長良川本流沿い露頭編 その17 美濃市横持の南の黒色チャート層 :美濃市保木脇横持の南長良川左岸河床露頭

   前回の「長良川本流沿い露頭編その16」で紹介した砂岩泥岩互層の露頭から北へ20mほど進んだところには、淡緑灰色のチャート層と泥岩層が露出しています。その近くに黒色チャート層と黒色泥岩層が互層(交互に堆積)している露頭が見られます。チャートには、白色、灰色、黒色、赤褐色、うすい緑色など、さまざまな色があります。この色の変化は、チャートが堆積した海洋環境の変化を表していると考えられています。赤褐色のチャートは、含まれている鉄分が酸化して赤鉄鉱として含まれています。一方、灰色や暗灰色のチャートは還元状態で堆積し、硫化鉄(主に黄鉄鉱)や炭素化合物などの酸素の乏しい場所でできた物質を含んでいるようです。そのため、黒っぽいチャートが堆積したときは海洋中に酸素が少なく、赤褐色のチャートが堆積したときは海洋中に酸素が多くあったと考えられています。

ここで見られる黒色チャート層と黒色泥岩層の互層は、黒色チャート層が2~5cmほどの厚さで、黒色泥岩が2~8cmほどの厚さで、交互に堆積しています。また、黒色チャート層はレンズ状になっている部分があります。

地質図において、黒色チャート層が露出している×地点の北側はオレンジ色(Mch)で、おもにチャートからなる地層が分布しています。写真が四種類ありますが、上の写真は×地点の露頭を南西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の左の「黒色チャート層と黒色泥岩層の互層」を南から撮ったものです。中下の写真は、中上の写真に写っている黄色のスケールの左側を近づいて撮ったものです。より黒っぽい層がチャート層です。下の写真は上の写真に写っているハンマー周辺を南から撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマー、黄色の定規の長さはそれぞれ約28cm、約20cmです。中上と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)






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