長良川本流沿い露頭編 その158 大和町下剣左岸のチャートと貫入岩 :郡上市大和町剣下剣の左岸露頭(長良川鉄道「郡上大和駅」西の金剱神社北へ約300m)

   前回「長良川本流沿い露頭編その157」では、名皿部の右岸寄りの河川内のチャートを紹介しましたが、今回は左岸で見られるチャートを紹介します。このチャートの露頭には、それを貫く貫入岩も見られます。大和町下剣に長良川鉄道の「郡上大和駅」があります。その駅の西に金剱神社があり、その神社の西の道(長良川の堤防道路)を北へ300mほど進むと、長良川左岸にチャートが露出しているのが見られます。南北に15mほど、東西に5mほど、高さ4m以上の露頭です。堤防道路から川の方へ下りると、チャートの露頭周辺は舗装され、道になっています(上の段)。また、チャートの北側は大きな丸石がセメントで固められて階段状になっていて、そこを下りるとチャートと貫入岩が接しているのが確認できます(下の段)。ここの貫入岩は表面が灰色で、内部が青灰色~灰色をしています。特徴として、1mm~5mm径の石英が少量入り、1mm以下の長石と有色鉱物が点在しています。石英斑岩と呼べるかもしれませんが、顕微鏡などで鉱物を確認しているわけではないため、ここでは貫入岩としておきます。チャートは、主に層状チャートが占めていますが、層がはっきりしない部分もあります。層状チャートは、淡灰色~淡緑灰色をした数cm~10数cm厚のチャート層に、数mm厚のうすい泥岩層がはさまっています。層状チャートと貫入岩の接触面は、北西-南東を軸にして、ほぼ垂直な面です。
地質図において、このチャートと貫入岩が見られる露頭(×地点)は、広く分布する黄色(Mss)中に小規模なオレンジ色(Mch)が入っているところにあります。黄色はおもに砂岩からなる地層で、オレンジ色はおもにチャートからなる地層です。×地点から西北西へ2.5kmほどのところに、黄色(砂岩層(Mss))の中にオレンジ色(チャート層(Mch))が入り、そこに入り込む形で濃いピンク色(貫入岩)が見られます。それと同じ状況が規模は小さいですが、×地点で見られます。濃いピンク色(Okg)は奥美濃酸性岩類の岩脈で、美濃帯堆積岩類に貫入している岩石です。奥美濃酸性岩類の一部(濃飛流紋岩の一部という考えもあります)は、地質図では灰色の斜線模様(N3o)と薄黄色に斜線模様(N4o)で表されていて、地質図の左端近くに分布していますが、距離的には近いです。
写真が五種類ありますが、上の写真はチャートを上の段で北から撮ったものです。中上の写真は下の段に下りて、層状チャートと貫入岩が接しているところを北西から撮ったもので、真中の写真は中上の写真のほぼ中央部を撮ったものです。中下の写真は、層状チャートと貫入岩が接しているところを近づいて、同じく北西から撮ったものです。下の写真は貫入岩の割った面を接写したもので、写真の縦は2.5cmです。中央下に写っている無色透明な鉱物は石英です。スケールとして置いてあるハンマー、定規の長さはそれぞれ約28cm、約17cmです。上と真中の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の黒丸または白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。
           (地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)






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