展示物と立体視その1(博物館の展示物と立体視)

立体写真のよさは、左眼用と右眼用の写真を用意することによって、立体視さえできるようになれば、その被写体を立体的に見られることです。立体写真を作成するには、2眼レンズの立体写真専用のカメラを使えばよいのですが、そのようなカメラがなくても、時間差で左眼用と右眼用の2枚の写真を撮れば可能です。時間差で撮る場合は、被写体が動かないという条件は必要です。被写体が動かないものであれば、左右少し離れて2回撮るだけです。左右の写真を撮る場合、カメラを回転させることなく、平行に移動して撮ることを意識すれば、それほど難しいものではありません。たとえそれができなくても、回転については写真作成時に回転を戻してやればよいので、数度の回転であればソフトによって調整はできると思います。実際には行っていませんが、平行に移動して撮ることについても、台形補正ができるソフトがあれば修正は可能だと思います。また、多少平行でなくてもそれほど問題はありません。

展示物写真の立体視については、臨場感を人に伝えられることが大きいと思います。特に、立体写真は肉眼での立体感を強調できるよさがあります。人の左眼と右眼の間隔は6cm程度ですが、左眼用写真と右眼用写真を6cm以上離して撮れば、肉眼での立体感をより強調することができます。ただし、できる限りカメラを平行に移動させて撮るということが大切になります。

次の写真は、有名な始祖鳥のベルリン標本のレプリカ(福井県立恐竜博物館で撮影)です。上の写真では、陰影がありますので多少の立体感は感じることができますが、臨場感がありません。しかし、下の写真では、立体視ができれば、特に頭部や頸部、大腿骨の周辺部分の岩石が削られているので、凸凹が明瞭で、立体的にとらえることができると思います。下の写真で、下方にある●を、左の写真は左眼で、右の写真は右眼で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。



このように、ほぼ平面の被写体であっても、多少の凸凹さえあれば強調して立体的に見ることができる、それが立体写真です。

ただし、経験上、横に長細い展示物、凸凹なくほぼ平面の展示物、小さな展示物、花のように細かいものが散らばっているものは立体視に合っていないように思います。

立体視用の左右の写真を撮るには、前述しましたが、カメラを回転させることなく平行に移動させることが重要です。展示物がガラスケースに入っている場合は、カメラをガラス面に垂直にして移動して撮影すると、平行な左右の写真を撮ることができます。ただし、照明によっては光の反射でうまく撮れないことがあります。

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