長良川本流沿い露頭編 その39 美濃市上河和左岸の層状チャートと甌穴 :美濃市上河和左岸露頭
昨年の8月23日「長良川沿いのチャート層その6」でも紹介しましたが、美濃市上河和で見られる甌穴について再度紹介します。美濃市上河和の神母橋の東(下流)へ300mほどの左岸に、径が1m以下の甌穴が層状チャート中にいくつかかたまって分布しています。周辺には層状チャートが存在しますが、地質図にもある通りこの付近はメランジュからなる地層なので、この層状チャートは巨大な岩塊だと考えられます。甌穴は、上流から運ばれてきた石が岩盤の表面にある割れ目などにひっかかり、強い流れの中でその石が回転し、ドリルのように岩盤に穴をあけたものです。ただし、岩盤が硬くない場合は、穴ができても周りがくずれるため、しっかりとした穴が残りません。甌穴は河床の岩盤がチャートのように硬く、激しい流れを生じる場所であれば、どの河川でも見られるものです。
地質図において、甌穴がかたまって分布している露頭(×地点)は灰色(Mmx)からなっていて、メランジュからなる地層です。メランジュは、黒色の泥岩の中に砂岩やチャートなどの大小さまざまな岩塊が入った地質体です。美濃帯堆積岩類のように、海洋プレートの上に堆積したものが陸側のプレートの下にもぐりこむ時に、剥ぎ取られ混ざり合いながら陸側に付加した堆積物に見られる特徴的なものです。写真が四種類ありますが、上の写真は層状チャートの露頭を西から撮ったものです。中上の写真は、上の写真から東へ15mほどのところで見られる甌穴を北東からパノラマで撮ったものです。中下および下の写真は、中上の写真に写っている甌穴を近づいて撮ったものです。中下の写真はハンマーの左の甌穴を北から、下の写真はハンマーの右の甌穴を同じく北から撮りました。「長良川沿いのチャート層その6」で紹介した同じ甌穴を撮り直したものです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。上と中下、下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)
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