲町を国道156号で北進すると、ひるがの高原に入る前に大きな逆S字カーブがあり、右カーブに夫婦滝の表示板があります。駐車するスペースがありますので、車を停めて、奥へ(北へ)進むと二条に分かれた滝が見えます。これが夫婦滝です。入口付近にある表示板には、落差が約17mとなっています。 夫婦滝の周辺を見ると、滝の上部2/3と下部1/3のところでは岩石が違うのがわかります。上部2/3は安山岩質溶岩からできていて、下部1/3は角礫が入った岩石(火山砕屑岩)からできています。溶岩は浸食しにくい岩石で、火山砕屑岩は浸食しやすい岩石です。火山砕屑岩というのは、火山から噴出された火山灰や火山礫、溶岩が壊れた火山岩塊などといった固形物が固まった岩石です。浸食しにくい溶岩層の下に、浸食しやすい火山砕屑岩層が堆積しているため、下部の方が先に浸食し、上部がくずれるなどして急崖が形成され、そこが滝となっています。 地質図において、夫婦滝(×地点)は茶色で斜線ありの中にあって、茶色で斜線ありは大日ヶ岳火山の噴出物です。主に、安山岩質溶岩、火山砕屑岩が分布します。周囲にある白色( a )、うす空色の中に記号( a2 )は、いずれも第四紀の堆積物です。また、黄土色で横線あり( SR )、黄色( AT )、茶色( VK3 )は、それぞれ白鳥流紋岩、阿多岐層と呼ばれる湖沼性の堆積物、烏帽子・鷲ヶ岳火山の噴出物です。写真が五種類ありますが、上の写真は夫婦滝を南から縦長で撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を南南西から撮ったものです。滝の上部の黒っぽく写っているところには溶岩が分布し、下部の明るく写っているところには火山砕屑岩が堆積しています。真中の写真は滝を南から撮ったもので、中下の写真は滝の左下の火山砕屑岩の部分を中心にして撮ったものです。下の写真は安山岩質溶岩の割った面を接写したもので、写真の縦は2 . 3cmです。1mm前後の白い粒(鉱物)は斜長石です。真中と中下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部の●を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさ

長良川本流沿い露頭編 その197 高鷲町国道156号沿いの駒ヶ滝(安山岩質溶岩) :郡上市高鷲町西洞の駒ヶ滝(国道156号沿いすぐ西側)

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郡上市高鷲町内を国道156号に沿って北進すると、ひるがの高原に入る手前に駒ヶ滝と夫婦滝の2本の滝があります。駒ヶ滝は国道に面していて、車中からも眺めることができます。ホームページ等を見ると、落差は約23mのようです。この滝は安山岩質溶岩でできていて、下部は火山砕屑岩(溶岩とは違って、火山から噴出された火山灰や火山岩塊などが堆積してできた岩石)が堆積しているようです。上部に侵食しにくい硬い溶岩が載り、その下には侵食しやすい火山砕屑岩が分布するといった滝は、阿弥陀ヶ滝(昨年の6月29日「県内美濃地方編その62関・郡上周辺8」で紹介)、夫婦滝(一昨年の10月11日「長良川の安山岩」、および次回紹介)などがあります。安山岩質溶岩は暗青灰色をしていて、1mm~数mmの白い斜長石が点在しているのがわかります。有色鉱物は暗緑灰色で、1mm以下のものが少量含まれます。 地質図において、駒ヶ滝(×地点)は茶色で斜線ありの中にあって、茶色で斜線ありは大日ヶ岳火山の噴出物です。主に、安山岩質溶岩、火山砕屑岩が分布します。周囲にある白色( a )、うす空色の中に記号( a2 )は、いずれも第四紀の堆積物です。また、黄土色で横線あり( SR )、黄色( AT )、茶色( VK3 )は、それぞれ白鳥流紋岩、阿多岐層と呼ばれる湖沼性の堆積物、烏帽子・鷲ヶ岳火山の噴出物です。写真が五種類ありますが、上の写真は駒ヶ滝を南南東から縦長で撮ったもので、滝に虹がかかっています。中上の写真は駒ヶ滝を南東からパノラマで撮ったもので、真中の写真は中上の写真の中央部を撮ったものです。 中下の写真は、上の写真の虹が写っている付近を南東から拡大して撮ったものです。虹は太陽光が水の粒(ここでは滝から流れ落ちる水の粒)によって屈折し、その結果光の波長による屈折率の違いから7色(本当は、連続したもので7色と分けられませんが)に分かれ、それが見えたものです。そのため、虹が見えるのは、太陽が出ていて、見ている人が太陽を背にしていなければなりません。虹は太陽と正反対の向きを中心とする円を描いていますが、水滴がスクリーンとなっている部分しか見えませんので、円の一部(弧を描いた状態)しか見えないことが普通です。 下の写真は安山岩質溶岩の割った面を接写したもので、写真の縦は2 . 3cmです。真中と中下の写真は同じような写

