県内美濃地方編 その5 各務原市周辺5 鵜沼の木曽川沿い層状チャート :各務原市鵜沼宝積寺木曽川右岸河床

  各務原市の鵜沼宝積寺の木曽川右岸河床には、層状チャートが広く分布しています。厚さ2~10cmほどのチャート層が厚さ数mmほどの泥岩層を間に挟んで、交互に繰り返しています。ここの層状チャートは研究がくわしくなされ、主に中生代の三畳紀中期からジュラ紀前期の間の層状チャートが断層や大きな褶曲によって何回も繰り返して現れていることがわかっています。また、赤褐色や灰色、暗灰色などのチャートが見られますが、この色の変化が海洋環境の変化を表していると考えられています。赤褐色のチャートは含まれている鉄分が酸化して赤鉄鉱として含まれています。一方、灰色や暗灰色のチャートは還元状態で堆積し、硫化鉄(主に黄鉄鉱)や炭素化合物などの酸素の乏しい場所でできた物質を含んでいるようです。そのため、黒っぽいチャートが堆積したときは海洋中に酸素が少なく、赤褐色のチャートが堆積したときは海洋中に酸素が多くあったと考えられます。ここの層状チャートは、下位の灰色や暗灰色のチャートから赤褐色のチャートへ変化していて、三畳紀中期のはじめ頃に酸素が多い状態へ回復したことを示すようです。

写真が四種類ありますが、上の写真は鵜沼宝積寺の層状チャートの露頭をパノラマで撮ったもので、中上の写真は露頭を正面から(南東から)撮ったものです。中下の写真は、チャート層の色の違いがわかるように縦長に撮ったものです。写真の上位が地層としては新しいです。ハンマーの少し下の灰色、暗灰色のチャートとハンマーのある赤褐色のチャートの色の違いがわかると思います。下の写真は、北東から撮ったものです。中上と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下にある黒丸や白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。





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