長良川本流沿い露頭編 その107 八幡町貝付右岸の枕状溶岩 :郡上市八幡町西乙原貝付右岸河床露頭(高速道西側橋脚の西北西200m弱の河床)

   八幡町浅柄~貝付の長良川沿いの両岸には、玄武岩質溶岩が分布していて、何ヶ所かで枕状溶岩が見られます。「長良川本流沿い露頭編その96、100、102」で枕状溶岩を紹介しましたが、今回も枕状溶岩を紹介します。枕状溶岩は以下のようにして形成されます。玄武岩質溶岩などの粘性の低いマグマが海底で噴出したり、噴出した後海水にふれたりしたときに、海水にふれた部分は急冷して固い殻ができます。一方、内部はまだ熱く溶けたままなので、殻を破って外へ出ます。すると、また海水にふれ、外側に固い殻ができます。…ということを繰り返します。その結果、西洋枕の形をした溶岩がいくつも積み重なったものが形成されます。

長良川右岸の県道61号大和美並線を北上し、郡上市美並町から八幡町に入ったすぐの集落が浅柄地区ですが、そこを通り過ぎ次の集落(貝付地区)まで進みます。高速道路の橋梁の下を通りますが、その東側の橋梁を通り過ぎてすぐのところ(10mほど)から、長良川の河原に下りる道があります。車を止め、坂道を進み、河原へ下ります。下流側に進み、高速道西側の橋脚から西北西へ200m弱のところに、写真のような枕状溶岩が見られる露頭があります。枕状溶岩は平面的には多くが楕円形に近く、長径は20cm~50cmのものが多いです。また、ここの玄武岩質溶岩(枕状溶岩を含む)は、暗灰色を示す他に淡褐灰色の部分が多くありますが、酸化によって変色したものと考えられます。

地質図において、この枕状溶岩が見られる露頭(×地点)の周辺は、緑色(Mbs)の中にオレンジ色(Mch)が細長くところどころに分布しています。×地点は、緑色の中にあります。緑色はおもに玄武岩質火山岩類からなる地層で、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。写真が五種類ありますが、上の写真は枕状溶岩の露頭の一つを北西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央下部を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)のハンマーの下方にある枕状溶岩を近づいて撮ったものです。楕円形に近い3つのものが枕状溶岩です。中下の写真は、中上の写真の露頭の北にある露頭を南西から撮ったものです。上の写真の左側に写っている露頭と同じです。下の写真は、中上の写真に写っている露頭から南東へ6mほどのところにある露頭を南東から撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマー、黄色の定規の長さはそれぞれ約28cm、約20cmです。中上と真中、中下、下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)






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