長良川本流沿い露頭編 その196 高鷲町穴洞の北左岸溶結凝灰岩(白鳥流紋岩)の柱状節理 :郡上市高鷲町大鷲穴洞の北の左岸露頭(西からの支流(猪洞川)の合流部から上流へ100mほど左岸)

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  高鷲町穴洞の温泉施設周辺までは長良川へのアクセスは割合良いのですが、そこから上流(北)は山が深くなるとともに、道路から離れ、アクセスが悪くなります。そのため、今回紹介する露頭より北は、国道沿いの滝とひるがの高原を紹介します。今回紹介する露頭は、柱状節理が見事です。国道156号(国道158号重複区間)の「高鷲IC北」信号を北進すると、すぐ右手に工場があります。近くに車を止め、工場の北を東へ入ると、川のほうへ進む道があります。そこを200mほど進むと長良川に架かる細い橋がありますので、渡って右(下流側)へ進み、小道に沿って130mほど歩くと河原に出ます。さらに下流へ50mほど進むと露頭があります。長良川沿いの柱状節理です。この露頭は高さ10m弱で、数10mにわたって見られます。柱状の岩石の幅は70cm~1m数10cmです。 溶結凝灰岩の柱状節理は、昨年の6月24日「県内美濃地方編その59」で紹介した 郡上市和良町鹿倉の濃飛流紋岩が知られています。柱状節理は、火山噴出物が冷却する際に体積が小さくなる(縮む)ため隙間ができ、それがもとになって連続的な割れ目が形成されたものです。その割れ目によって、柱が束ねられたような状態で露出します。ここで見られる柱状節理は、長良川沿いで見られるものの中では一番見事な柱状節理だと思います。 地質図において、この柱状節理(×地点)は、黄土色で横線あり( SR )の中にあって、黄土色で横線ありは白鳥流紋岩火山岩類です。写真が五種類ありますが、上の写真は柱状節理を北西からパノラマで撮ったものです。中上と真中の写真は上の写真の中央部付近を撮ったものです。中下の写真は、上の写真に示してあるスケール(1m)の右上を拡大して撮ったものです。下の写真は、上の写真に示してあるスケール(1m)の右少し離れたところを拡大して撮ったものです。下の写真の下部に、柱状の岩石が落ちて倒れているのが写っています。中上と真中、中下、下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

長良川本流沿い露頭編 その195 高鷲町穴洞湯の平温泉対岸の溶結凝灰岩(白鳥流紋岩) :郡上市高鷲町大鷲穴洞の堰堤下流70mほど左岸露頭(湯の平温泉建物の北東の対岸)

