飛騨地方の露頭編 その4 高山市奥飛騨温泉郷平湯の平湯大滝(乗鞍岳の四ッ岳溶岩) :高山市奥飛騨温泉郷平湯の平湯大滝
高山市丹生川町から飛騨温泉郷平湯にかけて見られる滝の4つ目は、有名な平湯大滝です。平湯大滝は落差が64mあり、乗鞍岳の四ッ岳溶岩の上にかかっている滝です。乗鞍岳の四ッ岳溶岩は、現在の四ッ岳から北へ溶岩を流した活動が4万年前にあり、そのときに噴出した溶岩です。
地質図によると、四ッ岳溶岩の先端は、平湯温泉スキー場あたりまで達していますので、滝も四ッ岳溶岩が噴出した4万年前にはそのあたりにあったと考えられます。遠くからでは見にくいですが、滝がかかっている崖を見るとU字状の境界があり、上が安山岩質の溶岩からなっていて、下は山体崩壊による土石流堆積物からできています。上に硬く浸食しにくいもの(溶岩)が載り、下にもろく浸食しやすいもの(土石流堆積物)があると、流水によって下のもろいものが先に浸食されるため、境界部で急崖を形成し滝となります。
昨年の6月29日付け「県内美濃地方編その62 関市・郡上市周辺8 郡上市白鳥町の阿弥陀ヶ滝」、一昨年の10月11日付け「長良川沿いの安山岩(夫婦滝など)」で、白鳥町の阿弥陀ヶ滝と高鷲町の夫婦滝を紹介しました。この2つの滝は岐阜県では有名な滝ですが、両方とも火山砕屑岩(かざんさいせつがん:溶岩とは違って、火山から噴出された火山灰や火山岩塊などが堆積してできた岩石)の上に溶岩が載っています。上部の溶岩は硬くて侵食されにくいですが、下部の火山砕屑岩は侵食されやすいため、境界付近で急崖となり見事な滝を形成しています。つまり、この2つの滝も平湯大滝と同じように、もろく浸食しやすいものの上に、硬く浸食しにくいものが載っているために、その境界で急崖を形成し高低差のある滝となっているのです。
地質図によると、平湯大滝(×地点)はうすピンク色の中にあり、うすピンク色は乗鞍火山の四ッ岳火山岩類です。(中の模様が異なるうすピンク色がありますが、噴出時期の異なる乗鞍火山の火山岩類です。)南から流れてきた溶岩であることが分布でわかると思います。×地点の東や西には黄色(Mss)、オレンジ色(Mch)、灰色(Mmx)、緑色(Mbs)などが分布しますが、美濃帯堆積岩類である砂岩層、チャート層、メランジュ、玄武岩質火山岩類です。他に、うす茶色は新期焼岳火山群の火山岩類、うす空色(a2)は第四紀の堆積物です。写真が三種類ありますが、いずれも平湯大滝を少し離れて撮ったものです。中と下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸または黒丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)
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