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一枚の写真から その19 哺乳類の足跡化石発見の思い出

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現在は行っていませんが、以前 10 数年間、地質の仲間と一緒に年に2回、一般対象で岐阜県内の地質見学会を行っていました。美濃加茂市~可児市の地質見学会の下見で、地質仲間数名と可児川へ行ったときのことです。 2009 年 6 月 6 日(土)、可児川沿いの巨礫を含む凝灰岩を観察するために川原沿いを歩いている時でした。淡灰色のシルト岩層の中に、直径が 10cm ~ 20cm の円形をした砂岩が詰まっているものを複数見つけました。かつ、その砂岩が詰まっている円形に近いものが直線上にほぼ等間隔でいくつか並んでいました。場所は可児市兼杖(かねつえ)の可児川に久々利川が合流する付近です。とっさに哺乳類の足跡じゃないかと思いました。気になってしばらく見ていると、仲間達は歩いた先にある巨礫を含む凝灰岩の露頭に向かっていましたので、場所を頭に入れて追いかけました。巨礫を含む凝灰岩の露頭の観察が終わってから、足跡らしき露頭を見てほしいと伝え、帰りにその河床露頭に寄りました。その場所は、 2009 年初春から河川敷の改修工事で河床が掘り下げられ、その後の洪水で河床が広範囲に削られていた場所でした。そのため、その足跡群はそれまでは見つかっていなかったのです。直線上にほぼ等間隔で並んでいた足跡らしき跡の近くをよく見ると、偶蹄類のシカと思われる足跡もあったので、哺乳類の足跡化石群でほぼ間違いないだろうということになりました。最初に哺乳類の連続足跡ではないかと感じた足跡が上の写真です。 その発見した時の地質仲間の中に、以前木曽川沿いで哺乳類の足跡を見つけ、報告書をまとめてみえたS氏がいましたので、その方と調査をしました。そして、S氏に中心になっていただき、新聞発表をして、報告書としてまとめ、地質学会でも口頭発表をしました。その時の新聞記事が下の写真です。また、シカ類と考えられる足跡と河床露頭の様子を撮ったものも載せました。 2010 年 1 月 12 日朝刊 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

一枚の写真から その18 いまだに明確にはわかっていない板状節理の形成

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  この写真は、岐阜県郡上市 八幡町と美並町の境界付近の長良川左岸 河床で見られる玄武岩質溶岩で、板状節理を示しています。 板状節理は火成岩(火山岩)の表面にほぼ平行に生じた割れ目で、板を重ねたように見えるものです。ここの板状節理は平行な割れ目と割れ目の間の幅が5mm ~ 3cmのところが多く、5cmほどのところもあります。また、板状節理の見られる地形的上位には、枕状溶岩と思われるもの(はっきりはしませんが)が見られます。 板状節理と似たものとして柱状節理があります。柱状節理は北海道上川町の層雲峡や福井県坂井市の東尋坊、兵庫県豊岡町の玄武洞など、観光地として有名な場所で大規模に見られるため、一般的にも知られています。その柱状節理は、火山岩などが冷えて固まる際に体積が収縮し、柱状に割れ目ができることがわかっています。しかし、板状節理はいまだに成因が明確にはわかっていないのです。 成因にはいくつかの説があります。溶岩の流れの方向にはたらく力によって、面がすべるように作用するために平行に割れ目が生じるという説。柱状節理と同様に、溶岩の体積収縮で形成されるという説(ただし、この説は体積収縮で板状に割れ目ができるという説明ができていない)。もう一つの説は、割と新しく 2000 年以降に出てきた説です。固まりかけの溶岩が横方向に流れている場合、端に地形的な障がいがあったり、端がいち早く冷え固まったりして、それ以上流れることができないと、行き止まりとなり、後からの溶岩に押され流れの方向に圧縮されることになります。その結果、上下方向に厚くなることで、平行に割れ目が生じるという説。この説は、例えばノートを机などに置き、横から力を加えると、ノートの真中が上方向に盛り上がり、ノートの一枚一枚が離れた状態になるというイメージです。 長良川沿いの白鳥流紋岩(岩石としては溶結凝灰岩)中にも、板状節理が見られます。下の2枚の写真は、岐阜県郡上市白鳥町中切左岸の溶結凝灰岩を撮ったもので、遠景と近景です。玄武岩質溶岩の板状節理と比べると1枚1枚の板状の岩石は厚く、 数cm ~ 6cm です。このようにけっこう見られる板状節理は、柱状節理とは異なり、その成因がよくわかっていないのです。 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)