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前回「長良川本流沿い露頭編その194」で紹介した露頭(溶結凝灰岩と安山岩が接している露頭)から上流(北)に向かって80mほど進んだところにある露頭を紹介します。本質レンズを含んだ溶結凝灰岩です。ここの溶結凝灰岩は、淡緑灰色をしていて、1mm~5mmの石英が点在しているのがわかります。 本質レンズについては、今まで何回か述べていますが、溶結凝灰岩の中でレンズ状につぶれたものを指します。もとは火砕流の中に含まれている軽石です。大規模な火砕流堆積物の場合、火砕流自身の熱と自身の重さで堆積面に垂直に圧縮され(溶結と呼びます)、緻密で堅固な岩石になります。そのため、中に入っている軽石は穴の部分がつぶれてしまいます。横から見るとレンズ状に見えます。この露頭での本質レンズは暗緑灰色をしていて、幅が5mm~数cmで、長さが2cm~8cmのものが多いです。本質レンズの向きを測ると、堆積した当時の堆積面(堆積した当時は水平)の現在の傾きがわかります。西北西-東南東を軸として、南南西に25°ほど傾いています。  地質図において、この溶結凝灰岩の露頭(×地点)は、黄土色で横線あり( SR )の中にあって、黄土色で横線ありは白鳥流紋岩火山岩類です。周囲にある黄色( AT )、茶色で斜線ありは、それぞれ阿多岐層と呼ばれる湖沼性の堆積物、大日ヶ岳火山の噴出物(主に安山岩)です。写真が五種類ありますが、上の写真は溶結凝灰岩の露頭を南西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマー付近を近づいて撮ったものです。ハンマー頭部の上、ハンマーグリップ部の少し右に本質レンズが見えます。中下の写真は、本質レンズが多く見られる場所を北東から撮ったもので、右上から左下へ斜めに黒っぽくいくつも写っているのが本質レンズです。下の写真は、溶結凝灰岩の割った面を接写したもので、写真の縦は2 . 3cmです。1mm~3mm径でやや黒っぽく写っているのは石英ですが、平面形が三角形であったり、とがった形であったりします。本来の鉱物の形ではなく、激しい火山噴火によって、鉱物がばらばらに壊されたためです。スケールとして置いてあるハンマー、定規の長さは、それぞれ約28cm、約17cmです。中上の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、

長良川本流沿い露頭編 その194 高鷲町穴洞湯の平温泉対岸の溶結凝灰岩(白鳥流紋岩)と安山岩(貫入岩) :郡上市高鷲町大鷲穴洞の堰堤下流150mほど左岸露頭(湯の平温泉建物の東の対岸)

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郡上市高鷲町穴洞に温泉施設(湯の平温泉)がありますが、その駐車場から南へ200m強のところに東へ進む道(県道452号)があり、長良川に架かる井田橋があります。井田橋を東へ渡り、左折して北へ230mほど進んだところから、徒歩で川へ下りることができる小道があります。近くに車は停めておきます。その小道は途中でわかりにくくなりますが、川には下りることができます。川へ下りてから上流へ進むと露頭があります。堰堤の下流150mほどのところです。ここの露頭では、溶結凝灰岩と安山岩が見られます。溶結凝灰岩に安山岩(貫入岩)が貫入していると考えられます。 ここの安山岩は黄緑灰色をしていて、1mm~5mmの斜長石が点在しています。プロック状に割れ目(節理)が入っていて、ブロックは数10cm~70cmほどの直方体をなしています。溶結凝灰岩と安山岩の接触面は、北東-南西に軸をもち、北西に60°ほど傾いています。  地質図において、この露頭(×地点)は、黄土色で横線あり( SR )の中にあって、黄土色で横線ありは白鳥流紋岩火山岩類です。周囲にある黄色( AT )、茶色で斜線ありは、それぞれ阿多岐層と呼ばれる湖沼性の堆積物、大日ヶ岳火山の噴出物(主に安山岩)です。写真が五種類ありますが、上の写真は溶結凝灰岩と安山岩の露頭を北西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央少し右を撮ったものです。ハンマーのグリップより上は安山岩で、下は溶結凝灰岩です。真中の写真は、中上の写真の露頭を南西(右側)から撮ったもので、溶結凝灰岩と安山岩の境界部を意識して撮りました。ハンマーの位置は中上の写真と同じです。中下の写真は安山岩を近づいて撮ったもので、上の写真に書かれてある「安山岩」の「岩」の少し上を撮りました。節理によってブロック状になっているのがわかります。下の写真は溶結凝灰岩と安山岩を接写したもので、左が溶結凝灰岩で、右が安山岩です。両方とも写真の縦は2 . 3cmです。スケールとして置いてあるハンマー、定規の長さは、それぞれ約28cm、約17cmです。中上と真中、中下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学の

