長良川本流沿い露頭編 その103 八幡町浅柄の北右岸の石灰岩 :郡上市八幡町西乙原浅柄の北右岸露頭
八幡町浅柄の大浅谷の長良川との合流地点から、北(上流)へ200m弱から400m強にかけて石灰岩がところどころに分布しています。石灰岩は大昔のサンゴ礁が海洋プレートによって運ばれ、大陸の縁に付加したものです。日本列島は約2000万年前までは大陸の縁に位置していたため、現在の日本列島にも石灰岩が分布しているのです。大浅谷の合流地点から200m強のところにも石灰岩の露頭があり、方解石の脈が入っています。方解石の脈は、石灰岩中に生じた亀裂の部分に方解石が充填したものです。ここで見られる脈は細くて短いものが何本も平行で並んでいて、全体としては斜めに配列しています。鳥の雁(がん)が斜めに並んで空を飛ぶ形を連想させることから、雁行脈と呼ばれます。雁行脈は、外から力が加わり断層のようにずれ動く時に雁行に亀裂ができ、そこに鉱物(ここでは方解石)が充填したものです。雁行には、「杉」のつくりの部分の形(杉型)と「ミ」の字の形(ミ型)がありますが、ここで見られる雁行脈は杉型で、右横ずれで力が加わったと思われます。
ここの石灰岩の露頭は玄武岩質火山岩類の中に岩塊としてはさまれたもので、小規模であるため地質図には表現されていません。石灰岩の露頭である×地点は緑色(Mbs)の中にあり、緑色はおもに玄武岩質火山岩類(緑色岩)からなる地層です。写真が四種類ありますが、上の写真は石灰岩の露頭を北からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。白っぽく見えるのが石灰岩です。中下の写真は中上の写真を撮った場所から少し後ろへ下がって撮ったもので、中央下部に右上から左下にかけて雁行脈が写っています。下の写真は、中下の写真に写っている雁行脈を近づいて同じく北から撮ったものです。雁行脈はそれぞれの長さが5cm~20cmで、幅は数mm~1cmです。スケールとして置いてあるハンマー、黄色の定規の長さはそれぞれ約28cm、約20cmです。中上の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部にある白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)
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