長良川本流沿い露頭編 その95d 美並町深戸の赤色層状チャート :郡上市美並町三戸深戸左岸河床露頭

   前回の「長良川本流沿い露頭編その95c」で紹介したレンズ状のチャートを含む玄武岩の露頭から西へ20mほど進んだところに、赤色(えんじ色)の層状チャートの露頭があります。
  チャート層は、深海底で珪酸質(ガラス質)の殻をもった小さな生物(放散虫など)の遺骸がゆっくりと堆積したものが元になっています。そのため、チャート層は堆積した当時の海水の状態を記録しているようです。チャートにはさまざまな色のものがあります。赤色(えんじ色)、褐色、緑色、淡緑灰色、淡青灰色、暗青灰色、白色、灰色、黒色などです。チャートは基本的にはSiO2でできていますが、含まれている微量成分によって色がつきます。赤色(えんじ色)は酸化鉄(Fe2O3)による着色で、堆積当時の海水は酸素が豊富で酸化的環境であったことを示すと考えられています。ここの赤色チャート層は数cm~15cmの厚さで、間にうすえんじ色の泥岩層をはさんでいます。はさまっているえんじ色の泥岩層は薄いところと厚いところがあり、薄いところは数mmの厚さで、厚いところは数cm~7cmの厚さがあります。赤色層状チャートの露頭の東側は、玄武岩と赤色チャートが混じっている状況が見られます。
地質図において、この赤色層状チャートの露頭(×地点)は、緑色(Mbs)とオレンジ色(Mch)の境界付近にあります。緑色はおもに玄武岩質火山岩からなる地層で、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。写真が四種類ありますが、上の写真は赤色層状チャートを西からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。中下の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマー付近を近づいて撮ったものです。赤色チャート層にはさまれている泥岩層が厚い部分を撮りました。下の写真は、上の写真のハンマーの右上の部分を北から撮ったものです。スケールを含む右側は赤色層状チャートですが、左側の緑っぽいものは玄武岩質火山岩類とチャートが混ざった部分だと考えます。スケールとして置いてあるハンマー、定規の長さはそれぞれ約28cm、約17cmです。中上の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、写真の下部にある白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。
           (地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)





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