飛騨地方の露頭編 その2 丹生川町芦谷百間滝(玄武岩質溶岩) :高山市丹生川町芦谷の芦谷百間滝

高山市丹生川町から飛騨温泉郷平湯にかけて見られる滝の2つ目は、芦谷の百間滝です。国道158号を東進すると、丹生川町の芦谷地区に丹生川町板殿に向かう道(百間滝の表示板あり)がありますので、左折(北進)し、1km弱進みます。百間滝の表示板がありますので、近くに車を止め、徒歩で北進します。150mほど進むと、緩やかな連続した滝があり、その右側に玄武岩質溶岩の枕状溶岩と思われる露頭があります。

 この百間滝は、美濃帯堆積岩類の玄武岩質火山岩類(以下「玄武岩」と表記)中の滝です。美濃帯堆積岩類のように付加体堆積物中の玄武岩は、海洋プレートが形成される中央海嶺で噴出した玄武岩、または海洋プレートが移動している最中に噴出して火山島となった玄武岩です。その玄武岩の上に、石灰岩やチャート、珪質泥岩など堆積したものが、陸側から運ばれた砂や泥と混ざって、大陸の縁(現在の日本列島)に付加したのが、美濃帯堆積岩類です。火山噴火によって噴出した玄武岩質溶岩は、海水に触れると、西洋枕(または米俵)状のものがいくつも積み重なった状態で固まります。それを枕状溶岩と呼びます。噴出した熱い玄武岩質溶岩が海水などに触れると、触れた表面だけが冷えて固まり、一度殻をつくります。しかし、内部は熱いままなので、できた殻を破って中の溶岩が絞り出されるように流れます。そして、また海水で急冷して外側に殻をつくります。これを繰り返して、見かけ上西洋枕の形をした溶岩がいくつもできるのです。

地質図において、この滝(×地点)は、玄武岩からなる地層(緑色(Mbs))が分布する中にあります。周辺に分布するオレンジ色(Mch)、青色(Mlm)、灰色(Mmx)、薄茶色(YHn)、茶色(KMp)は、それぞれ美濃帯堆積岩類のチャート、石灰岩、メランジュ、および丹生川火砕流堆積物、上宝火砕流堆積物です。写真が四種類ありますが、上の写真は百間滝を南から縦長で撮ったもので、中上の写真は上の写真の中央左下を中心にして撮ったものです。中下の写真は上の写真の中央右下に写っているスケール(折れ尺)の左を撮ったもので、下の写真は中下の写真とほぼ同じ位置を南東から撮ったものです。中下と下の写真は枕状溶岩と思われる場所を撮ったもので、下の写真に写っているハンマーの左の楕円形をしたものが枕状溶岩としてわかりやすいと思います。中上と中下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)






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