飛騨地方の露頭編 その8 高山市丹生川町森部の奥の泥岩層(飛騨外縁帯森部層) :高山市丹生川町森部の奥の森部谷川左岸河床露頭(県道473号鼠餅古川線の森部と呂瀬金山との境界表示板の西500mほどを森部谷川に下りたところの河床露頭)
高山市丹生川町森部から呂瀬金山へ向かって県道473号を進むと、途中で森部と呂瀬金山の境界表示板があります。近くに車を止め、表示板から西へ(戻る方向へ)400mほど歩くと、県道と森部谷川が近づきます。川の方をのぞくと河床に黒っぽい露頭がありますので、ガードレールを越えて下ります。露頭は、飛騨外縁帯の森部層の泥岩層です。
飛騨外縁帯は、美濃地方に広く分布する美濃帯や岐阜県の北部に分布する飛騨帯と同様に、日本列島における基盤をなす岩体の一つで、おもに古生代中~後期の地層群からなります。森部層は飛騨外縁帯構成岩類の一つで、高山市中切から丹生川町森部を経て、上宝町堂殿(どうでん)にかけて分布します。泥岩層、泥岩砂岩互層、砂岩層などからなり、礫岩や石灰岩をともなうようです。紹介する露頭の泥岩層は、暗青灰色をしていて、緻密で硬いです。板状に割れ目があり、面を形成しています。その面は、東北東-西南西に軸をもち、北北西に30°ほど傾いています。
地質図において、この泥岩層の露頭(×地点)は薄緑色で横線あり(MO)の中にあり、薄緑色で横線ありは森部層で、おもに泥岩・砂岩からなる地層です。周辺の深緑色(RO)、緑色で斜線あり(AR)は飛騨外縁帯構成岩類で、深緑色は呂瀬層でおもに珪質凝灰岩からなる地層、緑色で斜線ありは荒城川層でおもに火山岩類からなる地層です。黄土色で斜線あり(OA1)、明黄土色(OA2)、ピンク色(OAg)は、いずれも大雨見山層群と呼ばれる火山岩類と貫入岩類です。また、うす茶色(YHn)、茶色(KMp)は第四紀の火山性の堆積物で、それぞれ丹生川火砕流堆積物、上宝火砕流堆積物です。写真が五種類ありますが、上の写真は泥岩層の露頭を南東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を撮ったものです。真中の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマー付近を近づいて撮ったものです。中下の写真は泥岩層の割った面を接写したもので、写真の縦は2.5cmです。下の写真は、同じ泥岩層の露頭を南から撮ったものです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と真中、下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)
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