長良川本流沿い露頭編 その173 白鳥町中切の溶結凝灰岩の板状節理(白鳥流紋岩) :郡上市白鳥町二日町中切左岸露頭(中切のつり橋下流150mほどの左岸露頭)

郡上市白鳥町二日町には、長良川につり橋が二ヶ所で架かっています。その南側のつり橋が架かっている地区が二日町中切です。その中切のつり橋の下流(南)150mほどの左岸に、対岸からも横方向に筋が入っているのが見える岩石が露出しています。白鳥流紋岩の溶結凝灰岩です。横方向の筋は、板状節理だと思われます。

板状節理は、火山から噴出して冷え固まった岩石(火山岩)の上下面にほぼ平行に生じた割れ目です。そのため、岩石は板を重ねたように見えます。でき方にはいくつかの説がありますが、明確にはわかっていないようです。溶岩などの流れの方向にはたらく力によって、面がすべるように作用するために平行に割れ目が生じるという説。柱状節理と同様に、溶岩の体積収縮で形成されるという説。固まりかけの溶岩などが横方向に流れている場合、端に地形的な障がいがあったり、端がいち早く冷え固まったりして、それ以上流れることができないと、行き止まりとなり、後からの溶岩などに押され流れの方向に圧縮されることになります。その結果、上下方向に厚くなることで、平行に割れ目が生じるという説。最後の説は、例えばノートを机などに置き、横から力を加えると、ノートの真中が上方向に盛り上がり、ノートの一枚一枚が離れた状態になるというイメージです。ただし、これらの考え方も噴出して地面をゆっくり流れ下る溶岩に対しての説ですので、火砕流堆積物についてはわかっていないと思います。

ここの露頭における板状節理と思われるものは、平行な割れ目と割れ目の間の幅が数cm~6cmです。また、節理の周囲はやや白っぽくなっています。節理を形成している面は、北西-南東~北北西-南南東に軸をもち、北東~東北東に10°前後傾いています。

 地質図において、この溶結凝灰岩の露頭(×地点)は、黄土色で横線あり(SR)の中にあって、黄土色で横線ありは白鳥流紋岩火山岩類です。写真が五種類ありますが、上の写真は板状節理の溶結凝灰岩を南西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。横方向に等間隔に近い状態で、平行に筋が入っているのがわかります。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)のハンマー付近を近づいて撮ったものです。中下の写真は、板状節理が面を形成している部分を南から撮ったものです。下の写真は溶結凝灰岩を割った面を接写したもので、写真の縦は3cmです。スケールとして置いてあるハンマー、定規の長さは、それぞれ約28cm、約17cmです。中上と中下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の黒丸または白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)







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