飛騨地方の露頭編 その6 高山市国府町三川の枕状溶岩(変成の弱い結晶片岩;飛騨外縁帯荒城川層) :高山市国府町三川の小八賀川右岸露頭(剱綾神社前に架かっている龍雲橋の下流右岸)
高山市国府町と丹生川町の境界付近に剱綾神社があり、その前を小八賀川が流れています。神社の前に龍雲橋という赤い欄干の橋があり、そこから下流側を望むと、両岸に岩石が露出しているのがわかります。国府龍雲橋バス停脇から河原へ下りることができます。
飛騨外縁帯の荒城川層の枕状溶岩が見られます。飛騨外縁帯は、美濃地方におもに分布する美濃帯や岐阜県の北部に分布する飛騨帯と同様に、日本列島における基盤をなす岩体の一つです。新潟県から岐阜県、福井県にかけて、幅5km~15kmで、250kmにわたって分布します。荒城川層は、飛騨外縁帯構成岩類の一つで、高山市松本町付近から丹生川町北部を経て、上宝町本郷付近まで分布します。おもに安山岩質~玄武岩質の溶岩や火砕岩類(火山噴火によって生じた火山灰や火山礫、火山岩塊などが堆積し固結してできた岩石)からなり、泥岩層、砂岩層、石灰岩層を伴っていますので、浅海陸棚の堆積物と考えられているようです。また、全体に弱い変成作用を受けています。
ここの露頭では、枕状溶岩が見られ、淡緑灰色をしています。ここの枕状溶岩は、変成作用によって、新たな結晶が面状に並ぶという片理が弱いですが見られます。枕状溶岩の周縁は、細粒部で囲まれた輪郭をもっているため、少し離れても枕状溶岩と判断することができます。
地質図において、この枕状溶岩の露頭(×地点)は、河床露頭なので第四紀の地層(白色)の中にありますが、深緑色で斜線あり(AR)がすぐ東には分布していて、それが露出しています。深緑色で斜線ありは、荒城川層でおもに火山岩類からなる地層です。周辺の薄緑色で横線あり(MO)、淡緑灰色(KM)は、飛騨外縁帯構成岩類で、薄緑色で横線ありは森部層でおもに泥岩・砂岩からなる地層、淡緑灰色は上広瀬層でおもに礫岩からなる地層です。うす茶色(cgl)、茶色(KMp)、うす紫灰色(Umf)は、いずれも第四紀の堆積物で、それぞれ桐山礫層、上宝火砕流堆積物、上野泥流堆積物です。写真が五種類ありますが、上の写真は枕状溶岩の露頭を北東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央少し左を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)のハンマー頭部の左少し離れたところを近づいて撮ったもので、縦長の楕円形が枕状溶岩です。中下の写真は上の写真の左側の中央部にある露頭を南東から(左側から)撮ったもので、下の写真は、中下のハンマー付近を近づいて撮ったものです。横方向に片理が発達していますので、結晶片岩だと思いますが、一種類の岩質の礫がレンズ状に多く入っています。詳しく調べないとわかりませんが、玄武岩などが急冷によって破砕されて形成されたハイアロクラスタイトが変成したもののように思います。スケールとして置いてあるハンマー、定規の長さは、それぞれ約28cm、約17cmです。中上と真中、中下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の黒丸または白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)
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