都市(名古屋)で見られる化石 その19 :名鉄瀬戸線栄町駅改札口裏のコンビニ外壁

名鉄瀬戸線栄町駅の改札口の裏手にコンビニエンスストアがありますが、その外壁にクリーム色の石材が使われています。ポルトガル産のモカクリームと呼ばれる石材です。化石を多く含む石灰岩ですが、細かく割れているため砂粒が集まっているように見え、まるでクリーム色の砂岩のようです。そのため、少し離れて全体を眺め、クリーム色の中に濃い褐色をしたところを探すと、化石が入っているのがわかります。小さな巻貝、サンゴ、ウミユリ、腕足動物、石灰藻などの破片が含まれているようです。ここでは、小さな二枚貝の断面のような化石が多く見つかりますが、二枚貝ではなく腕足動物です。

腕足動物(腕足類)は、殻をもっていて外観が二枚貝に似ています。しかし、殻の内部に触手冠(しょくしゅかん)というブラシのような形をした餌をとらえる器官をもっていて、二枚貝と異なります。分類学的にも、軟体動物に属する二枚貝とは大きく異なります。外見的にも、腕足動物の2枚の殻はそれぞれ左右対称で、その点も二枚貝とは異なります。二枚貝は、2枚の同じ形をした殻を左右両側に備えています。足がある方が前で、水管がある方が後ですが、殻は一般的に前側よりも後側が長く、非対称です。私たちの体に置き換えてみると、二枚貝は肩の右側と左側に殻をもっているような感じで、後側の殻の方が長くなっています。それに対して、腕足動物は、私たちの体でいくと、腹側と背中側にそれぞれ形と大きさが異なる殻をもっているような感じです。通常、腹側の殻は背中側の殻に比べて大きく、より大きく膨らんでいます。そして、腹側の殻も背中側の殻もそれぞれ左右対称の形をしています。

写真は6枚ありますが、いずれも栄町駅改札口裏の壁の写真です。少し離れて見ると色の異なるところがありますので、近づくと写真のように化石が入っているのがわかります。1番上の写真はコンビニエンスストアの外壁の一部を撮ったもので、上から2~5番目の写真は1番上の写真に写っている壁を近づいて撮ったものです。腕足動物が多いです。特に、2番目の写真の中央少し上に写っている腕足動物の断面が一番わかりやすいです。上と下の殻の形は異なっていますが、それぞれは左右対称であることがわかります。1番下の写真はサンゴらしきもの(右側のもの)を撮ったもので、1番上の写真に写っている壁の右側面の壁で見られる化石です。上の写真以外はスケールを示してあります。







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