長良川本流沿い露頭編 その193 高鷲町穴洞湯の平温泉東の溶結凝灰岩、本質レンズ(白鳥流紋岩) :郡上市高鷲町大鷲穴洞の湯の平温泉駐車場南東の右岸河床露頭(湯の平温泉駐車場から川へ通じる道を下りたところの下流露頭)

郡上市高鷲町穴洞には温泉施設(湯の平温泉)があります。その温泉施設の駐車場入口付近から長良川へ下りる道があります。そこを下りて下流側へ10mほど進んだところにある露頭を紹介します。一昨年の10月7日「長良川沿いの白鳥流紋岩その3」と同じ露頭です。ここの露頭は、溶結凝灰岩の特徴である本質レンズを非常に多く含み、わかりやすいです。郡上市白鳥町~高鷲町に分布する白鳥流紋岩の中で、本質レンズがはっきりと見え、かつアクセスがよい露頭です。

本質レンズについては、何度も述べていますが、溶結凝灰岩の中でレンズ状になったものを指します。もとは火砕流の中に含まれている軽石などです。大規模な火砕流の場合、堆積後、火砕流自身の熱と重さで堆積面に垂直に圧縮されてしまいます。その状態を溶結と呼び、堆積物(岩石)は非常に堅固になります。中に入っている軽石は、火山ガスが入っていた穴の部分がつぶれてペチャンコになります。つぶれた軽石は横から見るとレンズ状に見えるため、本質レンズと呼びます。この露頭では、溶結凝灰岩の中に非常に多くの緑灰色をした本質レンズが見られます。幅が5mm~数cm、長さが数cm~10cm前後のものが多く、大きなものは幅が数cmで、長さが20cm近くあります。横から見た本質レンズだけではなく、上から(堆積面に垂直方向から)見えるものもあります。

 地質図において、この溶結凝灰岩の露頭(×地点)は、黄土色で横線あり(SR)の中にあって、黄土色で横線ありは白鳥流紋岩火山岩類です。周囲にある黄色(AT)、茶色で斜線ありは、それぞれ阿多岐層と呼ばれる湖沼性の堆積物、大日ヶ岳火山の噴出物です。写真が五種類ありますが、上の写真は溶結凝灰岩の露頭を南からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央やや右下を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマー付近を撮ったもので、小さな本質レンズ(緑灰色したレンズ状のもの)が右上から左下に向いて多く入っているのがわかります。本質レンズののびている方向を測ると堆積当時の堆積面がわかるのですが、北西-南東を軸として、南西に20°~25°傾いています。中下の写真は、上や中上、真中の写真に写っているハンマーから西へ2mほど離れている露頭を西から撮ったもので、多くの本質レンズが入っています。大きいものは、長さが約18cm(スケールの右)や、約11cm(スケールの上部)あります。下の写真は、スケールの下部にある本質レンズを近づいて南上から撮ったもので、堆積面を上から見たものです。5cm×14cmあります。スケールとして置いてあるハンマー、定規の長さは、それぞれ約28cm、約17cmです。中上の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)







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