露頭と立体視その7(立体がわかる地層と立体写真)

地層は平面で見ることが多いですが、本来は空間的な広がりをもっています。地層が平面ではなく、空間的な広がりがわかる露頭、または地層が一方向から見えるだけではなく、二方向から見える露頭があります。そのような露頭の立体視用写真を作成できれば、その写真を立体視することで、よりリアルに地層の広がりを感じることができます。

下の3種類の写真は、関市洞戸阿部地区の北で見られる板取川左岸河床の層状チャートを撮ったものです。層状チャートは褶曲をしていますが、熱変成を受けているためか、節理が発達していて、直方体に割れています。そのため、褶曲の軸の部分を2方向から見ることができます。立体視ができるように、左眼用と右眼用の写真を並べてあります。写真の下の●を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。上の写真は、少し離れて南から露頭を撮りました。その露頭に近づいて、南東から撮ったものが真中の写真で、南南東から撮ったものが下の写真です。真中の写真と下の写真を見ると垂直面に近い面には上に閉じた褶曲が見られ、その続きが水平面に近い面にも表れています。




岩石は自然の中では露頭で見られますが、都会では石材としてビルや施設の壁、床などで見られます。装飾のため、大理石(石灰岩を含む)や花崗岩などが使われています。大理石は、石灰質の殻などをもった生物の遺骸が堆積したものがもとになっていますので、アンモナイトやサンゴなどの化石が含まれているのです。名古屋駅前のゲートウォークの壁は、ドイツ産のジュラマーブルイエローという石材でできていて、アンモナイトやべレムナイト、カイメン、石灰藻などの化石が多く含まれています。その化石たちは普通一方向の断面でしか見られませんが、中には壁の角に化石があり、二方向から断面を見られる場合があります。

下の写真は、ゲートウォークの壁で見られるアンモナイトの断面です。アンモナイトの化石が壁の角にあり、二方向から見られます。立体視をすることによって、よりリアルにアンモナイトの断面を見ることができるとともに、どのような立体かを想像することができます。写真の下の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。


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