長良川本流沿い露頭編 その177 白鳥町上切の北の凝灰岩(白鳥流紋岩) :郡上市白鳥町二日町上切の北濃小学校の北の対岸(左岸)露頭
白鳥町二日町を国道156号に沿って北進すると、右側(東)に北濃小学校があります。北濃小学校の北側の長良川対岸には岩石が露出しています。その露頭に行くには、さらに国道156号を北進し、北濃小から900mほど進むと右に道路がありますので、そこを右折し長良川に架かる橋を渡る必要があります。そこを渡り、長良川の左岸を南東へ戻る方向に進み、突き当たり辺りで川へ下りると行くことができます。ここで見られる白鳥流紋岩は淡緑灰色をしていて、溶結の証拠となる本質レンズは見られません。肉眼で判断する限り溶結はしていないと思います。
火山からの噴出物というと、火山灰や軽石、スコリアなどのようにマグマが爆発によって飛び散ったものや、溶岩のようにマグマがそのまま噴出して流れ下ったものをイメージされるでしょう。しかし、それ以外に、マグマが爆発などによって砕け散り、それが山腹を流れ下る火砕流という現象があります。火砕流という言葉は、1992年の雲仙普賢岳の噴火の際に、火山災害をもたらす恐ろしい噴出物として話題になりました。ただし、雲仙普賢岳の噴火における火砕流は、噴出した溶岩ドームが崩れて発生したもので、火砕流としては小規模なものでした。白鳥流紋岩は主に火砕流が堆積し、冷え固まった岩石からなっています。高温のガスや火山灰、軽石など混ざったものが、噴出後非常に高速で山体を流れ下るわけですが、時速100km以上のスピードになるため、車でも逃げ切れないというものです。
地質図において、この凝灰岩(溶結はしていないと考えられますので凝灰岩と表現しておきます)の露頭(×地点)は、黄土色で横線あり(SR)の中にあります。黄土色で横線ありは白鳥流紋岩火山岩類です。写真が四種類ありますが、上の写真は凝灰岩の露頭を西からパノラマで撮ったものです。中上の写真は、上の写真の左側を南西から撮ったものです。中下の写真は、上の写真(または中上の写真)に写っているハンマーの右にある甌穴を撮ったものです。この甌穴は46cm×43cmの楕円形をしていますが、深さは土で埋まっているためわかりません。下の写真は、凝灰岩の割った面を接写したもので、写真の縦は4cmです。スケールとして置いてあるハンマーの長さは約28cmです。中上と中下の写真は同じような写真が二枚並んでいますが、それぞれの写真の白丸を、左の写真は左目で、右の写真は右目で見て、重ね合わせるようにすると立体的に見えます。(地質図はHP「ジオランドぎふ」より 岐阜県博物館提供)
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