長良川本流沿い露頭編 その183 高鷲町鮎走の観音橋上流右岸の溶結凝灰岩(白鳥流紋岩) :郡上市高鷲町鮎立鮎走の観音橋上流右岸露頭(観音橋60mほど上流)

 一昨年の10月6日「長良川沿いの白鳥流紋岩その2」で紹介した高鷲町鮎立鮎走の右岸露頭で見られる溶結凝灰岩を再度紹介します。国道156号を北上し、郡上市白鳥町を越え、高鷲町に入り1.5kmほど進むと、長良川に架かる観音橋があり、南(右手)には生コン工場があります。橋の手前を左折すると、南へ60mほどのところに長良川へ下りる階段があります。近くに車を止め、その階段を下りると、溶結凝灰岩(白鳥流紋岩)が露出しています。ここの溶結凝灰岩は、割ってみると淡黄灰色をしていて、1mm~5mmの石英とカリ長石、1mm~数mmの斜長石が入っているのがわかります。表面が汚れているため、本質レンズはわかりませんでした。

溶結凝灰岩は、大規模な火砕流によってもたらされたものです。爆発的な噴火によって空中に飛び散った噴出物が山腹を高速で流れ下り堆積したのです。そのため、マグマの中に入っていた鉱物は爆発的な噴火によって砕かれ、鉱物独自の形ではなく、破片状になることが多いのです。その証拠が岩石中に残っています。

地質図において、この溶結凝灰岩の露頭(×地点)は、黄土色で横線あり(SR)の中にあって、黄土色で横線ありは白鳥流紋岩火山岩類です。周囲にある黄色(AT)、茶色で斜線ありは、それぞれ阿多岐層と呼ばれる湖沼性の堆積物、大日ヶ岳火山の噴出物です。写真が五種類ありますが、上の写真は溶結凝灰岩の露頭を南からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。上の写真で中央右上(対岸)に露頭がありますが、この露頭は次回(長良川本流沿い露頭編その184)で紹介します。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマー付近を近づいて撮ったものです。中下の写真は溶結凝灰岩の割った面を接写したもので、写真の縦は3cmです。1mm~3mmほどの淡灰色(ガラスっぽく見えるもの)、白色の粒は、それぞれ石英、長石という鉱物です。石英の中で、三角形のものがありますが、本来の鉱物の形ではなく、爆発的な噴火の際に砕けて破片状になったものだと考えられます。下の写真は、同じ露頭を東から(上の写真の右側から)パノラマで撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上、真中の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部にある白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)







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