長良川鉄道沿いの地形・地質編 その29 相生駅手前の短い鉄橋(亀尾島川に架かる)下の層状チャート :深戸駅~相生駅間、深戸駅から出発して約4分50秒後(相生駅到着約40秒手前)、右車窓より下方を望む

3年前の8月18日「長良川沿いのチャートその3」、10月29日「長良川鉄道の車窓からみた岩石その13」、昨年の5月8日「長良川本流沿い露頭編その124」で紹介した亀尾島川に架かる短い鉄橋下の赤色層状チャートの露頭を再度紹介します。深戸駅を出発し4分50秒ほどたったところで、短い鉄橋を通過します。長良川の支流である亀尾島川に架かっている鉄橋です。その鉄橋を渡っている間、右車窓より下方を望むと、赤っぽい岩が見えます。赤色層状チャートの露頭です。

チャートは、深海底で放散虫などの微生物の遺骸が堆積したものがもとになっているため、堆積した当時の海水の状態を記録しています。チャートにはいろいろな色のものがありますが、その色は含まれている微量成分によってつくのです。赤色(えんじ色)は酸化鉄(Fe2O3)によるものです。そのため、赤色層状チャートを形成していることは、堆積当時の海水には酸素が豊富に含まれ、酸化的環境であったことを示すのです。ここの赤色層状チャートは、おもに2cm~4cmの厚さの赤色チャート層の間に、2mmほどの薄い泥岩層をはさんでいます。チャートの厚いところは10cmほどのところもあります。また、赤色チャート以外にも、淡青灰色のチャートの部分もあります。この露頭には、チャートだけではなく、そのチャートに入り込んでいる貫入岩も見られます。貫入岩は暗青灰色をしていて、斑晶は1mm以下で、斜長石が確認できるくらいです。確認できる貫入岩は、幅が2.5mほどのものと、18cm~23cmのものがあります。

 地質図において、長良川鉄道の列車から見える露頭(×地点)はオレンジ色(Mch)の中にあり、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。写真が五種類ありますが、上の写真は長良川鉄道下りにおいて、深戸駅出発後約4分50秒のところで、橋梁の上から右車窓より下方を望んで撮ったものです。相生駅到着の手前40秒ほどのところです。中上の写真は赤色層状チャートと貫入岩の露頭を南からパノラマで撮ったもので、左上部に鉄橋が写っています。真中の写真は、中上の写真の中央右を撮ったものです。赤黒っぽく見えるのが赤色チャートで、暗灰色に見えるのが貫入岩です。写真に写っている貫入岩は幅が2.5mほどです。中下の写真は真中の写真の露頭に上がって東から撮ったもので、ハンマーが置いてある左右に貫入岩が入っています。貫入岩の幅は18cm~23cmです。下の写真は露頭から列車を撮ったものです。なお、中上と真中、中下の写真は、「長良川本流沿い露頭編その124」で使用した写真と同じものです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。真中の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)







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