都市(名古屋)で見られる化石 その18 :オアシス21からNHK名古屋放送局への通路壁
オアシス21からNHK名古屋放送局に至る通路の両側の壁は、ベージュ色に近い白色をしていて、線柄が入った石材です。イタリア産のペルリーノキャーロと呼ばれる大理石(正しくは石灰岩)です。ペルリーノキャーロの「ペルリーノ」はイタリア語で「真珠色の、真珠の輝きのある」を意味し、「キャーロ」は「明るい、輝くような」を指すようです。ペルリーノキャーロは、中生代の白亜紀(※)に形成された石灰岩で、アンモナイトやベレムナイト、ウニ、二枚貝などの化石を含むようです。(GSJ 地質ニュース Vol. 2 No. 8「ジオネットの日「エキスポセンター館内化石さがし」:館内化石の解説とイベント報告」(2013年8月)より)※「中生代ジュラ紀の石材」と書かれてある書籍もあります。
同じ石材は、同じ場所で同じ時期に形成されたものです。そのため、同じ石材には同じ種類の化石が含まれています。興味をもってビルの中の化石を探すには、まず石材について理解することが大切になります。基本的なことですが、ビルの石材としてはマグマがゆっくり冷え固まった花崗岩と、石灰質の殻をもつ生き物の遺骸がもとになってできた大理石(石灰岩を含む)が多いです。もちろん、マグマが冷え固まった花崗岩には化石は含まれないですが、大理石(結晶質石灰岩)も基本的には石灰岩が熱や圧力によって結晶化したものなので、結晶化がしっかり行われている岩石であれば、化石は原形をとどめてはいません。そのため、化石が含まれている石材は限られているのです。特に、ドイツ産のジュラマーブルイエロー、トルコ産のクレマヌォーバ、スペイン産のロッソアリカンテ、イタリア産のペルリーノキャーロ、ペルリーノロザート、アウリジーナフィオリータ、ズベボロイヤル、ポルトガル産のモカクリームという石材(石灰岩)などは化石が多く入っています。石材については、西本昌司著「名古屋で見つける化石・石材ガイド」、全国建築石材工業会監修「原色石材大事典」、下坂康哉ほか著「世界の建築石材」などを参考にさせていただきました。ビル内の石材に興味をもちながら、多くを見ることで、どの見かけの石材にどのような化石が含まれているかがわかってくるでしょう。
写真は5枚ありますが、いずれもオアシス21とNHK名古屋放送局の間の通路壁写真です。化石が小さく、かつ石材の色とアンモナイトの化石の色がほとんど同じであるため、見慣れないとなかなか探せません。上の写真はオアシス21から通路へ入ったすぐの左側の壁を撮ったもので、赤丸のところを近づいて撮ったものが中上の写真です。アンモナイトです。直径が1cm強なので、小さいです。真中と中下の写真もアンモナイトですが、中下の写真は縦断面です。下の写真は、ベレムナイトの断面です。上の写真以外はスケールを示してありますが、指を一緒に撮った写真から長さを読み取ってつけたものですから、正確さはやや欠けます。
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