長良川本流沿い露頭編 その95b 美並町深戸のドロストーンを含むチャート :郡上市美並町三戸深戸左岸の河床露頭(国道156号沿いの電光表示板の南)

 ※ 2022年2月22日公開「長良川本流沿い露頭編 その95 美並町深戸の混在岩と層状チャート岩塊 :郡上市美並町三戸深戸左岸河床露頭」の続編です。

   郡上市美並町深戸地区において、国道156号から河原へ下りる道が2ヶ所にあり、その西側の下り口から堤防沿い(国道156号沿いの歩道)を西へ170mほど進むと、河原へ下りる階段があります。そこを下りて南西へ進むと、国道にある電光表示板の南あたりにドロストーンを含むチャートの露頭が複数見られます。
ドロストーン(苦灰岩)は、ドロマイト(苦灰石:(CaMg(CO3)2))からなる岩石です。ドロマイトは、石灰岩を構成しているCaCO中のカルシウム(Ca)分が、海水中でマグネシウム(Mg)に置き換わったものと考えられています。ドロマイトに置き換わる前の石灰岩の形成は、浅い海でしか起こりません。深い海だと溶けてしまうため、形成されません。一方、一緒に存在するチャートは深い海で形成されたものです。このように石灰岩とチャートは形成される場所が異なるため、同時に存在しているように見える産状の形成過程は正確にはわかっていないようです。
ここの露頭では、暗青灰色~淡青灰色をしたチャートの中に、淡灰色(表面は淡褐灰色)をしたドロストーンが入っています。具体的には、チャートの層間にドロストーンが面的に入っていたり、ドロストーンが不定形で混じり込んだように入っていたりします。チャートは、層状がくずれている感じで、レンズ状になったチャート層が積み重なっているように見えます。
地質図において、ドロストーンを含むチャートの露頭(×地点)は、灰色(Mmx)の中にあり、灰色はメランジュからなる地層です。ですから、この露頭はメランジュの中の大きな岩塊だと考えられます。写真が五種類ありますが、上の写真はドロストーンを含むチャートの露頭を東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)のハンマー付近を近づいて撮ったものです。いずれの写真でも、淡褐灰色~褐灰色をしたものがドロストーンで、灰色~暗灰色をしたものがチャートです。中下の写真は、中上の写真の露頭から南へ8mほどにある露頭を東からパノラマで撮ったもので、下の写真は中下の写真の中央部を撮ったものです。この露頭は、上の写真の左側中央の左上に写っています。この露頭でもチャート(灰色)の中にドロストーン(淡褐灰色~褐灰色)が面的に広がっているのがわかります。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。                                               (地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)





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