板取川沿いの地質、露頭 その13 美濃市と関市洞戸の境界付近左岸の溶結凝灰岩 :美濃市と関市洞戸の境界付近の板取川左岸露頭 観光ヤナの東

 美濃市から関市洞戸に向かう県道81号美濃洞戸線を西進し、上牧橋を越えて約1.5km進むと、美濃市と関市洞戸の境界表示板があります。近くに車を止め、小道があるので川へ下り、しばらく上流方向へ進むと溶結凝灰岩の連続露頭があります。

溶結凝灰岩は、石英や長石の粒が入った硬い岩石です。流紋岩質のマグマが固まったものが多いです。流紋岩質のマグマが冷え固まったものといいながら、ドロドロと流れる溶岩が固まったものではありません。激しい噴火で、大量の火砕流が発生し、それが堆積した時に、大量であるため、自分の重さと蓄えている熱で中に入っているガラス片や軽石をつぶしながら冷え固まり、非常に硬い岩石になるのです。それが溶結凝灰岩です。溶岩の状態ではなく、鉱物や軽石、火山灰など(冷え固まると凝灰岩になるもの)が一度バラバラになり、その中の軽石やガラス片が熱で再度やわらかくなった後くっついて冷え固まった(溶結した)岩石なのです。ここの溶結凝灰岩は、岐阜県の1/4をしめる濃飛流紋岩の西に分布する奥美濃酸性岩類の岩石です。地質図によると、奥美濃酸性岩類のうち、洞戸岩体を構成する高賀山層の下部層と同じものにあたり、かつて現在の洞戸一帯に存在した陥没盆地(カルデラ)内に堆積した火山岩と考えられています。

 地質図において、×地点が露頭の位置ですが、白色(a)の中にあり、白色は第四紀の堆積物です。周囲は黄色(Mss)、オレンジ色(Mch)、薄茶色に横線あり(OK3)が分布していて、×地点には第四紀の堆積物の下に分布する薄茶色に横線あり(OK3)が露出しているのです。薄茶色に横線ありは奥美濃酸性岩類の高賀山層、黄色はおもに砂岩層からなる地層、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。写真は五種類ありますが、上の写真は露頭を南西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央付近を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマーの左上1.3mほどのところにある本質レンズ(軽石がレンズ状につぶれたもの)付近を接写したもので、写真の縦は4cmです。中下の写真は、中上の写真の露頭の上流(西)へ30mほど離れたところにある露頭を南東からパノラマで撮ったもので、ひし形の節理が写っています。左隅に写っている建物は観光ヤナです。下の写真はひし形の節理に近づいて撮った写真です。スケールとして置いてあるハンマーと折れ尺の長さは、それぞれ約28cmと1mです。中上と下の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の白丸または黒丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)






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