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板取川沿いの地質、露頭 その36 関市洞戸阿部高賀橋(古い橋)下流のチャートの熱変成 :関市洞戸阿部高賀橋(現在通行止め)下流数10mの右岸露頭

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  前回、前々回も書きましたが、関市洞戸阿部の現在通行止めの橋(高賀橋)の下流には砂岩泥岩互層、チャート層が分布し、珪灰石も見られます。今回はチャート層の露頭を紹介します。高賀橋下流数10mほどの右岸側で見られる露頭です。 美濃帯堆積岩類中のチャート層は、海洋の深海底で堆積したものです。大陸から遠く離れているため、砂などが届くことなく、水に浮遊するような細かい粒子しか届かないような場所です。チャートは、肉眼では確認できないくらい微小な放散虫などの遺骸などによってできています。そのため、放散虫の研究が進んでいなかった1960年代まではチャートの堆積年代がはっきりとはわからなかったのです。一方、美濃帯堆積岩類中の石灰岩については、肉眼で確認できるフズリナなどの化石が入っており、その研究が進んでいたため、石灰岩に入っている化石から古生代のペルム紀に形成したものであることがわかっていました。そのため、チャートも、隣り合って分布することがある石灰岩の堆積年代である古生代に形成されたものとされていました。古い書籍には、美濃帯堆積岩類は古生代に堆積したものとされています。現在は、チャートは微生物の遺骸などが堆積したものであることがわかっていて、放散虫の遺骸を取り出して、その放散虫の形態によっていつ堆積したものであるかがわかっています。 ここで見られるチャート層は淡灰色~暗青灰色をしていて、層状はわかりません。熱変成を受けているためか、節理が多く、おもに4つの面が見られます。節理面の走向・傾斜を測ったところ、N30°W80°S、N80°E90°、N20°E15°S、N5°E30°Nでした。 地質図において、×地点が露頭の位置ですが、オレンジ色( Mch )の中にあり、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。写真は五種類ありますが、上の写真は北西からパノラマで露頭を撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央付近を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマー付近を近づいて撮ったものです。中下の写真は南西から露頭全体をパノラマで撮ったもので、下の写真は中下の写真の中央付近を撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と真中、下の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の黒丸または白丸を、左の写真は

板取川沿いの地質、露頭 その35 関市洞戸阿部高賀橋(古い橋)下流の珪灰石 :関市洞戸阿部の現在通行止めの橋(高賀橋)の下流の左岸河床露頭(川の水量が多いときは中州になる)

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  前回も書きましたが、洞戸尾倉・阿部境界部の北方の板取川曲流部周辺には、チャート層に砂岩泥岩互層が入り込んで分布し、かつ熱変成を受け、珪灰石もできています。今回は、珪灰石が見られる露頭を紹介します。 国道256号沿いの尾倉と阿部の境界表示板から北東へ200mほど進むと、川へ下りる階段があります。そこを下り、川の方へ進むと河床に珪灰石が見られる露頭があります。階段の入口のほぼ南の露頭です。板取川の水量が多いときは、中州になる場所です。 珪灰石は、化学式では CaSiO 3 です。一般的には、石灰岩が分布する場所に花崗岩などのもとになるマグマが入り込み、そのマグマの高熱によって石灰岩中に含まれるカルシウム Ca と多くの岩石に含まれる珪酸 SiO 2 が反応した結果できるのです。普通白色の樹枝状、繊維状結晶の集合体の形で産します。共生する方解石 CaCO 3 や石英 SiO 2 も白いので似ていますが、樹枝状、繊維状結晶をしているのでわかると思います。また、硬度(モース硬度)には違いがあり、珪灰石は4 . 5~5、方解石は3、石英は7です。 地質図において、×地点が露頭の位置ですが、オレンジ色( Mch )の中にあり、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。写真は五種類ありますが、上の写真は北からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央付近を撮ったものです。上の写真で、露頭の左上に写っている橋が現在通行止めになっている高賀橋です。真中の写真は上の写真(または中上の写真)に写っているハンマー付近を近づいて撮ったものです。中下の写真は珪灰石がよくわかるところを撮ったもので、ほかの場所ですが接写したのが下の写真です。下の写真の縦は4cmです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と真中の写真は、同じような写真が2枚並んでいますが、写真の下の白丸または黒丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供) 美濃地学 - 地学のおもしろさを、美濃から (minotigaku.com)

板取川沿いの地質、露頭 その34 関市洞戸阿部の砂岩泥岩互層の熱変成 :関市洞戸阿部と尾倉の境界部少し北の板取川曲流部外側の右岸露頭

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洞戸尾倉と阿部の境界部の北の板取川曲流部周辺は、チャート層に砂岩泥岩互層が入り込んで分布し、かつ熱変成を受けています。また、場所によっては珪灰石も見られます。今回は、砂岩泥岩互層の熱変成を受けた露頭を紹介します。 関市洞戸事務所東の国道256号を北進し、しばらく進むと尾倉の集落を越えたところで右側に尾倉消防団の車庫があります。さらに、そこから900mほど進むと、尾倉と阿部の境界表示板があります。近くに車を止め、境界の表示板から北東へ200mほど進むと川へ下りる階段があります。途中までは階段で、そこからは小道が続きます。そこを下り、川原を上流に向かって100mほど進むと、左上から右下へうっすら縞模様が見える露頭があります。砂岩泥岩互層の熱変成の露頭です。 美濃帯堆積岩類の砂岩泥岩互層は、陸側から河川によって海洋へ運ばれた砂と泥がもとになっています。その砂と泥が海底の斜面を流れ下り、再度堆積することによって、砂岩泥岩互層が形成されます。この露頭では、風化面を見ると、縞模様が見えるのですが、割るとわからなくなります。割ると赤紫色っぽい色を示しますので、熱変成を受けているのがわかります。赤紫色を示すようになるのは、熱変成によって細かい黒雲母が晶出するためです。縞模様の走向・傾斜を測ると、N55°~80°W、40°~55°Nです。  地質図において、×地点が露頭の位置です。オレンジ色( Mch )も入り込んでいるため見にくいですが、うす茶色( Mal )の中にあり、うす茶色は砂岩泥岩互層からなる地層です。写真は五種類ありますが、上の写真は露頭を東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央付近を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマー付近を近づいて撮ったものです。さらに近づいて、ハンマーの頭部の右を撮ったものが中下の写真です。左上から右下にかけて、黒っぽい帯と灰色っぽい帯が交互に重なっているのがわかります。黒っぽいのが泥岩層、灰色っぽいのが砂岩層です。ただし、割ると泥岩層と砂岩層の違いがわかりにくくなります。その割った岩石を接写したのが下の写真で、写真の縦は2 . 5cmです。中上と真中の写真は、同じような写真が