長良川本流沿い露頭編 その193 高鷲町穴洞湯の平温泉東の溶結凝灰岩、本質レンズ(白鳥流紋岩) :郡上市高鷲町大鷲穴洞の湯の平温泉駐車場南東の右岸河床露頭(湯の平温泉駐車場から川へ通じる道を下りたところの下流露頭)

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郡上市高鷲町穴洞には温泉施設(湯の平温泉)があります。その温泉施設の駐車場入口付近から長良川へ下りる道があります。そこを下りて下流側へ10mほど進んだところにある露頭を紹介します。一昨年の10月7日「長良川沿いの白鳥流紋岩その3」と同じ露頭です。ここの露頭は、溶結凝灰岩の特徴である本質レンズを非常に多く含み、わかりやすいです。郡上市白鳥町~高鷲町に分布する白鳥流紋岩の中で、本質レンズがはっきりと見え、かつアクセスがよい露頭です。 本質レンズについては、何度も述べていますが、溶結凝灰岩の中でレンズ状になったものを指します。もとは火砕流の中に含まれている軽石などです。大規模な火砕流の場合、堆積後、火砕流自身の熱と重さで堆積面に垂直に圧縮されてしまいます。その状態を溶結と呼び、堆積物(岩石)は非常に堅固になります。中に入っている軽石は、火山ガスが入っていた穴の部分がつぶれてペチャンコになります。つぶれた軽石は横から見るとレンズ状に見えるため、本質レンズと呼びます。この露頭では、溶結凝灰岩の中に非常に多くの緑灰色をした本質レンズが見られます。幅が5mm~数cm、長さが数cm~10cm前後のものが多く、大きなものは幅が数cmで、長さが20cm近くあります。横から見た本質レンズだけではなく、上から(堆積面に垂直方向から)見えるものもあります。  地質図において、この溶結凝灰岩の露頭(×地点)は、黄土色で横線あり( SR )の中にあって、黄土色で横線ありは白鳥流紋岩火山岩類です。周囲にある黄色( AT )、茶色で斜線ありは、それぞれ阿多岐層と呼ばれる湖沼性の堆積物、大日ヶ岳火山の噴出物です。写真が五種類ありますが、上の写真は溶結凝灰岩の露頭を南からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央やや右下を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマー付近を撮ったもので、小さな本質レンズ(緑灰色したレンズ状のもの)が右上から左下に向いて多く入っているのがわかります。本質レンズののびている方向を測ると堆積当時の堆積面がわかるのですが、北西-南東を軸として、南西に20°~25°傾いています。中下の写真は、上や中上、真中の写真に写っているハンマーから西へ2mほど離れている露頭を西から撮ったもので、多くの本質レンズが入っています。大きいものは、長さ

長良川本流沿い露頭編 その192 高鷲町正ヶ洞の細粒凝灰岩(または珪長岩)と花崗斑岩、安山岩(貫入岩) :郡上市高鷲町大鷲正ヶ洞白山神社の東の右岸露頭(長良川に架かる天王橋の下流左岸)

