露頭と立体視その9(漣痕と立体写真)
漣痕(リップルマーク)は、堆積層の表面を水などが流れることにより、周期的な波状の模様ができたものです。本来露頭で見るものですが、なかなか露頭で本物を見ることはありません。しかし、漣痕が化石として発見された場合、レプリカが作成され、博物館の展示物として見ることができる場合があります。岐阜県博物館には、高山市荘川町御手洗で発見されたジュラ紀の漣痕が展示されています。この漣痕は波によって形成されたもので、波高が1cmもなく、実物を肉眼で見てもそれほど立体感が感じられるわけではありません。そこで、左眼用と右眼用写真の間を両眼の幅(約6cm)以上離して撮り、立体写真を作成しました。それを立体視することによって立体感が強調されます。下の4種類の写真を立体視すると、漣痕の断面形がわかると思います。立体視するには、写真の下方にある白丸を、左の写真は左眼で、右の写真は右眼で見て、重ね合わせるようにします。
下の写真は、豊橋市自然史博物館に展示されている漣痕(リップルマーク)です。ヒマラヤ山脈をつくる先カンブリア時代の地層(カリガンダキ層)です。立体視によって、凸凹がわかると思います。
下の写真は、漣痕ではありませんが、地層の底についたソールマーク(底痕)の中のフルートキャスト(堆積時の流れの方向がわかる跡)です。宮崎県の日南層群内のもので、つくば市の地質標本館に展示されています。ソールマークは、水流や移動した礫によって海底面が削られてできた溝や模様が、その上に堆積した砂層の底面に痕跡として残ったものです。表面の凸凹がわかると思います。
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