露頭と立体視その13(花崗岩地形と立体写真)
花崗岩はマグマが地下深くでゆっくり冷え固まった岩石で、方状節理(四角いブロック状に割れる規則的な割れ目)が発達しているとともに、同じような大きさの鉱物結晶が集まってできているという特徴があります。方状節理が発達しているため、立方体や直方体に割れやすく、割れ目に沿って浸食すると、立方体や直方体が目立つ独特な地形をつくり出します。花崗岩体内に渓谷や峡谷が見られることがありますが、河川などによって浸食を受け、方状節理のため水平面と垂直面をつくり、角が明確な直線的な美しさをもった自然の造形美をつくりだすのです。
また、同じような大きさの鉱物結晶が集まっている岩石であるため、風化には弱く、岩石を構成する鉱物がばらばらになりやすいです。風化すると表面から鉱物がはがれ、立方体や直方体の角がとれ、丸みを帯び、なだらかな面をつくりやすいです。つまり、風化がきわだつところや全体的に浸食を受けるところでは、なだらかな、かつなめらかな曲線的な地形をつくりだします。このように、花崗岩は方状節理がきわだって直線的な造形美をつくりだす場合と、風化のため曲線的な造形美をつくりだす場合があります。
下の写真は4種類ありますが、上と中上の写真は、それぞれ関市洞戸の高賀渓谷、関市板取の川浦(かおれ)渓谷を上方から撮ったものです。立体視で見ることによって、立体感をつかむことができ、激しい浸食によって直線的な造形美をつくりだしていることがわかると思います。中下と下の写真は、関市洞戸の高賀渓谷の少し上流で見られる花崗岩、御嵩町の鬼岩公園内の太郎岩と名付けられている花崗岩を撮ったものです。こちらは立体視で見ることによって、なめらかな凸凹や丸みを帯びているのがわかると思います。
花崗岩は、前述したように、風化を受けると鉱物一つ一つがばらばらとなり、はがれていきます。その風化が場所によって差異があり、削られ方が異なることによって傘を開いたときの形をした岩石が残りました。それが、恵那市大井町で見られる国指定天然記念物の傘岩です(下の2種類の写真)。傘の上面が以前は地面であったと考えられます。上の写真は南から、下の写真は北から撮ったものです。風化と削られることによってできた見事な曲線美ですが、立体視によって、実感を伴って見ることができると思います。
コメント
コメントを投稿