飛騨地方の露頭編 その9 高山市丹生川町呂瀬金山の林道沿い珪長質凝灰岩層と泥岩層(飛騨外縁帯呂瀬層) :高山市丹生川町折敷地金山の林道沿い露頭(金山地区稲荷神社南へ300mほど、正しくは丹生川町森部地内)

 高山市丹生川町折敷地金山に稲荷神社があります。その神社の東に道があり、そこを南へ進みます。300mほど進んだ西側の山沿いに露頭があります。この露頭は、飛騨外縁帯の呂瀬層で、珪長質の凝灰岩層と泥岩層が見られます。

 飛騨外縁帯は、美濃帯や岐阜県の北部から富山県にかけて分布する飛騨帯と同様に、日本列島における基盤をなす岩体の一つです。幅数km~30kmで細長く分布し、おもに古生代中~後期の地層群からなります。岐阜県内では、飛騨山脈の槍ヶ岳付近から高山市奥飛騨温泉郷、丹生川町北部~国府町地域、清見町楢谷、郡上市白鳥町石徹白などに断片的に露出しています。呂瀬層は飛騨外縁帯構成岩類の一つで、丹生川町折敷地金山の南方の森部川沿いに大きく弧を描いて、東方に張り出した2条の断層にはさまれて、東西約200m、南北約1300mの範囲に分布しているようです。おもに淡緑色~淡灰色の非常に硬い珪長質の凝灰岩からなり、砂岩や泥岩などの薄い層をはさみ、石灰岩の薄い層やブロックもわずかにはさむようです。ここの露頭では、淡灰色~淡緑灰色の凝灰岩層に、暗灰色の緻密で硬い泥岩層が何枚かはさまっているのがわかります。

 地質図において、この露頭(×地点)は深緑色(RO)の中にあり、深緑色は呂瀬層でおもに珪質凝灰岩からなる地層です。周辺の薄緑色で横線あり(MO)、緑色で斜線あり(AR)は飛騨外縁帯構成岩類で、それぞれ森部層(おもにおもに泥岩・砂岩からなる地層)、荒城川層(おもに火山岩類からなる地層)です。黄土色で斜線あり(OA1)、明黄土色(OA2)、ピンク色(OAg)は、いずれも大雨見山層群と呼ばれる火山岩類と貫入岩類です。また、うす茶色(YHn)、茶色(KMp)は、第四紀の火山性の堆積物で、それぞれ丹生川火砕流堆積物、上宝火砕流堆積物です。写真が五種類ありますが、上の写真は林道沿いの露頭を東からパノラマで撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央部を同じく東から撮ったものです。真中の写真は、上の写真の中央部を南東から(左斜めから)撮ったものです。中下の写真は珪長質凝灰岩の露頭面で見やすいところを接写したもので、写真の縦は3.5cmです。下の写真は泥岩の割った面を接写したもので、写真の縦は1.8cmです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と真中の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)







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