板取川沿いの地質、露頭 その10 美濃市乙狩新河の石灰岩礫を多く含む玄武岩質溶岩 :美濃市乙狩新河の右岸河床露頭(「板取川沿いの地質、露頭その8」の数10m上流)

 前々回、「板取川沿いの地質、露頭その8」で紹介した砂岩層の数10m上流に、石灰岩礫を多く含む玄武岩質溶岩の露頭があります。県道81号沿いの車両整備工場の対岸にあたる地点です。南北に40m強、東西に10mほどの河床露頭です。石灰岩礫は、数cm~数10cm径のものが多く、亜角礫が目立ちます。観察する限り、最大の礫は60cm×15cmです。入り方はランダムで、かたまって入っているところも見られます。また、玄武岩質溶岩の数cm~10数cm径の礫も入っています。

美濃帯堆積岩類は、海洋プレートの上に堆積したものや噴出したものが移動して、大陸の縁(現在の日本列島)に付加した付加体堆積物です。その中で、石灰岩は暖かく浅い海洋でできたサンゴ礁がもとになっていますので、よく見ると化石が含まれていることが多いです。また、玄武岩質溶岩は、マグマが噴出して形成された火山島などのかけらを見ていることになります。玄武岩質溶岩の中に石灰岩礫や玄武岩質溶岩の礫を多く含むということは、サンゴ礁が形成された火山島が噴出した結果を見ていると考えられます。

地質図において、×地点が露頭の位置ですが、白色(a)の中にあり、白色は第四紀の堆積物です。周囲は黄色(Mss)が広く分布していて、おもに砂岩からなる地層です。玄武岩質溶岩は表現されていません。規模は大きなものではないと考えられます。写真は五種類ありますが、上の写真は露頭を北西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央少し右を撮ったものです。灰色の楕円形に近いものがいくつも点在していますが、それが石灰岩礫です。真中の写真は縦18cm、横17cmの石灰岩礫の周辺を同じく北西から撮ったもので、位置は上の写真(または中上の写真)に写っているハンマーのグリップの左下少し離れているところです。中下の写真は、確認したところ一番大きな礫(60cm×15cm)を北西から撮ったものです。下の写真は石灰岩の礫を接写したもので、写真の縦は3cmです。化石が多く入っているのがわかります。スケールとして置いてあるハンマーと定規の長さは、それぞれ約28cm、約17cmです。中上と中下の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)







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