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郡上市高鷲町正ヶ洞には白山神社があり、神社の南に空き地があります。そこに車を停め、神社の東を流れる長良川の右岸に向かうと、淡褐色の岩が露出し、その岩に黒っぽい岩脈が入っている露頭があります。東西27mほど、南北27mほどの露頭です。長良川に架かっている天王橋の南100mほどにあります。この露頭では3種類の岩石が観察できます。1つは、見かけは淡褐色をしていますが、割ると淡灰色~青灰色をした非常に細かい粒からできている岩石です。細粒凝灰岩か珪長岩だと思いますが、顕微鏡等で確認していませんのではっきりとはわかりません。いずれにしても、白鳥流紋岩を構成している岩石だと考えます。この岩石が全体を占めています。他の2種類は、両方とも貫入岩ですが、花崗斑岩と安山岩です。花崗斑岩は白鳥流紋岩に関連した岩石、安山岩は大日ヶ岳火山噴出物に関連した岩石だと思います。花崗斑岩は幅140cm~190cmで貫入していて、淡緑灰色~淡青灰色をしています。1mm~数mmのカリ長石が点在しています。安山岩は、幅50cm~90cmで、細粒凝灰岩または珪長岩と花崗斑岩の両方に貫入しています。この安山岩は暗灰色をしていて、1mm~数mmの斜長石が点在しています。  地質図において、この露頭(×地点)は、白色( a )の中にありますが、白色は第四紀堆積層で平地を覆っている新しい時代の地層です。その下には黄土色で横線あり( SR )が分布していて、それが地表に露出しています。黄土色で横線ありは白鳥流紋岩火山岩類です。周囲にある黄色( AT )、茶色で斜線ありは、それぞれ阿多岐層と呼ばれる湖沼性の堆積物、大日ヶ岳火山の噴出物です。写真が五種類ありますが、上の写真はこの露頭を東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。真中の写真は細粒凝灰岩または珪長岩(白色~褐色)に安山岩(暗灰色)が貫入する部分を東から近づいて撮ったもので、上の写真に写っているハンマーの右少し離れた部分です。中下の写真は、上の写真に写っているハンマーの左下少し離れたところを東から撮ったものです。ハンマーの置いてあるところを含めて右下は細粒凝灰岩または珪長岩で、ハンマーより左上は花崗斑岩です。写真は立体で見

長良川本流沿い露頭編 その191 高鷲町正ヶ洞つり橋下流の溶結凝灰岩(白鳥流紋岩) :郡上市高鷲町大鷲正ヶ洞の中洲河床露頭(歩道用のつり橋(平成橋)の下流100m強の河床露頭)

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郡上市高鷲町正ヶ洞に白山神社があります。白山神社の南に空き地がありますので、そこに車を止め、すぐ東の歩道用つり橋(平成橋)を渡ります。ゲートボール場がありますので、下流に向かって左岸沿いを歩き、下りられるところから川へ下ります。河床に岩石が露出していますが、溶結凝灰岩です。この溶結凝灰岩は淡緑灰色をしていて、1mm~5mmの石英とカリ長石、1mm前後の斜長石が含まれています。大きな本質レンズはわかりませんが、緑灰色の幅1mm~数mmで、長さ5mm~1cmの小さなレンズ状のものが目立つ部分があります。  地質図において、この溶結凝灰岩の露頭(×地点)は、黄土色で横線あり( SR )の中にあって、黄土色で横線ありは白鳥流紋岩火山岩類です。周囲にある黄色( AT )、茶色で斜線ありは、それぞれ阿多岐層と呼ばれる湖沼性の堆積物、大日ヶ岳火山の噴出物です。写真が四種類ありますが、上の写真は溶結凝灰岩の露頭を西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーは、上の写真では小さくて見にくいですが、ほぼ中央に写っています。中下の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマー付近を近づいて撮ったものです。下の写真は、溶結凝灰岩の割った面を接写したもので、写真の縦は3cmです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と中下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)