飛騨地方の露頭編 その7 高山市国府町あじめ峡の上広瀬礫岩(飛騨外縁帯上広瀬層) :高山市国府町村山の宮川左岸露頭(あじめ橋上流200m弱の左岸)

   高山市国府町上広瀬では、宮川右岸沿いを県道471号谷高山線が通っています。「三ツ岩」の交差点を南へ曲がると、宮川に架かるあじめ橋があります。そのあじめ橋から上流にかけてはあじめ峡と呼ばれます。あじめ橋を北から南へ渡り、近くに車を止め、宮川の堤防へ出てしばらく東へ歩くと、河原へ下りる階段があります。階段を下り、そのまま北へ向かい川近くまで行くと礫岩(上広瀬礫岩)が露出しています。あじめ橋の上流200m弱の左岸です。

上広瀬礫岩は上広瀬層の構成岩類の一つですが、上広瀬層は前回の「飛騨地方の露頭編その6」で紹介した国府町三川の枕状溶岩(荒城川層)と同様に、飛騨外縁帯を構成している岩石です。上広瀬層は、礫岩、砂岩、安山岩質凝灰岩などからなり、あじめ峡を中心に幅約2km、長さ約6kmに渡って北東-南西方向に分布しています。上広瀬礫岩の礫は数cm~30cmほどの円礫~亜円礫からなり、大きさは大小ばらばらです。礫種は花崗岩が多く、ついで安山岩類で、流紋岩類や泥岩なども含まれています。上広瀬礫岩の基質は暗緑灰色の砂岩からなっていて、礫が入ることなく砂岩層に移り変わっている場合もあるようです。ここの露頭では、花崗岩の礫が多く見られ、10cm~40cm径のものが目立ちます。

地質図において、この礫岩の露頭(×地点)は、淡緑灰色(KM)の中にあり、淡緑灰色は上広瀬層で、おもに礫岩からなる地層です。周囲には、薄緑色で横線あり(MO)、深緑色で斜線あり(AR)が分布しますが、飛騨外縁帯構成岩類の森部層(おもに泥岩・砂岩からなる地層)と、荒城川層(おもに火山岩類からなる地層)です。また、青紫色(HG8HG10)は飛騨花崗岩類で、黄土色(OA1OA2)は大雨見山層群の火山岩類です。写真が四種類ありますが、上の写真は上広瀬礫岩の露頭を南東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。中下の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマーの右下付近を近づいて撮ったものです。スケールの右下や右に写っている白っぽい楕円形の礫は花崗岩です。下の写真は同じ露頭を南西から(左側から)撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマー、定規の長さは、それぞれ約28cm、約17cmです。中上と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の黒丸または白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)





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